哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

便利は不便(週刊新潮今週号の「人間自身」)

2005-10-14 21:49:01 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮今週号の「人間自身」の題は、「便利は不便」でした。

 ページを開いた途端、「モンブランの万年筆」という言葉が見えたので、おや池田さんも?と思ったが、よく読むと100円のボールペンを愛用されているそうです。推測するに、たぶん三菱UNIのボールペンでしょう。あれはよくできていて書きやすいです。

 さて本題ですが、今週号の内容を要約すれば、「便利なものを作って使い始めるとかえってそれがないと困ることになり、逆に不便となる矛盾。便利を追求して時間を節約しても、その便利さのためにさらに仕事を増やす矛盾(コンピューターに情報を収集して便利だと思ったら、今度は情報漏えいに四苦八苦)。時間を作ってもロクでもない娯楽に浪費される。何のための便利さなのか各々良く考えてみるがよい。」

 確かにiPodを買ったら全て音楽はパソコン経由でしか入手できなくなり、またそのパソコンが壊れたらせっかく買った音楽は全てパーに? 本当に不便さも増幅していそうです。

 ところで、便利さの追求は道具の進化として文明の原動力であったような気もするのですが、ならば人間は何のために文明を築いたのでしょうか? 高尚な哲学のすえ文明を築いたとも思えませんし、とすれば便利さの追求は単なる人間の本性かも。 

ハングル表記の合理性

2005-10-13 21:15:27 | 語学
 かつて韓国は近くて遠い国と言われていましたが、いまや韓流ブームです。

 その昔、古代日本の支配層は当時先進技術を朝鮮から日本に持ってきた方々だと言われてますし、その意味でも最近話題しきりの天皇家も大陸系であることは十分考えられます。今よりも中国や朝鮮の方が先進国だったのですから。

 ところで15世紀に人工的に作られたハングルですが、その表記の合理性にはびっくりしました。発音の仕方(発音器=口や舌の形)がそのまま文字になるとは、良く考えられています。良く考えられているからこそ、500年も使われてきたのでしょう。また日本語と語順が一緒というのは、親近感があります。

 国語学者で日本語表記をローマ字に変えようと運動していた人がかつていましたが、ハングルの方がまだましな気がします。

iTunesとiPodナノ

2005-10-12 21:49:51 | 音楽
 ひょんなことからiTunesをダウンロードして使ってみたら、CDダビングの速さは特筆ものでした。しかもインデックスも自動的に作ってくれるのですから、もうMDの出る幕はありません。結局iPodナノも買い、いまや音楽はインターネットから買っています。

 こんなに便利で大容量ということは、そのうち語学学習や朗読も、この携帯デジタルプレーヤーに移行するのは時間の問題ですね。

 最近は雑誌もサイトのPDFファイルでページをめくるように見ることが出来ますし、日常生活はますますパソコン画面の世界に集約されていっています。

 かといっていくら道具が便利になっても、人間は賢くはなりませんけどね。

NHK不払しますか?

2005-10-11 22:14:57 | 時事
 NHK受信料不払の話題が世間ではしきりですが、不払したくても私の場合は銀行引き落としなんで、ちょっと面倒です。しかしそもそも不払したいとあまり思っていません。実は普段からNHK放映番組を中心に生活しているからです。

 毎朝のテレビニュース(7時から)は必ずNHK、土日の19時からのテレビニュースもNHK、月~金の早朝にはNHK第2ラジオの語学放送をヒアリングの練習のつもりで聞き、教育テレビの日曜美術館とN響アワーはほぼ毎週チェックしています。水曜の「その時歴史が動いた」も内容が面白いときは見るし、日曜の昼に自宅に居るときは「のど自慢」を見て、お茶の間採点をします。
 とくにイベント系で面白いのは、教育テレビでたまに放送される「詩のボクシング」です。単なるお笑い番組にはない知的興奮がありますよ。

 これだけ視聴していれば元は取れてます?

