女優生活60年で初めての

今日から暑くなりそう、島岡美延です。
昨日はラジオに、映画『百年の時計』の金子修介監督が登場。
怪獣映画に夢中だった少年は、『ゴジラ』も手がけ、人生の半分以上、監督生活30年になりました。
その倍、女優生活60年の渡辺美佐子主演、舞台『リア』を観てきました。座・高円寺2で、26日まで。
28年間演じ続けた一人芝居『化粧』に、2010年、自ら終止符を打って、今回は初めてのシェイクスピア劇。男役も初めて！
たった3人の俳優による、画期的な舞台です。
シェイクスピア四大悲劇の一つ。
権力を譲り渡そうとしたリア王は、率直な物言いをした三女コーディーリアとは、縁を切ってしまい、自分に向けられた「愛の言葉」に満足して領土を与えた長女、次女には、相次いで裏切られる。
舞台は、すべてを失い、混沌と狂気のうちに嵐の荒れ野をさまよい歩く王の姿から始まります。
付き添う道化は、俳優座の田中壮太郎。
3人の娘や「男」を演じる花組芝居の植本潤。
渡辺美佐子のオーラ、彼らとの化学反応に拍手！

レトロな電車と懐中時計

ひんやり、雨模様の月曜日、島岡美延です。
先日、大分県の「おんせん県」商標登録に「待った」がかかりました。香川の「うどん県」のようにはいかず。
さて、香川県の誇り、2011年に路線開業100年を迎えた“ことでん”（高松琴平電気鉄道）は、大正時代に製造された貴重な車両も現役運行。
そんなレトロ電車の魅力も満載の映画『百年の時計（25日公開）』をご紹介します。
新米の学芸員・神高涼香（木南晴夏）は、地元出身の憧れの芸術家・安藤行人（ミッキー・カーチス）の回顧展を担当することに。
でも、年老いた彼は、創作意欲がなく消極的。落胆する涼香に、行人は百年の時を刻み続ける懐中時計を見せる。
若き日、列車で見知らぬ女性から譲り受けたもので、彼女を探して欲しいと言うのだ。
百年の時計に秘められた叶わぬ初恋の物語。
止まっていた時計が、ゆっくりと動き出す・・・。
『ガメラ』や『ゴジラ』を手がけた金子修介監督が「現代アート」の魔法を仕掛けた映画ともいえそう。
映画館で、ことでんに乗ってみませんか？

落し物の運命は

夜には傘が必要、島岡美延です。
先日、ファストフード店でコーヒーを飲んでいた時のこと。
隣は、女子高生3人組。黙々とそれぞれがメール、というグループも多いですが、彼女たちは、元気におしゃべりに夢中。
私に一番近い席の子が、足元に定期入れを落としました。私は、すぐに「あっ」と思ったのですが、気づく様子なし。
「あの、定期入れ、落ちていますよ」と声をかけたら、「ありがとうございます、（仲間に向かって）ぜんぜん気づかなかったー！」
他の子は「さっき、なんかドサッて音したよね！？」「うん、何の音かなーって思った！」などと、大はしゃぎ。
もし、私が言わずにいたら・・・。もし、彼女が気づかずに帰ったら・・・。もし、誰かが拾って悪用したら・・・。
ちょっとした出来事で、色々想像を巡らせました。
先日ご紹介した映画『俺俺』。
ハンバーガー店のカウンター席で、隣の男の携帯電話が自分のトレーに「乗ってしまった」ことから、それを持ってきてしまい・・・。
その落し物、あなたの運命を変えてしまうかも？

