ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

チック・コリア&上原ひろみ@ブルーノート東京

2007-09-27 14:33:56 | ジャズ

9月26日、行ってきました! チック・コリア&上原ひろみを観にブルーノート東京へ。本当にスペシャルな夜でした。正直あんなに真剣にジャズを聴いたのは初めてかもしれません。元々今年のフジロックで上原ひろみのステージを観て感動したのが今回の公演を観るきっかけでした。フジとは違う上原ひろみを観たいと…。

さて、私が観たのはこの日の1stショー。チケットを取るのも大変でした。ブルーノートと言うと、私の場合はほとんどブルース系ばかりなせいか、チケットを取るのに苦労した経験などありませんでした。なのでこの公演も余裕で取れるものと思っていたのですがそれが大間違い。チケット発売日、仕事の昼休みに電話しまくってもまったく繋がらず、諦めかけた休み時間終了間際に突然繋がったときは「奇跡が起きたー!」と思いましたよ!しかもチケットは既にほぼ売り切れ。26日の1stショーのみなら取れると言うことで、迷わず取ったのでした。

そして公演当日、並々ならぬ気合のもと、かなり早くから並んだおかげで結構良い席に座ることが出来ました。実はこの席も迷ったんです。せっかくだから今後もう見る機会が無いかもしれないチック・コリアの近くに座るべきか?それともデュオを楽しむために中央に座るべきか?しかし結局係の人に「どちら側の席がいいですか?」と聞かれ「上原ひろみさん」と即答…。で案内されたのが上原ひろみの真横でかなり前の方。なんの障害物もなく彼女の全身が見える位置。もちろん鍵盤もばっちり。ただ表情が横顔中心になってしまうのがちょっと難点でしたが…。


狭いステージにドーンと並べられた2台のヤマハ・グランドピアノを前に待つこと1時間半。客電が落ちいよいよ二人が登場。チック・コリアと上原ひろみがステージに上がっただけでもう感激でした。チック・コリアには疎い私ですが、彼がどれだけ偉大で素晴らしいアーティストかは知っています。そして俄かファンではありますが大好きな上原ひろみ。もう夢のようです。すぐそこに居るんですよ!

チック・コリアの暖かみとユーモアのある挨拶。その間、上原ひろみは少し緊張したような表情。そして始まったのはチック・コリアの「Windows」(たぶん…)。上原ひろみのチック・コリアを見つめる真剣な眼差しから、彼の音を一音たりとも聞き逃さず、そして瞬時に反応出来るよう全身の神経を尖らせているのがヒシヒシと伝わってきます。そして時に顔を歪めたり、かと思えば笑みをこぼしたり、相変わらず表情豊か。そして全身全霊で弾く姿はまさに上原ひろみ! やっぱりこの人はジャズでも熱い! そしてソウルフル!

曲目については私には良く分かりませんでしたが、そんななか最も印象深かったのは私でも良く知っているビートルズの「Fool On The Hill」。即興風に崩されたあのメロディーが二人の想像力によって斬新に生まれ変わった感じ。あの曲がこうなるかと…。どうなったかは言葉では言い表せません。ごめんなさい…。

あとは上原ひろみが映画『オリオン座からの招待状』のために書いたという「Place To Be」、それとアルバム「SPIRAL」からの曲も演ったかな?もちろんチック・コリアの曲も。最後のアンコールは名曲「Spain」でした。計7曲、あっという間の1時間20分程でした。

それにしてもピアノというのは本当に表情豊かで躍動感溢れる楽器だとあらためて感じさせられました。そしてデュオならではの打々発止のスリルとアンサンブルの美しさ。それは二人の会話や息遣いを音で表現したような世界でもあり、何かの物語のようでもあり、そして全てが即興のようにも聴こえたその音の絡み合いは刺激的に目まぐるしく、複雑にクロスしていました。

私は位置的にどうしても上原ひろみの手を見てしまうので、耳も上原ひろみの音を追ってしまいます。いや、あのチック・コリアがそこで弾いているのだから彼のピアノを堪能しなくてはと、彼がソロを弾いている時に敢えて目を閉じてチックの音に耳を傾け、しばらく後に目を開けたらソロを弾いているのは上原ひろみでしたから…。え?いつの間に…。

