哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

流政之展(於高松市美術館)~2/8まで

2009-01-12 09:47:30 | 美術
 彫刻家・流政之氏の展覧会が香川県で開催されているので、この休みに行ってきた。ちょうどトークショーもあったので、それも聞いたのだが、流さんらしい頑固で一徹でありながら視野の広いお話は、結構楽しめた。質問コーナーで観客が質問と称しながらサインを求めた時に、「今はそういう時間ではない!帰れ!」と一喝するなど、いかにも流さんらしい振舞いも見ることができた。

 流さんは今年のバレンタインデーで86歳になるというにもかかわらず、すっくと背筋を伸ばして立つ姿や、2~300人の観客を前にして、必ず椅子から立ち上がってマイクなしで話す態度の徹底振りは、年齢と体力の関係を超えているようだ。

 トークショーのメインテーマは、高松の文化と芸術についてだったが、流さんはいきなり「高松の文化なんて知らんなー」と豪快に言い放つ一方、高松の地名である、庵治(アジ)や牟礼(ムレ)は間違いなくアイヌの言葉であるとし、かつて南方からの民族が日本に入ってアイヌを北へ押しやったのだ、と持論を展開したりしていた。
 また、流さんがかつて庵治に来たばかりの頃は、石工は墓石を作る者として家にも入いらせてもらえないなどの差別を受けていたが、自分が石匠という言葉を作って社会的地位を高める努力をしたのだそうである。


 流さんの作品は日本全国にあるし、東京にもあちこちにあるが、今回の高松の展覧会の規模のものは、東京では決してやらないそうなので、是非うどん食べがてら観に行って損はない展覧会である。

『贋作王ダリ』(アスペクト)

2008-11-29 12:00:20 | 美術
 表題とは関係ないが、池田晶子さんの新刊が今月発売になっている。これについては次月に触れさせていただくとして、今日は今月の新聞の書評欄に載っていた表題の本である。


 ダリ本人が贋作王とはどういうことか。新聞の書評では、ダリ本人というよりはダリの周りの人たちが贋作を手がけたように評していたが、この本を読むと、まぎれもなくダリ本人が贋作を作っていたとしか思えない。まさにアヴィダダラーズ(ドルの亡者)である。

 具体的にダリ本人が贋作を作るとはどういうことか。要するに白紙にダリがサインだけをして他人に売り渡し、その他人は適当な絵を印刷して、本物かのようなリトグラフを作り上げて高く売るというものだ。つまり「(サインは)本物の偽物」となる。そのうちに、ダリのサインを他人が真似て大量にリトグラフや水彩等を作ったというのだから、ダリ本人が関わっていないところで大量の偽物が出回った。こちらは「偽物の偽物」だ。

 詐欺師たちにとってダリは金になったわけだが、しかも売りつける手法が、投資として客に買わせるというのだから(結局元本も戻らない)、何だか一時期よく客引きしていた版画販売を思い出させる。


 この本を読むとダリに対しての印象も相当悪くなると思うし、しかも2009年には映画化されるというのだから、ダリ関係者やダリファンにとっては踏んだり蹴ったりというところだ。しかし、それでも初期の絵に限ってみても、ダリは天才だったと思うところに変わりはない。

大塚国際美術館

2005-10-02 19:50:55 | 美術
 今日初めて大塚国際美術館(http://www.o-museum.or.jp/japanese/index.html)に行きました。古今東西の有名な絵が原寸大の陶板で展示されている美術館です。

 結構展示数が多く、駆け足で見ても全部見るのに3時間近くかかりました。値段も3,150円と結構な値ですが。

 システィーナ礼拝堂の実物大のホールや最後の晩餐の修復前後の両方の展示等、迫力には圧倒されます。中世の宗教芸術が最も豊富です。美術好きなら一度は訪れるべき場所と思いました。関西からなら橋を渡って日帰りで行けますしね。

 しいて難点を挙げると、近代に比べて現代美術がかなり限定的な数に思える点でしょうか。また日本美術は扱わない方針なんでしょうか。あとミュージアムショップで売られている陶板が全て葉書大なのもちょっと残念でした。