ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL その1

2010-05-31 15:39:24 | フェス、イベント
WIGGINS & HARRIS / DC. BLUES

5月31日、日比谷野外音楽堂へジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルを観に行ってきました! このカーニバル、今年25周年だそうです。凄いですね~。その記念すべき年を祝うこの日の出演者は、シーナ&ザ・ロケッツ、blues.the-butcher-590213、コーリー・ハリス、そして初来日の帝王ソロモン・バーク!!!!

*コーリー・ハリスのライヴ内容についてはネタバレになりますので、これからライヴを観に行かれる方は以下読まないことをお勧めいたします。


まずは第1回目から司会を続けているという 後藤ゆうぞう が伴奏の カメリアマキ を伴って登場し、ブルース・カーニバルの風物詩ともいえるあの名調子でトップ・バッターのシーナ&ザ・ロケッツをステージに呼び込みます。そして彼らの爆音により、カーニバルのスタートです。「Batman」とか、「I Feel Good」とか、「(I Can't Get No) Satisfaction」とかやってました。もちろん「レモンティー」や「ユー・メイ・ドリーム」など彼らの代表曲も。シーナの発する妖しい色香が強烈でした。

2番手はブルース・ザ・ブッチャー。ある意味、この日もっともブルースだったのがこのバンド。永井ホトケが感情たっぷりに歌う「So Many Roads So Many Trains」は良かったですね。そして最後の「I Feel So Good」、「Mojo Boogie」という J.B. ルノアーの2連発も最高でした。コテツのハープも相変わらずの切れ味! そしてぴょんぴょん跳ねたりステージ狭しと動き回る。もちろんリズム隊は国内最強! 観客は大盛り上がりで、シナロケ以上の熱気となってました。さあ、ブルース・カーニバルらしくなってきた!って感じです。

そしてコーリー・ハリス。最新作でさらなる境地に達した感のある彼が、いったいどんなライヴを披露してくれるのか? と楽しみにしていたのですが、まさかのアコギの弾き語りによるカントリー・ブルース。近年の過去作でもアフリカだったり、レゲエだったりと、かなりボーダーレスなルーツ音楽への傾倒を見せ、ブルース色はめっきり薄くなっているコーリー・ハリスですが、ライヴではやはりブルースなんですね。なんとなく肩すかし受けた一方で、これはこれでブルース好きにはちょっぴり嬉しかったり。ブラインド・ブレイクの「C.C. Pill Blues」など渋い選曲で鮮やかなフィンガリングを披露してくれましたね。そして素朴且つ黒く深い歌声も生で聴くとまた格別。

ですがこのままブルースで行くのかと思いきや、彼がピーナッツと呼ぶキーボーディストが加わって新作収録の「So Good To Me」。新作の中でもサーフっぽい軽いタッチのソウルで異彩を放っていたこの曲。まさかこの流れでこの曲を演っちゃうの?ていう。やっぱりこの人よく分かりません…。でもそんなコーリーが好きです。そして良い歌声でした。フォーキーななかから滲み出る濃密なブラック・フィーリング。堪らないものがありましたね。ピーナッツは2曲程でステージを去り、最後はコーリーハリス一人でリゾネーター・ギターによるデルタな弾き語り。たしか「Walkin' Blues」とか数曲。やっぱこれですよね。観客からも拍手喝采でした。

しかしそれにしても短かった~!MCもほとんど無しで淡々と曲を進めていき、あっという間に終わってしまった印象。時間を計った訳ではないので分かりませんが、30分ぐらいだったでしょうか? せっかくアメリカから来たんですから、もう少し聴きたかったな~。

そんな私の気持ちを他所に、後藤ゆうぞうによる名物“ブルース・クイズ”で盛り上がるなか、そのステージでは着々とソロモン・バークの準備が進められていきます。中央に黄金色で縁取られた真っ赤な玉座が鎮座。その玉座を観ただけで気持ちはソロモン・バークのあの巨体から絞り出される歌声へと飛んでしまいます。あと数分でここにソロモン・バークが降臨する! それを思うだけで期待に胸がはち切れそうでした。

