母の覚悟、家族は秘密を共有

5月31日の期限は予想通り“通過点”に、島岡美延です。
神奈川では引き続き、まん延防止等重点措置、対象の地域が広がります。
コロナ禍であってもなくても、「別れ」は辛く、寂しいもの。
こんな形のお別れを家族が決断したなら…。
映画『ブラックバード　家族が家族であるうちに（6月11日公開）』をご紹介します。
『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッチェル監督による家族の覚悟を問う物語。
ある週末の朝、海辺の邸宅に住むリリー（スーザン・サランドン）と夫ポールのもとに、長女ジェニファー（ケイト・ウィンスレット）、次女アンナ（ミア・ワシコウスカ）とその家族、そしてリリーの親友リズが一堂に会する。
病気で身体の自由がきかなくなってきたリリーが、死を覚悟していたのだ。
この日の夕食が“最後”、と誰もがわかっていて、張り詰めた空気の中、家族それぞれの秘密を皆が知ることになる。
そして迎えた“決行の日”…。
自ら命の期限を決める、という重いテーマ。
深い余韻が残る本作、もし自分なら、と考えてみませんか。

夫からの離婚宣言に妻は・・・

“不要不急ではない”と人々が出かける日曜日、島岡美延です。
4月の緊急事態宣言、延長の5月、2枚の「休業のお知らせ」を並べて貼る飲食店、6月に3枚目でしょうか。
じわじわと我慢が続く日々は、人と人との関係性をゆっくり変えていきます。
映画『幸せの答え合わせ（6月4日公開）』をご紹介します。
『グラディエーター』でアカデミー賞脚本賞のウィリアム・ニコルソンが、自身の両親との実体験をもとに脚本を書き、監督も。
イギリス南部の美しい海辺の町シーフォードに暮らす、グレース（アネット・ベニング）とエドワード（ビル・ナイ）は、結婚29年。
仕事を引退した妻は詩集の作成に時間を費やし、夫は高校の教師。
一人息子ジェイミー（ジョシュ・オコナー）が久しぶりに帰郷した週末、エドワードは突然、「家を出ていく」とグレースに別れを告げる。
理由に納得できず、絶望と怒りに支配される母を支えるジェイミーも、自身の生き方を見つめ直す。
3人に訪れる意外な未来とは？
“よくしゃべる妻と寡黙な夫”、あなたの将来は大丈夫？

プロ野球がある緊急事態宣言下

次の目標は「6月20日」へ、島岡美延です。
ゴール地点がどんどん先に延ばされ、ルールもコロコロ変わる、そんなマラソンに参加させられているような日本列島。
現在の“延長期間”で、大きな美術館と映画館が休業となっていた東京都も、6月になれば再開の見通し。
映画館の時短、20時か21時かは大きな分かれ目。
21時までになったことで少しホッとした関係者は多いでしょう。
昨日の首相記者会見、幹事社があえて「質問に正面から答えないから国民が不安になっている」という前置きまでして聞いているのに、官房長時代のやりとりのまま。
緊急事態宣言下の五輪開催の可否については「プロ野球も対策を工夫してやっている」と。
映画館より美術館より、圧倒的に「人流が多い」象徴のような光景。
五輪はテスト大会と一緒ではないし、プロ野球やJリーグと同じという発想で突き進みますか？
「安心安全」は、口にすれば勝手に実現されるおまじないではありません。
来月下旬には東京都議選が始まり、全ての候補者が「安心安全」を語り出しそう。

