ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

2014年 ベスト・アルバム 30選

2015-07-05 12:35:30 | 2014年総括

第1位

HIROMI THE TRIO PROJECT FEATURING ANTHONY JACKSON & SIMON PHILLIPS / ALIVE
はい、栄えある第1位は私の大好きな上原ひろみさんです! また上原さんか?と思われるかもしれませんが、当ベストアルバム企画で上原さんの作品をトップに選ぶのはこれが初めてなんです。上原さんの場合、あまりにもライヴが良すぎるばかりにアルバムに対してはどうしても辛口になりがちだったんですけど、これは文句無しに素晴らしい作品!「ALIVE」というタイトル通り、まさにライヴ感横溢、そして生き生きとしている。これはこのトリオがツアーにツアーを重ね、リハからリハへと身を削るように精進してきた賜物でしょう。まさに三位一体の演奏。これぞ最強トリオ!そしてもう一つ、上原さんがソウルフルなんです!これまでの作品では、どちらかというと情景描写な印象が強かったのですが、この作品は上原さんの内からのスピリッツをビンビンに感じさせられる。それも「ALIVE」な魅力。傑作!!!






第2位

SAM AMIDON / LILY-O
これまでにもアイスランドのBedroom Communityからリリースされた作品が好事家の間で話題になっていた米バーモント州出身のシンガー・ソング・ライター、サム・アミドンによる最新作。冒頭、彼の爪弾くバンジョーの音色と朴訥とした歌声から引き込まれます。本作はノンサッチからのリリースながら全編アイスランド録音で、プロデュースはBedroom Communityのヴァルゲイル・シグルズソン(ビヨークやムームのプロデュース等で知られる方)。現代的なアメリカーナを描きつつも何処か内省的な美しさを湛えているのはアイスランドの空気故でしょうか?またギターにビル・フリーゼルが参加しているのも特筆もの。彼のフリーキー且つ幽玄に響くギターは、まるでサム・アミドンの音世界の深いところをえぐり出すかのよう。



第3位

SHAKEY GRAVES / AND THE WAR CAME
第3位はこの人、シェキー・グレイヴス!と読むのでしょうか? 実は第3位に選んでおいて、この人のことを私よく知らないんです…。テキサスのシンガー・ソング・ライターらしいのですが、YouTubeなんかにはドラムを踏みながらギターを弾き語る映像が沢山あがっているので、そういうスタイルを得意とする人なんでしょうね。フォーク、ブルース、カントリー等、米ルーツ・ミュージックの現代的な咀嚼振りとロックに破綻したフィーリングが、プリミティヴ且つオルタナティヴなアメリカーナを描き出していく。Wikiで見るかぎり、これが3枚目のアルバムのよう。これからの活躍が楽しみなシンガー。



第4位

FIRST AID KIT / STAY GOLD
北欧スウェーデンの若き姉妹によるフォーク・デュオ、ファースト・エイド・キッドによる3rdアルバムにしてメジャー・デビュー作。楽曲の良さに以上に、その美しいメロディを大切に歌う2人のハーモニーが素晴らしい。朗々とした美声は聴けば聴く程その響きに吸い込まれていくよう。




第5位

MIKE AULDRIDGE, JERRY DOUGLAS, ROB IKES / THREE BELLS
マイク・オウルドリッジ、ジェリー・ダグラス、ロブ・イックスという3人のドブロ名手による共演盤。ドブロならではの響きが紡ぐアメリカーナ。それはまるで広大な大陸を駆け巡るようでもあり、静かに語りかけてくるようでもある。彼らの妙技と、その美しくも深淵な音色にただただ陶酔させられる。まごうことなき名盤。しかし残念ながら、この作品がマイク・オウルドリッジの遺作になってしまいました。



第6位

FUNKADELIC / FIRST YA GOTTA SHAKE THE GATE
ファンカデリック名義ではなんと33年振りという最新作は、次から次へと異形のファンカデリック・サウンドが溢れ出てくる驚異の3枚組。新旧勢揃いの豪華メンバーもさることながら、圧倒的なヴォリュームとその濃さにやられます。そして聴く者の咀嚼力が試される。もちろん一筋縄で噛み砕ける代物ではありませんが、それこそこのアルバムの凄みなのであります。しかも現行ブラック・ミュージックとしてなお存在感を増すジョージ・クリントン、恐るべし。




第7位

CHRIS THILE & EDGAR MYEYER / BASS & MANDLIN
クリス・シーリ(マンドリン)、エドガー・メイヤー(コントラバス)という2人の鬼才によるデュオ作。かの「ゴート・ロデオ・セッションズ」を経て、さらに自由に、さらに深遠な世界を描くに至った印象の快作。シャキシャキとしたマンドリンのフレーズと、弓弾きによるコントラバスの音色。プログレッシヴに絡み合う両者の音像は、ブルーグラスでもない、クラシックでもない、異次元のストリングス・ミュージック!!




第8位

OTIS BROWN III / THE THOGHT OF YOU
いわゆる現代ジャズというものに今ひとつ積極的になれない私でしたが、このアルバムは格好良かった!! エスペランサやジョー・ロヴァーノ等のバックでも知られる注目のドラマー、オーティス・ブラウン三世による初ソロ作。とにかくプリミティヴなリズム表現とクロスオーバーするブラック・フィーリングが素晴らしい。もちろんデリック・ホッジやロバート・グラスパーなどの全面強力も特筆もの。


第9位

D'ANGELO & THE VANGUARD / BLACK MESSIAH
現行ソウル界屈指のカリスマ、ディアンジェロによる、なんと15年振りの3作目。このリリースはリリース自体が大事件。正直、この作品をどう評価していいのか私にはよく分かりません。振り返れば過去2作品もリリース当時はよく分からなかったんですよ私には。ですがそれがディアンジェロの凄みでもある訳で。なので一層サマーソニックが楽しみなのです!



