花山の思い 19番札所(その3) 革堂(こうどう)

 41歳で崩御した花山法皇がこのお寺にお参りした時に奉納したといわれるご詠歌は……

 花を見て 今は望みも革堂(こうどう)の 庭の千草も 盛りなりけり
 ※「こうどう」の「こう」は「変わる」にかけてあります。

 大意:このお寺にきて、花のような仏の教えに出合って、昔とは自分の望みもずいぶん変わってきたことを思う。お蔭で庭に咲くあまたの花々も、私を取り巻く絢爛な仏たちに見えるようになってきたことだ。

“かつての自分の望み”――いったいなんだったのだろう。天皇としての栄華か、物質的な所有願望か……

 そういえば、私の望みもずいぶん変わってきたなと思います。
 最近ではすっかり、精神的な望みばかりになりました。ぐははは。

 西国霊場ホームページ⇒http://www.saikoku33.gr.jp/

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 娘がきっかけになって、ムクムクと集まってくれるようになった若者たち。
 そのうちの二人が長いおつきあいを経てついに入籍。
「和尚とデコちゃん(家内です)に報告にいかないと駄目だよ」と仲間から言われて、密蔵院へやってくることに……。
 そして、「和尚がレストランに連れて行ってくれるから、ちゃんとした洋服を着ておいでってさ」との言葉(私はそんなことは言ってませんし、レストランに行くつもりもありません)。
 さて、いざ密蔵院へ来てみると、数人の仲間に言われて、とりあえずカレーを食べた後、別々の部屋に隔離状態。
 そして「実は今日はレストランじゃなくて、ちょっと仲間が集まってパーティーをやることになってま~す」とネタバラシ。
新婦はウェディングドレスを着せられ、プロのヘアメイク(彼女も仲間)にセットしてもらう中、新郎は彼が好きなバンドの歌詞を渡されて「これ、覚えて歌えるようにしてね」……。
 そして、約1時間後、二人は密蔵院の玄関から外へ。
 そこに待ちかまえていたのは、全国から集まった二人の仲間50人が風船もって二列に並んでいる姿。
 境内に用意された「結婚誓約書」を書く台へとギャーギャーいいながら進んで行きます。
「何でお前がここにいるんだ!」「あれ、カンボジアにいるんじゃないの?」
 そして、テーブルの手前には、新郎新婦の両親、兄弟が……。
 沖縄からやってきた両親や妹の姿を見て、数歩あとずさりした新郎は見物でした。

 二人はたぶん10人くらいの、いつもの密蔵院の仲間がいるのだろうとは予想していたでしょう。それだけでも、びっくりしたでしょうけど、実際はその100倍くらい驚いたのです。
 まだ正式に親族の顔合わせもしていな両家が、友人たちのサプライズ計画にポンと乗ってくれて、密蔵院で初顔合わせ。
 ダンス、演奏、書き下ろし、新郎新婦用の特別料理(愛知県の岡崎のレストランのシェフ――もちろん彼の仲間――がわざわざ来て作ってくれました)。

――すべてが、サプライズ、そして全てが大成功のパーティーでした。その連絡や企画、運営がすべて二人の幸せを願い、祝う人たちを巻き込んだ、素晴らしい会でした。約半年に渡る綿密な計画の上にやり遂げたみんな! おもしろかったねぇ。

 おかげで、私は、今日の木更津のご詠歌の講習の帰りには、SAで仮眠を取らないと密蔵院まで帰れませんでした。ぐはは。

 明日は写仏の日です。
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