ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

@ブルーノート東京

2010-11-28 23:18:31 | ジャズ
今日はブルーノート東京にて、スタンリー・クラーク・トリオでした。いや~、最高でしたよ! 私はもちろん上原ひろみのファンですから、上原さんを観に行ったし、上原さんのプレイに感動もしましたけど、それ以上にトリオとして凄かった!やっぱりスタンリー・クラークとレニー・ホワイト、ただ者ではありませんね、当たり前ですけど。なんか、今だ興奮冷めやらず、って感じです。後日またレポ書きます。

MOUNT SUGAR @誠月

2010-11-21 19:03:36 | フェス、イベント
今日はマウントシュガーを観に、御徒町の誠月というお蕎麦屋さんに来ています。お蕎麦屋さんですよ! お蕎麦屋さんでライヴなんて、おつじゃないですか~。で、先程さっそくお蕎麦をいただきました。美味しかったです! 開演までまだまだありそう。暇です…。


帰宅後追記:

題して「小雪の唄会」。1階で季節のお蕎麦を頂き、2階の座敷へ上がってライヴを楽しむ。なかなか素敵なイベントでした。大熊よしゆきさんが季節ごとに主催して、今回が2回目だそうです。MOUNTSUGARは今回のゲスト。床に置かれた和テイストの灯りと、蝋燭の光が揺れる、暖かみのある薄暗さのなかライヴはスタート。大熊さん~マウントシュガー、休憩を挟んでマウントシュガー~大熊さん、という2組による変則的な2部構成でした。大熊さんは透明感のある歌声でギターの弾き語り、アコギとエレキと両方使っていて、独特の雰囲気にある方でした。そしてマウントシュガー。1曲目は「愛しい人よそのままで」。今回は森さんとアリサさんの二人のみ。バンド編成も良いですけど、やはり二人だけの世界もまた格別。アリサさんの徐々に感情を吐き出して行くような歌声に引き込まれましたね。薄暗い室内がまた良い雰囲気でした。正直、曲目については既に記憶が曖昧です。1部と2部を合わせて、「農家の嫁」、「冬の町」、「KETE」、「光が消える前に」、「黄昏」「太陽」なんかをやりました。「農家の嫁」は何度聴いても名曲ですし、しっとりとした「KETE」も良かった。バンドの入ったCDとはまた違った2人の間で聴かせる「光が消える前に」も素敵でした。そしてアリサさんがマイクを使わずに歌う「太陽」。じっくり聴き入りました。最高です。

そして、最後は大熊さんとマウントシュガーの2人が揃ってのセッション。曲は「春夏秋冬」(泉谷しげる)。アリサさんのフワッとした気怠気な歌が堪らなく良かったですね~。さらにアンコールは、床の灯りも消して、蝋燭の光だけの状態で、しかも3人が客席のすぐ前で床に腰をおろしての演奏。なんか出演者も観客も一緒になって小さな蝋燭の火を共有しているような雰囲気が良かったですね~。アリサさんは「スカートが燃えそう」とちょっぴり蝋燭を怖がってましたけど~。そして曲はマウントシュガーの「2人の唄」。これはもうホント最高でした。独特の雰囲気のなか歌うアリサさんの歌声も素晴らしかったですし、森さんと大熊さんのアコギの重なりも良かったですね。森さんのバッキングに大熊さんがオブリガードを絡ませていく感じで。ギター2本のマウントシュガーって結構珍しいんじゃないかと思うのですが、これがかなり良かったです! そして最後にもう一曲、「今日の日はさようなら」(森山良子)でしたっけ? 途中、アリサさんが歌詞を間違える一面もあったりして、最後らしい和やかな感じで終わりました。

終演後に欲しかった新しいCDも買いました。サインも頂きました。このジャケットは素敵ですよね~。内容ももちろん最高!



次は茶日だー!

今年のフジロックを振り返る その2

2010-11-21 16:18:09 | フジロック
DIANE BIRCH / BIBLE BELT

超個人的フジロック・ベストアクト、第1位と第2位の発表の前に、今回はベスト5に選んだアクト以外にも「ルーツな日記」的に無視出来ない素晴らしいライヴの目白押しだったので、その辺もしっかり拾っておこうという、つまりベスト5の圏外の発表という訳です。しかし圏外と言えど侮るなかれ、正直、今回のベスト5は苦労しましたからね~。特に4位と5位。まず、1位と2位は別格でした。どちらを1位にするかで少し悩みはしましたけど、トップ2は揺るがない。そしてそれに続くデレク&スーザン。ここまではすんなり決まりました。問題は4位です。この4位候補が5組あったんですけど、どれもが甲乙つけがたい感じでホント悩みました。ちなみにその5組は、コリーヌ・ベイリー・レイ、ジョン・バトラー・トリオ、JJグレイ&ザ・モフロ、ダイアン・バーチ、モー。で、この5組から泣く泣く4位と5位に選んだのがモーとコリーヌ・ベイリー・レイだった訳なんですけど、その差なんて夜やったか昼やったかぐらいの差しかありませんよ。昼は昼なりの雰囲気がありますけど、やはり夜の時間帯は見る側の気合いも違いますからね~。