そのソロモン・バークについてはまた次回。

*既に記憶が曖昧です。曲目等間違ってましたらごめんなさいね。


*写真はブルース・クイズの裏で行われたコーリー・ハリスのサイン会でゲットしたCD。コーリー自身が持ち込んだレアなCDがあったので、それを購入してサインを頂きました。WIGGINS & HARRIS の「DC. BLUES」。このWIGGINSってシーファス&ウィギンスのフィル・ウィギンスですね。彼のハープとコーリーの弾き語りによるカントリー・ブルースで、09年の録音のようです。やっぱりコーリー・ハリスはブルースの人なんですね! でもこのCD、曲順のクレジットが合ってないような気がします…。ちなみにせっかくサインを頂いたのに、乾く前にケースに入れてしまったため、半分ぐらい剥げてしまいました…。残念。


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.05.28 コーリー・ハリス

@ブルース&ソウル・カーニバル

2010-05-30 17:45:43 | ブルース
という訳でブルース&ソウル・カーニバルに来ています。シナロケ、ブッチャーズ、コーリー・ハリスと終わり、いよいよソロモン・バークです! 今、恒例のブルースクイズの裏でコーリー・ハリスのサイン会中です。



帰宅後追記:

いや~、良かったですね! なにはともあれソロモン・バークでしょう。15人編成という大所帯を率いての横綱相撲ですよ! 特に「 If You Need Me」から始まり、「Take Me (Just As I Am)」~「I Can't Stop Loving You」で締めるメドレーは素晴らしかった!感動しましたね。レポートはまた後でアップします。とりあえず今日はこの辺で。

あ、ちなみに上の写真は会場間もない頃に撮ったものです。この後もっともっとお客さんが入って盛り上がりましたよ!! とは言え、残念ながら満席にはなっていないようでしたけどね…。ソロモン・バークなのに!!!

@渋谷タワレコ

2010-05-29 14:47:17 | フェス、イベント
今日はFRIGGのインストアライヴを観に渋谷タワーレコードに来ています。先程終わりましたが、凄く良かったです。フィンランドの農民伝統音楽の文化を引き継いでるグループだそうです。たまにはヨーロッパのトラッドも良いですよね~。ピーター・バラカンさんも観に来てました。

さて、このあとどうしましょう?新宿タワレコでのキム・チャーチルのインストアライヴも気になりますが、やっぱり日比谷野音でジョー・ルイス・ウォーカーの音だけでも聴きに行こうかな~。

ジョー・ルイス・ウォーカー

2010-05-29 11:32:04 | ブルース
JOE LOUIS WALKER / BETWEEN A ROCK AND THE BLUES

いよいよ今日からジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルですね。で、びっくりしたんですけど、今日の日比谷野音に出演予定だったバーナード・アリソンが急病のためキャンセルで、代役としてジョー・ルイス・ウォーカーが出演するそうです!!

これって急なことだったんですかね? 私は昨晩「ブルース銀座」さんのツイッターで知ったばかりなのですが、ジョー・ルイス・ウォーカー公式サイトのスケジュールを見ますと、今回の来日公演が既にアップされているのですが、「As part of Bernard Allison Band (Joe only)」と記されています。これってバーナード・アリソンのバンドと一緒にやるってことなんですか? ジョー・ルイス・ウォーカーと言えばかなりの大物ですよね。本国での人気はよく分かりませんが、正直、バーナード・アリソンより格上な印象です。よく引き受けてくれましたよね。なんか侠気を感じさせますよね。そして急病というバーナード・アリソンが心配です。


さて、ジョー・ルイス・ウォーカーです。80年代以降のコンテンポラリー・ブルースを代表する一人。で、最近新作をリリースしたばかりなんですが、これが良いんですよ! 脂がのってるというか、ギターにも歌にも勢いがあって、現在60歳を超えたぐらいという、まさにブルース盛りな色気と瑞々しさを感じさせてくれます。