世界崩壊まで48時間！

また暑さが戻る週末、島岡美延です。
東京のワクチン大規模接種会場の予約は、今日から神奈川など3県も対象に。
出口が39か所（！）もある地下鉄大手町駅、辿り着くのも大変です。
一昨日の皆既月食は、場所により雲の影響を受けました。
こちらは地球全部が運命共同体、コロナではなく、彗星！
映画『グリーンランド―地球最後の2日間―（6月4日公開）』をご紹介します。
科学者でも軍人でもない普通の人間が地球の危機にどうふるまう？
夫婦仲がすれ違い気味のジョン（ジェラルド・バトラー）のスマホに「緊急大統領アラート」が届く。
世界で被害が相次ぐクラーク彗星。彼の住む街にも危機が迫る。
アラートの指示に従い、妻と持病がある7歳の息子と車で空港に向かう。
“選ばれた市民”だけがグリーンランドのシェルターに入れるらしい。
搭乗資格がない者も空港に押し寄せる中、ジョンは妻子とはぐれてしまう。
残された時間は48時間、ジョンの決断は果たして…。
コロナのワクチン予約で混乱するこの国で、こんなパニックが起きたら？

圧巻、教会で歌う「ソウルの女王」

残念ながら肉眼では見られなかった皆既月食、島岡美延です。
食事をしつつネット中継で見守ることが出来たのは、技術のおかげです。
こちらは技術の進歩を待ち、約50年の時を経て、ついに蘇った幻のフィルム。
映画『アメイジング・グレイス　アレサ・フランクリン（28日公開）』をご紹介します。
2018年にこの世を去った“ソウルの女王”アレサ・フランクリン。
1972年1月13・14日にロサンゼルスの教会で行われたライブ・アルバム『AMAZING GRACE』は300万枚以上の記録的大ヒット。
実は、映画『愛と哀しみの果て』のシドニー・ポラック監督によるドキュメンタリー映画としても撮影されていました。
ところが、カットの始めと終わりのカチンコがなかったため、音と映像をシンクロさせることが出来ないというトラブルにより、未完のまま頓挫することに。
音楽史を塗り替えたと言われる幻のライブ、ついに日本初公開。
歌い出しを聞いただけでトリハダ…！　
彼女の自らのルーツである教会でのゴスペル、ご堪能ください。

この1年、選手の心境は

米国が日本への警戒レベルを「渡航中止」に、島岡美延です。
五輪選手については「安全な参加を確信」している、という別の判断。
ファイザー社が五輪選手にワクチンを提供という話は、一部のボランティアなどにも適用とか。
安心安全に関する「特別」「優遇」なしに開催が困難なのは明らか。
この1年余り、選手はどんな思いで過ごしてきたことか。
去年3月、東京五輪の延期決定。多くの競技で「今の内定資格はそのまま」となり、まずはホッとした選手が多かったはず。
ただ、1年という時間はアスリートにとって短くはありません。
病気やケガで間に合わないと思われた選手が復活、1年で一気に力を伸ばした選手も出てきました。
気力が持たない、とスランプになったり、引退を決意したり。
緊急事態宣言中に内定した選手は、この夏の開催反対の世論が多数となる中、目標を言葉にするのも複雑な心境でしょう。
一般市民とは違う「特別扱い」に選手自身が戸惑うケースも。
大人の事情の「政治的判断」がこれ以上アスリートを振り回すのを見たくない…。

夫婦で、親子で考えたい“お終活”

“犠牲”がないと出来ないオリンピックの意義って…、島岡美延です。
カウントダウンは60日を切り、内定も最終段階。
海外の選手たちは、選考大会に参加できているのでしょうか。
アスリートもそうでない人も、自分の人生のこれからを考えてみませんか。
公開中の映画『お終活　熟春！人生、百年時代の過ごし方』をご紹介します。
昨日のラジオに香月秀之監督が登場。
映画を見た若い世代がSNSで発信してくれることが嬉しい誤算、とも。
熟年離婚寸前の夫婦（橋爪功と高畑淳子）が、娘（剛力彩芽）が出会った葬儀社の青年（水野勝）に紹介された終活フェアをきっかけに大騒動、というヒューマンコメディ。
定年後の長い時間に「熟年の青春＝熟春」という言葉を考えたのは、香月監督ご自身。
夫は麻雀仲間（大和田伸也、石丸謙二郎、金田明夫）に愚痴をいい、妻はコーラス仲間（藤吉久美子、大島さと子ら）に愚痴る愚痴る…！
一級葬祭ディレクター役の松下由樹の語り口は、説得力たっぷり。
“明るく、前向きになれる人生整理”の方法、教えます。