第10位

HENRY BUTLER & STEVEN BERNSTEIN & THE HOT 9 / VIPER'S DRAG
ニューオーリンズのピアニストの中でも特異な存在感を放つ鬼才ヘンリー・バトラー、そしてラウンジ・リザーズ、セックス・モブでの活躍でも知られるニューヨークの奇才トランぺッター、スティーヴン・バーンスタイン。二人のコラボレーション・アルバムは、意外にもトラディショナルに根ざしつつ、やはり一筋縄にはいかない多彩な魅力。オリジナル曲はもちろん、ファッツ・ウォーラーやジェリー・ロール・モートンのカヴァーも秀逸。



第11位

LEONARD COHEN / POPULAR PROBLEMS
前作「OLD IDEAS」は当ブログにおいて2012年のベストアルバムに選ばせていただいたレナード・コーエン。その延長上にあると言えそうな本最新作ももちろん大傑作!! 心にしみる楽曲群。ブルージーながらどことなく不思議なポップ感を感じさせるアレンジも秀逸。そしてそれらを包み込むような深遠なるコーエンの歌声に酔いしれます。



第12位

プリシラ・アーン / あなたのことが大すき。
まさかのジブリ主題歌を射止めたプリシラ・アーン。プリシラの喜びがこちらに伝わってくるようでとても嬉しい。ですが個人的にはあまりジブリに染まって欲しくないという思いもあったり。なんだかんだで映画も観に行きませんでしたし…。でもこのアルバムは素晴らしい。映画のストーリーを知らなくても、プリシラの歌声と、その独特の雰囲気に身も心もトロトロです。



第13位

LUCINDA WILLIAMS / DOWN WHERE THE SPIRIT MEETS THE BONE
60歳を超えたルシンダ・ウィリアムスの最新作は2枚組の意欲作。2枚組という時間の流れの中で、無駄のない演奏と含蓄力横溢なルシンダの歌声が、1曲ごとに深みを積み重ねていく。グレッグ・リーズ、ビル・フリーゼル、トニー・ジョー・ホワイトなど、ゲスト・ミュージシャンがまた良い仕事しています。



第14位

REBIRTH BRASS BAND / MOVE YOUR BODY
近年のリバース・ブラス・バンドの充実振りは頼もしい限り。ゲストにトロンボーン・ショーティ、グレン・デヴィド・アンドリュース、トラヴィス・ヒル等も参加した、まさにニューオーリンズ・ブラス・バンドの粋が楽しめる逸品です!



第15位

ベン・ハーパーが実の母君様とコラボ作を作ったと聞いた時はホント驚きましたが、さすが、この子にしてこの親あり!な感じで、この母君様がまた良い声してるんですよ!ハートウォーミングな素晴らしい作品。このデュオのライヴが観てみたい!



第16位

Eric Bibb / Blues People
相変わらず、聴き易さの中にもねっとりとしたブラック・フィーリングが素晴らしいエリック・ビブの最新ソロ作。フォーク・ブルースがたどり着いた一つの境地と、それだけでは終わらない彼ならではのヴァラエティ豊かな作風が聴くものを飽きさせません。



第17位

ROYAL SOUTHERN BROTHRHOOD / HEARTSOULBLOOD
シリル・ネヴィル、デヴォン・オールマン、マイク・ジト達によるロイヤル・サザン・ブラザーフッドの2作目。前作より格段にバンドグルーヴが強固になったブルース・ロックに舌鼓。個人的にはシリルによるスワンピーなロックンロール、その名も「Rock And Roll」が嬉しい!!



第18位

BOBBY RUSH WITH BLINDDOG SMOKIN' / DECISIONS
ブラインドドッグ・スモーキンというバンドとの共演盤となるボビー・ラッシュの最新作。失礼ながらブラインドドッグ・スモーキンがどのようなバンドなのか私はよく知らないのですが、こういう変化球も面白い。なんだかんだでボビー節全開!



第19位

NICKEL CREEK / A DOTTED LINE
ショーン・ワトキンス、サラ・ワトキンス、そしてクリス・シーリーによるトリオ、ニッケル・クリークの9年振りの再結成アルバム。ブルーグラスをプログレッシヴに進化させつつも、ポップに纏める手腕に脱帽です。



第20位

Old Crow Medicine Show / Remedy
雰囲気的に攻撃性が増した感じがするオールド・クロウ・メディシン・ショウの最新作。フォーク、ブルーグラス、ヒリビリー、ありとあらゆるカントリー・ミュージックを飲み込みつつ、ロックやパンクのスピリッツを感じさせてくれる会心の一枚。



第21位

Marcia Ball - Tattooed Lady & The Alligator Man
ルイジアナ臭たっぷりにピアノがローリングするご機嫌な作品。謎のアリゲーターマンもインパクト大ですが、タトゥー・レディに扮するマーシャ・ボールの姿も相当なもの。こういうセンス大好き!



第22位

ARETHA FRANKLIN / SINGS THE GREAT DIVA CLASSICS
女王、アレサ・フランクリンによるソウルの名曲かヴァー集。今昔のマッシュアップを含めた演出も見事なれど、何よりも現在のアレサならではの味わい深い歌声に魅了されます。



第23位

THE EARLES OF LEICESTER / THE EARLES OF LEICESTER
ドブロの名手、ジェリー・ダグラスを中心にカントリー/ブルーグラス界で活躍するつわもの達が集まり、ブルーグラス界の伝説フラット&スクラッグスをトリビュート。これぞブルーグラス!



