ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

アーマ・トーマス@ビルボードライヴ東京

2013-05-31 14:26:55 | ニューオーリンズ
IRMA THOMAS / MY HEART'S IN MEMPHIS

5月30日、ビルボードライヴ東京にて、SOUL QUEEN of NEW ORLEANSこと、アーマ・トーマスを観てまいりました! およそ1年半振りの来日。私が観たのはこの日の2ndショー。今回の来日公演最終ステージです。私はカジュアル席という3階席に陣取り、上から眺める感じで堪能してまいりました。

まずはバンドが登場し、サックス奏者を中心に挨拶代わりにインスト曲を披露。バック・バンドはドラムス、ベース、ギター、キーボード、オルガン、トランペット、サックスの7人編成。ホーンの2人はパーカッション兼任でしたね。そしてステージも暖まったところでいよいよアーマ・トーマスが紹介される。サックス奏者さんが高らかにアーマ・トーマスの名を告げる。薄い黄色?クリーム色?の可愛らしいドレスを身に纏ったアーマ・トーマスがステージに上がる。前方のお客さん達は既に立ち上がって興奮気味。曲は「I'm Gonna Hold You To Your Promise」。88年作「THE WAY I FEEL」から。これは意外な曲から始まった印象ですが、アーマの歌声は素晴らしいの一言! 黒く艶光りしたようなその歌声はふっくらとした深みに溢れ、サラッと歌っているように見えてねっとりとしたフィーリングが濃厚。特に低音から中音域にかけての響きが素晴らしい!

2曲目は「For the Rest of My Life」。私は耳馴染みのない曲でしたが、現在ネットでシングル販売もされている新曲だそうで、今年のジャズフェスでも歌っていて、日本でもマニアの方々の間では話題になっていたようです。柔らかくもソウルフルなスローナンバー。良い曲ですね。そしてホーン隊が格好良かった「Got to Bring It with Yo」から、「In the Middle of It All」、「Let It Be Me」、「Break-A-Way」と、2年前の来日公演でも印象的だった曲が続きます。

「In the Middle of It All」や「Let It Be Me」のようなスローな曲では椅子に腰掛けて歌っていましたが、アーマももう72歳になるそうですからね。ですが歌声そのものは元気、元気!そんな歳を感じさせないふくよかで瑞々しい歌声に驚かされます。もちろん若い頃のようにシャウトしたりはしませんが、たっぷりとした声量と伸びやかな歌声は、まったく衰えを感じさせません。
「Let It Be Me」なんて最高でしたね。あの声の深みは年齢を重ねたアーマならではの境地でしょうね。そして「Break-A-Way」ですよ!まるで60年代へタイムスリップ。インペリアル時代の名曲ですが、ガールズポップのようなアップ・ナンバー。これを現在のアーマが抜群のスピード感で歌う。一気に観客達もヒートアップ!!

そして「Time Is On My Side」!! もちろんローリング・ストーンズがカヴァーしたあの曲。アーマ・トーマスのオリジナルとして知られる超有名曲ですが、アーマにとっては数有る持ち曲の1つに過ぎないのか、必ずしもライヴの定番曲ではないそうなんですよね。実際、前回の来日公演でも、私が観た回では演らなかったんです。なので今回、初めてアーマが生で歌う「Time Is On My Side」を聴けて感無量でしたね。アーマが「タ~~イム♪」と歌い出した時の感激たるや!観客席の空気も異様な興奮に満たされました。そしてアーマの歌がその興奮をグイグイと引っ張っていく。スロー・ナンバーなのに妙なキレがあるんです。中間の語り部分がまた堪りませんでしたね。 今回のライヴで一番ゾクゾクした瞬間。

さらにデビュー曲「Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)」と畳み掛ける。スウィンギーなジャンプ・ナンバー。後半に入ってさらに声のキレも艶も増してきてるんじゃないかと思う程の勢い溢れる歌声。アーマ・トーマス恐るべし。ホーン隊に始まりメンバーそれぞれのソロ回しがあったりとライヴならではのノリも楽しい。最後にはアーマが息切れも無しにハリのある高音域を煽るように連発し拍手喝采!いや~、お見事!

そして今回最も意外だった曲が「This Bitter Earth」。ダイナ・ワシントンですよ!! アーマが08年作「SIMPLY GRAND」でカヴァーしてる曲ですが、生で聴けるとは思いませんでした。これにはうっとりでしたね。やっぱりライヴって良いですね。定番と言われる誰もが聴きたい有名曲で盛り上がる一方で、意外な選曲に驚かされ、新しい味わいに酔いしれる。しかも大好きなアーマ・トーマスですからね! ま、結局何を歌ってもらっても最高なんですけど~。

さて、ステージも終盤。ここからはまさに定番です。まずは「Ruler of My Heart」。これは傑作ですよね~。さすがアラン・トゥーサンですよ!60年代らしいラヴリーな大名曲。アーマのフェミニンな低音がまた最高でした。そして「I Done Got Over It」から始まり、「Iko Iko」、「Hey Pocky Way」と続くセカンドライン・タイムではお約束の白いハンカチを振り回す。観客達も分ってらっしゃるようで、自前のハンカチを皆さんグルグル振り回してました。楽しい!! やっぱりニューオーリンズは最高ですね! さらにトドメは「It's Raining」。これもトゥーサン作の大名曲。ギターの間奏中にアーマとベーシスト、ホーン隊の2人が同じステップで踊ってました。

本編ラストは「The Same Love that Made Me Laugh」。そしてアンコールに「Forever Young」。それぞれビル・ウィザース、ボブ・ディランのカヴァーですが、この終盤の流れは前回の来日公演と同じなことも有り、もうほとんどアーマの代表曲と言った風情の、力強くディープな歌いっぷりでした。特に「Forever Young」は感動的でしたね。あの深いエモーション、そしてどこまでも伸びるかのような声量たっぷりの歌声に身も心も包み込まれるようでした。まるで悠久のような大きな歌。こういう歌はなかなか聴けませんよ!


