ルーツな日記

フジロックブログが終わり、
サマソニブログと相成りますがどうぞ宜しく。
サマソニの雰囲気を現地よりお届けいたします!

ニューオーリンズ、街の音

2010-11-11 19:01:03 | ヒストリー
VA / CLASSIC SOUNDS OF NEW ORLEANS FROM SMITHSONIAN FOLKWAYS

膨大な資料的音源を有するSmithsonian Folkwaysが編んだニューオーリンズ・コンピ。その名も「CLASSIC SOUNDS OF NEW ORLEANS」。時代は50年代が中心。この頃のニューオーリンズと言えば、デイヴ・バーソロミューやファッツ・ドミノ、フューイ・スミスなどが活躍し、アラン・トゥーサンも台頭し始める、そんなニューオーリンズR&B華やかしき時代。しかしこのコンピ盤はそんなメインストリームとは趣を異にする、もっとストリートの息づかいを感じさせる草の根的な記録の数々。まるであの時代のまだ見ぬニューオーリンズを探検しているような気分になると同時に、ヒット・チャートを賑わすものだけが音楽ではないと言う、そんなニューオーリンズの街の声を聞かされたような編集盤。

まずはEureka Brass Bandの「Just A Little While To Stay Here」で幕を開けます。1920年から活動している老舗ブラス・バンド。この曲はジェフ・マルダー&エイモス・ギャレットも先日の来日公演でブラック・ボトム・ブラス・バンドを交えて演っていた曲ですね。元はゴスペル曲のようですが、このバンドのテーマ曲だったそうです。続くShoeshine Boyによる「Shine–Hambone」。これなんかはおそらく、街角で靴磨きの少年のパフォーマンスをフィールド録音したようなものだと思うのですが、そんなとりとめのないものにもニューオーリンズの息吹が濃厚。メロディは土着の民謡のようなものでしょうし、手で何かを叩いてるリズムも強烈。Freddie L. Smallによる「Tiger Rag」は、ディキシー・ランド・ジャズの名曲をハーモニカ1本で躍動感たっぷりに吹いている。この人もたぶんストリート・ミュージシャンでしょうか?

ストリート・エヴァンゲリストのSister Dora Alexanderが歌う「Times Done Changed」やChoir Of Pilgrim Baptist Churchの「Back To The Time」で、街に根付いたゴスペルを聴かせ、Mardi Gras Indiansよる「Red White And Blue Got The Golden Band」で伝統的で本質的なマルディグラも聴かせてくれる。こういった土着の音楽には素朴故の生命力がありますよね。The Six And Seven-Eighths String Band Of New Orleansというストリング・バンドによる「Clarinet Marmalade」も面白い。ニューオーリンズのストリング・バンドってあまり紹介されませんよね?

そしてErnest "Doc" Paulin率いるブラス・バンドによる「We Shall Walk Through The Streets Of The City–Dirge」と「We Shall Walk Through The Streets Of The City - March」。同じ曲の葬送曲と行進曲。ニューオーリンズのお葬式にはブラス・バンドが参加し、行きは悲しいい葬送曲を、そして帰りは楽しいマーチで、という話はよく聴きますが、実際に同じ曲を聴き比べる機会はなかなかないですからね。これも貴重。ただしこれは1980年という、比較的新しい録音のようです。

そして私の大好きなSnooks Eaglin。ストリート・シンガーとして録音されていた時代のものですが、雑種多彩なこのコンピの中でも、スヌークスの個性は光っていますね。「High Society」と「Saint James Infirmary」が収録されていますが、特にインストの前者は選曲もさることながらそのアタックの強いカッティングの切れと驚異的なリズム感で異彩を放っています。「Saint James Infirmary」の枯れた味わいも良いですね~。

他にもPunch Millerや、Baby Dodds、Emile Barnes、Billie And De De Pierceなんていう、夜ごとクラブを賑わしたであろうジャズ・アーティスト達も収録されています。そしてLonnie Johnson、Champion Jack Dupree、Roosevelt Sykesといったブルース・ミュージシャンも。ルーズヴェルト・サイクスってニューオーリンズでしたっけ?って感じですが、彼はアーカンサスの生まれで、54年にシカゴからニューオーリンズに向かい、晩年をニューオーリンズで過ごしたようですね。ロニー・ジョンソンもあまりニューオーリンズっていうイメージではないかもしれませんが、意外と生まれはニューオーリンズなんです。「C. C. Rider」での短いながら華麗なギター・ソロにはため息が出ます。

最後はEureka Brass Bandの「Lord, Lord, Lord」で締め。全26曲。ニューオーリンズの血脈を感じられるコンピレーション盤です。出来ればライナーの対訳がついた日本盤を出して欲しい~! 無理でしょうね…。
コメント (2)