ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ノラ・ジョーンズ探検隊 その7

2012-11-14 01:00:13 | SSW
JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS

06年にリトル・ウィリーズがデビューした時は驚きました。それ以前にもドリー・パートンと共演する等、ノラ・ジョーンズのカントリー趣味は公になっていましたが、まさかカントリー・バンドを結成して丸々一枚カントリーの作品をリリースするとは思いませんでした。そこで聴けるノラ・ジョーンズのそれまでとはまた違う溌剌とした歌唱にも驚かされましたが、それ以上に衝撃的だったのはギタリスト、ジム・カンピロンゴの弾くカントリー・ギター! ギラッとした音色でユニークなフレージングを連発するそのリズミカルな切れ味は、これがカントリーか!という目から鱗の格好良さでした。って言うかカンピロンゴって誰?みたいな。

この人、サンフランシスコ出身でニューヨークに出て来たギタリストらしいんですけど、私はいまだにどういう人なのかよく分かりません。サンフランシスコ時代からセッション活動以外にも数枚のリーダー作をリリースしているようですから、現地では有名なギタリストだったことでしょうけどね。何せあのテクニックと個性ですからね~。ですがその名声もなかなか日本までは届いてこない訳で、まさにリトル・ウィリーズで突然降って沸いたかのようなインパクトだった訳です。

さて、そのカンピロンゴが03年にリリースした自己のトリオ名義による作品「AMERICAN HIPS」(写真上)。こちらにノラ・ジョーンズが2曲で参加しています。03年ですからリトル・ウィリーズのデビュー作より3年も前の話。ノラにとってもデビュー間もない頃でしょうね。注目は、ノラ参加の「Sweet Dreams」「Stella」の2曲のみトニー・シェアーの自宅でミキシングが行なわれていること。彼はノラやジェシー・ハリスのバックでも知られる人ですが、当時ローパドープに所属していたセックス・モブのベーシストでもありました。そうなんです、こんなところにもローパドープの影が…。ま、何でもかんでもローパドープにこじつけるのもいかがなものかと思いますけどね。ですがこの辺りのニューヨーク人脈はやはり気になるところ。

この「AMERICAN HIPS」、ジム・カンピロンゴのカントリーという枠には到底納まり切らない自由奔放な超絶ギターをたっぷり味わえます。その独特の音色、変幻自在のフレージング、揺れるように広がるコード感、まさにテレキャスの魔術師。そんな中、ノラ・ジョーンズの歌声が甘い清涼感を伴って優しく響きます。まず「Sweet Dreams」は、ドン・ギブソンのカヴァー。ドン・ギブソンと言えば「Oh Lonesome Me」など数々のヒット曲を持ち、レイ・チャールズで有名な「I Can't Stop Loving You」の作者としても知られますね。もちろんこの「Sweet Dreams」も凄く良い曲。ノラの歌声に寄り添うようなカンピロンゴのギターがまた良いですね。そしてもう1曲、「Stella」はカンピロンゴのオリジナル曲。歌詞は違う人が書いているようですけど。素朴なメロディーの良い曲ですね。そっと歌うようなノラの歌声のゆったりとしたナチュラル感に癒されます。間奏でのカンピロンゴのコード主体のプレイも素敵です。




JIM CAMPILLONGO / HEAVEN IS CREEPY

そしてこちらはリトル・ウィリーズのデビューと同年、06年リリースの「HEAVEN IS CREEPY」。こちらでも1曲、「Cry Me a River」をノラが歌っています。こちらはスタンダード・ナンバーなので、かなりジャジーな仕上がり。とは言え歌詞が歌詞ですからね、ノラの歌唱も思いのほかブルージーと言いうか、女の艶っぽさと冷たい虚しさを感じさせるような、なかなかの名演ですよ。この歌は来日公演で聴きたかったですね~。と言うのも、オープニング・アクトを務めたカンピロンゴはこの曲を演奏したんですよ!

正式公演としては7年振りとなったノラ・ジョーンズの来日ツアー。私は11月8日、武道館公演を観に行きました。オープニング・アクトとして登場したジム・カンピロンゴのトリオがまず演奏したのが「Cry Me a River」だったんです。先程、思わずノラの歌が聴きたかった的なことを書いてしまいましたが、いやはや、カンピロンゴのギターが奏でる叙情性も素晴らしかったです。とにかく音色の揺らし方が堪らない。あれはどうなってるんでしょうね?ナットの後ろをベンドしているようにも見えましたけど。とにかくその音程コントロールが絶妙。そしてその響きの幽玄な広がり方。まさに絶品!! そんな「Cry Me a River」で始まった彼のステージ、全部で6曲だったでしょうか? ペグを回してリフを弾いたりなんていう荒技も印象的でした。最後はジョニー・キャッシュの「Folsom Prison Blues」だったのかな? これぞカンピロンゴな切れ味で疾走するロッキン・カントリーで締めました。残念ながらノラとの共演はありませんでしたけどね…。

ジム・カンピロンゴ、また来日して欲しいですね。



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