ニューオリンズR&Bの王道を感じさせる素晴らしいステージでした。さすがはクイーンですよ! しかもそんな貫禄を感じさせる一方で、最前列のお客様が机の上に並べていたCDを何やら楽し気に手に取って、収録曲の一節を口ずさんだりなんていう朗らかな場面もあったり。それと前回の来日時にアーマが分厚い“歌本”を曲ごとにペラペラ捲っていたのが印象的でしたが、今回はそれがタブレットに変わっていたのも驚きました。ここにもデジタル化の波が…。アーマが指先でページをビュンビュン送り、お目当ての歌詞を表示させる姿に時代の流れを感じたり。あとブルース銀座さんの29日のライヴ・レポによりますと、その日はライヴ中に座ることもなかったそうなのですが、私が観た回では前半の何曲かは座って歌っていました。疲れがあったのか、足腰に不安があるのか、ちょっと心配になったり。でも歌唱自体は超元気でしたし、後半は立ちっぱなしで、歌えば歌う程エネルギーが満ちあふれてくるかのような溌剌とした印象でした。いつまでもお元気で、そしてまた来日して頂きたいものです。

終演後はお楽しみのサイン会。私ももちろんサインを頂きました。上の写真がサインを頂いた「MY HEART'S IN MEMPHIS」。





この日のセットリスト↓

01. インスト
02. I'm Gonna Hold You To Your Promise
03. For the Rest of My Life
04. Got to Bring It with You
05. In the Middle of It All
06. Let It Be Me
07. Break-A-Way
08. Time Is On My Side
09. Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)
10. This Bitter Earth
11. Ruler of My Heart
12. I Done Got Over It ~ Iko Iko ~ Hey Pocky Way
13. It's Raining
14. The Same Love that Made Me Laugh
--------------------------------------------
15. Forever Young





ビルボードライヴからアナウンスされている来日メンバー

アーマ・トーマス/Irma Thomas(Vocals)
キム・フィリップス/Kim Phillips(Keyboards)
ワーナー・ジョセフ・ウィリアムズ/Warner Joseph Williams(Keyboards)
アーサー・'V'・ベル/Arthur V. Bell(Guitar)
エドワード・ロング/Edward Long(Bass)
エミール・ホール/Emile Hall(Saxophone)
パーシー・・ウィリアムス/Percy Williams(Trumpet)
ラリー・"チュー"・キャンベル /Larry "Choo" Campbell(Drums)

フジロック予習:ロン・セクスミス

2013-05-30 19:36:00 | フジロック
RON SEXSMITH / FOREVER ENDEAVOUR

フジロック予習特集第2弾、ロン・セクスミスです。カナダが誇るシンガー・ソング・ライター。今年新作「FOREVER ENDEAVOUR」(写真)をリリースしたばかり。何となくいつまでもデビュー当時のままのような印象がありますが、今作で通算13枚目。メジャー・デビューから数えてもかれこれ20年近く活動を続けていますから、もうベテランの域です。

今作「FOREVER ENDEAVOUR」のプロデューサーを務めたのはミッチェル・フルーム。ご存知、クラウデッド・ハウス、ロス・ロボス、エルヴィス・コステロ、ポール・マッカートニー、リチャード・トンプソン、コアーズ等々、数多のアーティストを手掛けてきた名プロデューサーです。ちなみに今年のフジロックに出演するスザンヌ・ヴェガの元旦那様でもあります。ロン・セクスミスとはロンのデビュー作「RON SEXSMITH」からの付き合いで、初期作品をはじめ数枚のプロデュースを手掛けています。まさにロンのサウンドを作った男であり、ロンのプロデューサーと言えばミッチェル・フルーム!と言えそうなそんな印象。とは言え、二人の邂逅は06年作「TIME BEING」以来7年振り。

メタリカなどで知られる敏腕ボブ・ロックがプロデュースした前作「LONG PLAYER BLOOMER」はロンにしてはポップでエッジの効いたサウンドでした。でもそれが逆にロンのソングライティングを際立たせた素晴らしい作品になったと私は思っていますし、このまま数枚はボブ・ロックと作って貰いたいなんて思ったりもしていたのですが、今回そのボブとは袂を分かち、再びミッチェル・フルームと手を組むと聞けば、それはそれで期待せずにはいられなかったり。そして楽しみにしていたこの新作、1曲目「Nowhere To Go」を聞いた瞬間、ああ、柔らかい音だな~、と思いました。

さて、プロデューサーが変わればバックのミュージシャンも変わります。今回、名を連ねたのはドラムスにPete Thomas、Matt Chamberlain、Michael Urbano、Don Heffington、ベースにBob Glaub、Davey Faragher、ギターはVal McCallum、そしてペダル・スティールにGreg Leiszの名も。さらに木管楽器やブラス・セクション、ストリングスも付く。キーボードはミッチェル・フルーム自身。面白いのは、昨年ミッチェル・フルームが手掛けたスザンナ・ホフス(元バングルス)のソロ作のバックとかなり被ってるんです。8割型同じ布陣。おそらくこの人達が今、ミッチェル・フルームが最も頼りにしているミュージシャン達なんでしょうね。今回、ミッチェル・フルームはプロデュースの他、アレンジも任されていますから、彼に対するロンの信頼度も伺えますね。

それにしてもボブ・グラウブやマット・チェンバレンといった百戦錬磨のセッション・プレイヤーをはじめ、エルヴィス・コステロ繋がりのピート・トーマスやデイヴィ・ファラガーなど、なかなか興味深い面子。ギターのヴァル・マッカラムはジャクソン・ブラウンやシェリル・クロウのバック等で活躍し、ピート・トーマス&デイヴィ・ファラガーのコステロ組とJACKSHITなるバンドを結成していたり。個人的にはグレッグ・リーズの参加 (残念ながらさほど目立った活躍はしていないと思われますが…)が嬉しい! あとローン・ジャスティスの初期ドラマーだったドン・ヘフィントン!!