第24位

Magnolia Sisters / Love's Lies
ルイジアナと言えばケイジャン。ローカル色豊かな鄙びたグルーヴに、土っぽいフィドル、素朴な歌声、そして女性グループらしいポップな感覚が愛らしい1枚。



第25位

G.LOVE & SPECIAL SAUCE / SUGAR
メジャー・デビュー20周年、そして8年ぶりにオリジナル・メンバー集結となったGラヴ&スペシャル・ソース名義による最新作。彼らならではのラグ・モップ満載の快作!



第26位

RUTHIE FOSTER / PROMISE OF A BRAND NEW DAY
ミシェル・ンデゲオチェロがプロデュースしたルーシー・フォスターの最新作。人間のぬくもりを感じさせるオーガニックな質感と、ナチュラルなブラック・フィーリングが素晴らしい!



第27位

SHARON JONES & THE DAP-KINGS / GIVE THE PEOPLE WHAT THEY WANT
大病から見事カムバックを果たしたシャロン・ジョーンズ。ダイナマイトソウル健在の最新作。The Dap-Kingsの演奏も脂がのってて最高!!



第28位

JENNY LEWIS / THE VOYAGER
ジェニー・ルイスのソロ名義としては3作目となる作品。ドリーミーでポップなソフト・ソウル的な風味が気持ち良い。もちろんカントリー・フレイバーも。プロデュースはライアン・アダムス。



第29位

BLOODEST SAXOPHONE feat. JEWEL BROWN / ROLLER COASTER BOOGIE
日本が誇るジャンプ・バンド、ブラッデスト・サキソフォンと、ルイ・アームストロング楽団出身の大ベテラン・シンガー、ジュウェル・ブラウンのコラボ作。両者の相性がこれほどまでに良いとは!



第30位

GLEN DAVID ANDREWS / REDEMPTION
かのジェシー・ヒルの孫であり、トロンボーン・ショーティやジェイムス・アンドリュースとは従兄弟に当たるトロンボーン奏者、グレン・デヴィッド・アンドリュース。これぞニューオーリンズ。野太い歌声にも痺れます。

2014年 ベスト・アルバム リイシュー編

2015-06-21 21:16:30 | 2014年総括
さて、2015年も半分過ぎようとしている今日この頃、我がブログではまだこんなことやってます。という訳で、2014年総括企画、今回は2014年リイシュー/コンピ盤ベスト10です!


第1位

BOB DYLAN AND THE BAND / THE BASEMENT TAPES COMPRETE
文句無しの第1位! ボブ・ディラン&ザ・バンドの地下室です。これはルーツ音楽フリークにとっては待ってましたのお宝ですよね! ロックのルーツ回帰はここから始まったとされる地下室ですから。ディランのブートレッグ・シリーズが始まって以来、いつかは来ると思っていましたが、いざ、リリースされてみるとまさかの地下室!な衝撃でした。なにせCD6枚組、138曲ですから!!音質も演奏もいかにも内輪のセッションと言う感じですが、その「素」に近い質感が逆に堪りません。それにしてもこのヴォリュームと内容ですから、これを聴くのはほとんど旅に近いです。悠久の旅。私もまだまだ全貌を掴み切れていません。これを聴きながら67年当時のビッグ・ピンクに思いを馳せ、その後のロックの潮流へ目を向けるも良し、さらにルーツへ遡るも良し、1曲1曲、さまざまな扉が開かれる、そんなお宝です。


第2位

LONE JUSTICE / THIS IS LONE JUSTICE: THE VAUGHT TAPES, 1983
地下室さえ無ければ、これを第1位にドーンっと挙げることが出来たのに…。残念ながらの第2位は、私の愛するローン・ジャスティス。このデビュー前の音源は一部がベスト盤に収録されていましたが、まさかまだこんなに残っていたとは!!若きマリア・マッキーとバンドの溌剌としたカウ・パンクに痺れまくりです。出来ればこの時期のライヴ盤とか、ライヴ映像とか、発掘してくれるとさらに嬉しいのですが…。


第3位

THE ROLLING STONES / FROM THE VAULT L.A. FORUM (LIVE in 1975)
第3位はローリング・ストーンズの1975年LAフォーラム。今まで当ベストアルバム企画では映像作品は除外していたのですが、これだけは別とさせてください。このビリー・プレストンが居た時期のストーンズのライヴは、ず~っと観たくて観たくて仕方が無かった代物なのです。ストーンズの凄さは言わずもがなですが、歌い、踊るビリーの姿に感無量です。いやはや、ストーンズはいつの時期も最強!そしてビリーも最高!!


第4位

ALBERT KING / LIVE IN THE '70S
70年代のいくつかのライヴからよりすぐった未発表音源集。と言っても寄せ集め感はまったく無く、ライヴ盤として一つの流れで楽しめます。アルバート・キングの濃密なフィーリングのこもった多彩なチョーキングがたっぷり堪能出来ます。これぞブルースですよ!アルバート・キングの凄さを再確認しました。


第5位

VA / SWAMP POP BY THE BAYOU
ACEからのバイユー・シリーズ第7弾はスワンプ・ポップ! 正直、知らないアーティストが多いので、ソリッド・レコードさんがライナーの和訳を付けてくれたことは本当に感謝。ライナーを読みながら、ルイジアナの深~いスワンプ・ポップ世界にどっぷり浸かれます。


第6位

VA / YOU TALK TOO MUCH THE RIC & RON STORY VOLUME 1
こちらもACEから、ニューオーリンズの愛すべきレーベル「RIC」と「RON」のコンピ盤。このレーベルの編集盤は以前にも出ていますが、近年のACEらしい丁寧な仕事ぶりに拍手。プロフェッサー・ロングヘア、ジョニー・アダムス、アーマ・トーマス等々、珠玉のニューオーリンズR&Bの数々。あらためてRIC&RONのレーベル・カラーに舌鼓。続編も併せてどうぞ!