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト

2005-10-10 21:27:20 | 音楽
 びわ湖ホールで開催された小澤征爾さんの音楽塾プロジェクト「セビリアの理髪師」を見てきました。さすが小澤さんの人気で全席完売です。

 「セビリアの理髪師」は、わかりやすく面白く、ハッピーエンドで終わるので、オペラ初心者にもお薦めの演目かも知れません。こういう喜劇ものを見ると、オペラ歌手は喜劇役者なのかと思ってしまいます。

 今回たまたま最前列の席が取れたので、小澤さんの息遣いというか鼻息というか、そんなところまで聞こえるほどたっぷり楽しませていただきました。しかも指揮者用の譜面台には楽譜がありません。超一流指揮者お得意の暗譜なんですね。凄いです。

 オーケストラや歌手の力量について云々言うことはできる能力は私にはありませんが、指揮者と主役歌手以外は、若手音楽家の育成のための公演ですから、演目を楽しめたことで十分だったと思います。

宇宙は何を考えているのか。

2005-10-10 02:43:45 | 科学
 雑誌ニュートンの最新号に生物の進化についての記事があったので、少し立ち読みをしました。

 口と肛門は元は一緒だったとか、カンブリア紀の進化大爆発で背骨ができたとか、器官の進化を一つ一つ説明していました。また、眼については、これほど複雑な器官がなぜ出来たのかは今もって謎なのだそうです。

 ところで「可視光線」といいますが、この言葉は進化論的にはむしろあべこべで、地球上でもっとも多い光を見えるようにしたのが、眼のできた原因と考えられます。眼よりも先に「光がまずあった」のです。

 そこでまた池田晶子さんの文の一節を取り上げるのですが、普段「科学の見方は一面的に過ぎない」とよく書いている池田さんにしては、科学的というか進化論的な発想をされている部分があります。
 それは、なぜ人間の脳が発達し、考えるようになったかという点についてです。人間の他の器官と同様、全く無目的に脳が発達したとは考えられず、むしろ脳が発達したのは、脳以前に「考え」が宇宙にあったからではないか。では「宇宙は何を考えているのか。」

 確かに言われてみれば、「考え」が先になければ脳の発達もないような気がします。でも宇宙が何を考えているのか、と言われても想像を絶します。光が眼の外部にあって眼は受信するのが役目とパラレルに考えれば、「考え」は脳の外にあって脳は受信するのが役目・・・とすれば、私たちが考えることそのものが宇宙の考えていることなのでしょうか?

エノテカさん

2005-10-09 21:38:07 | ワイン
 その昔、ワインをもっとも勉強させてもらったのは、エノテカさんです。単なる消費者の立場ではありますが、ボルドーのトップシャトーを招いての垂直試飲会(同じシャトーの古い年代のものから新しい年代のものまで試飲する)では、シャトーのオーナーや社長から直接話が聞けて、本当に高級ワインを身近に感じることが出来ました。

 そういえばエノテカのインターネットサイトでのワイン・オークションも大変いい経験でしたね。0.何秒を争うネットオークションの熱狂振りは、本当に興奮ものでした。確か当時はワインの第4次ブームくらいでしたでしょうか。東京の広尾にしかなかった店が、あっという間に全国展開し、レストラン等も持たれてましたね。

 しかし、時代は変遷するのですね。エノテカさんと同様に現地からの直輸入で、コストパフォーマンスと品質の確かさを売り物にするワインショップは劇的に増え、消費者にとって選択の範囲はとっても増えました。私も長年継続していたエノテカさんの会員は脱会しましたが、メジャーリーグに挑戦した野茂投手と同様に、パイオニアとしてのエノテカさんの貢献は忘れません。

http://www.enoteca.co.jp/

塩野七生さんの「日本人へ」30

2005-10-09 03:13:37 | 時事
 今月の文藝春秋(11月号)の「日本人へ」は小泉首相についてでした。

 その昔から、行財政改革を一貫して言い続けてきた男っぷりは、先の選挙で国民の支持をしっかり得ました。永田町の常識を覆すやり方にも塩野さんはエールを送っています。しかし、一年後の任期切れで辞めることを公言していることには、塩野さんは苦言を呈しています。外国から見れば、1年待てば小泉首相はいなくなるのだから、あえて結論を急ぐ必要はなくなってしまう。つまり、バーゲンが1週間後にあるとわかっていて今買い物をするバカがどこにいる?という話だそうです。