そんなバック・ミュージシャン達ががミッチェル・フルームの指揮の下、さりげない演奏でロン・セクスミスの歌世界をバック・アップ。もちろん主役はロン・セクスミスの歌と楽曲。「Nowhere To Go」、「If Only Avenue」、「Deepens With Time」などのスロー・ナンバーはもう珠玉の一言。穏やか且つノスタルジックなメロディー・ラインと素朴なロンの歌声が素晴らしい。木管楽器やストリングスのウォーミーな音色にも癒されます。おそらくグレッグ・リーズと思われるペダル・スティールが幽玄な響きを添える「Lost In Thought」も美しい!

もちろんスローだけではなくポップな曲もあります。後期ビートルズ、特にポール・マッカート的なポップ・センス溢れる「Snake Road」はブラスアレンジも格好良い。ポール・マッカートニーと言えば「Back Of My Hand」での優しいポップなメロディラインもポール的。ロンの歌声すらポールのように聴こえる瞬間が何度かあったり。一方「Me, Myself And Wine」ではディキシー・ランド・ジャズの古き良き香りに、「She Does My Heart Good」ではちょっぴりコミカルなアレンジに心躍ります。陽光のような安らぎを感じる朗らかな「Nowhere Is」や、軽やかなアコギ弾き語り「Sneak Out The Back Door」も素敵。

いや~、ロン・セクスミス、良いですね! 何てったって曲が良いですよ! 前作「LONG PLAYER BLOOMER」でも感じたことですが、ここへ来てさらにメロディ・メイカーとしての才に脂が乗ってきてるんじゃないでしょうか? それぐらいの充実度。これはフジロックも楽しみですね!

ロン・セクスミスのフジロックは今回が3回目ですかね。(フジ・オフィシャル・サイトのアーティストデータには2度目と書いてありますけど3度目ですよね?)。1度目は01年のレッドマーキー、2度目は11年のフィールド・オブ・ヘブン、そして今回は何所のステージに出るんでしょうか? やっぱりヘヴンが似合いそうですけどね。ちなみに私は一昨年、ヘヴンのロン・セクスミスをちょっと後方から椅子に腰掛けてゆっくりと堪能致しました。気持ち良かったですね~。ホント素敵なライヴでした。またヘヴンで観たいぐらいですが、それでは2年前と同じになってしまうので、今回は違うステージかも知れませんね。オレンジでも良いかも?




こちら、最新作から「Nowhere To Go」のアコギ弾き語り映像。↓
http://www.youtube.com/watch?v=heTmwlQE2Is&list=UUQN58YqstC03J7XogfkYWRw&index=17





RON SEXSMITH / RON SEXSMITH
ロン・セクスミス、95年のメジャー・デビュー作「RON SEXSMITH」。「Secret Heart」は名曲ですね。プロデュースはもちろんミッチェル・フルーム。ですがラストの「There's A Rhythm」のみ、ダニエル・ラノワがプロデュース。そのダニエル・ラノワも今年フジロックに来るんですよね~。





~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 11.07.14 フジ予習:ロン・セクスミス ←2年前に書いたフジ予習

テテ@渋谷タワーレコード

2013-05-28 23:35:15 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その9 テテ@渋谷タワーレコード

5月26日、渋谷タワーレコードにてテテのインストア・ライヴを観てまいりました。セネガル生まれフランス在住の黒人シンガー・ソング・ライター。3月に日本でも彼の新作「NU LA-BAS」が発表されたばかりで、今回はそのプロモーション来日。

私は開演ギリギリの時間に到着したのですが、4階奥のイベントスペースはもう人で一杯。テテの人気振りを思い知らされました。と言うことで今回は後ろの方から背伸びをして観る感じ。タイトル曲「Nus La Bas」で始まり新作から5曲程披露してくれました。アコギ弾き語りですが体から沸き出るが如くの弾力あるリズムは流石。やはりアフリカの血を感じさせられます。ファルセットを交えた独特の声で歌われるフランス語の響きも素敵。そして何よりハッピーなヴァイヴに溢れてる。力強くもポップなメロディーをファンキーかつ粋に歌い上げるテテの歌声には聴いてるこちら側もついつい笑顔になってしまう。間奏になるとちょっと戯けたような表情でギターを弾いいてみたり、曲間での愛情一杯のMCなど、テテの愛嬌溢れるキャラクターも全開でした。

演奏曲では「Comment Te Dire」が印象的でした。実はこの日はフランスの「母の日」だったそうで、この曲はテテがお母さんへの思いを綴った曲なんです。テテはセネガル人の父と、カリブ海のマルチニック出身の母との間に生まれましたが、幼い頃に両親は離婚されてしまったそう。そしてテテはお母さんと共にフランスに移住したそうです。彼の音楽にどことなく感じるトロピカルな幸福感はお母さんの血かも知れませんね。

ライヴの後は質問コーナーがあったり、みんなで写真を撮ったりと、和気あいあいな雰囲気でした。そしてもちろん最後にはサイン会が。私もサインを頂きました。テテはフランス語で挨拶をしていましたが、私は完全に舞い上がっていましたので、ただただ「サンキュー!」としか言えませんでした~。




この日は写真撮影0Kだったので。







サインを頂いたテテの最新作「NU LA-BAS」。貰う前からうすうす分ってはいましたが、サインが短い…。TETEですからね。ま、そこは仕方のない話。それはそうとこの新作、想像以上にポップ。ですが、そのキャッチーなメロディと色彩豊かなアレンジが、人間味溢れるテテのヴォーカルと見事にマッチしていて、聴けば聴く程その魅力に心を掴まれる快作です!