第7位

ELDRIDGE HOLMES / NOW, THAT I'V LOST YOU THE ALLEN TUSSAINT SESSIONS
ニューオーリンズ物が続きます。アラン・トゥーサンが60年代にプロデュースしたシンガー、エルドリッジ・ホルムズ。いくつかのレーベルに股がってタッグを組んで来たようですので、トゥーサンのお気に入りだったのかもしれませんね。サザン・フィーリング豊かな良い声しています。残念ながらシングルのみしかリリースしていないようですが、それをこうやってまとめて聴けるのは嬉しいかぎり。


第8位

COWBOY / 5'LL GETCHA TEN
2009年にドニー・フリッツが来日したとき、バック・バンドにスコット・ボイヤーが居らして、それ以来ず~っと聴きたかった、彼が在籍するカウボーイの2ndアルバムが遂に世界初CD化。これは快挙です!暖かいカントリー・ロック。デュエイン・オールマンもチラッと参加。


第9位

VA / COUNTRY FUNK II 1967-1974
2012年の我がリイシューベスト企画にて第1位とさせて頂いたLIGHT IN THE ATTIC産名コンピの第2弾! 第1弾に比べれば流石にインパクトは劣るものの、相変わらず目から鱗なカントリー・ファンクで楽しませてくれます。


第10位

JUNIOR WELLS / SOUTHSIDE BLUES JAM
バディ・ガイ、オーティス・スパン、ルイス・マイヤーズ、フレッド・ビロウ等が参加したジュニア・ウェルズのブルース・ジャムがボーナス・トラック追加でリイシュー。元々好きだったアルバムなので、デラックス化は大歓迎です!

2014年 天に召された偉人達

2015-06-08 23:43:56 | 2014年総括
昨年、2014年も沢山のアーティストが亡くなられました。ここに追悼いたします。


LITTLE JOE WASHINGTON / HOUSTON GUITAR BLUES
2014年11月12日 - リトル・ジョー・ワシントン
ダイアルトーンがテキサス・ブルース・シーンから全国に誇る怪人リトル・ジョー・ワシントン。2014年11月12日、75歳で亡くなられました。02年、パークタワーブルースフェスでの初来日公演はホント衝撃的でした。当時、観客のほとんどが彼のことを知らなかったはずで、いきなりブルース・シンガーとは思えないドレッドヘアが登場し、誰この人?という雰囲気の中、ギターを頭の上に乗せてドレッドをこすりつけたり、床に転がして足の裏で弾いたりとやりたい放題。その歌声や身のこなしも含めて全てが奇行のようでもあり、まるでブルースを逸脱していながらも、これぞブルースと拍手喝采を送りたくなる怪演でした。そして04年のフジロック。この時は足を怪我していたらしく車椅子に乗っての登場でしたが(来日直前に犬に噛まれたらしい…)、そんなハンデすらエグ味に変えてしまうようなエネルギッシュな演奏でフジロッカーズを沸かしてくれました。テキサス印な切れ味抜群のチョーキングがオレンジコートの夜空をビュンビュン切り裂いたあのステージは、個人的にフジロック史に残る名演でした。当時はダイアルトーンももの凄い人を発掘したもんだと驚嘆したものですが、実は60年代にも録音を残す大ベテランだったり。とは言え本格アルバム・デビューは初来日の翌年の03年、ダイアルトーンからリリースされた「HOUSTON GUITAR BLUES」(写真)でした。



THE MANNISH BOYS / THAT REPRESENT MAN
2014年11月2日 - ファイニス・タスビー
2014年11月11日 - ジョニー・ダイアー
ウエスト・コーストのブルース・シーンで活躍してきたベテラン・ブルースマン、ファイニス・タスビーとジョニー・ダイアーが、2014年11月に相次いで亡くなられました。ここ日本においては必ずしもメジャーな存在ではなかったかもしれませんが、お二人ともその長い活動歴の中で、80年代以降はリーダー作もリリースし、近年は西海岸のブルース・アーティストが集まったオールスター・バンド、ザ・マニッシュ・ボーイズに参加し、ヴォーカリストとして存在感を発揮していました。実は私も、そのマニッシュ・ボーイズでお二人の名を知ったんですけどね。写真はそのマニッシュ・ボーイズのデビュー・アルバム。04年の作品。リーダー格のファイニス・タスビーの黒光りする歌声はもちろん、この頃はまだゲスト参加だったジョニー・ダイアーも素晴らしい歌とハープを聴かせてくれています。



BOBBY WOMACK / COMMUNICATION
2014年6月27日 - ボビー・ウーマック
2014年6月27日、70歳で亡くなられたラスト・ソウルマンことボビー・ウーマック。60年代初頭、サム・クックのレーベル「SAR Records」からデビューして以来、音楽史に凛然たる足跡を残してきた伝説的ソウルマン。シンガーとしてはもちろん、ギタリスト、ソングライターとしても活躍してきました。代表作は「COMMUNICATION」、「UNDERSTANDING」、「ACROSS 110TH STREET」、「THE POET」など。また近年はデーモン・アルバーンとのコラボレーションや、2度に渡る来日公演でラスト・ソウルマン健在を印象づけてくれました。写真は71年の名盤「COMMUNICATION」。マスルショールズ産の南部フィーリングと時代の先鋭たるニューソウル感が見事に溶け合った、この時代を代表する傑作の一枚。名曲「That's The Way I Feel About Cha」が素晴らしいのはもちろん、「(They Long to Be) Close to You」のカヴァーも絶品。



