久坂部羊 著
刑法第39条「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」
これに歯がゆい思いをした人は多いのではないか。
どう見ても被害者に何も落ち度がないのに、理不尽な死や障害を押し付けられる。
それなのに、加害者はこの法律に守られ何の責任もない。
本書のテーマはこの割り切れなさだ。
それとともに「痛み」をもたない体質の男、
見ただけで症状どころか余命までも
わかる医師、刑法第39条に疑問をもつ刑事、
そしてケータイのメールでしか会話をしない少女。
個性的というにもほどがあるほどの登場人物だが、陰惨そのものの
一家殺人事件からすべてが始まる。
医療的な内容が充実しリアリティもある。
珍しい症例についてもわかりやすく説明され、物語への必然性もある。
ひとつひとつのエピソードがしっかりしていてとても面白い。
しかし、全体としてちょっとバラバラな印象を受けてしまう。
これだけの豊富な題材をしっかり料理していることはすごいのだが、
一皿一皿はおいしいのにコースだと少し違和感があるというか。
あれだけ脱走のシーンをこまかく描いたサトミのその後が、拍子抜け
するような状況というのが一番の?
いや幸せそうなんでいいんですがね。
とりあえず読み応えはあるし、面白さは十分です。
刑法第39条「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」
これに歯がゆい思いをした人は多いのではないか。
どう見ても被害者に何も落ち度がないのに、理不尽な死や障害を押し付けられる。
それなのに、加害者はこの法律に守られ何の責任もない。
本書のテーマはこの割り切れなさだ。
それとともに「痛み」をもたない体質の男、
見ただけで症状どころか余命までも
わかる医師、刑法第39条に疑問をもつ刑事、
そしてケータイのメールでしか会話をしない少女。
個性的というにもほどがあるほどの登場人物だが、陰惨そのものの
一家殺人事件からすべてが始まる。
医療的な内容が充実しリアリティもある。
珍しい症例についてもわかりやすく説明され、物語への必然性もある。
ひとつひとつのエピソードがしっかりしていてとても面白い。
しかし、全体としてちょっとバラバラな印象を受けてしまう。
これだけの豊富な題材をしっかり料理していることはすごいのだが、
一皿一皿はおいしいのにコースだと少し違和感があるというか。
あれだけ脱走のシーンをこまかく描いたサトミのその後が、拍子抜け
するような状況というのが一番の?
いや幸せそうなんでいいんですがね。
とりあえず読み応えはあるし、面白さは十分です。