米澤穂信 著
あまりの高額報酬に募集広告の誤植だと思ったから。
車が欲しかったから。
冗談のつもりだったから。
こうして集まってきた12人のモニターたちは、「暗鬼館」という名の
地下施設で「実験」に参加することになる。
独自のルールに縛られた無法地帯。
そこで7日間を過ごすこと。そしてあわよくばボーナスを獲得すること。
まあありがちな物語なのだが、意外に面白かった。
映画化されたものを見た人の話から、ただの殺し合いゲームみたいな印象を
受けていたのだが、しっかりとした古典的ミステリを下敷きにした構成は
読み応えがある。
登場人物たちが立場も性格もバラバラで個性的で、ただひたすらに欲と殺意に
まみれているワケではないところが現実的。
出来れば安穏に7日間を過ごしたい、という人ほど3日目あたりは恐怖に
とりつかれてしまうところなど、リアルだなあと思う。
一方で最初から綿密に計画を練り、計算ずくで行動している人ももちろんいる。
問題は問われているのが必ずしも“真実”ではないことだ。
“解決”は多数決であり、段々人数が減っていくほどに必要とされる賛成数も
減っていくことになる。
このあたりはもっと突き詰めればさらなる恐怖を生み出しそうだが、あえて
そうしないことで、ほかの要素との組み合わせが生きている気がする。
主人公・結城が、最後の最後になぜか10億円にこだわる関水に対して
報酬を分け与えてしまうところにすごく共感してしまった。
そうなのだ、見ていないモノへの執着は少ない。
高額すぎると現実味はないに等しい。う~ん貧乏って悲しいかも……。
登場人物それぞれの結末と報酬額が列記されていくのだが、冷静に7日間の報酬と
考えればとんでもない。しかし、この高額報酬の皮算用をしたあとだと
安く感じるんだなあ。
登場人物同士は薄いつながりがあるようなのだが、そこは最後まで判明しない。
そして、お金が必要だった理由もすべて解明するわけではない。
そこがまた後を引く感じ。
与えられた武器には、引用元となるミステリがある。
読んだことのないものもあってお恥ずかしい限りであるが、本書を読むには
さしつかえない。でも読んでいると絶対さらに面白いと思う。
あまりの高額報酬に募集広告の誤植だと思ったから。
車が欲しかったから。
冗談のつもりだったから。
こうして集まってきた12人のモニターたちは、「暗鬼館」という名の
地下施設で「実験」に参加することになる。
独自のルールに縛られた無法地帯。
そこで7日間を過ごすこと。そしてあわよくばボーナスを獲得すること。
まあありがちな物語なのだが、意外に面白かった。
映画化されたものを見た人の話から、ただの殺し合いゲームみたいな印象を
受けていたのだが、しっかりとした古典的ミステリを下敷きにした構成は
読み応えがある。
登場人物たちが立場も性格もバラバラで個性的で、ただひたすらに欲と殺意に
まみれているワケではないところが現実的。
出来れば安穏に7日間を過ごしたい、という人ほど3日目あたりは恐怖に
とりつかれてしまうところなど、リアルだなあと思う。
一方で最初から綿密に計画を練り、計算ずくで行動している人ももちろんいる。
問題は問われているのが必ずしも“真実”ではないことだ。
“解決”は多数決であり、段々人数が減っていくほどに必要とされる賛成数も
減っていくことになる。
このあたりはもっと突き詰めればさらなる恐怖を生み出しそうだが、あえて
そうしないことで、ほかの要素との組み合わせが生きている気がする。
主人公・結城が、最後の最後になぜか10億円にこだわる関水に対して
報酬を分け与えてしまうところにすごく共感してしまった。
そうなのだ、見ていないモノへの執着は少ない。
高額すぎると現実味はないに等しい。う~ん貧乏って悲しいかも……。
登場人物それぞれの結末と報酬額が列記されていくのだが、冷静に7日間の報酬と
考えればとんでもない。しかし、この高額報酬の皮算用をしたあとだと
安く感じるんだなあ。
登場人物同士は薄いつながりがあるようなのだが、そこは最後まで判明しない。
そして、お金が必要だった理由もすべて解明するわけではない。
そこがまた後を引く感じ。
与えられた武器には、引用元となるミステリがある。
読んだことのないものもあってお恥ずかしい限りであるが、本書を読むには
さしつかえない。でも読んでいると絶対さらに面白いと思う。