JIMMY RUFFIN / RUFF'N READY
2014年11月17日 - Jimmy Ruffin
2014年11月17日、「What Becomes of the Brokenhearted」などのヒット曲を持つモータウンのシンガー、ジミー・ラフィンが亡くなられました。78歳だったそうです。あまりにも有名な弟、デヴィッド・ラフィンの影に隠れがちではあったかもしれませんが、兄ジミー・ラフィンも、柔らかさと力強さを併せ持つ、味わい深いシンガーでした。写真は69年、モータウン傘下のSOULからリリースされた3rd作「RUFF'N READY」。


HI RHYTHM / ON THE LOOSE
2014年6月22日 - メイボン・ティーニー・ホッジス
2014年6月22日、メンフィスはハイ・レコードの屋台骨、ハイ・リズムのギター奏者メイボン・ティーニー・ホッジスが、ダラスの病院で亡くなられました。肺気腫だったそうです。享年68歳。兄のリロイ・ホッジス(b)、弟のチャールズ・ホッジス(org) そしてハワード・グライムス(ds)、アーチー・ターナー(p)達と組んだリズムセクションはハイ・リズムと呼ばれ、アル・グリーン、アン・ピープルズ、オーティス・クレイ等のバックを務めるなど、メンフィス・ソウルのリズムを担いました。また、メイボン・ティーニー・ホッジスはソング・ライターとしても手腕を発揮し、例えばソウル史に残る名曲「Take Me to the River」は彼とアル・グリーンの共作でした。写真はハイ・リズム名義となる唯一のアルバム「ON THE LOOSE」。76年の作品。



JOHNNIE TAYLOR / WHO'S MAKING LOVE
2014年6月5日 - ドン・デイヴィス
デトロイト・ソウル界の大物プロデューサー、ドン・デイヴィスが2014年6月5日、75歳で亡くなられました。彼が手掛けたアーティストは、ドラマティックス、デルズ、ソウル・チルドレン、デヴィッド・ラフィンなどなど、枚挙にいとまがありませんが、なかでもジョニー・テイラーが有名。名曲「Who's Making Love」(68年)を皮切りに、「Jody's Got Your Girl and Gone」(72年)、「I Believe in You (You Believe in Me)」(73年)、「Disco Lady」(76年)など、数々のヒット曲を生み出し、名シンガーの躍進を支えました。これらの曲ではプロデュースだけでなく、ソングライターとしてもドン・デイヴィスの名がクレジットされています。またジョニー・テイラーやドラマティックスなど、彼の代表的作品はメンフィスのスタックス系でのものが多かったりと、北部と南部を繋いだ革新的なプロデューサーでした。写真はドン・デイヴィスがプロデュースし、ジョニー・テイラーの出世作となった「WHO'S MAKING LOVE」。68年、スタックスからのリリース。



FLOYD TAYLOR / SHUT UM DOWN
2014年2月20日 - フロイド・テイラー
そして、そのジョニー・テイラーの御子息フロイド・テイラーも、2014年2月20日に亡くなられました。享年60歳。『キャリア最高傑作』とも賞された最新作「SHUT UM DOWN」(写真)のリリース数ヶ月後の訃報でした。これからますますの活躍が期待されただけに残念でなりません。



TABBY THOMAS / DRINKING BLUES
2014年1月1日 - タビー・トーマス
ルイジアナ州バトンルージュ生まれのスワンプ・ブルースマン、タビー・トーマス。年明けすぐの訃報でした。享年84歳。一般的にはメジャーな存在ではないかもしれませんが、1950年代から活動し、‘King of the Swamp Blues,’とも賞される、愛すべきルイジアナのブルースマンでした。ちなみにクリス・トーマス・キングは彼の息子です。



VA / CRACKING THE COSIMO CODE
2014年9月11日 - コズィモ・マタッサ
ニューオーリンズにて伝説的なスタジオとなる「J&Mスタジオ」、「コジモ・スタジオ」を経営し、自らエンジニアも務めたコジモ・マタッサ、2014年9月11日、88歳で亡くなられました。デイヴ・バーソロミューを中心としたハウス・バンドを従え、ファッツ・ドミノ、ロイド・プライス、プロフェッサー・ロングヘア、ヒューイ・スミス、アール・キング、エディ・ボー、アラン・トゥーサン等々、ありとあらゆるニューオーリンズのアーティストがこのスタジオで録音しヒットを量産しました。まさにニューオーリンズR&Bの歴史を育んだスタジオであり、コジモ・マタッサはその立役者でした。またリトル・リチャードが「Tutti Frutti」や「Long Tall Sally」他、彼の代表曲となる楽曲群をここで録音したことは有名ですし、レイ・チャールズやサム・クックも本格ブレイク前にこのスタジオでレコーディングしています。



LIONEL FERBOS WITH LARS EDEGRAN'S NEW ORLEANS BAND / LIONEL FERBOS WITH LARS EDEGRAN'S NEW ORLEANS BAND
2014年7月19日 - ライオネル・ファーボス
アメリカ最高齢の現役ジャズ・ミュージシャンと呼ばれていたライオネル・ファーボスが、2014年7月19日、ニューオーリンズの自宅で亡くなられました。その2日前に103歳になられたばかりでした。



LITTLE JIMMY SCOTT / EVERYBODY'S SOMEBODY'S FOOL
2014年6月12日 - ジミー・スコット
2014年6月12日、ジャズ・シンガーのジミー・スコットがネバダ州ラスベガスの自宅にて亡くなられました。88歳。遺伝性のホルモン疾患により変声期を迎えなかったことが奇跡の歌声となり、その美しさはまさにジャズ界の至宝でした。ですが90年代に復帰を果たすまでは、20年以上に渡り不遇の時代を過ごしたことでも知られます。写真は彼がまだリトル・ジミー・スコットと呼ばれたデビュー当時の録音を集めたもので、1950年にライオネル・ハンプトン楽団の一員として録音した「Everybody's Somebody's Fool」始め、その素晴らしさは60年以上たった今でも色褪せません。


