IRMA THOMAS / AFTER THE RAIN
ちょっと前の話ですが、12月2日、ビルボード東京にてアーマ・トーマスのライヴを観てまいりました。「~SOUL QUEEN of NEW ORLEANS~」とサブタイトルのついたこのライヴ、なんと20年振りの来日公演だそうです。正直な話、もうニューオーリンズに行かなくちゃアーマ・トーマスのライヴは観れないのでは?と思たりもしていたところだったので、まさに歓喜の来日!奇跡の来日! 私が観たのはこの日の2ndステージ。今回の来日公演の最終ステージです。
私が案内されたのは前から2列目ド真ん中のテーブル。席で数えたら3列目。チケット売れてるのか少々心配でしたが、周りを眺めると、2階3階の上の方まで観客でいっぱい。なんか嬉しかったですね。みんなアーマ・トーマスの来日を待ってたんだな~、ってなんかしみじみ。そうこうしているうちに開演時間。まずはバンドメンバーが登場。ビルボードのアナウンスによりますと、キム・フィリップス (Key)、ワーナー・ジョセフ・ウィリアムズ (Key)、アーサー・'V'・ベル(G)、エミール・ホール(Sax)、パーシー・ウィリアムス(Trumpet)、ラリー・"チュー"・キャンベル(Ds)というメンバー。挨拶代わりに1曲。ボビー・ウーマックの「Woman's Gotta Have It」。ドラマーのラリー・"チュー"・キャンベルがセクシーな喉を聴かせてくれました。
空気も暖まってきたところで、いよいよ主役の登場です。サックスのエミール・ホールがアーマ・トーマスの名を高らかに紹介します。曲は「If You Want It, Come And Get It」。ラウンダー時代のベスト盤のタイトルにもなっている代表曲。待ちに待ったアーマの歌声が耳に飛び込んでくる。飾らずに、それでいて深くまったりとした歌声。まさしくアーマ・トーマス!! しかし姿はまだ見えない。観客達もどこで歌っているのかとキョロキョロ、そわそわ。ほどなくしてステージ向かって左奥の楽屋口から歌いながら、客席を分け入ってアーマが登場。割れんばかりの拍手喝采。そしてステージに上がったアーマ・トーマス。その姿はなんか感動的でしたね。我々ニューオーリンズ・ファンにとって、ステージ上で大らかな佇まいを感じさせるアーマ・トーマスの本物感って言うのは、ちょっと堪らない物がありましたよね。
そして「The Story of My Life」というラウンダー時代の曲が続き、さらに「Got to Bring It with You」、「Let It Be Me」という09年にリリースされた50周年アニバーサリー・ベストに初収録された2曲が披露される。特に「Let It Be Me」は印象的でした。これ良い曲ですね~。60年代を思わせるR&B調のバラードで、アーマの歌声もまた素晴らしい! 過度な力み無しに、しっとりとしたエモーションをひたひたと伝えてくる。黒人ならではの艶と円やかさを持った、ふくよかなその歌声は、優しくもあり、切なくもある。やはり本物です。さらに「In the Middle of It All」。06年作「AFTER THE RAIN」収録曲。私、この曲大好きなんです。滑らかに語りかけるようなアーマの歌声は、暖かいソウルがあって、ホント素晴らしかった。(ギタリストさんがスライド・ギターで貢献してました~)
ここまでの序盤では、バック・バンドのアダルトなグルーヴに乗って、近年の作品を中心に、円熟の味わいを堪能させてくれたアーマ・トーマス。そんな彼女の魅力にどっぷりと浸かり始めた会場でしたが、その次に歌われたのは「Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)」。なんと1960年リリースのデビュー曲ですよ! アップ・テンポのジャンプ・ナンバー。ホーン・リフが決まり、バンドが瑞々しいスウィングを聴かせてくれれば、アーマの歌声も一際黒いキレを見せ始める。ブレイク部分の畳み掛ける感じなんか流石としか言いようが無い。まだまだ若いですよ!そして「Cry On」!! 続けざまに初期の名曲。嬉しいですね~。サラッと歌っているようでウェットな粘り気のある歌声。思わず聴き惚れましたね。そんなしっとりとした余韻に浸っている矢先に始まった飛び跳ねるようなイントロ。モッズ御用達のビートナンバー、「Break-A-Way」! そう来たか!これもアーマ・トーマスがオリジナルなんですよね~。 スピード感たっぷりに弾ける演奏に乗ってサビの高音部を駆け抜けるように歌うアーマ。最高! さらに超名曲「Ruler of My Heart」!!もう60年代オン・パレード!
