ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

本当だったんですね…。

2009-06-26 23:03:46 | ソウル、ファンク
MICHAEL JACKSON / GOT TO BE THERE

やっぱり本当だったんですね…、マイケル・ジャクソンが亡くなられたこと。今朝、ネットのニュースで知った時はまったく信じられず、ガセネタか悪い冗談であることを願いつつ家を出ました。そして夜、戻る途中に駅で見た新聞見出しでやはり本当だったと知り愕然としました。

とりあえず、今晩は「I Wanna Be Where You Are」を聴きながら寝ます。

マイケル・ジャクソンさん、安らかに。



フジにスティーヴ・クロッパー?

2009-06-26 08:11:44 | フジロック
なんだかこのブログはフジロック専門みたいになってきましてすいません。

さて、キラーズの代役はポール・ウェラーに決まりましたね! これはスマッシュさん、お見事です! てっきり常連さんが来るのではと思っていましたが、この時期にフジ初参加の大物を読んでくれるとは! ま、ウェラーさんは最近日本に来すぎな感じもしますが、パティとの米英パンク対決~オアシスとの師弟対決といった感じの並びがいい感じです。

それはそうと、元MG'Sのスティーヴ・クロッパーのMySpaceのライヴ予定欄に、ブルース・ブラザーズの来日スケジュールに続いて、こんな予定がアップされています。

2009/7/25 20:00
Steve Cropper, Booker T. & Tribute band- Kiyoshiro tribute - Fuji Rock Festival Yuzawamachi, Niigata

これマジですか? フジの公式サイトではまだ発表されていないので何とも言えませんが、本当なら凄い!





それと、全然関係ない話ですが、マイケル・ジャクソンの死亡説が流れてますけど本当なのでしょうか?

来月の今頃は

2009-06-23 22:44:10 | フジロック
来月の今頃は前夜祭ですねー! そう、フジロック。

私は今年も前夜祭から参加の予定です。昨年初めて前夜祭に参加したんですけど、思いのほか楽しくって。前夜祭が楽しいというより、前夜祭の祭りっぽい雰囲気の中で、明日からそこで繰り広げられる至極の3日間に思いを馳せるという贅沢な時間がね。そして何より、金曜の朝が楽。これすなわち金曜一日が楽ということになり、続く土曜日曜の体力にも影響してくるわけです。腎臓病を抱えている身としては出来るだけ疲労は避けたいのです。

ですが今年は迷いましたよ。いや実はまだ少し迷ってるんですけど…。ファンキー・ミーターズの東京公演が7月23日なんですよね~。なんで前夜祭と被らせるんでしょう。でもミーターズを観て、次の日は早朝から新幹線乗ってじゃ、やっぱり疲れそうですよね。40歳を越えたことですし無理は禁物なのです。そもそもファンキー・ミーターズは土曜日に観ますしね。

それにしても今年の前夜祭は誰が出るんですかね~? 金曜出演アーティストが出るとするなら、パティ・スミスとかダメですかね?大物過ぎますか?

いや~、いよいよ本当に近づいてきましたね! ヒャッホー!

バリー・ベケットを偲ぶ

2009-06-20 11:54:07 | ソウル、ファンク
BOB DYLAN / SLOW TRAIN COMING

6月10日、マスル・ショールズ・リズム・セクションの鍵盤奏者、バリー・ベケットさんが亡くなられました。享年66歳。がんだったそうです。サザン・ソウルの聖地マスル・ショールズを支えた名職人です。