この日は二人のデュオの最終日だったので、上原ひろみは「今日で終わっちゃうのが寂しい」見たいな事を何度も言っていました。ステージで見せた二人の姿は、才能の全てをぶつけようとする若き娘と、その才能を愛しそれを暖かさと包容力で受け止める偉大な巨匠と言った感じ。しかし実際はチック・コリアがあの手この手で次々と上原ひろみの才能の扉を開けていくかのような、そんなコンサートだったのかもしれません。

フジロックとはまったく違う上原ひろみでありながら、やっぱり上原ひろみは上原ひろみ以外の何者でもない上原ひろみでありました。



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 07. 9.03 上原ひろみ結婚! 
 07. 8.06 フジロック07 第2位(HIROMI'S SONICBLOOM@オレンジコート)
 05. 8.25 フジロック05 第4位(上原ひろみ@オレンジコート) 




メイシオ・パーカー@ビルボードライブ東京

2007-09-20 18:43:51 | ソウル、ファンク
THE JB HORNS / FUNKY GOOD TIME IN TOKYO

行ってきました! 9月16日、メイシオ・パーカーのライブを観に六本木のビルボードライブ東京へ。しかも今回は久々にフレッド・ウェズリーとピー・ウィー・エリスを伴っての来日ということで、期待に胸膨らませていきました。

この3人は60年代から70年代に掛けてジェイムス・ブラウンのバックを支えたホーン隊。といっても参加時期は微妙にずれていたり、出たり入ったりがあったりで3人揃った時期は意外と短いんですけどね。それでもそれぞれがJBバンドのリーダー的存在を勤めた凄腕達なのです。

で、彼等は80年代末にJBホーンズとして活動を始めます。90年代には何度も来日しました。その頃私は黒人音楽にどっぷりで(今もですが…)、特にこの3人こそがフェイヴァリット・アーティストでした。もちろん来日公演も何度か行きました。それは最高でした! ですが、いつしかメイシオとフレッドだけになり、そしてメイシオ一人になり、それでもメイシオのブルーノート公演とか、フレッドのJB'Sリユニオンとか、足を運びましたけどね。でもなんか寂しかったんですよ。で、いつしか彼等の来日公演もスルーするようになって早幾年…。

ですが今回はあの3人が揃って来る!それを知り心が躍りましたね。ま、そんな私の思いはともかくとして、この日のライブです! 私が観たのは9月16日第1部のステージでした。

客電が落ちるとまずはバンド・メンバーが登場。最近のメイシオを支えるお馴染みのメンバー達です。ギターはSOSバンド出身のブルーノ・スペイト、キーボードは今年の東京JAZZにも出演するウィル・ブールウェア、ベースはP-FUNK一派のロドニー・スキート・カーティス、バック・コーラスにJBファミリーの歌姫マーサ・ハイとメイシオの息子でラッパーでもあるコーリー・パーカー、そしてドラムにジャマル・トーマス。凄いバンドです!

さて、ステージはキーボード・ソロに導かれて「Fiesta」という曲でスタート。そしておもむろに登場した女性MCがあの3人を紹介。するとフレッドとピーウィーがまず登場し、最後に真打メイシオが姿を現します。客席は大盛り上がり。3人の並びはステージ中央にメイシオ、向かって左にフレッド、さらにその左にピーウィー。センターに3人が並んでないあたりに、あくまでも主役はメイシオであり、二人はゲスト扱いなんだな、と感じさせますが、この3人が並んでるだけでも感激物なのです。そして挨拶代わりの「Off The Fook」で3人が一斉にホーンを「パーン!」と吹いた瞬間「ウォー!」って感じ。堪りません!

バック・バンドも流石にファンキーでした。特にブルーノ・スペイトのギターにやられました。細かいコード・チェンジを繰り返しながらチャカチャカ、チャカチャカと、涼しい顔で強烈なカッティングを続けます。これがまた超ファンキー&グルーヴィー! 全てのノリを彼のカッティングが支配していたような印象。

そんな凄腕のバックに支えられ、全体的に流石はメイシオといった感じの完璧に錬られたステージ展開。JBホーンズらしい明るさに貫かれていながら演ってることはドロドロのファンクだったりする訳で、ホーンリフからギターカッティング、そしてサビ、ソロで盛り上げさらにホーンリフ、みたいなアメーバ的展開が気持ち良くビシバシと決まります。しかも途中「Papa's Got a Brand New Bag 」のキメ部分をスカっと挟み込んだりといったニヤけずには居られない仕掛けも有りな訳ですよ。そして主役となるメイシオはアルト・サックスを衰え知らずなキレで吹きまくり、さらにはフルート・ソロまで披露と、かなりノリノリ。

