友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

大義を振りかざす欺瞞

2014年03月31日 17時39分11秒 | Weblog

 昨夜から強い風が吹いている。花の終わった白いサザンカが、再び根元から押し倒されている。ロープを張って倒れないように手当てを尽くしたのに、この強風には勝てなかった。明日からもう4月だ。マンションの周りの桜は満開になってきたのに、風は無情にも花びらを吹き飛ばしていく。

 「ロシアのプーチン大統領のもとに陳情書が届いた。―敬愛する大統領閣下!ここドイツには5百万以上のロシア系住民がいます。私たちはひどい目に遭っています。あらゆる場所で、ドイツ語の使用を強いられているのです。私たちを助けてください。軍を投入してください―物騒な陳情だが、もちろんこれは冗談。ロシアの政治小咄投稿サイトで見つけた新作だ」(3月25日、中日新聞の『中日春秋』より)

 「住民保護」という大義の下にウクライナのクリミア半島へ出兵したプーチン政権を皮肉った小咄である。こんな小咄が飛び交う間はまだよいと思う。この『中日春秋』は、ロシアのクリミアへの軍人介入を決めたことに対して、自民党の石破幹事長が3日に行なった記者会見を取り上げていた。石破幹事長は「軍事介入は、ウクライナにおける自国民保護ということであって、それは日本流に言えば、邦人救出というお話ですから‥‥武力の行使とか、武力介入というお話にはならない」と。

 戦争になる時はいつだってそうだ。自国民の保護とか、自国の国益を守るとか、民主主義とか、大義をかざした。そうでなければ国民が納得しないからだ。ヒトラー率いるナチスドイツも「アーリア人を守る」という大義があったし、日本帝国も「アジアを欧米から解放し、大東亜共栄圏をつくる」という大義があった。国民の後押しがなければ戦争は出来ない。感情の昂ぶった兵士は命を惜しまないから、「大義のための闘いである」ことを徹底的に教え込んだ。

 世界は今いろんな人々が混然として住んでいる。アメリカは移民国家だから中国人も韓国人も日本人もベトナム人も多種多様だ。アメリカに住む中国人が習主席に、冒頭のような陳情書を送ったら第3次世界大戦である。いや、どこの国も「自国の利益」を優先すれば必ず衝突が生まれる。国はあるけれど、人は国を超えて住むようになった今日では、だんだん国境の意味は薄くなっている。新しい時代に、新しい世界のあり方が生まれてきている。

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『笑っていいとも』が終ってよかった

2014年03月30日 17時45分07秒 | Weblog

 『笑っていいとも』が、明日で終るのでホッとしている。この番組に出た芸能人はこぞって司会者のタモリを称え、「出られたことを誇りに思う」と言う。32年間も続いてきた昼の番組だから、先日、出演した安倍首相が言うように「国民的な番組」であることは確かだろう。働いていた頃は見ることはまずなかったけれど、毎日が日曜日のような今はでは、昼になるとスイッチを入れてしまう。

 番組を見ていて、私が一番嫌なのは身体的な特徴や動作の特徴などを笑いのタネにすることだ。それが1対1から1対残りの全員に広がる。たとえば、大きな顔だとか、ゴリラの生まれ変わりかとか、チビでデブだからチビデブとか、動作がのろいとか荒っぽいとか、真剣さがないとか、タモリが指摘すると周りのみんなが追従する。バカにされてむきになると、さらに追い討ちをかけるように囃し立てる。

 これはどう見ても「いじめ」の構図だと思う。だから、子どもたちは面白がって、『笑っていいとも』と同じことをしている。時々、大人たちもこうした身体的な特徴や、一生懸命にしているのにやってしまう失敗を笑いのネタにして、みんなで大笑いすることがある。大人は一緒に笑って誤魔化せるけれど、子どもは真剣に傷つくことがある。人を小馬鹿にしてはならないのに、それが笑いなら済んでしまう風潮がある。

 『笑っていいとも』の中ではタモリが標的になることはない。大方はお笑いの新人である。これは人間社会の縮図だ。子どもたちの世界でも力の強い子は標的にはならない。弱くて反抗しそうになく比較的調子のよい子が狙われる。大人の社会でも、年下の立場の弱い者がいじめられる。言葉の暴力も肉体的な暴力も同じことで、相手を見下せることが快感になるのだ。これは連鎖を生み出す。暴力を受けた者が大きくなると下の者に暴力を振るうようになる。