マスル・ショールズはアラバマ州にある小さな町です。そこにリック・ホールという白人が経営する小さなスタジオがありました。その名をフェイム・スタジオ。この南部の片田舎から発信されるサウンドを求め、アトランティックやチェスなどのレーベルが次々にアーティストを送り込んだのです。パーシー・スレッジ、ウィルソン・ピケット、アレサ・フランクリン、エタ・ジェイムス、ローラ・リーなどなど。数々のアーティストがここで名作を録音し、フェイム自体からもキャンディ・ステイトンというスターが生まれました。そしてバックを務めるスタジオ・ミュージシャンとしては、黒人チームのフェイム・ギャングと呼ばれた人達も有名ですが、それ以上に名を馳せたのが、マスル・ショールズ・リズム・セクションとして知られる白人チーム。イレギュラーでかのデュアン・オールマンもちょくちょく顔を出していたようですが、中核となったのが、ロジャー・ホーキンス(ds)、ジミー・ジョンソン(g)、デイヴィッド・フッド(b)、そしてバリー・ベケット(kbd)という面々。

この4人のリズム・セクションこそ南部サウンドの代名詞といっても過言ではありません。そして白人だけにカントリー的というかスワンプ的でもあり、そこにソウル・シンガーのディープな歌声が乗るという、ソウルとカントリーの、もしくは黒人音楽と白人音楽の融合という側面もあったりするのです。重心が低いながら、どこか開放感の感じられる彼らのサウンドからは、人種に関係なくただただ良い音楽を求め邂逅し合っていた当時のスタジオが放つ熱気が感じられます。

そしてこの4人が独立し、69年に設立したのがマスル・ショールズ・サウンド・スタジオ。70年代はロック/ポップ・フィールドのアーティストが本物のリズムに憧れ、このマスル・ショールズのサウンドを求めるケースが目立ちました。例えばポール・サイモン、ボズ・スキャッグス、ロッド・スチュアート、ボブ・シーガー、トラフィック、そしてボブ・ディラン。バリー・ベケットはキーボード奏者としてだけではなく、プロデューサーとしての仕事もこなしていましたが、ジェリー・ウェクスラーと共にプロデュースを務めたディランの79年作「SLOW TRAIN COMING」(上写真)は、そんな彼のプロデュース・ワークを代表する作品ですね。さらに共演こそ確認されてないものの、ローリング・ストーンズもわざわざマスル・ショールズ・サウンド・スタジオを訪れ、「STICKY FINGERS」の一部をここで録音しています。

そんなサザン・ソウルの聖地、マスル・ショールズ・サウンド・スタジオも05年頃に閉鎖されるという噂を聞きましたが、その後、そのスタジオや建物がどうなったかは、よく知りません…。


さて、マスル・ショールズが関わった作品として数々の名盤が知られていますが、先に挙げたアーティストを含め、その全てにバリー・ベケットが参加している訳ではありません。でも多くの作品で彼の名を見つけることが出きます。以下、そのほんの一部です。



TELL MAMA: THE COMPLETE MUSCLE SHOALS SESSIONS
チェスからフェイム詣でしたエタ・ジェイムス。彼女の代表作の一つ「TELL MAMA」(68年作)にボーナス・トラックを加えた、嬉しいマスル・ショールズ・セッションのコンプリート盤。



WILSON PICKETT / HEY JUDE
ウィルソン・ピケットの69年作。アトランティック勢の中でも、南部録音が最も良く似合う男。その野性的な咆哮が強烈なフェイム録音。


ARETHA FRANKLIN / THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
アレサの全盛期と言えば、アトランティック移籍後の60年代後半。この頃のアレサと言えばマスル・ショールズな訳です!! しかし彼女の出世作にして代表曲「I NEVER LOVED A MAN」こそフェイム録音ですが、その他となるとミュージシャンはかの地の人達を使っているとは言え、マスル・ショールズ録音自体は意外と少なかったり。バリー・ベケットが参加したこの70年作もマスル・ショールズ勢がバックを務めているものの録音はニューヨーク及びマイアミだそう。


BOBBY WOMACK / UNDERSTANDING
ボビー・ウーマックの72年作。これも傑作。この人もマスル・ショールズと相性の良かったシンガーの一人。ウーマック流の洗練されたセンスが南部フィーリングと極上に溶け合います。