ロッキンなビートに乗ってキュイ~ンとギターが疾走する「I'm Tide」。小気味良いジョーのヴォーカルが冴え渡るジャンプ・ナンバー「Eyes Like A Cat」。南部フィーリングが心地よい「Black Widow Spider」。のたうち回るようなスライド・ギターが強烈なガレージ・ブルース調「If There's A Heaven」。鋭いギターの切れ込みに痺れる王道ブルース「Way Too Expensive」。ファルセットを交えたアグレッシヴなヴォーカルとギター・ソロでの自由奔放な感情表現に耳を奪われる「Prisoner Of Misery」。むせび泣くようなギターが素晴らしいスロー・ナンバー「Hallways」。同じスローでもブルーなムードをしっとりと絞り上げるかのような「Blackjack」。最後を締めるアコースティック・ブルース「Send You Back」などなど。プロデュースはデューク・ロビラード。先日発表されたブルース・ミュージック・アワード(元W.C.ハンディ・アワード)で、見事『Album of the Year』を受賞しました。

あ~、ジョー・ルイス・ウォーカー観たいな~。せめて音だけでも聴きに行こうかな…。

映画「ソウル・パワー」@爆音映画祭

2010-05-28 20:54:50 | ソウル、ファンク
今日は吉祥寺のバウスシアターに映画「ソウル・パワー」を観に来ています。ジェイムス・ブラウンやBBキングが出ているあれです。一般公開前なのですが、明日から始まる「爆音映画祭」の前夜祭として今夜先行上映されるそうです。楽しみです!




帰宅後追記:(多少、映画のネタバレになりますのでご注意ください。)

いや~、映画でこんなに興奮したのは初めてかも知れません。ジェイムス・ブラウンが格好良過ぎます! さらにJB’Sの演奏がファンキー過ぎるんです! 参りました。もちろんそれだけではありません。BBキングは恐ろしく濃密ですし、サルサの女王セリア・クルースも凄い。そして彼女のバックを付けるファニア・オールスターズがまたディープ。スピナーズも格好良いですし、ビル・ウィザースは深い。クルセイダーズも相当ヤバいし、ダニー“ビッグ・ブラック”レイのコンガも強烈。さらにミリアム・マケバをはじめとするアフリカ勢も素晴らしい!

これは「ザイール’74」と題された歴史的なコンサートを収めたドキュメンタリー映画です。このコンサートは1974年、ザイールにてモハメド・アリとジョージ・フォアマンの対戦前に行われたそうです。人種差別やブラック・パワー、そしてアフロ・アメリカンの故郷としてのアフリカ。そういった背景がこのコンサートをとんでもないエネルギーと高揚感で包み込みます。ドキュメンタリーなので、演奏シーンが少なめなのが少々残念ですが、しかしその演奏シーンはエキサイティングこの上ないです。この日は爆音映画祭の前夜祭という特別なムードだったこともあるかもしれませんが、終わった後に観客から拍手と歓声が沸き起こりましたから。


さて、爆音映画祭です。今年で3回目だそうですが、私ははじめて足を運びました。映画館に入るとスクリーンの両側に、なるほど映画館には不釣り合いなスピーカーが積み上げられています。しかもスクリーンの裏側にもスピーカーが設置されているとか。映画が始まるやいなや、その音の大きさというか低音の厚みに嬉しくなりましたね。座っていても腰にきまくりました。正直、立ち上がって踊りながら観たいぐらいでしたよ。爆音というと、パンク/オルタナ的なノイジーに割れんばかりの音量を想像しがちですが、そういう爆音ではなく、音楽映画を最高の臨場感で味わうことの出来る爆音です。とくにリズム! 恐ろしい程に肉感的に迫ってきます。ジェイム・ブラウン&JB‘Sは本当に凄かった。もちろんJBに限った話ではないですよ。演奏シーンの間、私はその音の素晴らしさに終始ニヤケ顔になってましたから。

もちろん映画それぞれについて音の調整をしているらしいので、爆音にも色々あるのかもしれませんけどね。ただ残念なことにプログラムを見ると、分かりやすい音楽映画はほとんどラインナップされてないんですよね~。ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」ぐらいですかね。ビデオで何度も見た映画ですけど、この爆音で観てみたいという気にもなります。どうしよう…。あ、「爆裂都市 BURST CITY」も気になるな。


爆音映画祭 → http://www.bakuon-bb.net/2010/program.php

コーリー・ハリス

2010-05-28 15:53:25 | ブルース
もう明日に迫ったジャパン・ブルース&ソウル・カーニバル! どうしても初来日の帝王ソロモン・バークに話題が集中してしまいますが、せっかくなのでコーリー・ハリスにも注目してみました。

