花山の思い 24番中山寺


  野をも過ぎ 里をも行きて 中山の 寺へ参るは 後の世のため

 お寺の名前が「中山寺(なかやまでら)」ですから、最初の二句に「山」関係の言葉はいれることができません。
 
 そこで「野」と「里」を上の二句に入れて、三句目でお寺の名前をかけて「山」をいれてあります。粋な配置ですね。

 お寺にお参りすると、それまでの人生を走馬灯のように思い出すことがあります。

 平坦なこともあれば、人里離れたように寂しい時もあった、里の中で人間関係の中で情を紡いだこともあれば、その情にがんじがらめになって息詰まるような思いをしたこともあったなあ……。それが「野をも過ぎ、里をも行きて」ということでしょう。

 天皇の位から引退した時に付けられる「法皇(ほうおう)」という名称。
 花山法皇は、この歌を歌った時、すでに現世の欲は捨て、来世へと、我が身をゆだねていたのかもしれません。

 でも、現代に生きる私たちがこんな心境になるのはまだ早いですね。

    「生きてるんだ、陽気にいきましょう!」

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 お忙しいこところを60人ほどの方々にお集まりいただいて、お聞きいただいた「御詠歌コンサート」――ありがとうございました。
 
 なかなか実現できる企画ではありませんが、私自身、とてもいい勉強になりました。
 全国からの先生方も、遠いところ、お忙しいところをありがとうございました。
 
 御詠歌は、もやは「伝統芸能」的な世界ですが、習得するには大変な努力が必要です。
 皆さんもどこかのお寺で、誰かが一人で仏様に唱えている時に遭遇したら、じっと耳を傾けてみてください。しみじみと伝わってくるものがきっとあります。
 合掌
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