TRAFIC / ON THE ROAD
スティーヴィー・ウィンウッド率いるトラフィック、73年のライヴ盤。前作「SHOOT OUT AT THE FANTASY FACTORY」にロジャー・ホーキンス、デイヴィッド・フッドと共にバリー・ベケットも参加した流れで、ステージでもこの3人ががっつりサポート。と言うよりこの時はトラフィックの正式メンバーだったのか? スティーヴィーの南部指向が伺えます。



ROD STEWART / ATLANTIC CROSSING
ロッド・スチュワートのマスル・ショールズ録音を含む75年の傑作。バックにはマスル・ショールズ・リズム・セクションの他、MG’S、ジェシ・エド・デイヴス、デヴィッド・リンドレー、などが参加した鬼アルバム。



AARON NEVILLE / BELIEVE
そして近年のバリー・ベケットはナッシュビルでプロデューサー業をこなしていたそうですが、その辺の詳細は良く知りません…。意外なところではこのアーロン・ネヴィルの03年作をプロデュースしています。


バリー・ベケットさん、安らかに。



フジロックのサプライズ

2009-06-17 10:15:35 | フジロック
先日、出演者第7弾が発表されたばかりのフジロック。次は7月かな、と思っていた矢先にサプライズ発表がありました。それは土曜のグリーン・ステージに、忌野清志郎 スペシャル・メッセージ・オーケストラ NICE MIDDLE with New Blue Day Horns。出演メンバーは以下の通り。

NICE MIDDLE with New Blue Day Horns
仲井戸“CHABO”麗市
Leyona
Chara
甲本ヒロト
真島昌利
トータス松本
UA
Char
WILKO JOHNSON & NORMAN WATT-ROY
BOOKER T.
泉谷しげる

それにしても凄い面子ですね~。この中に清志郎が居ないのが残念ですが、豪華です! やっぱり清志郎さんはフジの象徴みたいな人ですからね。フジロック的にも彼を苗場の地から送ってあげないとね。特別な夜になりなりそうですね!

それはそうと、噂されていた「メジャー枠」とか「超大物」ってこれのことだったんですかね?でもこれで土曜グリーンは7組決まったはずなのに、何故か“and more artist to be announced.”と表記されています。ということは8組出るんですか?なんか期待しちゃいますね~。


追記;
あ、土曜グリーンの“and more artist to be announced.”が消えましたね。最後の一枠に期待してしまった分ちょっと残念…。

サマソニ第14弾

2009-06-16 18:16:15 | フェス、イベント
TRICKY / KNOWLE WEST BOY

フジに続いてサマソニも追加アーティストの発表がありましたね。今回はいよいよ深夜枠の発表となった訳ですが、なんとトリッキー!!!ってあのトリッキーですか? だったら凄い!

サマソニもやってくれますね~! 昨年フジで観たトリッキーは格好良かったですよ! しかも今回は深夜ですからね~。さらなるディープな世界に連れて行ってくれることでしょう。ゆらゆら帝国と並んでいるところもなんか凄い。とは言え残念ながら私の行かない金曜日の出演なんですよね~。どちらにしろ電車組の私は深夜じゃ観れませんけど…。

土曜日は、クラクソンと並列表記でソニックのメイン扱いだったレディ・ガガが深夜枠発表と同時にそちらへ移動。なるほど、そういう訳だったのですね。しかし現在話題沸騰のレディ・ガガを深夜でって、サマソニも思い切ったことしますよね。なんか終電関係でレディ・ガガを観たくても見れない人が多発しそう。もちろん私もその一人。ま、これもフェスならではの贅沢な悩みですね。でも大阪ではメイン・ステージでレディ・ガガ~ニーヨ~ビヨンセの流れなんですね。こちらも贅沢。

そしてダンス・ステージにLUCIANO。これレゲエのルチアーノですか? 違いますよね? 一瞬、ええ!?って思ったんですけど、ダンス・ステージですからね~。なんかハウス系にも同じ名前の人が居るようなので、そちらでしょうね…。


*写真は昨年リリースされたトリッキーの「KNOWLE WEST BOY」。ある意味ジャズ的であり、ある意味ヒップホップ的でもある。ある意味ソウルであり、ある意味レゲエでもある。しかしそれらの音楽とは明らかに壁一枚隔てた別世界であり、そこで鳴らされる暗闇と彼のライムは唯一無比の異空間。これが新しいブルースなのかもしれません。

フジロック第7弾!!