コロラド州デンバー出身。1969年生まれだそうなので、現在40歳を超えた辺りですね。アルバム・デビューは95年の「BETWEEN MIDNIGHT AND DAY」。ミシシッピ・スタイルのカントリー・ブルースを弾き語りで歌う朴訥なブルース・マンといった印象でした。ですがその後はまるでルーツ・ミュージックの探求者、もしくはルーツの旅人? ルーツ流浪人? いやルーツ迷い人かも?って感じにルーツの深い森をさまよっています。そんな彼の音楽遍歴の一部をご紹介。



COREY HARRIS / BETWEEN MIDNIGHT AND DAY
95年のデビュー作。 チャーリー・パットン、フレッド・マクダウェル、スリーピー・ジョン・エスティス、マディー・ウォーターズ、ブラインド・ボーイ・フラーなんかのレパートリーをカヴァーした素朴な作品。でもその素朴さがかえって新鮮だった記憶があります。巧みなフィンガリングとスライド捌き、そして黒く深い歌声。この頃まだ20代半ばですからね~。この作品の印象があまりにも強く、コーリー・ハリスと言えばミシシッピ・スタイルの弾き語り、というイメージがいまだにあるような気もします。



COREY HARRIS / FISH AIN'T BITIN'
ニューオーリンズ録音による97年の2nd作。特筆すべきはチューバ・ファッツを含むホーン隊が数曲で参加していること。と言ってもニューオーリンズ色はほとんど感じられず、そのひなびた雰囲気はジャグ・バンドな雰囲気に近いです。コーリーの弾き語り曲も前作より一層デルタな迫力と切れ味を増し、その一方で流麗なラグタイム調も聴かせるなど、幅広い弦裁きを楽しめます。スライドバーがネックに当たるコロコロした音が気持ち良いんですよね~。この97年にジャパン・ブルース・カーニバルで来日。私も観に行きましたが、あまりにも素朴な弾き語りがかえって異彩を放っていた記憶があります。



COREY HARRIS & HENRY BUTLER / VU-DU MENZ
いよいよ本格的にニューオーリンズ音楽と邂逅した2000年作。かの地が誇る盲目の天才ピアニスト、ヘンリー・バトラーとの共演作です。 数曲にラブボードが入りますが基本的には二人だけのデュオで、楽曲も二人の共作が大半を占めるという、まさに両者がっぷり四つの好盤。ヘンリーの自由奔放にシンコペーションしまくるピアノに、コーリーのデルタなスライドが絡む、これはなかなかスリリング。ブルースあり、ラグ・タイムあり、もちろんニューオーリンズありで、南部ルーツの懐の深さを堪能出来ます。こういう共演って、ありそうでないんですよね~。最後に収録された二人のアカペラによるトラッド曲も良い感じです。



COREY HARRIS / MISSISSIPPI TO MALI
03年にスコセッシの映画「FEEL LIKE GOING HOME」に出演し、ブルースの原点を求めて西アフリカのマリを旅した流れを汲んだアルバム。もちろんアフリカ色が濃厚。ゲストに映画にも出演していたアリ・ファルカ・トゥーレも参加していて、かなり濃密。しかも単純なデルタ+アフリカではなく、同じミシシッピでもデルタとは違う北部ヒル・カントリーの伝承音楽であり、アフリカン・ルーツを色濃く残したファイフ&ドラムを取り入れたり、ハープにボビー・ラッシュ、ドラムスにサム・カーを向かえた南部セッションがあったり、ブルースとアフリカ、米南部とアフリカ、そういった流れを含めての音楽という広い大地を感じさせてくれるアルバム。最後を締める「Dark Was The Night, Cold Was The Ground」は名演ですね。



COREY HARRIS / ZION CROSSROADS
07年作。アフリカの次はレゲエです。完全なレゲエです。まあ、レゲエ・ファンの方が聴けばちょっと違うのかもしれませんが、ブルース・ファンが聴けば、これは完全なレゲエでしょう。私はこのアルバムで、コーリー・ハリスが分からなくなりました…。まあ、このとき既に、次は何をやってくるか分からないタイプの人ではありましたけどね。でもまさかレゲエとは思いませんでした。ただ、レゲエできたと分かって聴けば、これがなかなか面白い。レゲエのルーツとしてのアフリカが見えてきますし、単純にレゲエ・シンガーとしてのコーリーの歌心にも痺れるものがあります。



