『男と女』の監督と音楽、インドへ

8月の最後に間に合ったような青空、島岡美延です。
猛暑日もあれど台風だらけ、の8月でした。
夏休みの旅行には打撃だったでしょうし、秋の野菜や果物への影響が心配です。
この夏、どんな映画に出会いましたか？
口ずさめる映画音楽はありましたか？
恋愛映画の金字塔『男と女』から50年。
クロード・ルルーシュ監督と作曲家フランシス・レイの名コンビが描く、男と女の恋愛模様“最終章”。
映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲（9月3日公開）』をご紹介します。
映画音楽家のアントワーヌ（ジャン・デュシャルダン）は、ボリウッド版「ロミオとジュリエット」の製作のため、インドへやってくる。
そこで出会ったフランス大使の妻アンナ（エルザ・ジルベルスタイン）。
子どもを授かりたい彼女は、人々を抱きしめて癒す聖者アンマに会うため、インド南部の村へ行くという。
しばしの休養を求め、アンナを追って旅に出たアントワーヌ。
それぞれに愛する者がいる男女が過ごした2日間、その後に起きたこととは…。

五輪メダルがもたらすもの

台風10号は、観測史上初の東北上陸の見込み、島岡美延です。
関東に近い海で発生し、南へ行って戻ってきて、勢力を増して北上中とは…。
戻ってきたといえば、五輪メダリストたち。
テレビ出演など相次いでいます。
メダルが叶わなかった選手は、「ある、なしの違い」を心に刻んで、次の飛躍を誓っているでしょう。
初めてメダルに届いた選手は、まさにその意味をかみしめているはず。
メダルが選手にもたらすもの、それは“自信”。
昨日、陸上400㍍リレー銀メダリストが、記者会見。
4人が並ぶ姿はすっかりおなじみ。
同じようなことを聞かれているはずですが、答え方に、自信と誇りが増している、そんな印象です。
9秒台の選手がいない中での快挙は世界を驚かせました。
でも次は「もっと上」と言う彼ら、そこにふさわしい風格が。
3回目の五輪にして銅メダル、カヌーの羽根田選手が、テレビ出演の際、4年後の目標に「佇まい」と掲げていました。
名前を知られる喜びと責任。真摯な人柄を応援したくなります。

フランスの“団地”ファンタジー

8月下旬は雨ばかり、島岡美延です。
先週月曜日は、台風9号が関東に上陸。10号のゆくえは？
昨日は、まさにイリュージョンという映画をご紹介しました。
今日は、度肝を抜くマジックや視覚効果ではなく、想像力によって起きるファンタジーかも。
映画『アスファルト（9月3日公開）』をご紹介します。
タイトルはファンタジーとは程遠い印象ですが…。
舞台はフランス郊外、エレベーターが壊れた団地。
様々な背景、人種の住人たち。
平凡で孤独な日常に、ふと訪れたちょっとビターな幸せをユーモアに満ちた詩的なセンスで描写します。
フランスの名女優イザベル・ユベールが演じるのは、美形の高校生と出会う落ちぶれた女優。
団地を抜け出し、ある理由で病院に行き、そこで夜勤の看護師と出会う、自称カメラマン。
英語が通じない移民の女性の部屋に滞在することになるNASAの宇宙飛行士。
意外すぎる3組の男女の“出逢い”。
それぞれに不思議な味わいがあって、この気分をささやかに共有したくなります。

じっと見ていても、ダマされる！

涼しい風の朝、島岡美延です。
先日、ポーラ美術館で初めて体験したことが。
襖絵4枚ほどの平山郁夫画伯のシルクロードの絵。その前にカーペットとクッション。
寝転んだりして“じっくり”絵画に向き合って、というプロジェクト。
歩きながら見るのとは、かなり違った印象でした。
常識的なものの見方ばかりじゃ、あなたもきっとダマされる！
映画『グランド・イリュージョン 見破られたトリック（9月1日公開）』をご紹介します。
ヒーローにして犯罪集団、フォー・ホースメン。
男3人と女1人、彼らの新たなミッションは、巨大IT企業の個人情報売買の暴露。
だが、天才エンジニア・ウォルター（ダニエル・ラドクリフ）に阻止される。
ウォルターは、ホースメンを利用して世界を大混乱に陥れようとしていたのだ。
最終決戦の地ロンドンで、一発逆転のスーパーイリュージョンを企てる…！
「NYからマカオへ一瞬でワープ」など、劇中のイリュージョンは、D・カッパーフィールドが監修。
本当に、あっと驚きます！

取り調べが真実に迫るとき

とどまり続け、迷走する台風10号、島岡美延です。
来週、どこかに上陸？
人間と人間のやりとりも、時に停滞し、時に一気に動き出すのかも。
映画『ある取り調べ（今日から厚木で公開）』をご紹介します。
取調室の中だけで繰り広げられる密室劇。
先日のラジオに、村橋明郎監督が登場。
脚本を書き、ベテラン刑事役で出演した中西良太、連行されてきた男の役は佐藤B作。
ほぼ二人の濃密なやりとりを一気に撮影した時のことなど、話してくれました。
妻と息子を殺した容疑の男が、取調室で発した最初の言葉は「お願いですから、私を死刑にしてください。」
妻子のもとにすぐにでも行きたいという男。向き合う刑事。
彼もまた、うつ病の妻を抱え、家庭崩壊の危機に直面していた。
真面目に働いてきた男は、障害を抱えた息子の世話を妻に任せきりだったと自分を責める。
それでも刑事は、情に流されるのでははく、「何が起こったのか」を一つ一つ、解きほぐしていく…。
刑事ドラマにはない“リアルなやりとり”をじっくりと。