2009-06-15 13:33:53 | フジロック
ROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND / UNCLASSIFIED

ジロック出演者の第7弾発表が公式サイトでありました。まず主要ステージの追加は以下の通り。

Lily Allen
ROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND
EYE (BOREDOMS/V∞REDOMS)
DINOSAUR JR.
FUNERAL PARTY
HOLY FUCK

ロバート・ランドルフ!! きましたね~! ネヴィルズ前のホワイトには期待はしていましたが、それを遥かに超えるビッグ・サプライズです。しかもこの日のホワイトはまだ2枠残っているので、さらに期待が膨らみますね~。そして個人的にはリリー・アレンも結構嬉しい。ダイナソーJR.は昔好きでしたけどね…。あとまったく知らないバンドでしたが、ブレイク寸前らしい米ロック・バンド、フューネラル・パーティーも、MySpaceで試聴した限りではなかなか弾けていて格好いいです。

そして今回は場外のパレス、そしてドラゴンどらの最果て“DAY DREAMING"もドドーンと発表になりました。詳細は公式ページを見て頂くこととして、「ルーツな日記」的にはやっぱりパレスですよ!で、気になるところをいくつか。毎年濃密なアクトが出演する割には夜遅すぎてほとんど観たことがないパレス。金曜は、BABY SOUL、PRINCE NAOKIといったいかにもパレスらしいDJに加え、ウィルコ・ジョンソンにイーライ・リード! この2組はライヴですよね~?特にパレスでイーライは濃厚そうで超観たいんですけど時間が遅すぎます…。ライヴといえば元DETERMINATIONSのトロンボーン奏者、icchieも気になりますね。そして最後はリリー・アレン。何やるんですか?DJですかね?

土曜日も濃さでは負けてません。ラジカル・ミュージック・ネットワークやEKDとか、正直、私はよく知りませんがなんか凄そうですし、しかも最後はDIPRO! この並びはかなりディープな深夜になりそうです。でも私がこの日最も気になるのは吾妻光良トリオ+1 だったり。そして日曜日。もうほとんどパレスの支配人のような雰囲気のBig Willie's Burlesqueをはじめ、ASAKUSA JINTA、Räfven、CABARET CATS with JVC FORCE TYOと、いかにもパレスの最後を締めてくれそうな賑やかな面子が揃っています。体力が余っていたら最後はパレスで遊んでいきたいと毎年思うのですが、無理なんですよね~。Räfven観たいな~。

なんか例年以上に濃い面子が集まった感のあるパレス・テントですが、いやいや、パレスの主役はサーカスなのです!! 今年はなんと「モンゴル国立サーカス」という方々が来るそうです。なんか思いのほか正統派で反ってびっくりなんですけど…。でも面白そう。

で、残念なお知らせも。っていうかこれが今回一番のビッグサプライズだったんですけど、キラーズのキャンセル…。噂は本当だったんですね。しかもフランツ前もいまだ空いている状態。これで金土の両日ともメイン・ステージのトリ前が未定。なんか混沌として来ましたね。どうなるんでしょうか?ここはスマッシュさんに頑張ってもらいたいですよね~。なんとなくフジはキャンセルの対応には力を入れない印象があるので、ここいらでそれを払拭してもらいたいです!

