哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

芥川賞

2008-02-17 00:00:01 | 時事
川上未映子の純粋悲性批判

 今月の文藝春秋に芥川賞受賞作品が載っており、上のブログの筆者です。早速受賞作品「乳と卵」を読んでみましたが、読後感はどちらかというと石原慎太郎さんに賛同してしまいそうです。

 しかし、川上未映子さんは池田晶子さんを推薦しておられ、その点は大いに共感を覚えます。雑誌『セオリー』No.12に掲載された川上未映子さんの文章「人生に、池田晶子の角度を」から少し引用してみましょう。


「すごく当たり前のような、狐につままれたような、そんな気分になるかも知れないけれど、本質的な、あるいは逆さま、からの視点をもつことによって、それを知った人のものを見る角度がひとつ増えることは確かです。池田さんはこのように考える方法を「絶対的な考えかた」だと壮絶なことをおっしゃる・・。」


 確かに池田晶子さんの著作を読むと、新たな角度から視点を知ることとなります。川上さんのいうように角度がひとつ増えます。しかしそれは上の文章通り、絶対的な角度からの視点です。それまで持っていたあらゆる視点は相対的に過ぎなくなくわけです。池田さんが「形而上から形而下を」語っているという所以です。

食の安全

2008-02-09 11:56:31 | 時事
 毒入りギョーザが喧しい今日この頃、池田晶子さんならなんて書いただろうか。

 テーマが似たような文を『41歳からの哲学』から引いてみよう。BSE騒動の頃である。

「食の安全をどう確保したものか。簡単である。食べなければいいのである。そこにないもの、食べられないものは、食べなければいい。そこにないもの、食べられないものを、無理にも食べようとするから、大騒ぎになるのである。
・・・
 食の安全という言い方にも、どことなく勝手なものを感じる。体の中に変なものを入れたくないというのは同感である。しかし、この社会この文明に生きる我々は、今やみな同罪である。消費者の権利を掲げるより先に、そも何のために健康に生きるのかを、各人で反省してみるがよろし。誰を責めることもできない。自分だけは別でもあり得ない。一連托生である。」(P.63,65)


 池田さんなら、冷凍食品という「便利」さを追求して生み出されたものの抱えた想定外の危険の発生を、それ見たことか、と上と同様な文章で綴ったことだろう。ましてや、冷凍食品の安全性を消費者の権利として主張するとなると、まさに上の引用文の後段の話に直結する。

 便利さをいくら追求しても人間は何も変わらない、という池田さんの日頃の話を思い出したい。