加門七海 著
怪奇小説なのだが、文章が美しく格調高い。
夜な夜な冥府に通ったという小野篁(たかむら)。
彼と異母妹との間に生まれた娘・小町はまれに見る美女であり才女。
この怪しげな存在が軸である。
室町時代の面打ち・氷見と小町の語り、そしてその話の中にある平安時代、
二つの時空を行き来し、夢と闇のうつつの中、物語が進む。
遣唐使船から勝手に下船して以来、不遇の身にあった篁と、
やはり鬱屈した想いを抱えて暮らす在原業平には何か通じるものがあったのか。
そこに小町にかなわぬ想いを寄せる深草少将もくわわり、当時の人間関係、
政治的な思惑などをにおわせる。
日照りの果て、祈雨に引きだされる小町。
その歌は雷雨を呼ぶ。
しかし、この世のものでないこともあきらかになっていく。
今も美女・才女の代名詞として残る“小町”。
その神秘的な存在を違う切り口から見せてくれる作品だ。
怪奇小説なのだが、文章が美しく格調高い。
夜な夜な冥府に通ったという小野篁(たかむら)。
彼と異母妹との間に生まれた娘・小町はまれに見る美女であり才女。
この怪しげな存在が軸である。
室町時代の面打ち・氷見と小町の語り、そしてその話の中にある平安時代、
二つの時空を行き来し、夢と闇のうつつの中、物語が進む。
遣唐使船から勝手に下船して以来、不遇の身にあった篁と、
やはり鬱屈した想いを抱えて暮らす在原業平には何か通じるものがあったのか。
そこに小町にかなわぬ想いを寄せる深草少将もくわわり、当時の人間関係、
政治的な思惑などをにおわせる。
日照りの果て、祈雨に引きだされる小町。
その歌は雷雨を呼ぶ。
しかし、この世のものでないこともあきらかになっていく。
今も美女・才女の代名詞として残る“小町”。
その神秘的な存在を違う切り口から見せてくれる作品だ。