という訳で、今回はフジロック・ベストアクトの圏外です! こちらはもう順位はつけられないので、観た順です。



MUSTANG@レッド・マーキー(前夜祭)
今年のフジロックで、一番最初に観たライヴです。フレンチ・ロカビリーとでも言いましょうか。フランス出身の3人組で、チープなキーボードとリヴァーヴの効いたギターというレトロなサウンドを武器に、エルヴィス・プレスリーのようなロカビリーをフランス語で歌うという面白いバンドです。CDで聴くと、微妙に力の抜けた感じがクセになるんですが、流石にライヴですとテンションが高くて格好良かったですね~。シンガーのジャン・フェルジヌの何処かセクシーな歌唱も良い感じでした。そして、前夜祭特有の異様な盛り上がりもフジらしくて最高! 翌日、深夜の苗場食堂でも観たんですけど、ここでも異様に盛り上がってました。ファイナルファンタジーの「チョコボのテーマ」にはやられましたね~。一晩中あのメロディが頭の中から離れませんでした…。



NARASIRATO PAN PIPERS@木道亭(7/30)
ソロモン諸島からやって来たパンパイプ軍団。色んな意味で凄かった! 実は初日の木道亭の前に前夜祭でも観たんです。総勢何人居るか分かりませんが、全員がいわゆる“土人ルック”というか“あだもちゃんファッション”みたいな感じで、踊りながらパンパイプをピュロピュロと吹きまくる。もう土着そのもの。ロックでもなんでもない。なのにパンパンのレッド・マーキーが1曲終わるごとに「オー!!!」と沸きに沸く。いや~、フジって素晴らしいな!と。で、翌日の木道亭。森の中にある小さなステージ。レッド・マーキーとはまた違う和気あいあいとした雰囲気が良かったですね。パン・パイパーズの衣装も何故か普通にTシャツ姿という気軽な感じでしたし。それでも一旦演奏が始まってしまえばそこは彼等の世界。森の中で体験する彼等の踊りとパンパイプの音色は一種のトリップ感すらあり、流石に一味違いましたね。「上を向いて歩こう」をみんなで歌ったのも楽しかったです。この日は、この後も続けてモリアーティを木道亭で観たので、かなり木道亭の魅力を満喫な一日でした。



JOHN BUTLER TRIO@グリーン・ステージ(7/31)
これはねえ、ホント最高でしたよ。どうしても広いグリーン・ステージの昼の時間帯というのは、観る側の集中力に欠けるというか、散漫な印象になりがちなんですけど、ジョン・バトラー・トリオは見事でしたね。最新作からラップ&ファンキーな「Don't Wanna See Your Face」、そしてバンジョーの音色がカントリーな息吹を伝える「Better Than」へ続く。トリオが醸す躍動感溢れるオーガニックなグルーヴとピースフルなヴァイヴが、あの広いフィールドをみるみる包み込んでいきました。そしてやってくれましたね!グリーンの爆音で聴く「Ocean」。ジョン・バトラーのギター1本による長尺インストですけど、正直、短いセットなので、ノリの良い歌物だけを固めてくるかとも思っていたので、これは嬉しかったですね~。ジョンの驚異的なテクニックが繊細な旋律を紡ぎ、エモーショナルがほとばしるような爆音が鳴り響く。グリーン全体が水を打ったように聴き入ってましたね。そしてラストの「Funky Tonight」も天晴でした。コール&レスポンスを含むドラム・ソロからメンバー3人による太鼓の乱れ叩き、そしてフィールド前方から後ろへ向けて観客達のウェーヴを作ったりと、野外ライヴならではの開放感に溢れたステージでした! ただ一つ、難を言わせて頂ければ、もっと観たかった~。

こちらのサイトにセット・リスとが載っていました。            

01. Don't Wanna See Your Face
02. Better Than
03. One Way Road
04. Ocean
05. Zebra
06. Revolution
07. Close To You
08. Funky Tonight



KITTY DAISY&LEWIS@フィールド・オブ・ヘヴン(7/31)
フィールド・オブ・ヘヴンのステージに並んだ3兄弟の、あまりにレトロな雰囲気と、それに似つかわしくないほど若い風貌にどよめく観客達。それもそのはず、平均年齢はまだ20歳ぐらいですからね。しかもオールドタイムなロカビリーやブルース、カントリーなんかを、どう?カッコイイでしょ?と言わんばかりにヒップな感性で演奏する。噂には聞いてましたがなんかゾクゾクしましたね。で、ほとんど1曲ごとに楽器を持ち替える。もう誰がどの楽器を弾いたかは覚えていませんが、ギター、キーボード、ドラム、はもちろん、ジャンベ、ウクレレ、ハープ、アコーディオン、スティール・ギター、バンジョー、まだあったかな? まあ、芸達者ですよ。特に長姉デイジーのドラムおよびジャンベが良いんですよ! まったくテクニカルではないんですけど、絶妙のタメとハネを持ってる。気持ち良いんですよね~。そして3兄弟を支えるパパ(g)とママ(b)も良い仕事ぶりでした。あと忘れてならないのが途中ゲストで登場したエディ・タンタン・ソートン! レゲエのベテラン・トランペット奏者ですけど、このためにだけに来日したんですかね? 凄い! それにしても、この3兄弟、今後の成長も楽しみですよね。今のままでも格好良いんですけど、この多彩な楽器がさらに音楽的な深みを持ってきたら、それこそ無敵ですよ!