そして混沌といえば個人的には金曜日のタイム・テーブル予想も。この日はパティ・スミスとネヴィルズを核にと思ってました。ジェフ・ラングがパティと被りそうですが、ジェフは諦めようと…。ですがロバート・ランドルフが出るとなるとまた意味合いが変わってきます。新世代ラップ・スティール・スライドの2トップと言っても良い二人ですから、両者を揃って観れるチャンスを見逃すのは痛すぎる。パティは諦めてジェフ~ランドルフ~ネヴィルズという至極の流れが見えてきます。ですが、ホワイトにはまだ空きが2枠残っているので、実際にはランドルフがどの位置なのかまだ不明。場合によってはヘヴンのジェフ・ラングと被る可能性もあるんです。さらにパティ・スミスがキラーズのキャンセルを受けてトリ前に格上げされる可能性もある。そうなるとジェフとの被りは解消されるかも、いやランドルフがダメか…。いずれにしろ、タイム・テーブルが発表されるまでは悩み続けなくてはなりません。いや、発表されたらされたでさらに悩まされそうですけど…。



*写真はロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンドの「UNCLASSIFIED」。ペダル・スティールによるゴスペル音楽「セイクリッド・スティール」の旗手ロバート・ランドルフ。ファンクやロックをジャム・バンド的に飲み込んだ濃密この上ないグルーヴとダイナミックなサウンドが格好良い! フジに似合いそうだとは思っていましたが、ついにやって来るんですね!



@渋谷ジャック

2009-06-13 19:18:01 | フジロック
今日は恒例のフジロック渋谷ジャックということで、渋谷をうろちょろしています。タワレコで、とあるフジロック関連CDを購入し抽選に参加しましたけど、果たしてその結果や如何に…。


帰宅後追記:
毎年恒例の渋谷ジャックですが、HMV~パルコ前~岩盤~タワレコ~BEAMSと巡って、相変わらず緩いというか、ジャックと言う程でもないな、みたいな雰囲気を確かめつつ、パルコ前はそこそこ人が集まっていたかな?という印象も。HMVでフリー誌「フェスティヴァル・エコー」をゲットし、歩き疲れた際にカフェで一服しながら熟読した時間が一番充実していたかも。これ読むとなんか気分上がりますよね? タワレコでは気になっていたトム・フロインドのCDを購入し意気込んで抽選に挑戦!しかし見事ハズレ…。この抽選、当たった試しがありません。ステッカーやら缶バッチやらから好きなのを選んでくださいということなので、妻の好きなHARD-FIのステッカーを頂きました。今年のフジに出ないじゃん!と思いながら…。ま、去年出たので関連グッズということですかね。

今、ORG.BBSでは“キラーズがキャンセル”という噂で持ち切りですが、どうなんでしょうか? 私の趣味としてはキラーズにはさほど興味が無いものの、今年のフジにとっては、キラーズ~オアシスという豪華な流れが最大の売りだった訳で、フェス自体の盛り上がりとして非常に気になりますね。もちろんまだ噂の域を出ませんし、ORG.BBSの噂は大半がガセなんですけどね。でも個人的にはガセに踊らされて一喜一憂するのも好きだったり。むしろこの時期はそれがフジの醍醐味だと思っています。とりあえず公式を待ちましょう。そろそろありそうですよね。

LAFORET SOUND MUSEUM 2009 part 2

2009-06-09 16:17:23 | フェス、イベント
MORIARTY / GEE WHIZ BUT THIS IS A LONESOME TOWN

前回からのつづきです。

5月30日、31日、原宿ラフォーレにて2日間に渡って開催された「LAFORET SOUND MUSEUM 2009」。両日共にトリで登場したのがモリアーティ。アコースティック楽器を中心にオールド・フレイヴァー溢れる演奏で魅了してくれましたが、前2組が割と自然体スタイルだったのに対し、このモリアーティはメンバーそれぞれの佇まいからして既に役者っぽい。実際に彼らのパフォーマンスはライヴを観ている以上に何か演劇を見ているような気分にさせられました。