 『笑っていいとも』が国民的な番組とは、恐ろしい国ということでもある。番組が終了してよかったと思っているのは私だけなのだろうか。それも恐い気がする。

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人間には魔性が潜んでいる

2014年03月28日 17時59分46秒 | Weblog

 「今更、釈放されてもねえー、捕えられていた48年間は返って来ないしねえー」と次女は言う。「自分が殺してもいないのに殺人者と決め付けられ、死刑にされることを思えばよかったのではないの」と私は答える。無実でありながら、死刑判決を受けて殺されたのでは、余りにも無念だろう。再審開始が決定した袴田さんのことだ。48年間も牢獄にいると、次第にどうでもいいやという気持ちになるという。

 犯してもいない罪を「お前がやっただろう」と言い含められ、「ハイ私がやりました」と認めてしまうなんて、どうかしていると思う。そんなことで人生を棒に振るなどありえない。けれども、『真昼の暗黒』や『ワイルド・スワン』を読むと、人間の弱さが分かる。いや、人間の恐さを知るというべきかも知れない。長時間の取調べは精神を麻痺させるし、暗い独房は絶望の淵へと追いやるようだ。

 絶望した人間は何でも受け入れる。「袴田さん釈放」の新聞記事の隣りに「中2自殺 いじめが一因」の見出しがあった。昨年の7月、中学2年の男の子が自殺した。「面白いことをしてくれる、いじられキャラだった」と学校側は少年を見ていた。「うざい」「死ね」「汚い」「部活やめろ」と少年は言われ続けてきた。周りのこんな言葉も担任は「ふざけあい」「ちょっかい」としか認識していなかった。

 「死ねよ」という同級生の言葉に、少年は「自殺すればいいのか」と応じた。すると他の同級生が「こいつ、今日、自殺するんだって」と周りに聞こえるように言った。その日の午後3時、彼はマンションから飛び降りた。こういう経験が私にもある。小学生の時、何がきっかけだったのか全く覚えていないが、カッとなって学校から帰って来てしまった。そのことで担任から非難されたり詰問されたりしたことはなく、翌日か翌々日には登校した。

 私は自分が短気とは思わないけれど、時々思わぬところでカッとなる。歳を重ねるとそんなこともなくなったように思うけれど、若い時は冷静に自分を見ることなど出来ない。絶望的な気持ちの時は、理性が働かない。人間には魔性が潜んでいる。明日は誕生日会のためブログを休みます。

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桃太郎は悪人だった

2014年03月27日 18時15分22秒 | Weblog

 先日の日曜日、私たち夫婦は次女夫婦とダンナの両親とで名古屋城と徳川園を見て回った。その日は、友人たちが参加する演劇が行われた。題名は『桃太郎』で、演劇グループと朗読クラブを主にフラダンスの会、コーラスの仲間、和太鼓の人たち、それに公募のエキストラが加わるユニークなものだ。脚本と演出は、この市で演劇と朗読を指導している舟木淳さんである。『桃太郎』なら、4歳の孫娘でも楽しむことが出来るだろうと思い、長女に「孫娘と一緒に見てきてくれないか」と頼んだ。

 その夜、4歳の孫娘に「桃太郎さんはどうでしたか?」と聞くと、演劇で使われた童謡を歌って聞かせてくれた。長女は「桃太郎が悪人だって、知ってた?」とみんなに聞く。「鬼が島は南国の緑豊かなのんびりしたところでね、鬼たちはせっせと働き、歌ったり踊ったりしているの。そこへ桃太郎が征伐にくるのよ。鬼はたちまち殺され、酋長は降参するの。でね、恐る恐る桃太郎に尋ねるの。『どうして私たちは征伐されなければならないのですか?私たちは皆さんに何か悪いことをしたのでしょうか?』って。桃太郎は『征伐したいと志したからだ』と答えるの。ビックリよね」と興奮気味に語った。