こちらのサイトにセット・リスとが載っていました。写真も豊富で、充実したサイトです。  

01. Walking Blues
02. Mean Son Of A Gun
03. I’m Going Back
04. Don’t make A Fool Out Of Me
05. Polly Put The Kettle On
06. Buggin’ Blues
07. Honolulu Rock-A Roll-A
08. Hillbilly Music
09. I Got My Mojo Workling
10. Ska Song
11. Baby, Hold Me Tight
12. Tomorrow
13. Going Up The Country
14. Say You’ll Be Mine



JJ Grey & Mofro@フィールド・オブ・ヘヴン(8/1)
これも痺れましたね~。まあ、とにかくJJグレイの強靭な歌声が凄い! サザン・フィーリングをたっぷり含んだ喉を、力強く振るわせるように歌う。残念ながらセットリストはさっぱり分からないんですが、南部ロック&スワンプな空気が濃厚なステージでした。サザン・バラード(「A Woman」だったかな?)も良かったですし、JBばりなファンキー曲にはしっかり踊らされました。話題の最新作からも数曲演っていたようですね、「The Sweetest Thing」とか。そしてホーン隊を含むバック・バンド、MOFROの演奏も良かったですね~。ギタリストはテキサス出身って言ってたかな?この人がまた良いギター弾くんですよ! ホーンも良い感じですし、もちろんリズム隊も強力。そしてなによりバンドとしての一体感にやられましたね。重心の低いノリと、ジャム・バンド的な柔軟さを併せ持っているそのグルーヴに。流石にデレク・トラックスとツアーをしていたというだけあり、南部らしい朴訥さのなかに、独特なミクスチャー感があります。しかもそれはCDで聴くより、ライヴの方が断然芳醇に響くんです。このバンドはぜひ、ワンマンで観てみたいですね! 祈、再来日!



DIANE BIRCH@フィールド・オブ・ヘヴン(8/1)
ダイアン・バーチですよ! 黒っぽい衣装に大きなハットを被って登場。どことなくゴスっぽい雰囲気ですが、その資質は正統派な女性シンガー・ソング・ライター。天性の憂いを伴うその歌声は、ソウルフル且つエモーショナルですが、ディープになりすぎない爽やかさがあります。やっぱりオールド・テイストな風情を漂わす「Fools」とか「Nothing But A Miracle」なんかが良かったですね~。鍵盤を弾きながら歌う姿にもうっとりでした。観客のあちらこちらから「可愛い~」と声が漏れてましたからね。ホール&オーツのカヴァー「Rich Girl」にも痺れました。でも何と言っても「Forgiveness」でしょう。このゴスペル・フィーリングには参りました。正直、彼女の歌唱力がここまで素晴らしいとは予想していなかったというか、想像を超えるインパクトでしたね。これには惚れ直しました。ラストの「Valentino」も素敵でした。こういう楽しい感じの曲もまた似合うんですよ! まあ、とにかく全編、ダイアン・バーチの魅力に胸を鷲掴みにされっぱなしのステージでした。ただ一つ不満があるとすれば、バックの演奏があまりにもあっさりしすぎていたことですかね。流石にCDで聴くような黒っぽさは期待出来ないしろ、もう少し前に出てきてくれても良かったかも。ま、フルセットのライヴだとまた違うのかもしれませんけどね。そんなことも含めて、ダイアン・バーチの再来日を強く希望!

先程のキティー・デイジー&ルイスと同じサイトにダイアン・バーチのセット・リストもありました。

01. Choo Choo
02. Fools
03. Fire Escape
04. Nothing But A Miracle
05. Ariel
06. Rich Girl
07. Forgiveness
08. Don’t Wait Up
09. Mirror Mirror
10. Rewind
11. Photograph
12. Valentino




*かなり記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。

~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.11.16 フジロック・ベスト・アクト 第3位!
 10.09.09 フジロック・ベスト・アクト 第4位!
 10.09.05 フジロック・ベスト・アクト 第5位!

今年のフジロックを振り返る その1

2010-11-16 21:44:36 | フジロック
SUSAN TEDESCHI / BACK TO THE RIVER

フジロックの個人的ベスト・アクト、第5位から始めて第4位まで書いたところで早くも頓挫していました。でもこのまま終わるつもりはまったくありません。しかしあまりにも昔の話になってしまいましたので、タイトルを「今年のフジロックを振り返る」と変えて続きを書いてみたいと思います。

という訳で、超個人的フジロック・ベストアクト、今回はその第3位! デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド!!!


2日目土曜日、フィールド・オブ・ヘヴンのトリを務めたデレク&スーザン。この日の夜はメインであるグリーン・ステージにジョン・フォガティが出たので、フォガティ~デレク&スーザンの流れで南部フィーリングを楽しんだ方々が多かったのではないでしょうか? もちろん私もその一人。ただネックだったのは、グリーン・ステージとフィールド・オブ・ヘヴンへの移動。とにかく遠いい。しかも間にはホワイト・ステージという大きなステージがあり、同じ時間帯にクロマニヨンズ~ワン・デイ・アズ・ア・ライオンという激混み必至のアクトが並んでいたんです。


で、ジョン・フォガティについてはまたいつか書く機会もあるでしょうということで、今回はフォガティが終わったところから筆を進めます。

フォガティ終了後その余韻に浸かる暇もなく速攻でヘヴンへ向けて移動。なぜなら途中のホワイトへ抜ける林道は渋滞多発地帯で、先程の理由によりこの時間帯は確実に渋滞がおこるであろうと予測されたからです。実際、林道の入り口近くで早くも渋滞。おそらくクロマニヨンズ終了によるホワイトからグリーン方面への大量の移動者と、我々グリーンからホワイト方面への移動者でごった返してる感じだったと思います。しばらく立ち往生した後、進んでは止まり、進んでは止まりを繰り返し、ようやくホワイト・ステージへたどり着いた時、そのあまりの人の多さにびっくりしました。もうパンパンでしたね。で、私が入った直後にホワイトが入場規制。危なかったと思いながら、せっかくなので私もワン・デイ・アズ・ア・ライオンをほんのさわりだけ観て、今度はボードウォークを通ってさらに奥へ。正直、疲れました。雨もパラついてましたしね。そしてやっとの思いでたどり着いたフィールド・オブ・ヘブン。しかし、やはりそこは天国でした!

デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド! このバンドがフジで観れるというのは、もう本当に夢のようでしたね。デレク・トラックスはサザン・ロックの雄オールマン・ブラザーズ・バンドのメンバーであり、自身のバンドであるデレク・トラックス・バンドを率いる、現在最高峰のスライド・ギタリスト。近年のエリック・クラプトンのツアーに参加したことでも話題になりましたね。そしてスーザン・テデスキは彼の奥様であり、ルーツ系のシンガー・ソング・ライターとして活躍し、グラミーにもノミネートされるアメリカーナな才女。

私が初めてデレク・トラックスを観たのは、07年にデレク・トラックス・バンドとして来日した時でした。実はその当時、デレク&スーザンは「Soul Stew Revival Tour」と題して一緒にツアーしていたんです。なのでその時デレクが奥様も日本に連れてきてくれないものかと切望していたのですが、残念ながらそれは叶わなかったんですよね~。しかしついに、しかもフジロックのフィールド・オブ・ヘヴンで、デレク&スーザンが観れる!こんな嬉しいことはありませんよね!

そしてこの日のライヴです。とりあえず、もうかなり記憶が曖昧ななかネットで調べた結果、セットリストはこんな感じだったようです。


01.Come And See About Me
02.Don't Drift Away
03.Space Captain
04.Love Has Something Else To Say
05.Midnight In Harlem
06.Give It Up Or Let Me Go
07.Nobody's Free
08.Standing On The Edge Of Love
09.That Did It
10.Coming Home
11.I'd Rather Be Blind, Crippled and Crazy
12.Butterfly
13.I've Got A Feeling
14.Find Your Way Home
---------------------------
15.Stand Back
16.Too Late


Member :
Derek Trucks (g)
Susan Tedeschi (vo&g)
Oteil Burbridge (b)
Kofi Burbridge (key)
Tyler Greenwell (ds)
JJ Johnson (ds&per)
Mike Rivers (vo)
Ryan Shaw (vo)

まあ、とにかくゆったりと心地よいサザン・グルーヴが堪りませんでしたね。直前に観たジョン・フォガティーは、もうそれはベタな南部ロックでしたが、こちらはソウルやブルース、ジャズもミックスされたアダルトなノリ。この辺りのミクスチャーなセンスは流石はジャム・バンド世代ですよね。サウンド自体にはそんな現代的な洗練を感じさせつつも、そのふくよかなリズムを担うのはオールマン譲りのツイン・ドラム体勢だったりするから面白い。まず一人はタイラー・グリーンウェル。デレク・トラックス・バンドの「ALREADY FREE」、スーザン・テデスキの「BACK TO THE RIVER」という、双方の最新スタジオ作でドラムを叩いていますし、デレク・トラックス・バンドのシンガー、マイク・マティソンのScrapomaticのドラマーだったりと、この界隈ではお馴染みの人。そしてもう一人がJJ・ジョンソン。この人はジョン・メイヤーのバックなんかで叩いている人のようですね。そしてベースはオールマン・ブラザーズ・バンドのオテイル・バーブリッジ! こんなリズム隊ですから、悪い訳がないですよね。序盤は彼等のリズムによって疲れがみるみる癒されましたね。

とは言え、主役はスーザン・テデスキとデレク・トラックスですよ。まずスーザン・テデスキはタイトなミニ・スカートという姿も凛々しかったですが、その歌声の見事なこと! ハスキーと呼ぶにはあまりにも強靭な喉。土っぽいフィーリングとソウルフルな感情表現、そして女性らしいまろやかさと男性顔負けな迫力を兼ね備えてる。時には思いっきりブルージーな歌も聴かせてくれましたし、ギター・ソロもガンガン弾いてました。まあ、格好良いですよ! そしてデレク・トラックス。なんとなく奥様と一緒だからか、以前より随分リラックスして弾いている印象を受けましたね。それでも一旦スイッチが入ればテンションの高いソロを弾きまくってましたけどね。天翔るようなスライド・ギターはもちろん、押し弦によるジャズっぽいフリーキーなソロを弾いたりもしていました。まあ、とにかく百戦錬磨の彼ですから、一旦ソロを弾き始めれば、そこは完全に彼の世界。デレクのギターは独特なトリップ感がありますよね。夜のヘヴンという非日常空間をさらに異次元へと飛ばしてくれました!

で、この日の曲目なんですけど、意外と知らない曲が多かったですね。もっとデレク&スーザンの共演曲として残されてる曲を中心に、双方のスタジオ作からの曲が演奏されるのかと思いきや、カヴァーや新曲が中心だったようですね。序盤に演った「Space Captain」は良かったですね~。ジョー・コッカーが「Mad Dogs & Englishmen」で歌っていたスワンプ名曲であり、フジ直前にリリースされたハービー・ハンコックの最新作「IMAGINE PROJECT」に二人が招かれて録音された曲でもあります。まさか早くもライヴで披露されるとは思わなかったので嬉しかったですね~。この曲ゴスペルっぽくて格好良いんですよ!そして決して速いテンポの曲ではないんですが、いかにもスワンプっぽいリズムが最高でしたね。スーザンの歌もソウルフルでした!