最終日、このイベントの最後を飾るステージ。前日はアンコールで披露された「Tagono-Ura」から静かにスタート。大きなソファーやランプ、そしてクジャクと熊の剥製が飾られた舞台。アルチュールのアコギ爪弾きとローズマリーの寂しげな歌声。そして田子ノ浦。モリアーティの異空間に否が応でも引き込まれます。3曲目の「Bacom」ではシャルルのロック的なギター・リフと、ズィムの躍動感あふれるベース・ソロがモリアーティ・ランドへのトリップを一気に加速させます。ストーリー・テラーたる紅一点のローズマリーは、そのモリアーティ・ランドへ迷い込んだ少女自身のようでもあり、迷い子を追い立てる魔女のようでもある。彼女の可憐さの中に毒をも含んだ歌声は、一見あっさりとしていながら、じっとりと耳に絡み付いてきます。

その紅一点シンガーのローズマリーを中心に、アルチュール(g)、シャルル(g)、ズィム(b)、トマ(harp)、さらにサポートのドラマーを加えた編成。メンバーの動きは悩ましくも激しく、時にユーモラスに、時に怪しく、舞台狭しと多彩な表情を見せてくれます。そこには古き良き時代のアメリカを思わせる愛すべきチープさと同時に、ヨーロッパ的な退廃の美学があり、桃源郷を探し求める放浪のファミリー楽団のようでにも見えました。

続く「Motel」ではアルチュールが激しくマラカスを振ります。前日はこの曲で“ほうき”を持って“ちり取り”をガンガン叩いてましたっけ。このバンドはそれぞれがマルチプレーヤー振りも発揮するので、楽器の持ち替えを観ているだけで結構楽しかったり。気がつくとズィムがアコギを弾きアルチュールがウッド・ベース奏者に変わっている場面もあったり。そしてシャルルはドブロでブルージーなスライドを披露したかと思えばつづく「Hanoi Blue」ではエレキ・ギターでトレモロを効かしたブルージー且つエモーショナルなギター・ソロを披露してくれたり。

しかしブルースと言えばトマが黙っちゃいません。とにかくこのバンドのブルース番長はハーピストのトマなのです。何か哲学者的な悩ましい表情で佇むトマが、一口ハープをブロウすれば、そこには一瞬にしてブルース・フィーリングが滲み出すのです。この日の午後、彼らとのランデヴーに参加した私は、トマとはブルース・ハーピストの話で盛り上がりました。彼はジェイムス・コットンを間近で観たことや、そのとき既にコットンは喉を病んでいて歌えなかったことなどを、英語が通じない私に身振り手振りを交えて熱心に語ってくれました。そんな彼のブルース・ハープは、時に枯れた味わいを醸し出し、時に炎のごとく熱く燃え上がるのです!

続いてメンバー5人が前方1本のマイクを囲むように集り披露されたのが、トム・ウェイツのカヴァー「Chocolate Jesus」。この選曲も、モリアーティらしいですよね。そして「Jimmy」。この曲ではフィンガー・スナップを客席にも促すのですが、客席の何所からか「指パッチン!」と声がかったもんですから、メンバーも楽しげに「yubipachi, yubipachi」と連呼して笑いを取っていました。なんか変な日本語覚えちゃいましたね~。そもそもモリアーティのメンバーは日本語が大好きなようで、ステージ上でも曲目を日本語で紹介したり、来日中にも色々な日本語を覚えていたようです。特にシャルルは貪欲でした。ランデヴーでも日本語を聞いてはメモを取っていましたし、私が教えたある日本語を早速ステージで使ってくれたり。ちょっと嬉しかったですね。

デペッシュ・モードのカヴァー「Enjoy The Silence」ではシャルルが奇声を上げながら精神分裂的に鉄筋を叩きます。その横ではローズマリーが熊の剥製を抱きかかえている。なんだかシュールです。この熊の名はジロ。前日のライヴで名前を観客に求めた結果、客席から「ジロー!!」と声が上がり即決したのです。本来なら6人目のメンバーであるジルベール(鹿の剥製)がこの地位に居たはずなのですが、彼は通関が大変とのことで、残念ながら今回はお留守番だとか。そこで白羽の矢がたったのがこの熊なのです。いったい何所から探して来たのか…? それにしてもこのカヴァーも見事!