 桃太郎が悪人だったという設定は、芥川龍之介の原作だからだ。芥川の『桃太郎』では、鬼が島への征伐の理由は「おじいさんやおばあさんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだった」からで、「腕白ものに愛想をつかしていた老人夫婦は一刻も早く追い出したかった」のだ。

 長女がもうひとつ関心を持ったのは、「犬・猿・雉がどうして家来になったと思う?」という点だ。三匹は黍団子に釣られて家来になった。けれども途中で、不満を表す。すると桃太郎は「鬼が島を征伐しても宝物をわけてやらないぞ」と言う。欲が働いたのだ。しかも、「餓えた者ほど忠勇無双の兵卒の資格を具えているものはない」。「逃げ回る鬼を殺し、凌辱し、ほしいままにした」。

 鬼の年寄りが人間の恐ろしさを子どもに語り伝えていたことが現実となったのだ。「人間というものは、嘘は言うし、欲は深いし、焼餅は焼くし、うぬぼれは強いし、仲間同士殺し合うし、火はつけるし、泥棒はするし、手のつけようのないケダモノなのだよ」。大正13年に、芥川は第2次世界大戦とその後のベトナムやイラク戦争を予言していた。

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アルバイトに夢中なの?

2014年03月26日 18時21分41秒 | Weblog

 誰からも連絡がない。ヒマでいいじゃーないかと思いながらも、今日のような雨の日は何することもなくてやはり寂しい。忙しすぎるほどの方が私にはよいのかも知れない。こんな日でも19歳の孫娘は忙しいようだ。今朝は大学に行って、午後は友人を見舞い、それから我が家に来て食事をすると言う。先日の日曜日は友人と出かけていて、長女たちと一緒に来ることができなかったので、時間ができた今日は「行くね」というわけである。

 大学生の春休みは超多忙である。ボード部に属した彼女は何度かクラブ活動でスキー場へ出かけている。クラブ活動とは別に、気の合った部員同士でも何度か滑りに出かけている。そして私も湯村温泉で出会ったけれど、女子大生の温泉ツアーは盛んなようで、孫娘も大学の友人や高校時代の友人と温泉ツアーに出かけている。着物を着たことがないのかと思うほど湯村温泉の若い女性たちは大胆だったから、浴衣の裾から太モモまで見せて歩かなかったかと心配でいる。

 こうしたクラブ活動や友人との付き合いのために(私はそう思っている)、アルバイトをいくつか掛け持ちで行なっている。大学生が自分の小遣いを稼ぐためにアルバイトを行うのは大切だと思う。お金を稼ぐには苦痛と努力が要ることを知るし、その中で友人が出来ることもあるし、親友に発展する出会いもある。アルバイトに明け暮れするうちに大学から遠のき、本末転倒に陥ることのないようにして欲しい。

 もちろん大学が全てではない。自分の人生をどんな風に生きていくのか、そのために何をどうするのか、考えながら歩くなり走るなりして欲しいと思う。彼女を見ていると、私が大学生になった頃とは時代が違うから仕方ないけれど、夢中で本を読むとか映画を見るとか、脳の中に詰め込む作業をしないようだ。それは娘たちもすでにそうだったから、きっと私たちの頃とは違う時代の要請なのだろう。もっと楽しくて必要なことが多いのだろう。今はもう、娘たちが社会の中軸である。どんな展開が待っているのか、見守る他ない。

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親の前で悪口を言ってはならない

2014年03月25日 17時48分28秒 | Weblog

 

 この2日間、暖かな毎日だったので我が家の鉢植えの花にも異変があった。今年は遅いと思っていた水仙が咲いた。白いサザンカはすっかり咲き終えたが、昨年より遅くピンクの椿が咲き始めた。ところが椿の隣りのツツジがもう開花した。次女のダンナの両親が我が家にみえた時は、風が強くてルーフバルコニーに出てもらうことも出来なかったので、今日のような陽気なら咲き出した花たちを楽しんでもらえたのにとちょっと悔しい気持ちになる。

 3・4月は、子どもを持つ親たちには何かと忙しい時期だ。私の姉は病院から介護施設へ移る。「介護師さんの言うことは聞くのに、私の言うことはちっとも聞かないのよ」と姪っ子は嘆く。感情をぶつけてしまうのは甘えの表現で、親子だからできることでもあるが、姪っ子にとっては理不尽なことだろう。姉を見ていると、まるっきり穢れのない素直な時もあれば、険しい顔付きで拒否する時もあるが、兄弟よりも娘には顕著だ。

