しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

女性の再婚・再再婚

2015年08月13日 | 昭和16年~19年

大正生まれの母はよく「同級生の半分近くが再婚しとる」と話していた。
世にも稀な「姦通罪」がある国に、戦国女性のように再婚、再再婚が茶飯事であったことに驚く。
史料は入籍の有無しかないので実態がつかめないし、この事に関する本の有無もしらない。


郷土史本から関連記事を転記する

「フゴを売る」 金光町史

嫁は姑に対して絶対服従を求められ、もし逆らったりすると家風に合わぬと言われる。
財布を握っていたのは姑であり経済的に不自由であった。
「10年ひと辛抱」という言葉にあるように、花嫁は好きなものも買えなかった。
主導権を握るまで辛抱すればよいが我慢しきれない時は、婚家に黙って実家に帰ることがあった。
この事を「フゴを売る」といった。
女は一度嫁いでから離婚すると世間は「きずもの」といって差別するので辛抱していた。


「フゴを売る」鴨方町史
姑との折り合いが悪い、仕事がきつくて辛抱できないなどの理由で、嫁が「フゴを売る」ことがあった。
嫁が当座の着替えをもって、婚家に無断で里に帰ることをいう。最悪の場合は仲人に出てもらい相応の話をつけたのである。



金光・鴨方町史とも「フゴを売る」話しか書かれていない。
母の話では嫁の意思で婚家を出る人よりも、婚家から追い出されるケースの方が多い。
①(夫よりも)舅・姑との折り合いが悪い。②結婚して1年以内に子供ができな③夫が戦死により婚家を出る。

①②の離縁は女性の人権を無視したものだが、管理人が子供の頃はその名残のある家は確かに多かった。
③は戦争世代の婦人に限られる、やむをえない。

婦人の再婚は現在とは比にならない程多かったが、もはや実態をつかむことは不可能になっている。


コメント
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