やっぱりアーマ・トーマスって低音が素晴らしいんですよ。特にこの曲。 彼女の低音の響きが、甘くポップな曲調からブラックなフィーリングをジワリと滲ませてきます。そして各フレーズの語尾のニュアンスがまた堪らないんです! そこを聞き逃さないよう、息を止めるが如くに耳を傾けました。もううっとりでしたね~。やっぱり私は60年代のニューオーリンズR&Bが好きだな~、としみじみ。しかもまだ続く。今度は「It's Raining」。ゆったりとしたスウィング感が心地良い。間奏では後方に構えるギタリスにスポットが当たり、その彼がスウィートなギター・ソロを披露、その間、アーマとホーン隊のフロント3人が左右に同じステップを踏むなんていうムーディーな場面もあったり。
そして「I Done Got Over It」。これも60年代のシングル曲。ポップなダンス・ナンバーですが、実はここからがアーマ・トーマスのライヴではお馴染みの“セカンド・ライン・タイム”。観客達ももう総立ち。思い思いに踊りながら、そして白い紙ナプキングルグ回す。このナプキン回しはセカンド・ライン・タイム恒例らしいのですが、私はアーマのライヴ初体験なので、お~、これが噂の!!みたいたいな感じで、ちょっとドキドキ。曲はメドレーで「Iko Iko」に。みんな歌いながらナプキンをグルグル。私もグルグル。後ろを振りかえれば、上の方の席の人達もみんなグルグル。もはやビルボードではない雰囲気。続いて「Hey Pocky Way」。さらに客席も盛り上がる、盛り上がる。その盛り上がりに笑顔で歌って応えるアーマ・トーマス。セカンド・ラインのリズムがさらに昂揚感を煽る。楽しい!! いいな~、ニューオーリンズって!!!
さて、ステージもいよいよ終盤。待ってましたの「Wish Someone Would Care」。アーマ自身の手による60年代のヒット曲。『ア~~』っていう出だしからグッときちゃいましたね。スローナンバーですが、まるで先程のセカンドラインの熱気を纏ったようなディープなソウル・フィーリング。個人的には「Ruler of My Heart」と並んで最も聴きたかった曲。感無量でした。本編ラストは「The Same Love that Made Me Laugh」。これは05年にリリースされた、ジョー・ヘンリーによるプロデュースの企画盤「I BELIEVE TO MY SOUL」でアーマが歌っていたビル・ウィザースのカヴァー曲。ヴァラエティ豊かなこういう選曲も見事。
そう言えば、アーマ・トーマスの手元にはもの凄く太い歌本のようなものが置かれてまして、曲が終わるごとにペラペラ捲っていましたが、曲中はほとんど見ていませんでしたね。でも捲った後でバンドにサインを送っているようにも見えたので、あの歌本を捲ることによってセットリストをその場で決めたりもしていたのかもしれませんね。アップ・ナンバーとスロー・ナンバーの兼ね合いもみごとでしたし、その辺り、会場の空気を読みながら彼女のフィーリングでステージを作っていたのかな~、なんて思ったり。
そしてアンコールはまさかのボブ・ディラン曲「Forever Young」。サビを繰り返すたびにどんどんソウルを増していくような歌唱にホント痺れました。とてつもなく大きな歌。これだけ感動的な歌声というのはそうそう聴けるもんじゃないですよ。まさに熱唱! この熱唱って言うのは、アーマ自身、何か思うところがあったんでしょうね。歌に込める思いの強さみたいなものがビンビンに伝わってきました。最後は涙を流しながら歌ってたのも印象的でした。そしてその涙をこらえるような目線で感謝を表しながらステージを去っていくアーマ。しかしステージ端から降りる瞬間に歩みを止め、感極まったかのようにもうワン・コーラスの熱唱。感動! これぞ真のソウル・シンガーによる、真の歌声。ありがとう、アーマ・トーマス!!