 ツイッターで悪口を言われたからという理由で、言った相手を殺してしまう。そんなツイッターなど見なければよいのにと思うけれど、しかしそれにしても、なぜそんな短絡的行動に走るのだろう。殺人は絶対に許されないが、悪口を言う人もどうかしている。それでも、注意してみれば、人は簡単に悪口を言っている。相手のことを思って言う言葉は、受け取る人にはとても辛いことが多い。

 「本当にだらしない」「根っからの愚図」「時間の感覚がまるっきりない」「自分のことしか考えていない」「協調性が全くない」「自分勝手」「先のことを考えない」「ゴミの出し方ひとつ知らない」「自分では起きられない」「気持ち悪くなるまで飲まなければいい」「また、時間がない」‥‥。気をつけて聞けば、まだまだあるだろう。

 相手のことを気遣って、直したらいい、止めたらいい、そんな想いから発せられる言葉だけれど、痛いところを突かれるのは辛い。ましてや、1対1なら聞き流せるが、友人や知人の前で言われるのは辛い。もっと悲しいのは、親や兄弟の前で指摘されることだ。親や兄弟にとっては自分に言われているような気持ちになる。「親の前で悪口を言ってはならない」と、昔の人はよく言った。

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大阪市長選挙は喜劇?悲劇?

2014年03月24日 18時17分23秒 | Weblog

 出産のために次女がダンナと一緒に帰ってきた。土曜日はダンナの両親も我が家にみえて、その夜は3家族6人で食事をした。大いに飲み話した。長女のダンナの両親と飲んだ時も感じたことだが、同じ世代で一緒に飲み話すのは楽しい。長女のダンナのお父さんも、次女のダンナのお父さんも私よりも年上だけれど、とても気さくに話が出来て、酔いもあってか私のおしゃべりが一番多かったようだ。

 昨日、今日と、暖かくて風もなく、まるで4月の陽気だ。次女が「テレビが見たい」と言うので、テレビのアンテナ口を古いものから新しいものに取り換えた。それを見ていた次女は、「専門家でなくてもできるんだ」と感心する。昔の人は大方のことは自分でやった。私は自動車のプラグの取り換えはもちろん、タイヤのブレーキの部品交換もしたことがあるが、今の車はさっぱり分からない。

 分からないと言えば、大阪市長選挙の橋下徹さんだ。当選が決まったのに、テレビの前に出てこなかった。あれほどマスコミを使って知名度をあげてきた人が勝利宣言もしないとは驚いた。しかし、結果からすれば、私が彼の立場なら恥ずかしくて人前に出られない。橋下さんの得票数は37万7472票で、前回の得票数75万0813票の半分よりも少ない。大阪維新の会の幹事長、松井大阪府知事は「盛り上がらない中、4人に1人が足を運んだのは、重い民意で選挙をやった意味は十分あった」と言うが、強がりとしか思えない。

 投票率は23.59%で、有権者の4分の3が棄権した。投票した人の13.53%が無効票というのも、この市長選挙の現実を意味している。無効票は6万7506票もあり、そのうち白票は4万5098票である。投票用紙に候補者名以外のこと、「該当者がいない」「投票したい人がいません」「×」などが書かれていたので無効となったものが2万2408票である。選挙に行き、自分の意思を表明した人たちがこんなにもいたのだ。

 ちなみに、橋下さんの得票は全有権者の17.85%でしかない。「維新の会」の凋落は明確だが、4月の地方選挙で巻き返しを図るという。無理だろう。

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非難はできても現実は解決しない

2014年03月22日 13時29分17秒 | Weblog

 ベビーシッターに預けた子どもが殺された。どうしてそんなことが起きてしまったのか、故意だったのか事故だったのか、いつか明らかにされていくのだろう。ベビーシッターの若い男についていろいろと報道され、男への反感は強まるばかりだ。同時に、「ベビーシッターに何日も子どもを預けた」と、子どもの母親に対する非難の声も上がっている。彼女がどういう人で、なぜベビーシッターを頼まなければならなかったのか、おおよその想像はできる。