ジェシー・ハリス&ヴィニシウス・カントゥアリア@青山スパイラル

2013-05-27 22:16:45 | インストアイベント
ただ今来日中のジェシー・ハリス。今回はヴィニシウス・カントゥアリア、ダヂという二人のブラジル人アーティストと共にトリオ・エストランジェイロスを結成しての日本ツアー。現在そのツアーの真最中ですが、実はジェシーはそのツアーの前後にさらにいくつかのインストア・ライヴをこなすという過密スケジュールなのです。という訳で、私もいくつかインストア・ライヴを観てまいりましたので、さっそくそのレポートをお届け致します。


5月25日 青山スパイラル

まずはインストアの中でも前半のハイライトとも言える5月25日、青山スパイラル。この日は夕方にジェシー・ハリスのソロ、夜にはヴィニシウス・カントゥアリアを向かえてのデュオという2本立て。まずはジェシーのソロから。

てっきり2階のスパイラルレコーズでのインストア・ライヴだろうと思っていたのですが、ショップ内ではなく、2階に上がる階段の踊り場のようなスペースでのライヴ。青山通りに面した大きなガラス張りのスペースで、まだ明るい時間帯なこともあり、なかなかの開放感。壁側にステージが作られているのでジェシーは青山の町並みを観ながら歌うことに。

まずは最新作「BORNE AWAY」からタイトル曲「Borne Away」で始まり、そして「Like A Wheel」へと続く。素朴且つ静かなアコースティック・ギター弾き語り。ざわついた建物内、しかも階段というおよそライヴをやるとは思えない場所ながら、ジェシーが歌い出すと、スーッとその歌世界へ引き込まれるから不思議。観客達は思い思いに階段に座り、ジェシーの歌声に聴き入る。その向かいには大通りを車がビュンビュン行き交っている。そんな空間に響くちょっぴり神秘的な曲調とアコギの音色、優しくも思慮深い風合いのジェシーの歌声が素敵。

続いて前作「SUB ROSA」から、「I Won't Wait」、「All Your Days」を披露。「All Your Days」は良い曲ですよね~。アルバム・ヴァージョンも好きですが、アコギ弾き語りもまた味わい深い。さらに最新作から「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」と続く。私はこの日のインストア・ライヴで最新作を買ったのですが、CDを聴く前にライヴで聴いて大好きになったのがこの2曲。なんとなく古き良き時代のロマンチックなジャズを感じさせるラヴリーな曲です。ジェシーの歌にもうっとりです。

そして「Towards Kafiristan」と「Tamalpais」。なんとジョン・ゾーンの曲です。ジェシーは近年、マーク・リボー、ジョン・メデスキなどと共に、ジョン・ゾーンの「SONG PROJECT」というプロジェクトに参加しているそうで、そこでこの曲などを歌っている模様。本来はインスト曲なので、歌詞はジェシーが付けたんでしょうかね?そこのところはよく分からないんです。すいません…。それにしても選曲が見事。メロウな良い曲なんですよ~これが!

ジェシーがMCで「最後の2曲」と告げ、最新作からシリアスな「Black Orchid」、さらに「Listen To Your Heart」で終了。計10曲、決して派手ではありませんが、柔らかく聴く者の心をとらえる、ジェシーのソロ・ライヴでした。


そして待つことおよそ2時間半。同じ場所で2本目のインストア・ライヴがスタート。同じ場所とは言え、すっかり日も暮れて、2階のショップも閉店時間を迎えたので雰囲気は夕方と大分違います。しかもステージ前には椅子席も用意され、より一層ライヴらしい雰囲気に。まずはジェシー・ハリスがソロで「Borne Away」をはじめ4曲披露。ここまでは夕方の部とほぼ一緒。そして5曲目からヴィニシウス・カントゥアリアが登場。曲は「Black Orchid」。ジェシーのアコギ弾き語りの横でヴィニシウスがアコギをパーカッション代わりに叩く。これが独特のリズム! このヴィニシウス・カントゥアリア、我々ルーツ・ファンにとっては近年のビル・フリーゼルとのコラボが馴染み深いですが、70年代にはカエターノ・ヴェローソのバックバンドなどで活躍していたという才人。目の前で見る彼の本物感っていうのは半端無いほど。その立ち居振る舞いからして、何か違う“血”を感じさせられましたね。

そのヴィニシウスがアコギ弾き語りで披露した2曲。歌はボサノバらしいソフトな質感で、ギターのフィンガー・ピッキングも決して力強くはない。ですが野性味に溢れている。リズムが活きている。生で聴く本物のブラジル音楽の格好良さに痺れまくりでした。主催者さんのツイートによると、その2曲はヴィニシウス自身の曲とジョビンの曲だそう。ジョビンの方はおそらく「Caminhos Cruzados」かな? スローな曲調で、ヴィニシウスのギターが美しかったです。