PACO DE LUCIA / SIROCO
2014年2月26日 - パコ・デ・ルシア
ジャズやフュージョンとのクロスオーバーな活躍でも知られる偉大なるフラメンコ・ギタリスト、パコ・デ・ルシアが、2014年2月26日、滞在していたメキシコで亡くなられました。心臓発作だったそうです。享年66歳。まだ若かったですね…。私は91年にオーチャードホールでパコ・デ・ルシアのライヴを1度だけ観たことあるのですが、そのアーティスティック且つ情熱的なプレイに圧倒されたのを覚えています。



THE CRUSADERS / THOSE SOUTHERN KNIGHT
2014年4月4日 - ウェイン・ヘンダーソン
2014年9月12日 - ジョー・サンプル
70年代におけるフュージョン・シーンの看板グループだったザ・クルセイダーズ。そのオリジナル・メンバーだったウェイン・ヘンダーソン(Tromborn)、ジョー・サンプル(Keyboards)の2人が、それぞれ2014年4月4日、9月12日に相次いで亡くなられました。ウェイン・ヘンダーソンは74歳、ジョー・サンプルは75歳だったそうです。フュージョンに疎い私ですが、ジョー・サンプルは2011年と2012年の2度、クレオール・ジョー・バンドで来日した際にブルーノートへ観に行きました。ジョー・サンプル自身もアコーディオンを弾き、ザディコの楽しさを日本のファンに伝えてくれる素晴らしいステージでした。その時はまさか2年後に亡くなられてしまうとは、夢にも思いませんでした…。写真はザ・クルセイダーズの、ウェイン・ヘンダーソン在籍最後となった76年作「THOSE SOUTHERN KNIGHT」。ジョー・サンプルの「Spiral」、ウェイン・ヘンダーソンの「Keep That Same Old Feeling」は名曲ですね。



HORACE SILVER QUINTET / THAT HEALIN' FEELIN'
2014年6月18日 - ホレス・シルヴァー
2014年6月18日、ホレス・シルバーがニューヨーク州ニューロシェル市の自宅で亡くなられました。享年85歳。50~60年代のモダン・ジャズを牽引し、ファンキー・ジャズの第一人者でもあったジャズ・ジャイアント。写真は70年録音のソウル・ジャズ作品。ホレス・シルバーの弾くソウルフルなエレピが格好良い!



JOHNNY WINTER / CAPTURED LIVE!
2014年7月16日 - ジョニー・ウィンター
100万ドルのブルース・ギタリストこと、ジョニー・ウィンター。2014年7月16日、滞在中のスイス・チューリッヒのホテルにて亡くなられました。享年70歳。全盛時代の活躍は言わずもがなですが、我々日本人にとっては、”奇跡”とも言える2011年の初来日以降、度々日本を訪れてくれたことが印象深いですね。私も観に行きましたが、あの初来日の興奮はホント凄かった! 特にアンコール、ファイヤーバードを手にスライドをびゅんびゅん唸らせての「Dust My Broom」と「Highway 61 Revisited」は圧巻でしたね。写真は76年の名ライヴ盤にして代表作「CAPTURED LIVE!」。



JACK BRUCE / THINGS WE LIKE
2014年10月25日 - ジャック・ブルース
元クリームのベーシスト/ヴォーカリストのジャック・ブルースが2014年10月25日に亡くなられました。享年71歳。肝臓の病気を患っていたそうです。クリームの活動期間は66年からおよそ2年半程度の短いものでしたが、その活動がその後のロックに与えた影響は計り知れません。また解散後もジャック・ブルースは、ソロ活動、バンド結成、多彩なセッション参加を通じ、クロスオーバーした多彩なジャンルに股がる特異なベーシストとしての地位を築き上げました。近年のクリーム再結成も記憶に新しいですね。写真は70年リリースのソロ作「THINGS WE LIKE」。



JOE COCKER / MAD DOG & ENGLISHMEN
2014年12月22日 - ジョー・コッカー
イギリスが生んだ個性派シンガー、ジョー・コッカー。2014年12月22日、アメリカ・コロラド州の御自宅で亡くなられました。70歳だったそうです。ウッドストック・フェスでの名唱や、映画「愛と青春の旅だち」の主題歌などが特に有名ですね。私もウッドストックのビデオで初めてジョー・コッカーの歌を聴き、その荒々しくもソウルフルな歌唱に衝撃を受けたくちです。そして忘れてならないのがレオン・ラッセル一派をバックに従えた「MAD DOG & ENGLISHMEN」ですよね。映画にもなりましたがスワンプ好きにはマストな名ライヴ盤です。



THE ROLLING STONES / STICKY FINGERS
2014年12月2日 - ボビー・キーズ
その「MAD DOG & ENGLISHMEN」にも参加している名サックス・プレイヤー、ボビー・キーズが2014年12月2日、テネシー州ナッシュヴィルの自宅で亡くなられました。肝硬変を患っていたそうです。享年70歳。スワンプ・ロック周辺はもちろん、ジョン・レノンからB.B.キング、マーヴィン・ゲイまで、ありとあらゆるアーティストのバックを務めて来たボビー・キーズ。ソロ・アルバムもリリースしている彼ですが、やはり最も有名なのはローリング・ストーンズでしょう。特に「Sticky Fingers」収録の「Brown Sugar」におけるサックス・ソロは彼の代名詞とも言える名演ですね。昨年の来日公演でも彼がこの曲でソロを吹くと盛り上がりました。あれから1年を経ずしての訃報は信じられませんでした…。