あと、多分スーザンが滅茶苦茶ブルージーだったのはボビー・ブランドの「That Did It」。そして「I'd Rather Be Blind, Crippled and Crazy」はO.V.ライト。この曲はデレク・トラックス・バンドでも演ってましたね。「Give It Up Or Let Me Go」はボニー・レイットかな? さらに終盤にはデラニー&ボニーの「Coming Home」、オールマン・ブラザーズ・バンドの「Stand Back」なんていう涙もののカヴァーもありで。まあ、やっぱり押さえるところは押さえるみたいな。他にも後からセット・リストを眺めると、ちらほらカヴァーっぽい曲名があるんですけど、正直、カヴァーなのか新曲なのかよくわかりません…。

そんな中、私が最も燃えたのがビートルズの「I've Got A Feeling」。意外性がありながら、ビートルズの中では最もスワンプっぽいという絶妙の選曲。しかも個人的に大好きな曲なのでそりゃもうテンション上がりましたよ! まあ、とにかくこの曲を力一杯に歌うスーザンには痺れました。そしてデレクのウェットなギター。印象的なブレイクの部分でジュルジュルっと切れ込んでくる感じが最高でした。さらにゆるゆると滲みてくるような粘着グルーヴ。もう堪りませんでしたね。

アンコールのラストで演奏された「Too Late」という曲も印象的でした。残念ながらデレク&ドミノスがカヴァーしたフレディ・キングの「It's Too Late」とは多分違う曲。ですがソウルフルで開放感のあるメロディが気持ち良い曲で、なんか最後に相応しい幸福感溢れる曲でしたね。こういう曲で終わるっていうのがなんか憎い演出というか、もう、ホントに持って行かれた感じ。やっぱり雨が降ったとは言え、フェスでこのバンドを観れたと言うのは幸せなことでしたね。やっぱり野外フェスならではの空気ってあるじゃないですか。さらにそこに溶け込む芳醇なリズム、森にこだまするソウルフルな歌声、闇を切り裂く高揚感抜群の異次元ギター。ホント最高でした!

そして私はまたしてもその余韻に浸かる暇もなく、グリーン方面へと急ぐのでした。果たして私の向かった先は、トロンボーン・ショーティの待つパレス・オブ・ワンダーか?  それとも…。



*かなり記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。

~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.09.09 フジロック・ベスト・アクト 第4位!
 10.09.05 フジロック・ベスト・アクト 第5位!

RECORD DIARY 2011

2010-11-15 18:04:16 | 余話
来年の手帳を買いました。ここ数年はず~っとこれです、「RECORD DIARY 2011」。雑誌レコードコレクターズの増刊で、イラストはご存知、本秀康さん。今回の表紙は賑やかですね~。2009年は「ALL THINGS MUST PASS」、2010年は「ABBEY ROAD」でしたが、2011年版は色々なロック名盤に登場した怪獣やモンスターなどが一同に会した感じ。右側でピースしているのはクイーンの「NEWS OF THE WORLD」に出てくるロボットでしょうか? なんか可愛い~。他にもビートルズ、ローリング・ストーンズ、キャプテン・ビーフハートなど有名どころのネタに混じって四人囃子のナマケモノもぶら下がってる。で、分からないのもあります。セーラー服を着ているのは何でしょう?

もちろん中身はもっと沢山の愛らしいモンスター達が登場します。そして逃げ惑うレコスケ、レコガール、レコゾウの姿が可愛い! モンスターどうしの夢の対決が見れるパラパラもあったり。そしてなんだかんだでこの手帳、使いやすいんですよ。1月ごとの見開きと1週間ごとのページがあるというこのパターン、これが私は一番好きなんです。大きさも手頃ですしね。さっそく何か予定を記入したいところですが、今のところまだ来年の予定はないんですよね~。


ちなみに裏はタルカスです。危ない、レコスケ!


@六本木

2010-11-13 16:44:20 | ルーツ・ロック
今日は六本木umuへ、ボブ・ディランの絵画展を見に来ています。89年から92年のツアー中に書き溜めた作品達だそうです。まあ、正直、絵の良し悪しはよく解りませんが、独特の迫力はありましたね。自画像なんかがあったらもっと面白かったのに…。なんて思いながら。でもこれらを、あのディランが描いたと思うと感慨深かったですね。

そしてこれから、渋谷タワーレコードで、ボブ・ディランに関するトークショーがあるので、そちらへ移動中。今日はディランのハシゴです。

アーロン・ネヴィルの新作

2010-11-13 12:20:51 | ゴスペル
AARON NEVILLE / I KNOW I'V BEEN CHANGED

ニューオーリンズの至宝、アーロン・ネヴィルの最新作「I KNOW I'V BEEN CHANGED」。プロデュースはあのジョー・ヘンリー。

アーロン・ネヴィルのソロ作というと、極上カントリー&ソウルなサウンドに麗しのヴェルヴェット・ヴォイスが乗るというイメージがありますが、ジョー・ヘンリーは近年、独特の陰影に富んだルーツ解釈で数々の名盤を演出してきた奇才。この二人の組み合わせどんな作品を生み出したのか?しかもその内容はゴスペル・アルバムと言いますから、これは期待するなと言う方が無理な話ですよね~。