そしてジェシーの「Say That You'll Never Go Away」。今度はジェシーのアコギ弾き語りにギターで絡むヴィニシウスが凄い! とにかく二人の感覚がまるで違う。ジェシー・ハリスの弾き語りはいわゆるフォーキーで落ち着いていて、そのリズムは良くも悪くもイーヴンな感じなんですよ。ですがヴィニシウスはそのジェシーのリズムの裏の裏まで感じとっているような、まるでジェシーのリズムの間合いに切れ込んでくるかのように次々に躍動的な南米タッチのフレーズを繰り出してくる。これが堪らなくスリリング。トリオ・エストランジェイロス(異邦人トリオ)とはよく言ったもので、その異邦人セッション振りにワクワクさせられました。さらにジェシーの曲「Straight Line」を二人でセッションし、最後はダヂも加わり、彼がリード・ヴォーカル&エレキ・ギターでリードしてのジョルジ・ベン「Ponta de lanca Africano」。まさかのトリオ・エストランジェイロスそろい踏み!!

ニューヨークとブラジルが東京で交差した計10曲。格好良かったです!

終演後はサイン会。もちろん私もサインを頂きました~。



ジェシー・ハリスの最新作「BORNE AWAY」(これ、傑作です!!)。ブック型の表紙をめくったところにサインを頂きました。


ヴィニシウス・カントゥアリアの最新作「INDIO DE APARTAMENTO」の見開きには、ヴィニシウス、ジェシー、ダヂの3人のサインを頂きました。







5月24日 SAN BAN CHO CAFE

九段は靖国神社の近くにあるお洒落なカフェ、SAN BAN CHO CAFE。こちらの1階フロアをフリー・スペースにしてのアコギ弾き語りライヴ。通りに面した1室の窓を開け放し、いかにも街角の一画といった雰囲気。そしてこの日はスタンディングでした。と言ってもすし詰め状態になったりはしませんから、思い思いにドリンクを飲みつつ、ゆったり佇みながら鑑賞する感じ。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」などを歌ってくれましたっけ? 既に記憶が曖昧ですが、ジョン・ゾーンの「Tamalpais」はやりました。「Black Orchid」もやった。最後は「Listen To Your Heart」だったかな? センスの良いカフェでのライヴは、ちょっぴりニューヨークっぽいかな?なんて思ったり。こちらも素敵なライヴでした。




この日は演奏中の写真撮影もOKだったので。







5月23日 巣巣

今回のツアーのキック・オフとなったのが5月23日、等々力にある家具/雑貨店、巣巣でのインストア・ライヴ。駅から程よく離れた家具・雑貨屋さんという独特の雰囲気が、ジェシー・ハリスのソロ・ライヴによく似合ってました。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「I Won't Wait」、「All Your Days」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」と続きました。この日、初めて聴く新曲の数々に耳を奪われました。ジョン・ゾーンの「Tamalpais」と「Towards Kafiristan」に驚きつつ、ジェシー色に染まったその魅力に拍手。あとは何をやりましたっけ? 「Black Orchid」とか、「Do You Really Love Him?」とか、あともう1曲ぐらいあったかな? あとこの日のジェシーは割りと饒舌でしたね。曲についての説明を丁寧に話していました。それをじっくりと聞く観客達。椅子席は満席、大勢の立ち見客、程よい密室感と、ジェシーとの近さが親密なライヴ空間を演出し、アットホームな素晴らしいライヴになりました。









なんだかんだで3日間連続で楽しませて頂いたジェシー・ハリスのインストア・ライヴ。青山の翌日26日はジェシーがソロで「東京蚤の市」に出演し、その夜からいよいよトリオ・エストランジェイロスのツアーがスタート。そして6月に入ってからはジェシーのインストア・ライヴもまたいくつかあるようです。気になる方はTRIO ESTRANGEIROS Tour in Japan 2013のFACEBOOKをチェックしてみてください。↓

https://www.facebook.com/TrioEstrangeirosTourInJapan2013/events





フジロック第7弾!!

2013-05-23 10:54:10 | フジロック
PRISCILLA AHN / NATURAL COLORS

フジロック出演アーティスト第7弾がオフィシャルサイトにて発表になりました。追加アーティストは以下の12組。


7月26日
Chara x Yusuke Kobayashi(THE NOVEMBERS) x KenKen(RIZE) & [Shinji Asakura x Rio x Masaki Narita]
cro-magnon
QUATTRO


7月27日
MARK ERNESTUS PRESENTS JERI-JERI
NAMBA69(ex-難波章浩-AKIHIRO NAMBA)
夏木マリ
PRISCILLA AHN


7月28日
THE GOLDEN WET FINGERS
JAMIE XX
MUDDY APES
SAVAGES
the telephones



流石に邦楽勢が多いなか来ました!我が女神、プリシラ・アーン!! 野外フェスで観るプリシラ・アーンは気持ち良いこと間違いなし。09年にオレンジで観たプリシラも最高でした。今年は何所のステージに登場するのか? 6月に新作も出るとのことなので、そちらも楽しみ! ただビョークと被ることだけは勘弁して欲しいです…。

それとよく知らないんですけど、ベルリン出身のDJマーク・アーネストと西アフリカ伝統の打楽器サバール奏者達とのコラボ、MARK ERNESTUS PRESENTS JERI-JERIというのも気になるところ。

あとなんだかんだでチャラさんも観たい!


そろそろステージ割の発表もあるかと思っていたんですけど、残念ながらそちらはまだお預けでしたね。






http://www.youtube.com/watch?v=CBs1QoiEXqA
プリシラ・アーンの「Find My Way Back Home」。とろけちゃいます。


http://www.youtube.com/watch?v=yjZaf5lzTGs
MARK ERNESTUS PRESENTS JERI-JERIのジェリ・ジェリ一家ってこの人達ですかね? なんか凄そう!