ズィムによる寂しげなアコギの調べがリードする「Private Lily」。最も演劇的というかシュールな喜歌劇でも観ているようだった「Animals Can't Laugh」。そして本編クライマックスは華やかにアップ・テンポで攻める「Whiteman's Ballad」。アルバムではカントリー・フレイヴァーが濃厚ですが、フィドルが無い上にロック的なドラムスが加わっているため、原曲の高揚感がここではサイケデリック・ロック的に響きます。そしてシャルルによるギターの弓弾きやトマが吹く口琴が一層サイケデリック感を引き立てます。リズムが落ち、ローズマリーが最後のリリックを歌い上げると、(CDではここで終わりなのですが)ライヴではここからトマのビッグ・ブロウが待っています!

唇をブルブルと振るわせながらまるで竜巻のごとく吹き上げるブルース・ハープ。メンバー全員がここはもうトマに任せたとばかりに身を引くなか、トマは全身全霊を込めるがごとくファンキーこの上なくブロウにブロウを重ねていく。この格好良さには鳥肌が立ちました! そして頃合いを見計らって絶妙のタイミングで合流するバンド陣がもたらすカタルシス。最高でした!この日一番の盛り上がりを見せる中、 ここで一旦ステージは終了。そしてアンコールは2曲でしたっけ? ここまでメモを取っていたんですけど、アンコールについては、その前の「Whiteman's Ballad」のあまりの格好良さにメモを取り忘れています。少なくとも最後は「Oshkosh Bend」でしたね。これもCDで聴くより大分ロック的なノリになって、最後にふさわしい盛り上がりでした。

前日に比べて、よりリラックス&アグレッシヴなステージだったように思いました。曲順や演目も変わっていましたし、2連ちゃんでも充分と言うより、2連ちゃんだからこそより深くモリアーティランドに浸ることが出きた感じです。キャラ的にはメンバーそれぞれが各々の色彩で際立っていましたが、サウンド的にはどうしてもローズマリーやシャルル、トマによる上物に耳が行ってしまう部分はあります。ですがズィムのグルーヴィー且つどこかロマンティックなダブル・ベースによる低音ライン、そしてアルチュールのフォーキー且つ詩的なアコースティック・ギターの調べが、モリアーティの個性と底辺を支えているとも感じました。さらにライヴならではのノリを職人的に注入したドラマーさんにも拍手です。そして古き良きアメリカとヨーロッパのキャバレー的な雰囲気はもちろん、流石はフランスで活動しているだけのことはある、スタイリッシュなセンスとウィットに溢れたステージでした。






アルバム「GEE WHIZ BUT THIS IS A LONESOME TOWN」のライナーノーツ。終演後のサイン会でメンバーにそれぞれにサインを頂きました。



何故かアルチュールだけは違うページに書いてくれました。




~関連過去ブログ~ お茶のお供にどうぞ!

 09.06.08 LAFORET SOUND MUSEUM 2009 part 1
 09.06.07 モリアーティとランデヴー

LAFORET SOUND MUSEUM 2009 part 1

2009-06-08 19:51:27 | フェス、イベント
MELISSA LAVEAUX / CAMPHOR & COPPER

5月30日、31日、原宿ラフォーレにて開催された「LAFORET SOUND MUSEUM 2009」。出演アーティストはメリッサ・ラヴォー、カヒミ・カリィ、モリアーティの3組。結局私は両日とも観に行ったのですが、30日は最前列ど真ん中、31日は一番後ろの端っこと、両極端の席に着きました。