ジョー・ヘンリーがバックに集めたのは、ジェイ・ベルローズ(ds)、デヴィッド・ピルチ(b)、パトリック・ウォレン(kbd)、グレッグ・リーズ(Dobro & Weissenborn)、クリス・ブルース(g)という、まさにジョー・ヘンリー・バンドと言っても良いような布陣。さらにここへアラン・トゥーサン(p)が加わる。アラン・トゥーサンと言えば、言わずと知れたニューオーリンズ・レジェンドですし、アーロン・ネヴィルの初期シングルのプロデュースも手がけてきた人。その一方で、最新作「THE BRIGHT MISSISSIPPI」やエルヴィス・コステロとの共演作「THE RIVER IN REVERSE」はジョー・ヘンリーのプロデュースで製作されるなど、両者と深い繋がりがあったり。まあ、とにかくここでのアラン・トゥーサンの存在というのは相当大きいい。

今作は、あくまでもアーロン・ネヴィルのソロ作である一方で、ジョー・ヘンリーによる米ルーツ・ミュージック解釈の旅路の一つという見方も出来ます。ランブリン・ジャック・エリオットの「A STRAGER HERE」でブルースを、アラン・トゥーサンの「THE BRIGHT MISSISSIPPI」ではニューオーリンズ・ジャズを、キャロライナ・チョコレート・ドロップスの「GENUINE NEGRO JIG」ではオールド・タイムな黒人ストリング・バンドを。そして今作ではゴスペルな訳です。しかもアーロン・ネヴィルと共にゴスペル作を作るにあたって、自身のサウンドの中にアラン・トゥーサンを加えるというこのさじ加減。やはりジョー・ヘンリーですよ!

1曲目「Stand By Me」のオープニングからジョー・ヘンリー・ワールドが炸裂します。チャールズ・アルバート・ティンドレイの古~いゴスペル。スピリチュアルなアーロンのゴールデン・ヴォイスから始まり、そこにアラン・トゥーサンの特徴的なピアノが絡む、コーラスが低く唸り、グレッグ・リーズのリゾネーター・ギターがグワワワ~ンと響く。素晴らしい!!! この独特の深い陰影を感じさせるアンサンブルはさすがジョー・ヘンリー。アーロンは神への救いをファルセットに込める。それはこれまでにない程に土っぽいフィーリングを感じさせ、アーロンでしかあり得ない小節回しが聴くものを異次元へ誘います。テンポが速くなってからのアーロンとコーラス隊との歯切れの良いコール&レスポンスも良いですね~。

ジョー・ヘンリーがプロデュースということで、ちょっと暗い感じになるかと思いきや、意外と陽性な曲が多いですね。「I Done Made Up My Mind」や「Don't Let Him Ride」など、アップ・テンポな曲が目立ちます。トラディショナルな息吹と、ジョー・ヘンリーらしいミクスチャーなルーツ指向がいい具合にブレンドされています。そしてこれまでにないほど生々しく響くアーロンの歌声にはうっとりですよ!まさにゴールデン・ヴォイス。全盛期に比べたら衰えたかもしれませんが、それすらも繊細な味わいとして響かせている。歳を重ねてまた新たな輝きを増しています。

そしてベルローズ&ピルチとアラン・トゥーサンが奏でる表情豊かなリズムが良いですね~! ここでのこの組み合わせはトゥーサンのソロ作とはまた違うふくよかな魅力を感じさせてくれます。特にアラン・トゥーサンは全体を通してフューチャーされてまして、なんとも言えない愛らしいピアノを披露してくれてます。タイトル・トラックの「I Know I've Been Changed」なんて、間奏になると急にトゥーサン流R&Bな世界になってニヤけてしまいます。「I Want To Live So God Can Use Me」もイントロからそんなトゥーサン流が炸裂していて最高!

選曲もゴスペル集でありながらなかなかひねりが利いていて興味深いです。黒人フォーク歌手、オデッタの名唱で知られる「Meetin' At The Building」。オデッタは有名なカーネギーホールでのライヴ盤で、ただベースと手拍子のみをバックにこの曲を歌っていますが、今作でも序盤、アーロンのバックはベースと手拍子のみ。途中からギターが入ってきますけどね。でもこれはあきらかにオデッタへのオマージュでしょうね。飾り気のないフォーキーなアーロンの歌声が堪らなく滲みます。

ローリング・ストーンズがカヴァーしたことでも知られるフレッド・マクダウェルの「You've Got To Move」。マクダウェルはデルタ・ブルースの大物ですが、この曲は彼のスピリチュアルズ作品にも収録されている曲なので、ブルースでありながら、ゴスペルと共通する部分もあるんでしょうね。悪魔の音楽と神の音楽とは言え、スピリチュアルズ、ブルース、ゴスペル、この辺の線引きは結構微妙だったりしますし、そんな微妙な境界線を行ったり来たりするあたり、流石はジョー・ヘンリー! で、この「You've Got To Move」、雰囲気やメロディーは原曲とは全然違い、もっと明るい感じ。アラン・トゥーサンのピアノが良いんですよ!遊び心を感じさせる変わったソロを弾いていて。もちろん 跳ねる伴奏も素晴らしいです!