COREY HARRIS / BLU. BLACK
そして09年の最新作。これはレゲエもアフリカもブルースも飲み込んだスピリチュアルなブラック・ソウル。これまでのルーツ・ミュージック探求者な佇まいではなく、ある種の境地を感じさせられます。やはりレゲエ色は強いですが、そういうジャンルや音楽形態を超越した、黒人音楽としての芯を感じます。だからと言ってここが彼の終着地点だとは思いませんが、このタイミングでの来日はやはり嬉しいですね。ぜひ、このアルバムの世界観を表現出来るバンド・セットで来日して欲しいところですが、どうなんでしょう? また一人かもしれませんけど。なにせソロモン・バークが大所帯っぽいですからね~。



ソロモン・バーク黄金期

2010-05-27 13:26:43 | ソウル、ファンク
前回、ソロモン・バークの最新作「NOTHING'S IMPOSSIBLE」を紹介しましたが、いやいや近年のソロモン・バークの作品は、どれもが捨てがたい傑作揃いなんです!というわけで、第2の黄金期を突き進むソロモン・バークの諸作品をご紹介。



SOLOMON BURKE / DON'T GIVE UP ON ME
ソウルの帝王が、ボブ・ディラン、ヴァン・モリソン、ブライアン・ウィルソン等から贈られた楽曲を歌った02年の傑作。このアルバムは良いですよね~。はじめて聴いた時はちょっと地味に感じたんですけど、聴けば聴く程味わいが染みてきます。プロデューサーは今をときめくジョー・ヘンリー。彼の作り出す陰影豊かなしっとりとしたサウンドが、エモーショナルなバークの歌声を見事に浮かび上がらせます。アコギやオルガンを中心に据えたアコースティックな質感で纏めた手腕も見事。そして情緒豊かなリズムを提供するジェイ・ベルローズとデヴィッド・ピルチにも拍手ですね。グラミー賞「Best Contemporary Blues Album」部門を受賞。この作品でキング・ソロモンの復活を印象づけたのはもちろん、実はジョー・ヘンリーにとってもこれが出世作だったり。それにしてもトム・ウェイツ作の「Diamond In Your Mind」は名曲ですね。



SOLOMON BURKE / MAKE DO WITH WHAT YOU GOT
いきなりストーンズばりのギター・リフで幕を開ける痛快なこの作品、前作に比べるとアルバム単位での説得力では一歩譲るかもしれませんが、ジェイムズ・ギャドソン(ds)、レイ・パーカー・ジュニア(g)、レジー・ヤング(g)などの腕利きによるカラッとしたサウンドに乗る、バークの“帝王節”としか言いようのない大きな歌唱は圧倒的に素晴らしい! ザ・バンドの「It Makes No Difference」も良いですけど、ストーンズ「I Got The Blues」のコテコテ加減が堪りません。とにかく全体を通じてバークのとてつもなくでかいスケール感にやられます。プロデュースはドン・ウォズ。ちなみにこの人、同じ頃にストーンズの「A BIGGERBANG」もプロデュースしてるんですよね~。05年リリース作。



SOLOMON BURKE / NASHVILLE
近年のソロモン・バーク作品から一枚選べと言われれば、私は迷わずこのアルバムを選びます。ソロモン・バークによるカントリー作品です。案外カントリーとは縁の深いソロモン・バークですが、この作品は“ソウル・シンガーがカントリーを歌いました”という以上に、黒人音楽と白人音楽の垣根を飛び越えた、芳醇なルーツ・ミュージックの素晴らしさを伝えてくれるアルバムです。じわりと染みる土っぽい演奏、渋みと枯れをたたえたバークの男臭い歌唱。ホント最高です! プロデュースはオルタナ・カントリーの旗手バディ・ミラー。バックには、そのバディ・ミラーを中心にカントリー界隈の名手達を配し、ドリー・パートン、エミルー・ハリス、パティ・グリフィン、ギリアン・ウェルチといった女性シンガー達が花を添えています。06年作。