ですが一番印象に残ったのは必殺のスロー・ナンバー「Children's World」。この曲はもちろんメイシオの曲で、イントロが聴こえた瞬間、私はてっきりメイシオが吹くものだと思ったのですが、ここでメイシオは意外にもピー・ウィー・エリスを紹介しました。そしておもむろにマイクに近づくピーウィ-。お~!スロー・ナンバーでピ-ウィ-ですか! じっくりと聴き入りました。

ピーウィーのテナー・サックス、良い音してました。最初は咽び泣くように低音をブファブファ鳴らし、徐々に徐々に高い音へフレージングを展開して行きます。終盤は狂おしい程の高音を絞り上げるように泣かせ、観てるこっちもついウルウルみたいな。まさに独壇場。本当に素晴らしかったです。

終盤の見せ場は「Gimme Some More」。フレッド・ウェズリーの“これぞJB’S”なトロンボーン・ソロがカッコ良かった。やっぱりJB’Sの曲は盛り上がります。そしてフレッドはその微妙に可愛いキャラもあって人気者でした。ちなみにメイシオとピーウィーはスーツにネクタイでビシッと決めてきましたが、なぜかフレッドだけスーツを着てはいるもののノーネクタイでした。そんなところもフレッドらしい?

そしてアンコールも凄かった!「Funky Good Time」「Pass the Peas」「Soul Pawer」と怒涛の展開。途中、フレッドのソロへ入る時、メイシオが観客に『フレッド!』『フレッド!』と叫ばせ、するとフレッドが『え?俺?俺が吹くの?』みたいな顔とフリをする。お約束の演出ですけどこれが楽しい! そして満を持してフレッドがソロを吹き始める。また観客が『ウォー!』と沸く。こういうコテコテさもファンクの良いところ。アンコール含めておよそ1時間20分程のショーでしたが、短いなりに非常に濃い内容でした。

やっぱりこの3人は良いですね。今回はやはり主役はメイシオで2人はゲストという印象も強く受けましたが、それでもこの3人が揃えば何か特別な空気が生まれるのです。90年代のJBホーンズの空気はもちろん、あのJB'Sの空気まで…。

ちなみにJB'S時代の「Gimme Some More」や「Pass the Peas」のオリジナル録音には、ピーウィーはもちろんメイシオすら参加してないんですけどね…。でも今や3人の共有財産のようになっているところも特別な空気のなせる業かもしれません。

ちなみに他の日にはマーサ・ハイが歌う「Think」や、レイ・チャールズの「Georgia on My Mind」などを演ったりと、かなりプログラムを変えているようです。あ~、それも聴きたかった…。


*写真のアルバムは90年にJBホーンズとして来日した際のライブ録音盤「FUNKY GOOD TIME IN TOKYO」。この頃はピーウィーがセンターだったんです。3人はもちろん、ジム・ペインのドラムがファンキーでいいです。

ボビー・バード逝去

2007-09-19 11:23:26 | ソウル、ファンク
BOBBY BYRD / BOBBY BYRD GOT SOUL

2007年9月12日、ジェイムス・ブラウンの右腕と知られるボビー・バードが亡くなられたそうです。享年73歳。癌だったそうです。

ボビー・バード、1934年ジョージア州の生まれ。ジェイムス・ブラウンの合の手役として、特に「Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine」で、ブラウンの「ゲロッパ!」に対しすかさず「ゲロウナ」と返す人として有名です。もちろんそれだけでは有りませんし、ひょっとしたらボビー・バードなくしてジェイムス・ブラウンはなかったかも…、なんて書いてみたり。

ジェイムス・ブラウンとボビー・バードの出合いは、ブラウンが窃盗によりいわゆる少年院で服役中の時でした。塀の中のブラウンと外のバードがどのように出会ったかは諸説有ると思いますが、とにかく二人は出会い、惹かれあったのです。そしてブラウンの仮釈放の際、バードの家族が保証人となったとか。さらにブラウン仮釈放にはゴスペルを歌うことが条件となっており、ボビー・バードのゴスペル・グループに加入することになったのです。まだ二人が10代後半の頃の話です。ですがこれが後のフェイマス・フレイムスとなる訳ですから、その後長く続く帝国、JBファミリーが産声をあげた瞬間かもしれません。