FACES / FIRST STEP
2014年12月3日 - イアン・マクレガン
ローリング・ストーンズ関係者がもう一人。鍵盤奏者のイアン・マクレガンが2014年12月3日、脳卒中による合併症により亡くなられました。69歳でした。ストーンズ作品では「SOME GIRLS」や「STILL LIFE」等に参加しています。ですが、やはりイアン・マクレガンと言えば、スモール・フェイセス~フェイセズでの活躍が有名。写真はフェイセズとしてのデビュー・アルバムとなった70年作「FIRST STEP」。私は93年にロン・ウッドが単独来日した際に、バンド・メンバーとして参加していたイアン・マクレガンを観ることが出来ましたが、2011年に再結成フェイセズがフジロックに出演したのを見逃してしまったのが悔やまれます。



JESSE WINCHESTER / JESSE WINCHESTER
2014年4月11日 - ジェシ・ウィンチェスター
ルイジアナ生まれのシンガー・ソングライター、ジェシ・ウィンチェスターが、2014年4月11日に亡くなられました。69歳。食道がんを煩っていました。写真は、ロビー・ロバートソンのプロデュースのもと制作された70年のデビュー・アルバム。カナダで録音されながらもウッドストック系の重要作と評価される傑作ですね。なお、私は未聴ですが、2014年には新作「A REASONABLE AMOUNT OF TROUBLE」をリリースし、グラミー賞にもノミネートされていました。



PHIL EVERLY / STAR SPANGLED SPRINGER
2014年1月3日 - フィル・エヴァリー
エヴァリー・ブラザースの弟、フィル・エヴァリーが2014年1月3日に亡くなられました。享年74歳。1950年代後半から60年代にかけて、「Bye Bye Love」「Wake Up Little Susie」「All I Have to Do Is Dream」「Bird Dog」など数々のヒット曲を出した兄弟デュオ、エヴァリー・ブラザーズ。カントリーとロックンロールをポップに融合した瑞々しいハーモニーは、ポップ/ロック史に残る永遠の財産といえるでしょう。写真はデュオ解消後、73年にリリースされたフィル・エヴァリーの1stソロ作。爽やかでソフトなSSW作品として人気を博している好盤。バックにはデュアン・エディ、ウォーレン・ジヴォン、ジェームス・バートン、バディ・エモンズ、アール・パーマーなども参加。



PETE SEEGER / PETE SEEGER'S GREATEST HITS
2014年1月27日 - ピート・シーガー
2014年1月27日、「アメリカンフォークの父」と賞されるピート・シーガーがニューヨーク市の病院で亡くなられました。享年94歳。老衰だったそうです。米フォークシーンの象徴的存在だったピートー・シーガーの死には、フォークという一つ時代の終焉を感じさせられると共に、彼が及ぼした多大な影響が米ルーツ・ミュージックを大河のような大きな流れへと導いたであろうことを、あらためて実感させられました。



VA / GOFFIN AND KING SONGBOOK
2014年6月19日 - ジェリー・ゴフィン
2014年6月19日、キャロル・キングとのコンビでブリルビルディング系ライターの代表格として知られるジェリー・ゴフィンがロサンゼルスの自宅で亡くなられました。75歳だったそうです。60年代にゴフィン&キングとして「The Locomotion」「Will You Still Love Me Tomorrow」「Pleasant Valley Sunday」など、数えきれない程の名曲を産み落としました。また、70年代にはマスルショールズヘ赴き、ブルースやカントリーなど南部に傾倒したソロ作も製作し隠れスワンプ名盤となっています。写真はゴフィン&キング作の名曲コンピ。



今年も大物達の訃報が続き哀しい限りですが、昨年も沢山の方が亡くなられました。ここで追悼させて頂いたのは、多少でも私が個人的に思い入れのあるアーティストだけではありますが、あまりにも沢山のアーティストが亡くなられていたことに、あらためて驚いています。

みなさま、安らかに。

2014年 ブライテストホープ

2015-01-16 20:20:37 | 2014年総括
ST. PAUL & THE BROKEN BONES / HALF THE CITY

2014年総括企画、今回はブライテストホープ、いわゆる新人賞です。

昨年も沢山の新人さんがデビューして、私もおそらく色々聴いているんだとは思いますが、あまりにも各ジャンルから続々とニューフェイスが登場するもんですから、いまさら頭の整理がつかない状況で、かえって昨年のブライテストホープ?誰が居たっけ?っていう感じだったりするなか、このグループだけは、圧倒的な衝撃度で脳裏にこびりついております。

その名もセイント・ポール&ザ・ブロークン・ボーンズ。

まあ、なんて言いますかこのジャケットのインパクトですよ!ちょっぴり太めで、眼鏡に蝶ネクタイ、そしていかにもシャウト絞ってますって感じのこのヴォーカリスト、なんかラヴリーですよね。対照的に、楽器も持たずにただ微笑んでるバンドメンバーもなんか不思議。

米アラバマ州から登場した6人組(7人組?)のサザン・ソウル・バンド。初めてその音を聴いたとき、今時こんなバンドが居るなんて!と驚愕したものです。フロントマンのポール・ジェインウェイは幼い頃から教会でゴスペルを学び、牧師になることを目標にしていたとか。流石にその鍛え上げられた喉はまさに本格派。塩辛いシャウトから滲み出るようなスイートなソウルフィーリングが堪りません。このルックスにしてこの声ありです。期待を裏切りません。

そしてバンドがまたいい音を出すんです。1曲目「I'm Torn Up」からタメの効いたスローグルーヴにやられます。そしてジワジワと寄せては引くようなホーンアレンジはまさに南部マナー。さすがアラバマ出身だけありサザン・ソウルのツボを心得ています。「Call Me」や「Like A Mighty River」のようなリズムの立った曲も格好良いですし、まるでモータウンのような「Sugar Dyed」も面白い。この曲でのはち切れんばかりなポール・ジェインウェイの歌唱も最高ですが、彼の魅力が際立つのはやはり「Broken Bones & Pocket Chnage」や「Grass Is Greener」、「Let It Be So」、「Dixie Rothko」などのスローナンバーです。ホント、昨今珍しい個性ですよ!!

