友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

他人の不幸は密の味?

2009年03月09日 22時19分23秒 | Weblog
 この頃の科学の進歩は、何でも分析し解明してしまう。脳科学という分野があり、人間の脳のどこがどのように活動をしているかを調べていた。人間は不可解なもののままの方がロマンがあっていいように思うけれど、科学者という人たちはどうしても科学的に解明したいみたいだ。


 恋をしている時は、脳のどこそこの部分が働き、何々というホルモンが分泌される。何々が分泌されている時は何々で、その量が多ければ何々などという。こんな風に人間の神秘的な心模様まで科学的に判断されるのはイヤだなー。

 そんな折、またしても脳科学が「他人の不幸は科学的にも密の味だった」ことを突き止めたと報じていた。妬ましい人物が失敗したり危機に陥ったりしたことを知ると、報酬を受けた時の心地よさにかかわる脳の部位「線条体」が強く反応するそうだ。

 実験では、自分と同じく平凡な人生を歩んでいる人物には無反応だったのに、妬ましい人物が自分以上に幸せな暮らしぶりを見ると、身体の痛みにかかわる脳の部位が活発化があった。次に、その妬ましい人物が経営危機や自動車のトラブルなどの不幸に見舞われると、うれしい時にかかわる部位が強く反応した。妬みの感情が強いほど、不幸が訪れた時の反応が活発であったという。

 こうした脳の働きは他の動物にはない、人間の独自のものだろう。動物の世界では、ライバルが綺麗なメスを手に入れたからといって妬むことはない。メスを手に入れられるか否かで激しく争うことはあっても、手に入れなかった方が妬むという感情は持たない。動物の世界では選択権はメスが握っているけれど、強いオスを手に入れたからといって、他のメスが妬むという例はない。

 妬みという感情は悲しいとか嬉しいとかいった人間だけにある特別な感情のひとつだろう。旧約聖書には人間の祖先といわれるアダムとイヴの子ども、カインが弟アベルを妬んで殺してしまう話がある。人が人らしく生きてきたのは感情を持っていたからだと思うけれど、感情はプラスにもマイナスにも働く両刃の怖さを持っている。

 先日、書いたアエラ臨時増刊号『老いる準備』の中に、シンガーソングライターの小椋佳さんと作家の高橋のぶ子さんの対談が載っていた。小椋さんは私と同じ歳で高橋さんは2つ下、対談したのは今から9年前の55歳と53歳である。小椋さんが「男はなかなか地域社会に入ってゆけない。自分の中の調整ができない」と言うのに対し、高橋さんは「高齢化について論じているときに、性のことや恋愛のことが抜け落ちているんですよ」と指摘する。

 さらに高橋さんは「歳を取って自分を変えようがないというのもわかるけれど、それを唯一、変えることができるものが、異性への関心や恋愛ではないでしょうか」と言い、「老後の恋を仕入れるのは今しかないという時間もあると思う」と話していた。

 やはり、科学より文学の方が面白いね。
コメント
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