JBファミリー内にあってボビー・バードはヴォーカリストとしてはもちろん、時にはピアノやオルガンも担当しました。さらには例の「Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine」をはじめ「Talkin' Loud & Sayin' Nothing」、「Licking Stick-Licking stick」、「Lost Someone」などではソングライターとしてもクレジットされています。もちろんリード・ヴォーカルはジェイムス・ブラウンですから、あくまでも影の存在ではありますけどね…。

そんなボビー・バードも実はソロでの録音をかなり残しています。デビュー曲は63年の「I Found Out」。それ以降60年代から70年代にかけて代表曲「I Know You Got Soul」をはじめ数々のシングル曲を発表しています。もちろんソロといってもほとんどJB傘下での活動ですけどね。そして70年にはJBファミリーの歌姫ヴィッキー・アンダーソンと結婚しています。ちなみにこのヴィッキー・アンダーソンとボビー・バードとの間に生まれた娘が、90年代のアシッド・ジャズ・シーンを代表する女性シンガーの1人、カーリーン・アンダーソンです。

バードは72、3年頃にJBと袂を分かつことになったようですが、その後は順調な活動が出来たとは言えないかもしれません。ですが80年代後半にレア・グルーヴ周辺で再評価されたり、そして奥様と来日したり、94年には復活のソロ・アルバム「ON THE MOVE」をリリースしたりと、確かな足跡を残しました。

写真のアルバムはそんなボビー・バードの60年代から70年代の録音集「BOBBY BYRD GOT SOUL」。バード自作曲やJBとの共作曲を中心に興味深いカヴァー曲もありでかなり楽しめます。バックはもちろんJBファミリーの面々。フレッド・ウェズリーのトロンボーン・ソロもかっこ良いバードの代表曲「I Know You Got Soul」。彼の出世作ともなった64年のアナ・キングとのデュエット「Baby Baby Baby」。さらにJBと共に歌う「You've Got To Change Your Mind」。カヴァーではサザン・バラードの「When Something Is Wrong With My Baby」なども面白い。バードの歌はJBの影響はもちろんですが、オーティス・レディング辺りの影響も強く感じ、スティーヴィー・ワンダー曲「Signed, Sealed & Delivered」で魅せる荒々しい猪突猛進な歌いっぷりもなかなか。どうしてもJBと比べられざるを得ない因果な環境にあるボビー・バードなだけに、その歌唱力には賛否両論あるようですが、私は大好きです!

ちなみに94年の復活作「ON THE MOVE」もなかなか良いです。若き頃より風格が感じられる声が味わい深く、バックのブルーノ・スペイト(g)やジェリー・プレストン(b)達のファンキーなプレイも最高です。


昨年のJBの死に続いて今年はボビー・バードまでも…。今頃天国であの頃のように熱くファンキーに掛け合ってるかもしれませんね。ボビー・バードさんの御冥福をお祈りいたします。

RAD.

2007-09-09 23:39:05 | R&B、HIPHOP
RAD. / LIVE AT THE NEW MORNING, PARIS

現在来日中のRAD.です。9月6日~8日に丸の内コットンクラブで、今日9日はモーション・ブルー横浜にて、おそらく素晴らしいステージを披露してくれたことでしょう。残念ながら私はどれも行けませんでしたが、その代わりに昨日8日、コレド日本橋内のセレンディピティというカフェで行われた彼女のキーボード弾き語りによるミニライブを見てまいりました。これが素晴らしかった!

米西海岸はオークランド出身のフィリピン系アメリカ人の彼女。本名ローズ・アン・ディマランタ、その頭文字を取ってRAD.です。90年代にアシッド・ジャズ界隈で人気を得、現在はベイエリア・ファンクの歌姫であり、プリンスのニュー・パワー・ジェネレーションのメンバーだったこともあるそうです。

さて、セレンディピティ、PM4:00。拍手で迎えられたRAD.。思ったより小柄な彼女は普段着っぽい飾らないスタイルで登場。そしておもむろにキーボードの前に座り弾き始めたのはレオン・ラッセルの「Song For You」。流麗な鍵盤さばきとエモーショナルな歌声が素晴らしい。ディープになり過ぎない、ジャジー・ソウルな感情表現が空気に染み入ります。

「Homegirls Cha Cha Network」や「Gotta Be」ではキーボードだけでうねりのあるファンキーなグルーヴを紡ぎだします。「Gotta Be」では観客にサビを歌わしたりと和やかに盛り上げました。また観客の手拍子と戯れるように鍵盤を弾く姿がなんとも可愛かったです。全部で6曲程演ったでしょうか? キーボードもジャズ的なタッチからスティーヴィー・ワンダー的なファンキーなプレイまで存分に堪能させてもらいましたが、私は歌声に惚れましたね。アルバムだとファンキーな曲が多いですが、こんな弾き語りを歌う彼女も相当良いですよ!