SOLOMON BURKE / LIKE A FIRE
エリック・クラプトン提供の1曲目「Like A Fire」を聴いたとき、流石にこれは無いだろう?と思う程にポップでフォーキーな曲調に驚きました。でも聴き進めているうちに、そのオーガニックなサウンドと、ゆったりとしたバークの歌声に惹かれて行きます。リラックスした和やかさが心地よいですが、ここぞという時はソウルを込み上げるように歌う。その辺りの力加減は名人芸にして、そのコクのある艶やかで円やかな歌声に痺れます。ケブ・モ、ベン・ハーパー、ジェシー・ハリスなどが、自作曲を持ち寄りゲスト参加。プロデュースはスティーヴ・ジョーダン。素晴らしいギター・プレイでサポートするダニー・コーチマーとディーン・パークスにも注目です。08年作。



それにしても近年のソロモン・バークにハズレなし! 大ベテランにしてこの充実振りは奇跡に近いです。例えばアレサ・フランクリンやスティーヴィー・ワンダー、アル・グリーンなど、今でもレジェンド達が元気に頑張っていますが、この10年でおよそ2年に1枚の頻度でアルバムをリリースし、その全てが傑作なんて、ソロモン・バークしか居ませんからね。ジョー・ヘンリーやバディ・ミラーといったオルタナティヴな感性を持った人にプロデュースを任せた意欲にも脱帽。いや最も驚きなのはその歌唱にまったく衰えを感じさせないこと。どころかその貫禄に磨きをかけているかのよう。間近に迫ったジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルが本当に楽しみでなりません!

ソロモン・バークの新作

2010-05-25 14:37:57 | ソウル、ファンク
SOLOMON BURKE / NOTHING'S IMPOSSIBLE

ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルの開催が近づいてきました。今年は何と言ってもメインを務めるソロモン・バークですよね! 60年代にアトランティックから「Just Out of Reach」、「Cry to Me」、「If You Need Me」、「Everybody Needs Somebody to Love」など、数々のヒットを飛ばしたレジェンドであり、2000年代になっても「DON'T GIVE UP ON ME」や「NASHVILL」などコンスタントに傑作を発表し続けている現役バリバリのキング・オブ・ソウルです。そんなソロモン・バークが奇跡の初来日を前にして新作を発表しました。なんと、プロデュースを務めたのは、かのウィリー・ミッチェル!!

ウィリー・ミッチェルと言えば、70年代のハイ・レコードで名を馳せたサザン・ソウルの立役者の一人ですね。“ハイ・サウンド”と呼ばれる極上のソウル・ミュージックを確立し、アル・グリーン、アン・ピーブルズ、オーティス・クレイ、シル・ジョンソン、OVライトなど、数々のアーティストを手がけ傑作を産み出してきました。特にアル・グリーンの諸作品は有名ですね。しかも03年にはアルとミッチェルが久々にタッグを組み「I CAN'T STOP」という新たな名盤を産み出したことも記憶に新しいですね。

さて、ソロモン・バークです。近年のソロモン・バークと言えば、その意欲的な作品リリースと、その傑作振りには目を見張るものがあります。ですが、前作「LIKE A FIRE」はどちらかというとオーガニックでポップな路線でしたし、その前はカントリー作品、さらにプロデューサーにドン・ウォズやジョー・ヘンリーを招いた作品と、必ずしもディープ・ソウルな作品ではありませんでした。もちろんそれをキング・ソロモン流にがっつりとディープに歌うところに圧倒的な凄みがあり、私は大好きなんですけどね。でもそんな流れの末に今度はあのウィリー・ミッチェルのプロデュース作品と聞けば、やはりテンションは上がりますよね。

方やアトランティックで数多のヒットを飛ばしたキング・オブ・ソウル、方やハイの総帥としてメンフィス・ソウルを支えた大物プロデューサー、このソウル界の両雄が共に仕事をするのは実は今作が初めてだそうです。解説によりますと、実際に顔を合わせたのも最近のことだったとか。でも35年間、電話での会話を続けていたと言いますから、いったいどんな仲なのかよく分かりませんが、まあ、そんな間柄だったようです。

1曲目「Oh What A Feeling」からバークの力の入った感情的な歌唱に圧倒されます。まさか70歳になる人とは思えないハリと艶。しかしそこから滲み出る人生の酸いも甘いも知り尽くしたような濃厚な味わい。これこそソウルですよ! そしてバックはミッチェルによる麗しのメンフィス・サウンド!!

