息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

ちんぷんかん

2012-01-03 10:20:23 | 畠中恵
畠中恵 著

お正月休みなのでほのぼのシリーズ。と思いきや、若だんなの命が危ない!

「鬼と小鬼」ではとうとう三途の川まで来てしまう若だんな。
しかも袖には鳴家がはいったまま。
自分の病弱はあきらめがつくけれど、この子を連れたままにはできない。
連れて帰ろうと決意した若だんなが大奮闘する。

ここでは怖いはずの妖も、地獄の鬼たちも人間味あふれて身近な存在になる。
知恵をめぐらせない力をふりしぼり帰ろうとする若だんな。
そこには祖母・皮衣の助力もあり、若だんなを守る力の大きさにも驚く。
そしてどうしても帰れない人がいるという事実も突き付けられるのだ。

「男ぶり」は若だんなの両親の恋物語。お砂糖に蜜をかけたほど甘い、と
言われる両親であるが、母・おたえの恋物語と思わせて、実は父・藤兵衛が
主役だ。ほのぼの仲が良い夫婦のなれそめにふさわしい物語。

もっとも好きなのは「はるがいくよ」。
桜の花びらの精と若だんなの心の通い合い。束の間の出会いが切なく、
巣立ちや旅立ちが相次ぐ春の季節を象徴するような物語だ。
まだ風が冷たいながらも日差しがやわらぎ、知らず知らず心が浮き立つ季節、
そんな思いをそのまま閉じ込めたような出会いと別れの物語。

やっぱりしゃばけシリーズ、いいですなあ。