友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

言葉の向こうに

2009年03月02日 21時32分53秒 | Weblog
 言葉の向こうに本音がよく見える人と見えない人がいる。オバマ米大統領の演説は英語が苦手の私が聞いても快い。日曜日の中日新聞にコロンビア大学のジェラルド・カーティス教授が「オバマ氏への期待の危うさ」と題して寄稿していた。結論から言えば、「経済が好転しなければ、経済危機は政治危機を招く」というごく当たり前のことであった。「イラクでの膨大な支出は戦闘部隊の削減で少しは抑えられても、アフガンに部隊を増派し解決できなければ、国民の批判に直面するだろう。(略)オバマ大統領が(世界中の)多くの人々の期待に応えられないとなれば、米国だけでなく、全世界が大きな代価を払うことになる」。

 ブッシュ前大統領よりも少なくともマシな政策を行なってくれるのではないか、人々がオバマ大統領に期待しているものはそういうものではないだろうか。世界的な恐慌にすぐに効くような政策などはないだろう。1929年の世界恐慌からアメリカが脱出できたのは結果的には世界大戦のおかげだった。国が消滅するような世界大戦でも行なわない限り、この経済不況からすぐに脱出することは不可能ではないのだろうか。

 オバマ大統領の姿勢を、東京大学の上野千鶴子教授は「世界のリーダーを自任したオバマは平和主義者ではない」(2/22婦人公論)と警戒している。上野教授も文中でオバマ氏はリアリストだと指摘している。オバマ氏をよく知る人によれば、彼は理想主義者ではなく、現実の見極めがきわめて早い、バランス感覚に優れている、そうだ。理想に向かって突き進むというよりは、「よい」ところを摂取し、丸く収まるように仕上げていくタイプの政治家である、ようだ。彼を勝手に理想主義者のように思い込むことには危険があるということだろう。

 寡黙の人、小沢一郎さんの「第7艦隊だけで十分」との発言に、与党はここぞとばかりに噛み付いている。「防衛知識がない」(麻生首相)、「非現実的」(河村官房長官)、「防衛予算を3倍から5倍にするのか」(町村議員)などなど、民主党は防衛政策が欠落していると言いたげである。実際のところ、小沢さんの真意はわからないけれど、私は日本が世界に先駆けてやるべき平和政策は憲法に明記した「戦力の放棄」だと思っているので、与党の皆さんの政策でどうやって世界平和を実現するのですかと問い直したい。

 イスラエルの文学賞「エルサレム賞」を受賞した村上春樹氏が、式典に参加して行なったスピーチが週刊朝日に掲載されていた。人は誰でも嘘をつくから始まり、文学の目的を「大きな壁とぶち当たる卵」にたとえて話していたが、言葉の力を100%信じている人だと思った。政治家にそれを求めるのは酷かも知れないが、本当は酷かもと思うことの方が恥ずかしい社会であって欲しい。もちろん私はいつも正直に書いているが、100%ではないことも‥。
コメント (2)
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