レコーディングはミッチェルのお膝元、ロイヤル・レコーディング・スタジオで行われています。ハイの名作群を生んだあの歴史的なスタジオですね。アル・グリーンの「I CAN'T STOP」ももちろんここで録られています。バック・ミュージシャンも、ギターのティーニー・ホッジズをはじめ、ドラムスにスティーヴ・ポッツ、鍵盤にレスター・スネルなど、「I CAN'T STOP」と似たようなメンツが揃えられています。もちろんハイ・サウンドに欠かせなホーン隊に THE ROYAL HORNS、ストリングスに THE NEW MEMPHIS STRINGS と、完全にミッチェルの土俵です。

ですが流石にアル・グリーンの代名詞のような、流麗且つセクシーなアップ・ナンバーは収録されておらず、サザン・マナーのスローが 中心。ですが「Dreams」のイントロに響く甘いストリングスの感じなんかは、やはりウィリー・ミッチェル!! さらにここでのバークの歌唱も情緒豊かで味わい深い。この曲はミッチェルとバークの共作ですが、全12曲中9曲でミッチェルが作曲に携わっています。このことからも今作におけるミッチェルの気迫が伝わってきますね。

タイトル曲の「Nothing's Impossible」なんかも和やかな曲調ながら、重心の低いリズムに、軽やかなホーンと流れるようなストリングスが絡む、往年のハイ・サウンドを感じさせてくれますね。これにスケールの大きな、それでいて渋みのあるバークの歌唱がまた以外に合うんですよ!そして「New Company」なんかもアル・グリーンが歌ったら相当セクシーになりそうですが、バークが歌うとまるで大海原のようなソウルになるから凄い。

サザン・フィーリング濃厚な「It Must Be Love」や「When You're Not Here」あたりはもう堪らないものがありますね。まるでソウルを込み上げるように歌う。そして何処か切ない。これはもう王道というか名人芸ですね。バックの極上サウンドも相まって本当に素晴らしい! そして唯一のカヴァー曲、ランディ・グッドラムの「You Needed Me」。この曲なんかはもうメロウの極致に仕上がっていまして、バークの歌にもメロメロです。

今作中2曲のアップ・ナンバー「Everything About You」と「You're Not Alone」はどちらもバーク自身のペンによる作品。溌剌とした歌声に惹かれますね。さらにキャンディ・バークとミッチェルの共作曲「The Error Of My Ways」もあります。キャンディってソロモン・バークの娘さんですよね? こちらはどっぷりとブルージーな味わいで、こういうバークも良いですね。

古き良きソウル・ミュージック華やかしき頃から、長い年月が過ぎた後にようやく実現した夢のコラボレーション。残念ながらウィリー・ミッチェルは今年1月に亡くなられてしまいました。これがミッチェルにとって最後の作品になったかどうかは、今の時点ではまだ不明だそうですが、最後の作品の1つであることは間違いないでしょう。そういう意味でも何か運命的で感慨深い作品ですね。

さて、ソロモン・バークの初来日、本当に楽しみですね。本物のソウルと、本物の歌を体感しましょう!

友部正人トリビュートライヴ@下北沢ガーデン

2010-05-23 17:32:55 | フェス、イベント
今日は友部正人トリビュートライヴを観に下北沢ガーデンに来ています。色々な人が出るみたいですが、個人的にはバンバンバザールとYO-KINGが楽しみです。あと初めて生で観る遠藤ミチロウも! 今、開演待ちです。どんなライヴになるのでしょうか?みんなでセッションしたりするのかな~。楽しみです!