フジロック予習:マムフォード&サンズ

2013-05-22 10:19:21 | フジロック
MUMFORD & SONS / BABEL

当ブログ恒例のフジロック予習特集第1弾、マムフォード&サンズです。今年2月に発表された第55回グラミー賞で数ある部門の中でも最重要とされる『ALBUM OF THE YEAR』を受賞したのは彼らの最新作「BABEL」でした。そのマムフォード&サンズがフジロックにやってくるんです!

さて、マムフォード&サンズについて語るとなると、まずは栄光の『ALBUM OF THE YEAR』受賞から遡ること2年、2011年のグラミー賞授賞式を振り返らずにはいられません。『BEST NEW ARTIST』にノミネートされていたこの年、この授賞式で彼らは自曲の「The Cave」を披露し、さらにアヴェット・ブラザーズと共にボブ・ディランと共演したんです。かつてフォークとカントリーをロックに結びつけた大御所と、現行の新感覚フォーク/カントリー・ロックの旗手2組による共演。これは大変な話題になりましたね。私もこの授賞式で初めてマムフォード&サンズが演奏する姿を観て、ワクワクしたものです。特にシンガーのマーカス・マムフォードがバスドラを踏みながら歌う姿はなかなか衝撃的でした。もちろんディランとの共演「Maggie's Farm」にも大興奮。そしてこれを契機にマムフォード&サンズはより一層の飛躍を成し遂げ、2年後に『ALBUM OF THE YEAR』を受賞する程のビッグ・グループに成長したとも言えるでしょう。でもこの2011年のグラミー賞でマムフォード&サンズを見て彼らをアメリカのバンドだと思われた方も多かったのでは?ですがご存知の通り、彼らはイギリスのバンドなんです。

2007年、ウェスト・ロンドンで結成されたマムフォード&サンズ。メンバーはマーカス・マムフォード(vo, g, ds, mandolin)、カントリー・ウィンストン・マーシャル(vo, banjo, dobro)、ベン・ラヴェット(vo, key)、テッド・ドウェイン(vo, b)の4人編成。彼らの特徴と言えば、ロマンを感じさせる雄大な楽曲であるとか、野太くもエモーショナルな歌声であるとか、疾走するかの如く鳴り響くバンジョーの音色であるとか、イギリスのバンドらしからぬブルーグラス、カントリー、フォークなど米ルーツ・ミュージックからの影響を自らの個性に昇華させたような、まさに新時代のアメリカーナ・サウンド。今年のグラミー賞でも『ALBUM OF THE YEAR』を受賞した一方で、惜しくも受賞こそ逃したものの、ボニー・レイット達と並んで『BEST AMERICANA ALBUM』にもノミネートされていたんです。

でも彼らの“新しさ”はアメリカーナ的でありながらイギリスらしさも濃厚なところだと思います。やはり米ルーツ・ミュージックとは異質な湿った叙情性がある。それは英トラッド・フォークからの影響かもしれませんが、私はそこにUKロック的なエモーションを感じずにはいられないのです。つまりエレキ・ギターを弾くか、バンジョーを惹くかの違いで、本質的にはコールドプレイ辺りのUKロックに近いのではないかと。緩急付けたドラマチックな展開から情緒豊かなメロディ・ラインが溢れ出る昂揚感はまさにUKロックのそれ。しかもその昂揚感に米南部的フィーリングを醸す荒々しい歌声やブルーグラスな早弾きで駆け抜けるバンジョーが一層拍車をかけるというのが、マムフォード&サンズ唯一無比の魅力。ちなみに彼らのデビュー作「SIGH NO MORE」と2nd作「BABEL」、どちらもプロデューサーを務めたのはコールドプレイの「VIVA LA VIDA OR DEATH AND ALL HIS FRIENDS」や「MYLO XYLOTO」を手掛けたマーカス・ドラヴスでした。

果たしてマムフォード&サンズはUKロックなのか? それともアメリカーナなのか? いや彼らの音楽を聴いているとそんなジャンル分けにまったく意味が無いことを教えられます。ちなみに中心人物のマーカス・マムフォードはイギリスで育ちましたが生まれは米国カリフォルニア州だそうです。もちろん御両親は英国人。彼が生後6ヶ月の時に家族でイギリスに帰国。その両親はアメリカ発祥のキリスト教団体に入ってらして、帰国後はその団体のイギリスとアイルランド全体の指導者になっているとか。そういったバックボーンもマーカス・マムフォードの音楽性に影響を与えているかもしれませんね。

そんなマムフォード&サンズがフジロックにやってきます。なんと今回が初来日。しかもいきなりフェスで観ることが出来るんです! 今年は6月に開催されるグラストンベリー、8月に開催されるロラパルーザなど、英米を代表するビッグ・フェスでヘッドライナーを務めることがアナウンスされています。さらに7月から8月にかけて英米各地で開催される「ジェントルメン・オブ・ザ・ロード・ストップオーバー」というフェスを自ら主催します。そんなマムフォード&サンズをフジロックで観れるんです。これって凄いことですよ! ですが問題は出演位置。英米での状況を考えればグリーンのヘッドライナーで文句無しなのですが、残念ながらそうではないんですよね~。しかもラインナップ上でロゴ表記すらされてない扱い。おそらくグリーンのトリ前やホワイトのトリでもないと思われます。となるともう少し早い時間帯でのグリーンでしょうか?なんか勿体ないですよね~。ま、ある意味贅沢とも言えますが…。ま、どちらにしろ、おそらく数日後にはフジのステージ割も発表されるでしょうから、マムフォード&サンズが何所に入るか、要注目です。



http://www.youtube.com/watch?v=rGKfrgqWcv0
アメリカのレッドロックス円形野外劇場でのライヴ。この一体感のある盛り上がりは凄いですよね。やはり野外が良く似合う。メンバー4人が横並びな演奏スタイルもブルーグラス的で格好良い。


http://www.youtube.com/watch?v=iYOpd2Pw6x8
こちらはオランダのPinkpop Festivalでの1時間近くに渡るステージを丸々。昼の野外も気持ち良さそうですね。