“区切り”があることの意味

照ノ富士が大関としての初優勝、島岡美延です。
どん底からの復活の強さを見せました。
一方、ある目標を区切りとして頑張るアスリートも。
東京五輪2020の1年延期を受け、それを目標としないことを決意し、今シーズンで現役引退となったラグビー元日本代表の福岡堅樹選手。
昨日行われたトップリーグのプレーオフ兼日本選手権決勝で、彼が所属するパナソニックがサントリーを下し、見事な有終の美を飾りました。
自身もトライを決める活躍ぶり、本当に晴れ晴れとした表情。
4月に入学した医大での勉強に集中する日々が待っている28歳。
記者会見で、区切りや将来への想いを表明し続けてきた福岡選手とは違い、密かに区切りを決めて、戦い続けた人もいます。
昨年現役を引退した川崎フロンターレの中村憲剛さん。
40歳のバースデーゴールを決めた直後の引退表明は、衝撃的でした。
残り試合がカウントダウンされ、走り切った日々。
やっぱり、「区切り」が目標を明確にし、最大限の力を発揮させる…。
緊急事態宣言、あと1週間ですが果たして？

“今ここにある危機”だらけで

まさか、やっぱり、やっと見つかった巨大ニシキヘビ、島岡美延です。
なんと飼い主の部屋の屋根裏で発見。一度は外に出て、戻ってきたみたい。
周辺の人々にとっては、コロナ以上に「今ここにある危機」だったでしょう。
松坂桃李主演のNHKドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』は、実に“攻めている”描写の連続。
人気アナウンサーから出身大学広報に転職した主人公、大学の“なかったことにする”体質に飲み込まれるのか、抗えるのか…。
国との関係で誘致できた「未来博」を中止に追い込むほどの不都合な真実をもみ消そうとする理事会。謎の発熱の検査結果まで捏造した附属病院。
コロナの閉塞感を描く物語はけっこうあるけど、これは“一度決めたら引き返せない組織”の描き方がリアル！
東京五輪2020まであと61日。
単独種目の大会成功＝五輪も大丈夫って理屈は、3㌔ジョギングできたら、次は100㌔マラソンを完走、と言われているみたい。
緊急事態宣言下でも開催可能という発言まで飛び出し、さらに結論先送りでしょうか。

柳楽優弥と田中泯で、葛飾北斎

この雨が上がれば、晴れの日が少し続くかしら、島岡美延です。
5月の土日、天気がよければ出かけたくもなるけど、コロナ重症者は増える一方。
愛知県知事リコール署名偽造問題は、そもそも愛知トリエンナーレでの『表現の不自由展』が発端でした
。
江戸時代、「幕府VS表現者」の戦いは命懸け…。
映画『HOKUSAI 北斎（28日公開）』をご紹介します。
ゴッホやモネなどを刺激し、現在に至るまで世界の美意識に影響を与え続ける葛飾北斎。
その天才絵師の若き日を柳楽優弥、老年期を田中泯というW主演で体現。
90年の生涯で描いた作品3万点以上。
有名な「富嶽三十六景」は、70代で脳卒中になってから旅に出て生まれた作品だとは…！
今までほとんど語られてこなかった青年時代から描くことで、その怒涛の人生をまるごと実感できる圧巻の力作。
版元蔦谷重三郎に阿部寛。
喜多川歌麿に玉木宏。
戯作者柳亭種彦に永山瑛太。
表現者の自由が奪われた時代、それでも絵筆を止めることはなかった画狂人生。
ああ、美術館に行きたい！