玉木宏、探偵の切れ味

5月最終日は、やや不安定な気候、島岡美延です。
3月に終わった朝ドラって、すでに懐かしい？
『あさが来た』の優しい夫から、鋭い眼差しの脳科学者へ。
映画『探偵ミタライの事件簿 星籠[せいろ]の海（6月4日公開）』をご紹介します。
1981年から続く島田荘司の小説「御手洗潔シリーズ」第49作目をもとに、『相棒』シリーズの和泉聖治監督がメガホンを取りました。
物語の舞台は、島田氏の出身地で今年、市制100周年を迎える広島県福山市。
太古の昔から6時間ごとに潮の満ち引きが繰り返される、日本で唯一の場所、瀬戸内海。
和製シャーロック・ホームズとも称される脳科学者の御手洗潔を島田氏が熱望した玉木宏。
彼が謎解きした事件を小説にする推理作家の担当編集者として、御手洗の助手のように行動を共にするのが、広瀬アリス。
死体がいつも流れ着く島、外国人女性の変死、誘拐殺人事件…。
さらには石田ひかり演じる学者が追う、福山藩主を巡る古文書。
その海を見たくなる、歴史ミステリーの魅力も。

今年90歳のエリザベス女王が

雨の朝の月曜日、島岡美延です。
昨日は18世紀の韓国の王の物語、今日は、71年前の英国王室。
映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出（6月4日公開）』をご紹介します。
1945年5月8日、ヨーロッパ戦勝記念日。
19歳の王女エリザベスがロンドンの街へ飛び出した一夜…。
そう、『ローマの休日』誕生秘話ともいわれる、史実に基づく物語です。
6年間続いた戦争が正式に終わる、国を挙げてのお祝いの夜、エリザベス王女と妹のマーガレットは、生まれて初めて、お忍びでバッキンガム宮殿をあとにする。
付き添いが目を離したすきに、シャンパンに勢いづいてバスに飛び乗ったマーガレットを追いかけて、街に出たエリザベス。
そして、人生を変える一夜が始まった…。
「世界で最も美しい顔ベスト100」に4年連続でランクインした、サラ・ガドンが演じるエリザベス王女のチャーミングなこと！
パブで“父のスピーチ”を聞き、次期女王としての覚悟が生まれていく一夜（そこには恋も！？）を見事に演じています。

王の息子に生まれた運命

バレーボール男子、初戦逆転勝ち、島岡美延です。
今夜の中国戦にも期待しています。
生まれた時、あなたの運命はどう決められていた？
もし、自分に“継ぐべき”何かがあったなら…。
映画『王の運命（さだめ）― 歴史を変えた八日間（6月4日公開）』をご紹介します。
朝鮮第21代国王の英祖の物語は、韓国ドラマなどでもおなじみ。
1762年に実際に起きた、李朝で最も悲劇的な父子の確執として記録されるイ・サンの祖父と父の間に起きた「米びつ事件（壬午士禍）」を忠実に映画化。
英祖は40歳を過ぎて授かった世子（王子）を立派な王に育て上げようとする。
しかし、父の望みと裏腹に、世子は芸術と武芸を好む自由奔放な青年に成長。
父は失望し、息子は厳しく冷たい父に憎悪を抱く。
親子の関係は、周囲を巻き込み悪化の一途をたどり、ついに、王への謀反にかこつけ、父は息子に自害を迫る…。
英祖を演じたのは、国民的俳優ソン・ガンホ。
父としてではなく王としてしか生きられなかった激しさと哀しみが絶品。

言葉の力、踊りと音楽の力

テレビに釘付けだった昨日、島岡美延です。
オバマ大統領の17分間のスピーチ、冒頭から引き込まれました。
71年前の朝を想像すること、そこには私たちと変わらない人々がいたこと…。
核兵器廃絶への壮大な道は、日々の営みの大切さに気づくことから始まると、強く信じていることが切々と伝わってきます。
その想いが必ず行動に結び付くことを期待します。
広島からの生中継を見守り、めぐろパーシモンホールへ。
『堀内充バレエコレクション2016』の舞台を観てきました。
古典作品の全幕上演がもっともよく行く公演だとすると、一人の日本人振付家の作品ばかりを集めた舞台を観る機会は、そんなに多くありません。
堀内充さん自身が踊ったパドドゥを含めて、5作品。
ガーシュインの名曲「ラプソディー・イン・ブルー」は、男女1組のカップルと14人の街を闊歩する女性たち。ただただ、かっこよかった！
オバマ大統領の「言葉の力」に涙して、言葉のない「踊りと音楽の力」に心揺さぶられる…、そんな一日になりました。

一歩ずつでも、確実に前へ

朝からしっかりした雨、島岡美延です。
いよいよオバマ大統領が広島へ、今日は歴史的な一日に。
このところ、核兵器廃絶を目指した7年前の宣言の映像をニュースで見ます。
「Yes,We Can」で黒人初のアメリカ大統領になったオバマ氏は、その勢いでノーベル平和賞につながるスピーチを行いました。
間違いなく、理想に燃え、難しいことを承知で、核兵器のない世界を本気で作ろうとしていたはず。
アメリカ大統領は最大8年の任期。
もう選挙を戦わなくていいのだから、残りの時間でできること、自分の理想に近づくことに力を注いでほしいです。
映画では、「核戦争のあと、わずかに生き残った人類」などが描かれてきました。
「人工知能やロボットの人間への反乱」という話も遠くない未来として描かれます。
そして、戦争やテロは「人間が人間でいられなくなるもの」だと、映画は教え続けてきました。
いつの日か、「まだ、地球に核兵器があった時代の物語」が映画になることを祈って…。
今日の広島を記憶したいです。