究極の愛の決断

梅雨の前の快晴、島岡美延です。
「伝説となった舞台」が映像化されました。映画『くちづけ（25日公開）』をご紹介します。
昨年末、解散宣言した東京セレソンデラックス。主宰で原作・脚本を手がけ、舞台と同じく、うーやんを演じたのは宅間孝行（映画脚本も）。
堤幸彦監督作品。声を上げそうなほど、泣いてしまいました。
漫画家を休業中の愛情いっぽん（竹中直人）、妻が、マコ（貫地谷しほり）を生んですぐ亡くなり、一人で育てて早30年。
7歳の心のままのマコは、自立施設でも対人恐怖から逃げ出してしまい、頼れるのは、いっぽんだけ。
ある日、彼は知的障害者が集団で暮らす、ひまわり荘に住み込みで働くことに。
やたらとテンションの高いうーやんは、いっぽんを姉（田畑智子）の婚約者と勘違いして大騒動に。ただ、マコはうーやんとは心が通い合った様子。
うーやんと結婚すると言い出すマコ。そんな折、いっぽんに病気が発覚、彼が下した決断とは？
切ない愛の物語に、突きつけられる厳しい現実。
政治家の皆さんにも見て欲しいです。

その関係が変わるとき

雨上がって朝から快晴、島岡美延です。
全米でわずか4館の公開から586館まで拡大され、女性たちが共感した映画『セレステ∞ジェシー（25日公開）』をご紹介します。∞（無限大）をアンドと読ませるタイトルは、夫婦の名前。
笑いもノリもぴったりな二人。誰もがうらやむカップルだが、会社を経営し、キャリアを重ねるセレステに対し、ジェシーは、ヒマを持て余す売れないアーティスト。
30代になっても変わらない彼に、ついにセレステは離婚を決意！
でもその理由は「最高に気の合う相手とは、永遠に親友でいたい」
離婚しても一緒にいる二人に、周りは呆れ顔。
「夫婦」という関係に未練があるジェシー。友人の勧めで、ある女性とデートしたことで何かが変わる。
ついに「好きな人が出来た」とジェシーから告白されたセレステは、一気に動揺。
自信を持って生きてきて、思いがけない挫折・・・、さあ、どうする！？
米ピープル誌で「世界で最も美しい女性」にも選出された、脚本・主演のラシダ・ジョーンズが、本当にチャーミングです。

「俺」が「俺」に出会う？

天気の急変にご注意を、島岡美延です。
先日発表された「母さん助けて詐欺」は、定着するかしら。
被害額は全国で一日あたり、4000万円超だとか。
さて、映画『俺俺（25日公開）』をご紹介します。
これは、「俺」が「俺」に翻弄される物語。それもたくさんの「俺」・・・！　
主演は、なんと33人の亀梨和也。
郊外の町で平凡な毎日を送る永野均（亀梨）28歳。ある日、なりゆきでオレオレ詐欺をしたことから、おかしな出来事が起き始める。
均と同じ顔をした「別の俺」が現れたのだ。冷静沈着なサラリーマンの大樹（亀梨）、茶髪のお調子者大学生、ナオ（亀梨）。
食べ物の好みも、考えていることもすぐにわかる「俺だらけ」の世界に心地よさを覚えたとたん、日に日に「俺」は増殖（女性の俺も！）。
だが、均の目の前で「別の俺」が殺され、ついに「俺同士」の削除が始まった・・・！
「KAT-TUNの亀梨」が出ないように苦労したという演じ分け。
TV『時効警察』などの三木聡監督による不条理な世界をお楽しみ下さい。

身体の上下の「延長線」

昨日は暑かったですね、島岡美延です。
立て続けに、アイスを食べながら歩いている人を見かけました。
さて、今月の姿勢テーマ「美しい立ち姿があなたを作る」を意識していますか？
美しい姿勢というのは、油断すると、すぐにどこか（！）へ。
姿勢の印象で、見た目年齢は、すぐに10歳くらい変わってしまうもの。
猫背や膝が曲がった姿勢、うつむいた姿勢など、いずれも「実際の身長より低く」なっています。
美しい立ち姿の条件に「耳、肩、腰、膝、くるぶし」を横から見たとき、一直線上に並んでいる、ということがあります。
折れ線より直線、つまり「一番背が高い状態」を保つこと、ともいえますね。
その時、「頭の上」の延長線と「足の下」の延長線をイメージしてみてください。
よく、「天井からつられた糸で頭のてっぺんをつられている」などと言ったりします。実は、もっと大事なのは、「足の下」の延長線。
「床を突き刺すように」意識して、姿勢をキープすると、より、首や腰の後ろが「スッと伸びる」感覚に。お試し下さい！