ルーマー@ビルボードライヴ東京

2013-05-17 20:20:05 | SSW
RUMER / SEASONS OF MY SOUL

5月16日、ビルボードライヴ東京にて、ルーマーのライヴを観てまいりました。2nd作となるカヴァー・アルバム「BOYS DON'T CRY」も評判を得る英国の女性シンガー・ソング・ライター、ルーマー。私が観たのはこの日の2ndショー。中央やや後ろ辺りの席から鑑賞させて頂きました。

デビュー作「SEASONS OF MY SOUL」から「Come To Me High」で始まった彼女のステージ。バックはピアノ、ドラムス、ベースの3人といういたってシンプルな編成。音数の少ない、ジャジー且つ落ち着いた演奏に彼女の優しくナチュラルな歌声が染み入っていく。軽やかな「Am I Forgiven」、ホール&オーツのカヴァー「Sara Smile」、メロディーを柔らかく素直に捉えるその歌声が心地良い。ですがその心地良さが深みに転じてきたのは4曲目の「Slow」辺りから。彼女の飾り気の無い聴きやすい歌声は、さらさらと流れていくようでありながら、実は聴く者の心の奥深くを捉えて離さない。続く「On My Way Home」のしっとりとした陰影も秀逸。常に一定のトーンに保たれたその歌声の持つ不思議な魅力に、ゆっくりと会場が包まれていく感じ。

そしてアート・ガーファンクルで知られる「Travelin' Boy」。ポール・ウイリアムズとロジャー・ニコルスの共作曲ですが、これが素晴らしかった! この曲、ホント良い曲ですね。この夜、ルーマーの歌うこの曲を聴いてあらためてそう実感しました。彼女の素直な歌唱が、曲の魅力、メロディーの美しさを一層輝かせる。彼女の歌声はまるでメロディーに導かれるようであり、まるでメロディーと一体となって語りかけてくるようでもある。ホント参りました。

続く「Blackbird」、そして「Aretha」はデビュー作中でも印象深いオリジナル曲。柔らかな歌声のしじまからエモーショナルが揺れるよう。「Aretha」でのちょっぴりブルージーなフィーリングも素敵でした。さらにバート・バカラックの「Alfie」、そしてキャロル・キングなどから続くSSWとしての資質を伺わせる「Take Me As I Am」からトッド・ラングレンの「Be Nice To Me」と、カヴァー曲とオリジナル曲の配分も見事。

ステージも終盤に入って「Thankful」。メロディーを静かに語るように紡ぐ歌唱にうっとり。ピアノとベースのみのバックも印象的でした。本編ラストは「Goodbye Girl」。センチメンタルな曲ながら爽やかな希望を感じさせる、最後に相応しい演奏。彼女の歌声が心に染みる。ああ、もっと聴いていたい…。

ルーマーはパキスタンで生まれ、英国に帰国後に両親が離婚、父親に引き取られますが、7人兄弟のうち末っ子の彼女だけが実はその父親の子ではなかったという辛い少女期を過ごしたそうです。デビューも31歳と遅咲きの苦労人と知られています。ですがその朗らかでゆったりとしていながら真っすぐな歌声からは、苦労よりむしろ暖かな希望を感じさせられます。私はそんなルーマーの歌声に、この夜、とても惹かれました。しっとりとした優さの奥に、しっかりとした力強さが宿っているような、そんな美しい歌声。

さて、ステージではアンコールを求める拍手が続く。そしてピアニストが弾き始めた弾力のあるリフがリードして始まったこの夜唯一のアップテンポ曲。なんと「Lady Day And John Coltrane」。ギル・スコット・ヘロンですよ! これは最新のカヴァー・アルバムにも入ってない曲。ルーマーの引き出しの多さにびっくりしましたね。こういう曲を歌うルーマーも凄く良い! もちろんアップテンポだからって特にハメを外したりしません。じわじわとグルーヴ感を染み込ませてくる感じ。やはりルーマーはあくまでもルーマー。でもそこが良いんです! そして当然、ギル・スコット・ヘロンと同時にビリー・ホリデイとジョン・コルトレーンへのリズペクトも含んでるんでしょうね。なんかワクワクしちゃいました。ピアニストのスピード感溢れるソロも格好良かった!

これで終わりと思いきや最後にもう1曲。告げられた曲名は「Sailing」。ギル・スコット・ヘロンからクリストファー・クロスですよ。この落差が面白いですが、彼女が歌い始めればそんな落差を感じさせないから流石です。

1時間強と短い時間でしたが、美しい歌声と、美しいメロディをたっぷりと堪能させて頂きました。まさにメロディーに愛された歌声。今の時代、なかなか希有な存在だと思います。


この夜のセットリスト↓

01. Come To Me High
02. Am I Forgiven
03. Sara Smile
04. Slow
05. On My Way Home
06. Travelin' Boy
07. Blackbird
08. Aretha
09. Alfie
10. Take Me As I Am
11. Be Nice To Me
12. Thankful
13. Goodbye Girl
------------------
14. Lady Day And John Coltrane
15. Sailing