元ボクサーの監督が撮るボクシング

霧に覆われた英虞湾、島岡美延です。
各国首脳に美しい伊勢志摩を見てもらえず、残念。
政治家や映画監督には、意外な職業経験を持つ人がいます。
映画『サウスポー（6月3日公開）』をご紹介します。
『トレーニング・デイ』でデンゼル・ワシントンにオスカーをもたらしたアントワーン・フークア監督は、元ボクサー。
6ヶ月に渡り身体を鍛え上げたジェイク・ギレンホールが、無敗のチャンピオン役。
誰よりも強いビリー・ホープは、人生絶頂の時、妻モーリーン（レイチェル・マクアダムス）を失ってしまう。
試合も出来なくなり、贅沢な暮らしは破たん。
それでも亡き妻と最愛のひとり娘のために、自分を変えることを決意する。
彼が頼ったのは、小さなジムの名トレーナー、ティック（フォレスト・ウィテカー）。
そこは、貧しい子どもが通ってくるようなジム。
保護者不適格だと、娘と引き離されながらもトレーニングを重ねた彼に、ついに再起の試合の日がやってくる…。
父と娘の絆を描いたボクシング映画です。

恋人のフリをするドS王子

都内で何人の警察官を見かけたかしら、島岡美延です。
明日から伊勢志摩サミット。
指示、命令は絶対、という関係、恋愛においてはいかが！？
映画『オオカミ少女と黒王子（28日公開）』をご紹介します。
デビュー以来、“普通じゃない役”が多かった二階堂ふみが、恋愛経験ゼロの女子高生。
朝ドラなどで人気が出た山崎賢人が、金髪のドS。
二人の新たな魅力を引き出したのは、『ストロボ・エッジ』など青春映画も多い廣木隆一監督。
高1のエリカは、恋愛経験豊富な友だちに見栄をはって、彼氏がいるふりをしている嘘つき“オオカミ少女”。
友達に疑われたため、街で盗撮したイケメンの写真を見せて、彼氏だと言う。
しかし、それが誰だか知らなかったのはエリカだけ。
なんと、学校一のイケメン・恭也。
事情を知ったドSの恭也は、エリカの彼氏を演じてもいいという。
ただし、条件は“絶対服従”だった…！
徹底的な“俺サマ”態度の恭也の中に優しさを見つけたエリカは…、というけっこうピュアな恋のオハナシ。

美しくて楽しい日本工芸

蒸し暑さの季節も間近、島岡美延です。
日本の伝統工芸品は、四季の暮らしに合わせて発展してきたもの。
ただ、それを実用品としてではなく、遊び心と職人の極限の技として見せてくれるのが、この空間。
パナソニック汐留ミュージアムで開催中の『REVALUE NIPPON PROJECT展　中田英寿が出会った日本工芸（6月5日まで）』を見てきました。
元サッカー日本代表の彼が、現役引退後に続けている活動の一つが、このプロジェクト。
日本の工芸や技術の価値、可能性を再発見し、日本文化の継承・発展を促すことが目的だそう。
サッカーを離れてもなお、発信力を持つ、彼ならではの発想でしょう。
2010年から毎年一つずつ、「陶磁器」「和紙」「竹」「型紙」「漆」といった素材をテーマに、クリエーターなどと工芸家がコラボレートして、自由に作品を生み出しています。
5年間の選び抜かれた作品による、どこまでも美しく、繊細かつ大胆な世界。
「なにこれ！？」と驚きながら、斬新な“和”の空間を楽しんで下さい。

サミット目前、リアルな危機

東京で今年初の真夏日の予想、島岡美延です。
伊勢志摩サミット目前、首都圏でも警戒が高まっています。
ここに描かれているようなことが、もし日本で起きたら…。
映画『エンド・オブ・キングダム（28日公開）』をご紹介します。
大ヒット作『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編で、メインキャストが再集結。
“テロリズム”との壮絶な戦いが、今度はイギリスで繰り広げられます。
ホワイトハウス陥落の悪夢から2年。
イギリス首相が不可解な死を遂げ、ロンドンで行われる葬儀に40カ国もの首脳が集結する。
街は史上最大の超厳戒態勢。
しかし、同時多発テロが勃発し、ロンドンの歴史的建造物は次々と崩壊。
命からがら逃げだした米国大統領（アーロン・エッカート）と、そのシークレットサービス（ジェラルド・バトラー）。
米国副大統領（モーガン・フリーマン）もまた大きな決断を迫られる。
非常事態宣言下のロンドンで、かつてない決死の逃亡と救出劇。
各国首脳の描かれ方も興味深く、果たして日本の首相は…？

終末期の患者に向き合う看護師

女子バレー、リオ五輪出場決定、島岡美延です。
1ポイント、1セットの積み重ねが大事でした。
カンヌ国際映画祭が開催中ですが、昨年のカンヌの脚本賞受賞が、この衝撃作。
映画『或る終焉（28日公開）』をご紹介します。
メキシコの36歳、ミシェル・フランコ監督（製作・脚本も）が、終末期医療をテーマに、看護師と患者という“親密な他人”の関係性を描き出します。
主演は、監督の才能に惚れ込んだ名優ティム・ロス。
自ら出演を熱望し、設定が男性の看護師になったそう。
デヴィッドは、在宅の終末期患者の訪問看護師。
息子の死から、妻と娘とは疎遠になり、一人暮らし。
仕事以外は黙々とエクササイズに励むのみ。
患者が望む以上に、患者との親密な関係を必要としていたデヴィッド。
時には親密さゆえに、患者家族とトラブルになることも。
一人の患者が亡くなると、また次の患者へ。
ある日、デヴィッドは、末期がんの女性患者から“安楽死の幇助”を頼まれて…。
“最期”を考えてみませんか。