花山の思い 19番札所その1「狩人、某」

 時は今をさかのぼること1005年前の、寛弘元年(1004)を迎える数年前、長和の御世(みよ)。

 日本人だれもが、楽しみで獣や魚を獲っているわけでなく、大自然からの恩恵を十二分に感じながら、それでも自分たちも食べていかなければならないことを、自然にやっていた時代のことである。

 九州の地に、某(なにがし)という狩人がいた。
 腕のいい狩人だった。

 ある時彼は、大きな鹿を見つけて、見事に射止めた。
 しかし、近寄って見ると、その鹿が大きく見えたのは身重のためだとわかった。
 彼を見つめる、息絶えなんとする母鹿が大きな眼は、
「なぜ……?」
「どうして……?」
そう語っていた。
彼はいたたまれぬ気持ちになった。

 鹿の革をはぎ、鹿肉をさばきながら、彼は泣いた。

 肉を商売人に引き渡して、なにがしかの金をもらうと、彼はそのお金をもって、鹿革をなめしてもらった。

 そのなめし革をもって、向かった先は、近くのお寺だった。

……ということで今回はここまで。
続きはまた次回であります。

   ※     ※      ※      ※ 

 朝から尾長鳥が、よく鳴いている東京は江戸川の密蔵院周辺。
 ちょっと警戒した鳴き方のように聞こえます。

 そういえば、5年ほど前「朝からオナガがよく鳴いてますね」と言ったら、聞いた人が妙な顔をしたことがあった。
「オナラがよく鳴く」と聞こえたようだった。
 鼻濁音(鼻にかかったほうのガ)の「が」は、はっきり言わないと、「ら」に聞こえるということである。
 さあ、今日も口元、緊張させてハキハキ、いきましょう!

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