トップ・バッターはメリッサ・ラヴォー。フランスで活動しているそうですが、実はハイチの血を引くカナダ生まれというシンガー・ソング・ライター。初日はピンクのストライプ柄という可愛らしい衣装で登場。イベント自体の一発目と言うこともあり、会場自体の雰囲気が硬い中、彼女の特徴的なギターの爪弾きとあの声が響きます。静けさの中で聴く彼女の生の歌声はピュアそのもの。低くハスキーなその声質はオーガニックな土っぽさに溢れ、ハイチをルーツに持つアイデンティティがその声に緊張感を与えます。そして何より黒人ならではの原始的な弾力感がある。それはギター・スタイルにも言えることで、パーカッシヴな指弾きにはポリリズミックな“跳ね”が内包され、それらに何か根源的な迫力を感じさせられました。それは大地に根ざした本物だけが放つ迫力とでも言いましょうか。CDとはまた違うライヴならではの“野生”が音に宿ってました。

彼女をサポートするのはウッドベース奏者ただ一人。独特の緊張感を孕みながらも素朴且つ人間的な二人のコンビネーションも良い空気感を作っていました。曲目は「My Boat」や「I Want To Be Evil」、「Needle In The Hay」といったアルバム収録曲を中心に、ホワイト・ストライプス的な曲なんかも挟み、10曲程演奏してくれたでしょうか。意外だったのは前半こそアコギを使っていましたが、途中でエレキ・ギターに持ち替えたこと。ま、箱形のギターのようでしたので、完全なエレキ・ギターとは呼ばないのかもしれませんが、音はエレキの音に聴こえました。個人的にはアコギの方が良かったかな…、なんて思ったりもしましたが、そんな裏切りもまた、メリッサがそこいらの単純なシンガーではない証かもしれません。

2日目は、私はメリッサの演奏中に会場に入り、ほとんど最後の方しか聴くことができなかったのですが、前日は残念ながら最後まで会場の硬さがほぐれなかった印象だったのに対し、この日は笑顔で観客に話しかけるなどして、客席との距離を確実に縮め、雰囲気的にも余裕を感じさせてくれましたね。そして最後にやった「Needle In The Hay」はやっぱり格好良かったです!

2番手はカヒミ・カリィ。彼女のライヴは初めて見ました。ただこの並びにカヒミ・カリィは必要なのか?と言う疑問があったりもしたんですけど、なんだかんだで楽しみました。1曲目、彼女の消え行くような美声より、私の興味はジム・オルークに集中してしまいました。なにやら怪しげなものをいじくり回しガチャガチャとノイズを出しているんです。ですが微妙に客席に背を向けた状態でやっているので、正面最前列の私からもよく見えないんです。なんか箱形のものや、ゴム風船のようなものもチラリと見えたんですけど…。終演後にステージを確かめましたら、親指ピアノのようなものが置いてあったので、それをどうにかしていたのかもしれません。風船は…?

今回はバックに大友良英、ジム・オルーク、さらにゲストとして30日には山本精一、31日には伊東篤宏を加えた編成。カヒミ・カリィ、大友良英、ジム・オルークの3人が産み出すロマンチック且つアヴァンギャルドな音像は流石に聴き応え充分。ゲストの山本精一は、最後の曲のギターソロで存在感を発揮したものの、私のような素人耳ではちょっと見せ場が少なかった印象ながら、その渋さが逆に光っていたかも。それに対して伊東篤宏は蛍光灯を楽器に換えた自作のオプトロンを持ち、見た目に光ってるだけでも存在感抜群で、もちろんそのノイズも刺激的でした。

終わってみれば、カヒミ・カリィの存在は色々な意味で光っていたと思いますし、この並びだからこそ、イベントの立体的な面白さを感じました。そしていよいよメイン・アクトのモリアーティ。ですが、長くなったので、こちらはまた次回。

つづく。

*写真は5月29日にタワレコのインストア・イベントでサインを頂いたメリッサ・ラヴォーの「CAMPHOR & COPPER」。