 確かに言われてみればそうですね。時間をかけてでもやるという交渉姿勢でないと。相手から甘く見られる可能性があります。
 但し、外交についてはポスト小泉さんが安部さんになるなら、もっと過激な(タカ派な?)政策になるかもしれないし、そもそもアメリカ追随姿勢の強い日本外交が、それほど外国(とくにアジア)に重きを置かれているのか、今一歩良く分かりません。日本が出すお金だけは重きが置かれているかもしれませんが。

 今結論を出さないと後でもっと大変なことになるぞ、というような脅しになりうるなら期限を決めてよい交渉でしょう。ブッシュ政権はイラク戦争をネタに、ならず者国家を抑えていっている様ですが、まさに武力による脅しです。
 一方で日本の外交政策に一貫性のある信念などが、あるのかどうか。外交においては政権の変動に関係なく一貫性がなければいけないような気がしますが、実はそれは世襲制的な(?)外交官の資質に頼っていたりするのでしょうか。もしそうなら、外交に関しては小泉さんがいなくなっても大丈夫(?)です、多分。

景気のいい話(週刊新潮今週号の「人間自身」)

2005-10-08 07:50:14 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮今週号の「人間自身」は、「景気のいい話」という題でした。要旨をあえて言えば、景気がよくなろうが悪くなろうが哲学には関係ない、そもそも哲学(人生訓レベルではなく、存在の謎への思考を意味する)は時代と全く関係ない、と。

 確かに、「失われた十年」とかで経済が沈滞しているとき(今もまだ脱したとまでも言いがたい?)、中野孝次さんの『清貧の思想』がベストセラーになったりしましたね。池田さんが今回の文章で触れられている、景気が悪くなると人生の本質を考え始めるのではないかと人々が言っていたが・・、というのは、このことなどを指しているでしょう。

 結局、哲学と生活は全く関係なく、生活できようができまいが、哲学をする人はするだけのこと、だそうです。
 何となく当たり前の言質に見えますが、生活に全く関係なく、例えば日々の衣食に困る状態で、存在の根源を思考することが果たしてできるのか。凡人にはかなりハードルが高い話です。でも、そのくらいでなければ、池田さんのいう「哲学」もしくは「考えること」には至らないのでしょう。

ラピタの万年筆

2005-10-07 04:48:36 | 万年筆
 世間では万年筆は本当にブームなんでしょうか。自分の周りを見ても万年筆を使っている人はほとんどいません。

 そんな中で、ラピタという雑誌(11月号)の付録がミニ万年筆というので買ってみました。小さいとはいえ結構ズッシリ感のある万年筆です。ペン先はBくらいの太さでしょうか。小さい万年筆なので携帯はしやすいですが、手帳に書くには太すぎる字ですね。それにしても980円の雑誌の付録とは驚きです。

 ところで以前モンブランの万年筆を使っていることを書きましたが、それはプライベートで少し使っている程度で、実は最も使うことの多い万年筆は、ラピタ11月号にも掲載されている、パイロットのキャップレスです。仕事場で使っているのですが、ボールペンのようにノック式で使えるのは本当に便利ですし、ボールペンのように押さえずに書ける万年筆の書き味は疲れにくく、手にやさしいと言えます。

 仕事で万年筆を使う場合の難点としては、紙質によってにじみやすいことと、複写式や郵便宛名書きには使えないことくらいでしょうか。もう一つ乾きの遅さにも注意が必要です。万年筆はやっぱりスローライフな筆記具なんでしょう。

 逆に言うと、どんな紙にも同じように書けるボールペンというのは、ファストライフの典型で、その意味では凄い筆記具と言えますね。