詐欺ではないけれど！

今週は今日が暑さのピークに、島岡美延です。
先日、かつてのバレエ仲間とカフェで久々のランチ。ティータイムも追加注文しながらおしゃべりして、会計。
この手のお店は、伝票が手書き。
店員さんが示したのは「合計金額のメモ」でした。
人数で割ったら「？？」という金額。自分たちが思っていたのより、明らかに高い。
「すみません、注文がわかる伝票、見せていただけますか？」と思いきって声をかけたら、大きな電卓も貸してくれました。
注文の代金を一品ずつ足していったら、さっきの金額とは、3000円くらい違う。
やはり「別のテーブルの伝票」まで私たちの追加注文に合計されてしまっていたようで、もちろん店員さん、平謝り。
それにしても、これが、数人の昼間の集まり（ワインくらい飲んだけど）だったから、私たちも「あれ？」と思ったのです。
人数が多くて、居酒屋だったら、疑うことなく支払っていたかも！
『母さん助けて詐欺』ではありませんが、なんでも「鵜呑み」にしないことが大事、と思った出来事でした。

90年代、韓国の初恋

夏日の予報の月曜日、島岡美延です。
沖縄は雨の季節間近。
CDウォークマン、ポケベルが必需品だった頃、何をしていたかしら。
映画『建築学概論（18日公開）』をご紹介します。
この硬い？タイトルが、韓国では恋愛映画初の400万人超の大ヒット。「初恋ブーム」は社会現象になったとか。
建築学科に通う大学1年のスンミンは、建築学概論の授業で、音楽科の女子学生ソヨンに出会って一目ぼれ。
しかし、恋に奥手なスンミンは告白できないまま、小さな誤解から、彼女と疎遠になってしまう。
15年後、建築士になったスンミンの前に、家を建てて欲しいと突然やってきたソヨン。
建築の過程で、明らかになる空白の時間。甦る記憶と、新たに生まれる温かな感情。
しかし彼にも今や婚約者がいた・・・。
学生時代と、15年後は、それぞれ別の俳優。
イ・ヨンジュ監督には、10年間建築士として働いた経験があり、「家」と「人生」の関わりが雄弁に語られ、チェジュ島の家屋がなんとも魅力的。
淡い恋、思い出してみませんか？

発見が楽しい山口晃の絵

空気が潤って、これから晴れる日曜日、島岡美延です。
以前から気になっていた山口晃氏の展覧会を横浜のそごう美術館で見てきました（19日まで）。
時間をかけて、じっくりご覧になることをオススメします。
というのも、とにかく細かい絵の中は、想像もできないお楽しみの宝庫！
大きな戦国の合戦図のような作品、近づくと、武士が乗っているのは、馬の形をしたバイク。描かれた多くの武士の中に、背広の人や制服の女子高生まで、あまりにさりげなく溶け込んでいる・・・！
古今東西、時空を超えた作品で知られる山口氏。
Tokio山水（東京圖2012）と題された絵は墨によって東京一円を描き出しています。
スカイツリー、東京タワー、東京都庁、企業のビルなども細かく描写。
写実的というより、「江戸」を描いているような巧みな空気感。
同時開催『山愚痴屋澱（やまぐちやおり）エンナーレ』という、トリエンナーレをもじった「一人国際展」は、インスタレーションを含む現代アートが盛りだくさん。
自在な発想の刺激的な世界へ、ぜひ！