写真は彼女のデビュー・アルバム「SEASONS OF MY SOUL」。最新作「BOYS DON'T CRY」がカヴァー作品のためか、こちらからの選曲の方が多いセットリストでした。終演後にサインを頂きました。

フジロック・トークショー@原宿STAR LOUNGE

2013-05-15 22:40:21 | フジロック
5月13日、原宿のスター・ラウンジに行ってきました。こちらはハイネケンが期間限定で原宿にオープンさせたもので、グリーンにライトアップされたハイセンスな空間がなかなか刺激的で、こんなところで格好良くハイネケンのボトルを飲んでみたいものですな~なんて思いつつ、私はアルコールがダメなのでオレンジジュースでした…。で、なぜビールも飲めない私がこんなところへ行ったかと申しますと、このラウンジの一室で、SNOOZERでお馴染みの田中宗一郎さんと、ロックフォトグラファーの久保憲司さんによるフジロック・トークショーが開催されたんです。これは行っとかないと!

さて、開演間近に行ったつもりが、会場は割りとガラガラで、これ大丈夫なのか?と思いつつ席に着きましたが、始まってみれば、満席はもちろん立ち見客が出入り口にまで溢れる盛況振り。トークの内容につきましてはいわゆる裏話なので一つ一つここに書き連ねるのははばかられるのが残念なのですが、米国のニューポートやウッドストックから英グラストンベリーまでフェスの歴史を振り返りつつ、フジロックの良いところ、凄いところ、謎なところなど、色々と話してくださいました。もちろん今年の出演者についての見所も裏話を交えつつ色々と。最後の質疑応答では、観客から、タイムテーブルのこととか、サマソニとの兼ね合いとか、その他興味深い質問が次々に繰り出され、それに対するお二人の応えもいちいち丁寧で濃密なものでした。それにしてもタナソウさんは良いことを言ってましたね~。なんか響きました。久保さんはキャラが立っているというか、おちゃらけた感じなのですが、日高さんとの付き合いも含めて異様に事情通で面白かったです。

およそ2時間、和気あいあいとした楽しさと、マニアックなディープさに溢れるトークショーでした。こういうイベントはまたやって欲しいですね。なにはともあれ、フジロックがまた一歩近づいた感じ。いや~、楽しみですね!


そう言えば、そろそろ我がブログも恒例の予習特集始めないと…。

羊毛とおはな@新宿タワーレコード

2013-05-12 00:14:30 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その7 羊毛とおはな@新宿タワーレコード

5月6日、ゴールデン・ウィーク最後の日、新宿タワーレコードにて羊毛とおはなのインストア・ライヴを観てまいりました。

なんだかんだで久しぶりな羊毛とおはな。短い時間でしたが、はなさんの柔らかい美声と、市川さんの巧みなギターをじっくりと堪能させて頂きました。リリースされたばかりの最新アルバム「LIVE IN LIVING '13」からの選曲中心のセットリスト。特に印象深かったのはルイ・ジョーダンのカヴァー「Choo Choo, Ch'boogie」かな。スウィンギーな市川さんのギターも流石でしたが、それに乗ったはなさんの歌声が醸すオーガニックなヴィンテージ感がまたなんとも素敵でしたね~。あと間奏のカズーにも心躍りました。そしてジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」がまた絶品。こういう曲を歌うはなさんが素晴らしいのはもちろん、ガット・ギターらしい景色を描く市川さんのアレンジが秀逸でした。

はなさんがMCで話してらしたのですが、なんと今年は2人が出会って10周年だそう。そんな節目の年に感謝の気持ちを表した歌ったのが「うたの手紙~ありがとう~」。これは感動的でした。はなさんの透き通る暖かな歌声が心に滲みましたね~。ホントに良い声です。

およそ30分、聴き惚れました。今度はワンマンのライヴにも行ってみたいです。



この日のセットリスト↓

01. 晴れのち晴れ
02. キリギリアス
03. Choo Choo, Ch'boogie
04. Both Sides Now
05. うたの手紙~ありがとう~
06. ホワイト

フジロック第6弾!

2013-05-09 13:39:18 | フジロック
GARTH HUDSON / THE SEA TO THE NORTH

フジロック出演アーティスト第6弾がオフィシャルサイトにて発表になりました。以下の8組。


7月26日
MY BLOODY VALENTINE
SOIL&"PIMP"SESSIONS


7月27日
GARTH HUDSON(The Band/The Last Waltz) featuring Sister Maud Hudson
前野健太とソープランダーズ(ジム・オルーク、石橋英子、須藤俊明)


7月28日
LITE
七尾旅人
PORTUGAL. THE MAN
SUGIURUMN




ガース・ハドソン!! 来ましたね~。ご存知、元ザ・バンドのオルガン奏者です。ビルボードライヴでの来日が発表されて以来、時期的に考えてフジもあるかも?と期待していましたが、やっぱりありました! 奥様のモード・ハドソンと一緒にとのことですので、楽しみですね~。ですが個人的にはビョークと同じ日と言うのがちょっと気がかり。被りますかね…?


ああ、早くステージ割が見たいです。今回発表されたマイ・ブラディ・ヴァレンタインも何所に出るのか気になりますよね。08年にグリーンのヘッドライナーを務めてるバンドですからね。ですが今年はロゴ表記すらされていない。まあ、本来5月開催予定だった某フェス出演予定だったのが、中止になって急遽フジにシフトしために出演枠的には妥協せざるを得なかった、ということかもしれませんね。ま、想像ですけど。結果的には金曜が豪華になりました。


*写真はガース・ハドソンの1stソロ・アルバム「THE SEA TO THE NORTH」。01年作。ガースの不思議な度に連れて行ってくれる叙情的な作品。