フランスで大ヒットの社会派ドラマ

昨日は、箱根のポーラ美術館へ、島岡美延です。
企画展『フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代』を開催中（9月4日まで）。
その展覧会に加え、周囲の遊歩道の散策、ランチも堪能して、充実の時間でした。
19,20世紀のフランス絵画の中のファッションは、まさに流行の描写。
21世紀のフランスから、現代を生きる全ての人に問いかける作品が届きました。
映画『ティエリー・トグルドーの憂鬱（27日公開）』をご紹介します。
51歳のティエリーはエンジニア一筋だったが、集団解雇を言い渡される。
職探しがうまくいかない彼にとって、妻と障害を持った息子の存在が救い。
ようやく、スーパーの警備員になるが、監視カメラを見守る中で、客だけでなく、同僚である店員の不正を発見、告発する必要に迫られ…。
名優ヴァンサン・ランドンが、主人公の苦悩をドキュメンタリーのごとく、見事に体現。
逃げられない現実を突きつけてくる社会派ドラマは、フランスで100万人が観た大ヒットとなりました。

大涌谷、大にぎわい

ひんやりとした仙石原の朝、島岡美延です。
聞こえるのは、様々な鳥と虫の声。
宿から大涌谷が見えます。
昨年6月の噴火により、立ち入り規制になったりもしましたが、先月下旬から、ロープウェイ全線開通。
そこで、昨日、何年ぶりかに訪れた大涌谷。
黒たまごを求める人々の長蛇の列。賑わいが戻り、噴煙も明らかにパワーアップした印象。
雨がパラッと来たので、あまり歩き回らず。火山ガスで一面の植物が白く枯れた様子をロープウェイから見下ろしました。
実は、大涌谷は当初、今日行くつもりが、ロープウェイ点検のため終日運休と知って、急遽予定変更。
全線開通したあとで、点検が多いのかも。
運行時間なども含め、お出かけの前にご確認を。
体調に関する呼び掛け(持病のある人は行かないで、など)の注意書きも徹底されています。
食事重視で予約した宿は、期待以上の料理が目と舌を楽しませてくれて、日本酒が進みました。
さて、今日はどこへ行こうかしら。
昨日より日差しが増えそうだけど、箱根は涼しいです。

イタリアらしい、人生賛歌

今日も傘は必要、島岡美延です。
リオ五輪での活躍、“正反対の性格”が功を奏したチームや師弟関係が多かったよう。
“大丈夫か、この二人？”の関係って、けっこう魅力的。
映画『神様の思し召し（27日公開）』をご紹介します。
イタリアから届いたのは、中年男のバディもの。
今日も完璧なオペで患者の命を救う心臓外科医のトンマーゾ。
医師としては天才だが、傲慢、毒舌…、周囲から、けむたがられていた。
頭脳明晰な長男が医学の道を継いでくれると思っていたら、息子はいきなり“神父になりたい”と宣言する。
ショックを受けつつ、表向きは物わかりのいい父親のふり。
息子が、派手なパフォーマンスで人気のピエトロ神父に洗脳されていると考え、信者として教会に潜入した彼は、ムショ帰りであるこのカリスマ神父と知り合いになる。
目に見えるものだけを信じる医師。見えないものこそ信じる神父。
いつの間にか芽生えた、まさかの友情の行方は…？
ある共同作業を通じてほぐれていく心。
ラストの風景がいいです。

この“居場所”が求められている

台風一過と思いきや、今日も雷雨などに注意、島岡美延です。
朝起きても競技の熱気なし…、やはり寂しいです。
ここにやってくる子どもたちはリオ五輪を楽しんだかしら。
映画『さとにきたらええやん』をご紹介します。
現在、横浜で上映中。大阪在住の重江良樹監督が舞台挨拶などで来ていて、昨日、台風の中、ラジオに登場。
大阪市西成区釜ヶ崎。
“日雇い労働者の街”と呼ばれてきたこの地で、38年にわたって地域に開かれてきた「こどもの里」。
“さと”と呼ばれるこの場所は、障害の有無、国籍の違いにかかわらず、0歳からおよそ20歳までの子どもが無料で利用できる。
学校帰りに遊びに来る子、一時的に宿泊する子、事情により親元を離れている子。
それだけじゃなく、親や大人たちも“休息できる場所”としてここへ。
取材を始めて7年、初監督作品となったドキュメンタリー。
カメラでコミュニケーションしてきた重江監督の真摯な眼差し。
“子どもたちによる”夜回りなど、釜ヶ崎の濃い人間の関わりに驚きます。

五輪だけじゃない、挑戦の物語

台風に厳重警戒、リオ五輪まもなく閉会、島岡美延です。
連日のメダル獲得のニュース、悔しさのニュース、そして、選手たちをとりまく様々な物語。
みんなもっと強くなろうと誓い、さらなる努力をしていくのでしょうね。
夢を持って、前へ向かおうとするのは、若いアスリートばかりではありません。
映画『はじまりはヒップホップ（27日公開）』をご紹介します。
平均年齢83歳、二十数名が、ラスベガスの大会に出る…！？
小さな島のお年寄りたちのドキュメンタリーです。
ニュージーランドの東側、人口8000人のワイヘキ島の公民館で生まれたダンスグループ「ヒップ・オペレーション・クルー」。
孫よりも若いような振付師のビリーは、世界最高齢グループでラスベガスのヒップホップダンス選手権に出場する、という目標を掲げる。
とにかく、みんなチャーミングすぎ！
94歳、93歳…、70代なんて“若手”。
戦争の記憶の若い頃を語る彼女たち、今の輝きは格別！
新しい世界への挑戦、始めてみませんか。