帰宅後追記:

いや~、素晴らしかった! 正直な話、このライヴは妻に誘われて観に行ったんです。恥ずかしながら友部正人さんのこともそれほどは知らなかったり…。でも私の好みのアーティストが結構出るので楽しみにはしてたんですけどね。しかし予想を遥かに超えた素晴らしいライヴでした!! ちなみに出演アーティストはこんな感じ。

ハンバートハンバート、峯田和伸、森山直太朗、バンバンバザール、YO-KING、知久寿焼、リクオ+橋本歩、三宅伸治、原マスミ、遠藤ミチロウ、友部正人


まず、友部さんの曲が良いですね。そしてシンガーが皆さん個性的! 上記の順番で(歳の順ですかね?)でそれぞれが友部さんのカヴァーや、今日のコンセプトに合った自身の曲を2曲づつ歌っていくんですけど、皆さん異様にソウルフルで本当に素晴らしかったです。

友部さんの挨拶の後、ハンバートハンバートでふわりと始まり、早くも峯田さんが上半身裸で異彩を放ち、森山さんは歌はもちろんトークでも存在界を発揮。バンバンバザールは「夜よ、明けるな」だったかな?情緒溢れる演奏が素晴らしかった! YO-KINGさんが「マイ・バック・ページ」、リクオさんが「アイ・シャル・ビー・リリースト」というディラン曲を歌ったのも印象的でした。あとリクオさんをサポートした橋本歩さんのチェロが素晴らしかった! 元たまの知久さんは初めて生で見ましたけど、この人は声を発した瞬間に空気を掴むような、凄いシンガーですね。「一本道」は名曲でした。

三宅さんは『今日はロックンロールはやらないけど…』みたいなことを言いながらも、やはりR&Rな臭いを発していました。そして原さんとミチロウさんの歌には、さすがの重みがあるというか、濃かったですね~。圧倒的な世界観でした。そしてミチロウさんももうすぐ60歳という事実に驚きました。そして友部さん。私は友部さんの歌声を生で聴くのはこの夜が初めてだったのですが、流石の味わいでした。素朴なのに深みがある。そしてエネルギッシュ。「大阪へやって来た」はメチャクチャ格好良かったですね~。文句無しに今夜のベスト・パフォーマンスですよ。あの気迫、ロックでした。

そして友部さんに呼ばれ、この夜の出演者全員がステージに戻ってきての一大セッション。曲は「夕日は昇る」と「朝は詩人」だったでしょうか? 下北沢ガーデンというライヴハウスは、小さな箱なのに全体的に横長なんですよ。ステージももちろん横に長い。でも横長だからこそ、これだけの大人数がほぼ横一列に並べるんです。友部さんがデザインしたと言う真っ赤なTシャツで揃えたこの豪華メンツが、横一列に並ぶ様はなかなか壮観でした。そしてそれぞれがソロ・パートを歌い繋いで行く。圧巻でしたね。さらにアンコールは「ぼくは君を探しに来たんだ」かな?。もちろん全員で。

ここぞとばかりに峯田さんとミチロウさんはパンク魂を爆発させたような歌唱をし、高揚感たっぷりのサビからバンバン・バザールの富永寛之さんが渋~いブルース・ギターを決め、そのあとを三宅さんのソウルフルなギターが受け継ぐ。そしてこの曲での黒川修さんによるバンバン・バザールとはまた違う、熱~いウッド・ベース捌きも良かったですね。ちなみにドラムスは杉山章二丸さんでした。

今回のトリビュートライヴは、友部さんの60歳の誕生日を祝うライヴでもありました。なので三宅さんの音頭により観客みんなで“ハッピー・バースデー”と歌ったり、バースデー・ケーキのプレゼントがあったり。そんなこんなで友部さんも嬉しそうでした。これだけ個性的なメンツが揃いながらも、友部さんを祝い、リスペクトするというテーマで貫かれているためもあり、それぞれが見せ場を作りながらも一体感のある素晴らしいステージでした。最後にはそんな一体感が観客にも伝わったのか、オールスタンディング状態で盛り上がりました。18時に開演し、終わった時は22時を回っていたという長帳場。その心地よい疲れを、友部さんの人柄が優しく包んでくれました。

曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。



プリシラ・アーン

2010-05-22 12:08:34 | SSW
最近、プリシラ・アーンの歌う、ビートルズ「Julia」にハマっています。声にもうっとりですが、このビデオが奇麗なんですよね~。最後の方に出てくるのは日本かな?




そしてプリシラ・アーンと言えば、黒髪のロング・ヘアーが素敵ですが、え~!それをそんなに切っちゃうの~!?的な映像。楽しそう…。ちなみに8ヶ月前に投稿された映像のようです。



で、ショートになって歌う「La Vie En Rose」。スタンダード・ナンバーをストレートに歌う彼女にもうっとりですね。




また来日してくれないかな~。