ミニライブ後はサイン会。私もライブ盤を購入しサインを貰いました。他の方々は和気あいあいとお喋りしたり一緒に写真を撮ってもらったりしていましたが、英語が喋れない内気な私はただサインを貰っただけですけどね。あ、握手もしてもらいました。気さくな感じの人でした。

で、写真がそのサインを貰ったライブ盤「LIVE AT THE NEW MORNING, PARIS」。02年の10月にパリのクラブ「ニュー・モーニング」で行われたライブを収めたもの。バックはドラムに70年代のタワー・オブ・パワーを支え、現在もまたタワー・オブ・タワーのリズムを担うデヴィッド・ガリバルディや、ハービー・ハンコックのバンドで活躍したというギタリスト、レイ・オビエドなど、ベイエリア界隈の凄腕達が参加。様々な美味しいエッセンスをファンキーにソウルフルに、そしてジャジーにブレンドさせたような憎いサウンド。現代のベイエリア・ファンクここにあり!って感じです。こんなライブが来日公演でも展開されたんでしょうね。観に行かれた方羨ましいです。

ちなみに最新作「EAST BABE」も最高です!

ポール・ワイン・ジョーンズ

2007-09-06 08:52:21 | ブルース
PAUL WINE JONES / STOP ARGUING OVER ME

ポール・ワイン・ジョーンズの最新作にして遺作となる「STOP ARGUING OVER ME」(写真)。これは昨年リリースされたアルバムのようですが、最近になって新宿タワーレコードで見つけて購入いたしました。っていうか新宿タワーにてこのアルバムの紹介文の中に『遺作』という文字を見てびっくりしました。え?亡くなったんだ…。

帰ってとりあえずライナーに目を通すも英語なのでさっぱり分からず…。でも『Paul died of cancer in a Jackson hospital in the summer of 2005.』とあるので、一昨年の夏に癌で亡くなられたということですね。合掌。


90年代、その頃過去の産物に成り果てようとしていたブルースですが、その聖地ミシシッピからとんでもない人達が次々と登場してきました。R.L.バーンサイド、ジュニア・キンブロウ、セデル・デイヴィス…。彼等はそれぞれの個性を持ちながら、ミシシッピ・ブルースの伝統を受け継ぎつつ、秘境から来た破壊神のごとくエギゾチックでエネルギッシュなブルースを奏で、ブルース界はもとよりロック界をも席巻しました。彼等はミシシッピと言えど、南部デルタの人ではなく北部の人達だったそうで、それはデルタ・ブルースと区別してヒル・カントリー・ブルースと呼ばれました。

仕掛けたのはファット・ポッサムというレーベル。彼らが送り出すブルース・マンは新感覚の若手ではなく、今まで何処で何やってたの?と不思議に思う“おっさん”達でした。ポール・ワイン・ジョーンズもその一人。95年に48歳でファット・ポッサムからデビュー。でも何故か彼はミシシッピ北部ではなく南部出身のデルタ・ブルース・マンだったそうです。

そんなポール・ワイン・ジョーンズのデビュー作「MULE」はサム・カー(ds)、ケニー・ブラウン(g)、ビッグ・ジャック・ジョンソン(g)という豪華バック・メンバーを迎えた傑作でした。ブギ系のアップ・ナンバーを中心に歪んだギターでワウを踏んだりと流石にファット・ポッサムな暴れようです。なにせこのデビュー作の日本盤帯のキャッチコピーは「プログレッシヴ・カントリー・ブルース」ですから…。なんかよく分かりませんけど…。

で彼、来日したこともあるんです。それは2000年のパークタワー・ブルース・フェスティバルでした。ファット・ポッサム系は大体そうなのですが、音から想像すると、いったいどんな暴れん坊が登場するのかとドキドキするんですけど、意外とおとなしそうな人の良いおっさんなんですよね。

そんな彼の人柄とデルタ魂が炸裂したのがフェス恒例、最後のセッション大会。ですが何せ7年前の話ですので、記憶が曖昧です。記憶違いはもちろん、脳の中での誇張とか有りそうなので、ここからは話半分ぐらいで読んで頂けると幸いです。

さて、この年のパークタワーはラッキー・ピーターソンやギャラクティック等、つわもの達が出演していまして、当然セッションも盛り上がりました。ポール・ワイン・ジョーンズももちろん参加していましたが、彼等のアーバンなスタイルに馴染めなかったのか、端のほうでちょっとギターを弾いては困ったような顔をし、カポの位置をずらして弾いてはまた困った顔…、そしてまたカポをずらす…。その繰り返し。

私はこの時既にそんなポール・ワイン・ジョーンズに目が釘付けでした。頑張れポール! セッションが苦手というか、輪の中に入れないというか…。とにかく頑張れポール!