カントリー・ギターの巨匠マール・トラヴィスの「I Am A Pilgrim」。バーズがロデオでカヴァーしてるのでロック・ファンにも同じみの曲ですね。やっぱりカントリーを歌うアーロンは良いですね。暖かい地声の響きと、ここぞというタイミングで切り替わるフワッとしたファルセット。グレッグ・リーズのスライドもまろやかで良い感じですね。ゴスペル作品にカントリーなリゾネーター・ギターという味わいは、この曲に限らず、今作全体で独特なムードを醸しています。ビッグ・ビル・ブルーンジーの「Tell Me What Kind Of Man Jesus Is」なんかも良いですね~。

必殺のスロー・ナンバー「Oh Freedom」。これも古い黒人霊歌なんでしょうけど、なんとなくプロテストソング的なイメージもありますよね。 私なんかは60年代にオデッタやジョーン・バエスなんかが歌ってた曲という印象なんですけど。アーロンは過去にボブ・ディランの曲も歌ってますし、なんかそんなことを考えたり。まあ、どちらにしろ大スタンダードですよね。言葉一つ一つに深い感情を込めるかのようなアーロンの歌声が素晴らしいですね。トゥーサンのピアノソロも良いし、グレッグ・リーズのスライドも効いてます。

ソウル・スターラーズでも知られる「I'm So Glad (Trouble Don't Last)」。アーロンはサム・クックが好きなんでしょうね。カントリー曲「I Am A Pilgrim」についてもライナーで「サム・クックが昔この曲を歌っているのを聴いた」的なことを語ってますし。で、いかにもゴスペルな高揚感たっぷりな「I'm So Glad (Trouble Don't Last)」で盛り上がった後、ラストを締める「There's A God Somewhere」。これはもうソウルフル!素晴らし過ぎるトゥーサンのピアノと、もうほとんど神がかってるとしか言えないアーロンのゴールデン・ヴォイス。最高です!

嗚呼、このメンバーで来日してくれないですかね~。







バンバンバザール&ハッチハッチェルバンド@新宿タワーレコード

2010-11-12 18:58:27 | フェス、イベント
今日はバンバンバザール&ハッチハッチェルバンドのインストア・ライヴを観に新宿タワーレコードに来ています。なんか小さなステージが賑やかな感じになっています。ギター、ウッドベース、ドラムス、アコーディオン、バンジョー。なんか、ドラムセットがちっちゃくて可愛い。もうすぐ始まります!



帰宅後追記:

いや~、面白かった!ハッチハッチェルさん、最高ですね!ちょっと前に小島麻由美さんのバックでドラムを叩く彼を観て、それ以来気になってたんです。今回はハッチハッチェルさんが率いるハッチハッチェルバンド。編成はドラムス、ウッドベース、ギター、バンジョー、フィドル、アコーディオンで、ハッチハッチェルさんはフィドル&ヴォーカル。オールドタイムなストリング・バンドの風情に、異国情緒なアコーディオンが入り、ジプシーやシャンソンまで飲み込んだようなミクスチャー楽団。メンバーそれぞれキャラが立っていて賑やか。ハッチハッチェルさんは、リーダーと言うより座長といった雰囲気。そして軽妙且つ怪し気なパフォーマンスでどんどん観客を巻き込んで行く。何気にフィドルも上手いし。9月にファースト・アルバムがリリースされたそうで、その収録曲を演っていたようです。まあ、とにかく楽しいライヴでした。

そしてハッチハッチェルさんが宿敵と紹介していたバンバンバザール。正式メンバー3人のみのステージ。ある意味ハチャメチャな印象だったハッチハッチェルバンドに比べると大分落ち着いた雰囲気で、懐の深~い歌と演奏をじっくりと楽しませてくれました。これは気持ちよかったですね~。こちらも9月にオリジナル・アルバムとしては5年振りとなる新作がリリースされたばかりでしたので、その中から「快速エアポート」とか、演ってましたね。もちろんお馴染みの「Friday Night エビフライ」なんかも。最後はハッチハッチェルさんも加わって1曲。「サンデー・ドッグ・サンセット」って言ってたかな? 本人達は“水と油のデュエット”なんて評してましたが、なかなかの味わいでした。それにしてもハッチハッチェルさんが舞台に上がると、なんだかもうハッチワールドになっちゃってホント面白かったです。

両バンドあわせて約1時間。たっぷり楽しませて頂きました!

ハッチハッチェルさんて、フジロックのSILENT BREEZEでお馴染みの「あやしい3人組」でバンジョー弾いてるあの人なんですよね~!

ニューオーリンズ、街の音

2010-11-11 19:01:03 | ヒストリー
VA / CLASSIC SOUNDS OF NEW ORLEANS FROM SMITHSONIAN FOLKWAYS

膨大な資料的音源を有するSmithsonian Folkwaysが編んだニューオーリンズ・コンピ。その名も「CLASSIC SOUNDS OF NEW ORLEANS」。時代は50年代が中心。この頃のニューオーリンズと言えば、デイヴ・バーソロミューやファッツ・ドミノ、フューイ・スミスなどが活躍し、アラン・トゥーサンも台頭し始める、そんなニューオーリンズR&B華やかしき時代。しかしこのコンピ盤はそんなメインストリームとは趣を異にする、もっとストリートの息づかいを感じさせる草の根的な記録の数々。まるであの時代のまだ見ぬニューオーリンズを探検しているような気分になると同時に、ヒット・チャートを賑わすものだけが音楽ではないと言う、そんなニューオーリンズの街の声を聞かされたような編集盤。

まずはEureka Brass Bandの「Just A Little While To Stay Here」で幕を開けます。1920年から活動している老舗ブラス・バンド。この曲はジェフ・マルダー&エイモス・ギャレットも先日の来日公演でブラック・ボトム・ブラス・バンドを交えて演っていた曲ですね。元はゴスペル曲のようですが、このバンドのテーマ曲だったそうです。続くShoeshine Boyによる「Shine–Hambone」。これなんかはおそらく、街角で靴磨きの少年のパフォーマンスをフィールド録音したようなものだと思うのですが、そんなとりとめのないものにもニューオーリンズの息吹が濃厚。メロディは土着の民謡のようなものでしょうし、手で何かを叩いてるリズムも強烈。Freddie L. Smallによる「Tiger Rag」は、ディキシー・ランド・ジャズの名曲をハーモニカ1本で躍動感たっぷりに吹いている。この人もたぶんストリート・ミュージシャンでしょうか?

