哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

ブログを書く意味

2005-10-05 03:23:17 | 哲学
 現在はやりにはやっているブログというもの、このgooでも秒単位で新着記事があり、分単位で新規開設があります。気が向いたら適宜他の方のブログを見たりしますが、正直に言って、池田晶子さんが指摘するとおりの事態が発生しているという他ありません。

 池田晶子さんは、インターネットも含めて技術革新で便利になって人間も進歩したように錯覚することの愚かさをよく指摘しています。技術革新をいくら進めても人間自身は何ら変わらないからです。確かに宇宙旅行まで出来るようになったり、インターネットで瞬時に地球の裏側の人とコミュニケーションができても、「考える」こともなく消費される無内容な体験や言動の羅列は、何ら人間の進歩(科学の進歩ではない)には寄与しないというのです。

 以前、平野啓一郎氏が芥川賞をとった時に、小説の舞台が中世であることについて、人間自体は何ら変わっていないから、と言っておられました。若い人でもわかっている人はわかっているんですね。塩野七生さんの『ローマ人の物語』を読んでも、人間の賢さと愚かさは現代と全く変わらないことを痛感させられます。

 実際いろんなブログを見て、あまりに無内容なものが多いことに閉口しませんか。とここまで書いてきて、自分のブログはどうなんだと見直すと、あまり他人のことも言えない現状に正直赤面します。数日前に『方丈記』が薄っぺらい印象と書いてしまいましたが、そう書いてしまう自分自身の思考が薄っぺらいではないかと自問せざるを得ません。

 考えもせずに心情を吐露するだけであれば、池田晶子さんの言うとおり動物が吼えているのと同じですから、いかに「考える」か、ブログを書く意味は「正しい思考」を不特定多数の人と共有しえないかという可能性の場として、とりあえずは続けたいと思う次第です。