そしてついに、それを見かねた仕切りの人が一旦セッションを止め、ポール・ワイン・ジョーンズをセンターに呼び、お前の好きな曲を演れ!みたいな感じになったんです。すると嬉々として得意のブギ系ノリノリの曲を演奏し始めました。これが盛り上がりました! しかももうセッションでもなんでもない、豪華面子をバックに従えたポール・ワイン・ジョーンズのオン・ステージですよ! まさに一人舞台!

それが1曲だったのか2曲やったのかは覚えていませんが、その盛り上がりが最高潮の時、勢いに乗ってさらに「さあーもう1曲いくぞー!」みたいな雰囲気をかもし出した瞬間に仕切りの人が出てきて「もう終わり!」って感じで止められちゃいました…。そしてポール・ワイン・ジョーンズは残念そうな、何とも言えない渋い顔をしていました。私的にはもっと演ってくれ~!って感じだったんですけどね~。ま、セッションですからね…。

でもあの時のポール・ワイン・ジョーンズは光ってましたね。私にとってはパークタワー・フェス名場面の一つです。南部のイナタさとデルタ魂が新宿で爆発した瞬間でした。

なんか前置きが長くなりましたが、そんなポール・ワイン・ジョーンズの遺作となったアルバム「STOP ARGUING OVER ME」です。04年にデトロイトで録音されたようです。デビュー時に比べるとサウンドのエグ味がさらに増し、曲調はドロ~ンとした呪術的な雰囲気の曲が多くなっていて、ある意味ジュニア・キンブロウにも通じる感んじ。そして深いエコーがアングラな密室間やサイケデリック感を演出し、デルタ・ブルースが本来持つドロッとした感触と溶け合っています。そこにはブルースの型を破っていながら、これぞブルース!と思わせる凄みがあります。また彼の酩酊感のあるヴォーカルも最高!

これが遺作となってしまったことはとても残念ですが、とにかくポール・ワイン・ジョーンズに拍手です!

上原ひろみ結婚!

2007-09-03 19:11:29 | ジャズ
上原ひろみ / TIME CONTROL

私も大好きなジャズ・ピアニスト、上原ひろみさんが9月1日にご結婚されたそうです。お相手は三原康裕さんという方。なんでも、「MIHARAYASUHIRO」というファッションブランドを手掛ける有名なデザイナーだそう。もちろんファッションに疎い私にはまったく縁の無い方でして、え?誰?って感じなんですけどね…。すいません。これからは注目してみようと思います。

そう言えば昨年だったか、タップダンスの熊谷和徳さんと上原ひろみさんが何がしかのファッションショーで共演しましたよね。私はタップとピアノ?と半信半疑ながらその映像をちらりとスペシャか何かで見て、あまりのカッコ良さにぶったまげたのですが、それが三原康弘さんのファッションショーだったんですね。なるほど~。

そのタップダンスとのバトルもそうですが、昨年は矢野顕子との共演や、東京ジャズでのチック・コリアとのデュオ、さらに今年になってデヴィッド・フュージンスキーを加えたHIROMI'S SONICBLOOMとしての新作発表とツアー、そしてフジロック・フェスでの快演と、まさに乗りに乗ってる感じの上原ひろみですが、そんな彼女の充実度の裏には、こんなおめでたいお話があったんですね~。

今月末にはチック・コリアとのデュオがいよいよ東京ブルーノートというクラブ公演で実現します。これは私も観に行く予定なのでもの凄く楽しみです。さらに11月から12月にかけてHIROMI'S SONICBLOOMとしての日本ツアーも決定したそうですので、ますます勢いに乗る上原ひろみから今後も目が離せませんね!

ま、残念ながらこのブログを上原ひろみさんが目にすることは無いと思いますが、

“ご結婚おめでとうございます。これからも頑張ってくださいね!”