乃南アサ 著
なんというか、とても気持ちが悪い話だ。
表面的に笑顔と好意と幸せがちりばめられているだけに、
その嫌さ加減が尋常ではない。
家族で米穀店を営む家に嫁いだ主人公・法子。
同居への不安はただちに消し飛び、家族の笑顔に包まれた暮らしが
始まったかに思えた。
しかし、どこかに漂う違和感。何かが普通と違うことを感じ始める。
ある日近所で一家心中事件が起こり、それを機に法子は家族の
異常性を確信、何とか誰かに伝え出ていこうと考え始める。
そこからが怖い。
ネタバレになるが、ありとあらゆる形で“家族”への取り込みが
行われる。
新興宗教の洗脳の過程を見ているようだ。
睡眠の制限し話をさせて徹底的に否定する。判断力を奪い、罵詈雑言を浴びせる。
一転やさしく包み込み、これまでの過程はすべてあなたのためであるという。
逃げ道をふさぎ、違う世界への可能性を奪って絶望させる。
助けを求めてもツメの甘さゆえに次々と露呈し、ますますがんじがらめに
なっていく法子。
最終的には自ら望んだ形で家族に取り込まれてしまう。
歯がゆさともどかしさ。そしてどうにもできない恐怖。
ただ最後だけはやや不満。
家族がそうまでして異常な絆を求めた理由づけがもうひとつの気がするのだ。
逆にそれが余韻を残すのかもしれないが。
なんというか、とても気持ちが悪い話だ。
表面的に笑顔と好意と幸せがちりばめられているだけに、
その嫌さ加減が尋常ではない。
家族で米穀店を営む家に嫁いだ主人公・法子。
同居への不安はただちに消し飛び、家族の笑顔に包まれた暮らしが
始まったかに思えた。
しかし、どこかに漂う違和感。何かが普通と違うことを感じ始める。
ある日近所で一家心中事件が起こり、それを機に法子は家族の
異常性を確信、何とか誰かに伝え出ていこうと考え始める。
そこからが怖い。
ネタバレになるが、ありとあらゆる形で“家族”への取り込みが
行われる。
新興宗教の洗脳の過程を見ているようだ。
睡眠の制限し話をさせて徹底的に否定する。判断力を奪い、罵詈雑言を浴びせる。
一転やさしく包み込み、これまでの過程はすべてあなたのためであるという。
逃げ道をふさぎ、違う世界への可能性を奪って絶望させる。
助けを求めてもツメの甘さゆえに次々と露呈し、ますますがんじがらめに
なっていく法子。
最終的には自ら望んだ形で家族に取り込まれてしまう。
歯がゆさともどかしさ。そしてどうにもできない恐怖。
ただ最後だけはやや不満。
家族がそうまでして異常な絆を求めた理由づけがもうひとつの気がするのだ。
逆にそれが余韻を残すのかもしれないが。