今朝、卒業生がチケットを届けに来てくれた。私が吉本新喜劇が好きだとブログに書いたので、名古屋市公会堂で行われた時もチケットの手配をしてくれた。その時、御園座で行われる「辻本茂雄特別公演を見に行きませんか」と誘ってくれた。
彼はクラス会の幹事を務めたり、人の世話をすることに抵抗が無い。「楽しんでもらえればいい」と欲が無い。脳梗塞を患って、左手左足がちょっと不便だが、車は乗れるし、パソコンの操作も出来て、町内会のチラシも作っている。
いつもの喫茶店でモーニングを注文し、おまけの最中も平らげた。「甘いものに目が無いんで」と細い目で笑う。酒は全くダメで、宴会に誘われても「飲めませんから」と断って来たと言う。サラリーマンとしては珍しいタイプだ。
渡邊渚さんの『透明を満たす』を読み終えた。長女が私に、なぜ、この本を渡したのかは分からないが、本の題名の意味は分かった。そして、エッセイなのに、なぜ、肌を露出した写真が掲載されているのかも、私なりに理解できた。
PTSD・心的外傷後ストレス障害になった時、真暗で不透明な世界に突き落とされた彼女は、「私はもう真っ当な人間ではなくなったから、人間関係をまともに築くことができないと強く思うようになり、人と距離を置くようになった」。
「自分を傷つけたい、どうにかして自分を殺したかった。こんな自分はいらないから、一刻も早く鼓動を止めて、すべてを終わりにしたかった」。そんな彼女に精神科の主治医は、「こちらから手を離すことは絶対ない」と言い続けてくれた。
友だちも「無理することは無い。我慢する必要も無い。するべき行動はしていいんだよ。辛いなら辛い、嫌なら嫌、相手がどんな人間であれ、自分が幸せでいることが一番」と励ましてくれた。原因はともあれ、自分と同じように苦しんでいる人たちの存在も知った。
「日本は休むことに寛容ではないし、我慢が美徳とされがちな社会だが」、「辞めるのは逃げじゃない。何かを終わらせるということは、何かを始めるチャンスだ」と、フジテレビを退社する。写真集に挑んだのも、そういうことだったのかと納得できた。
次女や孫娘にも、この本を読んでもらいたい。心に深い傷を負った人が、まだまだたくさん居る。そうした人たちの力になりたいと、渡邊渚さんは決意していた。彼女の写真集を買って、応援しよう。
脳梗塞でなく脳出血です。
くも膜下出血も含み、それらをまとめて脳卒中と言います。
2度とかかりたく無い病気の一つです。