終演後にサイン会があり、私もサインを頂きました。『サンキュー』と言いましたら、慣れない日本語で『どういたしまして』と照れ笑いを浮かべながら応えてくれたアーマ・トーマスは、なんか可愛かったです。
01. Woman's Gotta Have It
02. If You Want It, Come And Get It
03. The Story of My Life
04. Got to Bring It with You
05. Let It Be Me
06. In the Middle of It All
07. Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)
08. Cry On
09. Break-A-Way
10. Ruler of My Heart
11. It's Raining
12. I Done Got Over It ~ Iko Iko ~ Hey Pocky Way
13. Wish Someone Would Care
14. The Same Love that Made Me Laugh
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15. Forever Young
ちょっと前の話ですが、12月2日、ビルボード東京にてアーマ・トーマスのライヴを観てまいりました。「~SOUL QUEEN of NEW ORLEANS~」とサブタイトルのついたこのライヴ、なんと20年振りの来日公演だそうです。正直な話、もうニューオーリンズに行かなくちゃアーマ・トーマスのライヴは観れないのでは?と思たりもしていたところだったので、まさに歓喜の来日!奇跡の来日! 私が観たのはこの日の2ndステージ。今回の来日公演の最終ステージです。
私が案内されたのは前から2列目ド真ん中のテーブル。席で数えたら3列目。チケット売れてるのか少々心配でしたが、周りを眺めると、2階3階の上の方まで観客でいっぱい。なんか嬉しかったですね。みんなアーマ・トーマスの来日を待ってたんだな~、ってなんかしみじみ。そうこうしているうちに開演時間。まずはバンドメンバーが登場。ビルボードのアナウンスによりますと、キム・フィリップス (Key)、ワーナー・ジョセフ・ウィリアムズ (Key)、アーサー・'V'・ベル(G)、エミール・ホール(Sax)、パーシー・ウィリアムス(Trumpet)、ラリー・"チュー"・キャンベル(Ds)というメンバー。挨拶代わりに1曲。ボビー・ウーマックの「Woman's Gotta Have It」。ドラマーのラリー・"チュー"・キャンベルがセクシーな喉を聴かせてくれました。
空気も暖まってきたところで、いよいよ主役の登場です。サックスのエミール・ホールがアーマ・トーマスの名を高らかに紹介します。曲は「If You Want It, Come And Get It」。ラウンダー時代のベスト盤のタイトルにもなっている代表曲。待ちに待ったアーマの歌声が耳に飛び込んでくる。飾らずに、それでいて深くまったりとした歌声。まさしくアーマ・トーマス!! しかし姿はまだ見えない。観客達もどこで歌っているのかとキョロキョロ、そわそわ。ほどなくしてステージ向かって左奥の楽屋口から歌いながら、客席を分け入ってアーマが登場。割れんばかりの拍手喝采。そしてステージに上がったアーマ・トーマス。その姿はなんか感動的でしたね。我々ニューオーリンズ・ファンにとって、ステージ上で大らかな佇まいを感じさせるアーマ・トーマスの本物感って言うのは、ちょっと堪らない物がありましたよね。
そして「The Story of My Life」というラウンダー時代の曲が続き、さらに「Got to Bring It with You」、「Let It Be Me」という09年にリリースされた50周年アニバーサリー・ベストに初収録された2曲が披露される。特に「Let It Be Me」は印象的でした。これ良い曲ですね~。60年代を思わせるR&B調のバラードで、アーマの歌声もまた素晴らしい! 過度な力み無しに、しっとりとしたエモーションをひたひたと伝えてくる。黒人ならではの艶と円やかさを持った、ふくよかなその歌声は、優しくもあり、切なくもある。やはり本物です。さらに「In the Middle of It All」。06年作「AFTER THE RAIN」収録曲。私、この曲大好きなんです。滑らかに語りかけるようなアーマの歌声は、暖かいソウルがあって、ホント素晴らしかった。(ギタリストさんがスライド・ギターで貢献してました~)
ここまでの序盤では、バック・バンドのアダルトなグルーヴに乗って、近年の作品を中心に、円熟の味わいを堪能させてくれたアーマ・トーマス。そんな彼女の魅力にどっぷりと浸かり始めた会場でしたが、その次に歌われたのは「Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)」。なんと1960年リリースのデビュー曲ですよ! アップ・テンポのジャンプ・ナンバー。ホーン・リフが決まり、バンドが瑞々しいスウィングを聴かせてくれれば、アーマの歌声も一際黒いキレを見せ始める。ブレイク部分の畳み掛ける感じなんか流石としか言いようが無い。まだまだ若いですよ!そして「Cry On」!! 続けざまに初期の名曲。嬉しいですね~。サラッと歌っているようでウェットな粘り気のある歌声。思わず聴き惚れましたね。そんなしっとりとした余韻に浸っている矢先に始まった飛び跳ねるようなイントロ。モッズ御用達のビートナンバー、「Break-A-Way」! そう来たか!これもアーマ・トーマスがオリジナルなんですよね~。 スピード感たっぷりに弾ける演奏に乗ってサビの高音部を駆け抜けるように歌うアーマ。最高! さらに超名曲「Ruler of My Heart」!!もう60年代オン・パレード!