ちなみにこのアルバム、録音はマッスルショールズのナットハウス、そしてミックスはFAMEで行われたそうです。さらにプロデューサーは、あのアラバマ・シェイクスの鍵盤奏者ベン・ターナーですからね。アラバマ・シェイクスもそうですけど、伝統的な古き良き南部のサウンドを、現代にどう鳴らすか?というところで、単なる焼き直しではない、これからに向けての勢いを感じさせてくれます。とは言え、アラバマ・シェクスなんかに比べると、断然オーソドックスな雰囲気ですけどね。



https://www.youtube.com/watch?v=v4ubJZWPqKY
「I'm Torn Up」。いやはや、ライヴも凄そう!

https://www.youtube.com/watch?v=z7s9A3s8iv8
「Call Me」。土っぽいグルーヴが最高!ポール・ジェインウェイのダンスにも注目。

2014年 ベストライヴ

2015-01-05 19:42:33 | 2014年総括
ROBERTO FONSECA / YO

年も明けたことですし、2014年総括特集に手を付けようかと。なんて言いながら去年はベストアルバム企画を5月に書くという体たらくでしたからね。どうしましょ?いや、今年は頑張ります。と言う訳でまずはライヴから。昨年も貧乏なりに色々なライヴを観ました。その中でも印象的だったのは以下のような感じ。



デリック・ホッジ@ブルーノート東京X 1/11
エドマール・カスタネーダ & ゴンサロ・ルバルカバ@ブルーノート東京 1/12
ファンキー・ミーターズ@ビルボードライヴ東京 1/18
黒田卓也&ホセ・ジェイムス@渋谷タワーレコード 2/13
ストーン・ファンデーション@Cafe 104.5 2/14
ローリング・ストーンズ@東京ドーム 3/4
ロベルト・フォンセカ@ブルーノート東京 3/19
BING JI RING @渋谷タワーレコード 3/24
ダイアン・バーチ@ビルボードライヴ東京 3/26
TIN MEN@横浜THUMBS UP  4/8
横浜ジャグ・バンド・フェスティヴァル@横浜VIVRE前広場 4/12
NAO YOSHIOKA & BRIAN OWENS@JAZZ AUDITORIA 2014 4/29
BLITZ AND SQUASH BRASS BAND feat. Travis "Trumpet Black" Hill@肉フェス 5/4
マーク・リボー無声映画ライヴ「THE KID」@バウスシアター 5/5
上原ひろみ「ALIVE」発売記念イベント@duo MUSIC EXCHANGE 6/4
アレッシーズ・アーク@恵比寿BATICA 6/20
AYO & JASZ @アンスティチュ・フランセ「音楽の祭日」 6/21
デヴィッド・T.ウォーカー tribute to マーヴィン・ゲイ@ビルボードライヴ東京 7/10
FUJI ROCK FESTIVAL@苗場スキー場 7/24~27
SUMMER SONIC@QVCマリンフィールド&幕張メッセ 8/16
ドナルド・ハリソン・クインテット@コットンクラブ 8/27
東京JAZZ@東京国際フォーラム 9/6
マウントシュガー@阿佐ヶ谷 barトリアエズ 日曜音楽バー「アサノラ」 9/7
スウィート・ジョージア・ブラウン@ブルーノート東京 9/30
ONE TIME BRASS BAND @ 荻窪GUNBA 10/10
ジェフ・ラング@渋谷タワーレコード 10/13
Peter Barakan's LIVE MAGIC!@恵比寿ガーデンホール 10/25~26
ミーターズEXPERIENCE@ビルボードライヴ東京 10/28
新宿トラッドジャズフェスティバル@新宿三丁目界隈 11/15
プリシラ・アーン@めぐろパーシモンホール 12/3
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト@川口総合文化センター リリア 12/16
マウントシュガー@恵比寿カチャトラ 12/18
レキシ対オシャレキシ@豊洲PIT 12/28


ベストアクトを選ぶのはなかなか難しいのですが、総合的には何と言ってもフジロックです!特にプリザベーション・ホール・ジャズ・バンドが来てくれたのは嬉しかったですね。もちろんライヴも最高でしたし、凄く盛り上がったのがまた嬉しかった!単独公演で圧倒されたのはブルーノートで観たロベルト・フォンセカ。あのライヴは本当に素晴らしかった!何せ見終わった瞬間、まだ3月にして今年のベストライヴ決定か?なんて思ったぐらいですから。まあ、実際にベストライヴになりましたけどね。そしてPeter Barakan's LIVE MAGIC!も、今後への期待も含めて天晴でした。あとは、ファンキー・ミーターズ、ローリング・ストーンズ、ティン・メン、ファースト・エイド・キット、アークティック・モンキーズ、アレッシーズ・アークなんかも印象的でした。そして忘れてならないのが上原ひろみ。トリオ・プレジェクト、ミッシェル・カミロとのデュオ、さらにレキシ対オシャレキシと、色々と楽しませてくれました。特に今年を締めくくったレキシ対オシャレキシのライヴは最高でしたね!