ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ノラ・ジョーンズ探検隊 その13

2017-04-14 22:21:23 | ワールド・ミュージック
SUPHALA / THE NOW

故アラ・ラカ、そしてその息子ザキール・フセインという、インドが誇る世界最高峰のタブラ奏者達に師事し、伝統を継承者しつつも、常に冒険を続けてきた女性タブラ奏者スファラ。彼女が05年にリリースした2nd作が「THE NOW」。このアルバムの1曲目「Transport」にノラ・ジョーンズがフィーチャーされています。

ノラ・ジョーンズがインド音楽?と驚かれるかもしれませんが、ノラのお父様はシタールの大家ラヴィ・シャンカール(アラ・ラカ、ザキール・フセイン親子も伴奏を務めていた)ですし、妹さんのアヌーシュカ・シャンカールもシタール奏者とし活躍し、ノラとも共演している程なので、そういう繋がりがあってもおかしくはありませんよね。ですがこのスファラ、実はニューヨークで活躍するタブラ奏者でして、この数年前にはDJロジックがローパドープから出したアルバム「THE ANOMALY」(ジョン・メデスキやエリック・クラズノーなども参加)にゲスト参加していたりもするので、そういうニューヨーク人脈からの繋がりと考えた方がすっきりするかもしれません。

さて、この「THE NOW」は、スファラのタブラが縦横無尽にグルーヴを紡ぎつつ、独特の情緒を演出するヴァイオリンやトロンボーン、フルートなど、そして打ち込みのビート及びシンセ音がフューチャリスティックな世界を作りあげる、多分にクラブ仕様なタブラ in ニューヨーク的作品。ノラ・ジョーンズが参加した「Transport」は、タブラの細かいビートにサイケデリックな意匠が絡むトライバルなダンスナンバー。ノラの歌は、歌と言うより、即興かつ本能的に言葉を発しているかのようでもあり、声そのものをサンプリングしていじってるようでもある。どちらにしろ、ディレイ&エコー的なエフェクト処理をされたノラの声が幻覚のように飛び交うという、ノラ参加作品のなかでもかなり珍しいタイプ。それゆえ、ノラの歌声が醸す繊細な情緒など微塵もありません…。

ですが私は、初期の頃のノラの歌声って、どことなく陶酔感があって、うっすらとサイケ的だとすら思っていますので、これはその魔力を増幅したようでもあり、特にヘッドフォンで聴くと、タブラのビートと共にノラの声が脳内をグルグル回るようで、なかなか刺激的です。





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