やっぱりアーマ・トーマスって低音が素晴らしいんですよ。特にこの曲。 彼女の低音の響きが、甘くポップな曲調からブラックなフィーリングをジワリと滲ませてきます。そして各フレーズの語尾のニュアンスがまた堪らないんです! そこを聞き逃さないよう、息を止めるが如くに耳を傾けました。もううっとりでしたね~。やっぱり私は60年代のニューオーリンズR&Bが好きだな~、としみじみ。しかもまだ続く。今度は「It's Raining」。ゆったりとしたスウィング感が心地良い。間奏では後方に構えるギタリスにスポットが当たり、その彼がスウィートなギター・ソロを披露、その間、アーマとホーン隊のフロント3人が左右に同じステップを踏むなんていうムーディーな場面もあったり。
そして「I Done Got Over It」。これも60年代のシングル曲。ポップなダンス・ナンバーですが、実はここからがアーマ・トーマスのライヴではお馴染みの“セカンド・ライン・タイム”。観客達ももう総立ち。思い思いに踊りながら、そして白い紙ナプキングルグ回す。このナプキン回しはセカンド・ライン・タイム恒例らしいのですが、私はアーマのライヴ初体験なので、お~、これが噂の!!みたいたいな感じで、ちょっとドキドキ。曲はメドレーで「Iko Iko」に。みんな歌いながらナプキンをグルグル。私もグルグル。後ろを振りかえれば、上の方の席の人達もみんなグルグル。もはやビルボードではない雰囲気。続いて「Hey Pocky Way」。さらに客席も盛り上がる、盛り上がる。その盛り上がりに笑顔で歌って応えるアーマ・トーマス。セカンド・ラインのリズムがさらに昂揚感を煽る。楽しい!! いいな~、ニューオーリンズって!!!
さて、ステージもいよいよ終盤。待ってましたの「Wish Someone Would Care」。アーマ自身の手による60年代のヒット曲。『ア~~』っていう出だしからグッときちゃいましたね。スローナンバーですが、まるで先程のセカンドラインの熱気を纏ったようなディープなソウル・フィーリング。個人的には「Ruler of My Heart」と並んで最も聴きたかった曲。感無量でした。本編ラストは「The Same Love that Made Me Laugh」。これは05年にリリースされた、ジョー・ヘンリーによるプロデュースの企画盤「I BELIEVE TO MY SOUL」でアーマが歌っていたビル・ウィザースのカヴァー曲。ヴァラエティ豊かなこういう選曲も見事。
そう言えば、アーマ・トーマスの手元にはもの凄く太い歌本のようなものが置かれてまして、曲が終わるごとにペラペラ捲っていましたが、曲中はほとんど見ていませんでしたね。でも捲った後でバンドにサインを送っているようにも見えたので、あの歌本を捲ることによってセットリストをその場で決めたりもしていたのかもしれませんね。アップ・ナンバーとスロー・ナンバーの兼ね合いもみごとでしたし、その辺り、会場の空気を読みながら彼女のフィーリングでステージを作っていたのかな~、なんて思ったり。
そしてアンコールはまさかのボブ・ディラン曲「Forever Young」。サビを繰り返すたびにどんどんソウルを増していくような歌唱にホント痺れました。とてつもなく大きな歌。これだけ感動的な歌声というのはそうそう聴けるもんじゃないですよ。まさに熱唱! この熱唱って言うのは、アーマ自身、何か思うところがあったんでしょうね。歌に込める思いの強さみたいなものがビンビンに伝わってきました。最後は涙を流しながら歌ってたのも印象的でした。そしてその涙をこらえるような目線で感謝を表しながらステージを去っていくアーマ。しかしステージ端から降りる瞬間に歩みを止め、感極まったかのようにもうワン・コーラスの熱唱。感動! これぞ真のソウル・シンガーによる、真の歌声。ありがとう、アーマ・トーマス!!
終演後にサイン会があり、私もサインを頂きました。『サンキュー』と言いましたら、慣れない日本語で『どういたしまして』と照れ笑いを浮かべながら応えてくれたアーマ・トーマスは、なんか可愛かったです。
01. Woman's Gotta Have It
02. If You Want It, Come And Get It
03. The Story of My Life
04. Got to Bring It with You
05. Let It Be Me
06. In the Middle of It All
07. Don't Mess with My Man (You Can Have My Husband)
08. Cry On
09. Break-A-Way
10. Ruler of My Heart
11. It's Raining
12. I Done Got Over It ~ Iko Iko ~ Hey Pocky Way
13. Wish Someone Would Care
14. The Same Love that Made Me Laugh
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15. Forever Young