ストリート・エヴァンゲリストのSister Dora Alexanderが歌う「Times Done Changed」やChoir Of Pilgrim Baptist Churchの「Back To The Time」で、街に根付いたゴスペルを聴かせ、Mardi Gras Indiansよる「Red White And Blue Got The Golden Band」で伝統的で本質的なマルディグラも聴かせてくれる。こういった土着の音楽には素朴故の生命力がありますよね。The Six And Seven-Eighths String Band Of New Orleansというストリング・バンドによる「Clarinet Marmalade」も面白い。ニューオーリンズのストリング・バンドってあまり紹介されませんよね?

そしてErnest "Doc" Paulin率いるブラス・バンドによる「We Shall Walk Through The Streets Of The City–Dirge」と「We Shall Walk Through The Streets Of The City - March」。同じ曲の葬送曲と行進曲。ニューオーリンズのお葬式にはブラス・バンドが参加し、行きは悲しいい葬送曲を、そして帰りは楽しいマーチで、という話はよく聴きますが、実際に同じ曲を聴き比べる機会はなかなかないですからね。これも貴重。ただしこれは1980年という、比較的新しい録音のようです。

そして私の大好きなSnooks Eaglin。ストリート・シンガーとして録音されていた時代のものですが、雑種多彩なこのコンピの中でも、スヌークスの個性は光っていますね。「High Society」と「Saint James Infirmary」が収録されていますが、特にインストの前者は選曲もさることながらそのアタックの強いカッティングの切れと驚異的なリズム感で異彩を放っています。「Saint James Infirmary」の枯れた味わいも良いですね~。

他にもPunch Millerや、Baby Dodds、Emile Barnes、Billie And De De Pierceなんていう、夜ごとクラブを賑わしたであろうジャズ・アーティスト達も収録されています。そしてLonnie Johnson、Champion Jack Dupree、Roosevelt Sykesといったブルース・ミュージシャンも。ルーズヴェルト・サイクスってニューオーリンズでしたっけ?って感じですが、彼はアーカンサスの生まれで、54年にシカゴからニューオーリンズに向かい、晩年をニューオーリンズで過ごしたようですね。ロニー・ジョンソンもあまりニューオーリンズっていうイメージではないかもしれませんが、意外と生まれはニューオーリンズなんです。「C. C. Rider」での短いながら華麗なギター・ソロにはため息が出ます。

最後はEureka Brass Bandの「Lord, Lord, Lord」で締め。全26曲。ニューオーリンズの血脈を感じられるコンピレーション盤です。出来ればライナーの対訳がついた日本盤を出して欲しい~! 無理でしょうね…。

@新宿タワーレコード

2010-11-10 21:07:38 | フェス、イベント
今日は新宿タワーレコードにDE LA FANTASIAの前夜祭なるイベントを観に来ています。トークショー目当てですが、宮内優里さんのミニ・ライヴもあるとのことで楽しみです。結構な人が集まっています。もうすぐ始まるかな?



帰宅後追記:

正直な話、「DE LA FANTASIA」自体は行く予定ではないんですけど…。とりあえずインストア・イベントだけは行っておこうかな?みたいな。で、まずは宮内優里さんのライヴ。これが凄く良かった! 初めて観たんですけど、やられました。ループを駆使してコラージュのようなアート性の高い、それでいてポップであり、人間性豊かな暖かい音楽を作っていました。演奏すると言うより、その場で音楽を造っているという雰囲気。本番の「DE LA FANTASIA」ではTYTYT (高橋幸宏+宮内優里+高野寛+権藤知彦)の一員として出演するそうです。

そして奇しくも細野晴臣さんの新旧マネージャー対談となった、東榮一さん&長門芳郎さんによるトーク・ショー。07年に日比谷野音で行なわれ、ヴァン・ダイク・パークスも出演した「細野晴臣と地球の仲間たち」の貴重なリハーサル映像や、ヴァン・ダイク・パークスの88年初来日時の映像を見ながら、ヴァン・ダイクや細野さんについての裏話など。そしてもちろんヴァン・ダイクも細野さんも出演する「DE LA FANTASIA」の見所など。最後はTシャツや長門さん持ち込みの88年ツアー・パンフ争奪じゃんけん大会で盛り上がりました。

いや~、こういうイベントに参加すると、やっぱり「DE LA FANTASIA」に行きたくなっちゃいますね~。どうしましょ?



De La LANTASIA 2010 ~ポップ・レジェンド~
11月21日(日) 新木場Studio Coast

ヴァン・ダイク・パークス
細野晴臣グループ(細野晴臣(Vo, Ac-G), 鈴木茂(El-G),
        高田漣(Pedal Steel, etc.), 伊賀航(B), 伊藤大地(Dr))
TYTYT(高橋幸宏+宮内優里+高野寛+権藤知彦)
クレア・アンド・ザ・リーズンズ
トクマルシューゴ
高木正勝
Predawn
Ngatari
small color ほか