 母親は横浜市に住んでいる。横浜市は「待機児童ゼロ」を全国に先駆けて実現した自治体のはずだ。けれども母親は公共の施設に子どもを預けることが出来なかったのか、あるいはしなかった。保育園はどんなに朝早くても7時から、夜は遅くても9時までしか預からないだろう。夜間、働く仕事の人には頼るところがないのだ。そういう社会を創っておきながら、「夜間に子どもを預けるなんて」と非難できるだろうか。

 私が議員だった時、保育園や学童保育の時間延長を提案した。実際に学童保育の現場にもお願いに回った。担当者から、「子どもたちが可哀相だと思わないのですか」と言われた。子どもが母親や父親と一緒にいることが出来る社会にすることが望ましい。けれども現実は、延長保育を必要としている人がいる。現実に対応しながら理想の社会へと近づけていくしかない。子どもを預けてまで働くという非難じみた気持ちがなくならない限り理想の社会は生まれない。

 国連安全保障理事会で、ロシア大使が「独立の根拠とする住民投票はクリミアの自決権に基づいており、国連憲章に合致する」と言うと、アメリカの女性大使が「トルストイやチェーホフを超える創作だ」と皮肉り、「財産を盗んだからといって、その財産権まで盗人が得たわけではない」と批判した。ロシア大使は「屈辱だ」と応酬したが、アメリカの文豪ヘミングウェイかスタインベッグを引き合いに出してやり合って欲しかった。

 非難できても現実は解決しない。目的が正しければ手段はどうでもよいと言う人がいるけれど、手段こそ重要だと思う。目的に向かう過程がいいかげんでよい結果が生まれるはずが無い。国連のアメリカ大使もロシア大使も文豪たちの作品を読んでいるのだろうか。明日は子どもたちが集まるので、ブログは休みます。

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観光地は似た景色に

2014年03月21日 17時52分26秒 | Weblog

 朝から強い風が吹いている。太陽は顔を出しているのに、外は寒そうだ。先日、「湯村温泉はどうでしたか?」と聞かれ、どう答えてよいのか迷った。山陰の山間にある小さな温泉町で、温泉を売りにして町起こしに一生懸命に取り組んでいることはよく分かった。帰りに、「兵庫県立コウノトリの郷公園」と豊岡市の出石の城下町に寄ったけれど、どちらも観光地として力を入れている。

 山陰地方は雪深く、平地も少ないので大きな工場はない。地形を生かした観光が大きな産業である。湯村温泉は吉永小百合さんの『夢千代日記』で一躍有名になった温泉町だが、町の規模は小さい。源泉は90度と高熱で、町の中心を流れる川が温泉で温められて丁度よい温度になるそうだ。川岸に設けられた「足湯」に、卒業旅行なのか若い女の子たちが群がり、惜しげもなく素足をさらけ出していた。

 ここから近い城之崎温泉を真似するかのように、散歩道も作られていたけれど、昔っぽいひなびた感じがある方がいいのにと私は思った。私たちが泊まった宿はここでは一番大きく、お風呂もサービスも自慢するだけのことはあった。豪華なホテルで豪華な食事をして豪華なお風呂を充分に味合いたいと思う人が圧倒的に多いから、どこの温泉街も豪華になっていくのは止むを得ないのかもしれない。

 出石の城下町も、彦根城前に作られた町や伊勢のおかげ横丁に似ている。犬山でもこれとよく似たまちづくりが進められている。どこだって同じようにしなければ、逆においていかれてしまうということだろう。日本中がどこへ行っても同じような街になっていくのは同じ理屈かも知れない。出石で地図に酒蔵とあった所へ行ってみた。土蔵は漆喰が落ちて土壁がむき出しになっていた。店の構えは無く、人影も無かった。声をかけると若い男の人が出てきた。

 酒蔵の跡取りだった。店の中に日本画が4枚無造作に置いてあった。「ひょっとして、これはあなたの作品ですか?」と聞いてみた。有名な日展の作家だと言う。「本当は絵描きになりたかったけれど、家のために戻ってきたのかと思った」と話すと、「ストリーにはなるでしょうが‥」と笑う。ここの酒はおいしそうな気がした。

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3型の夫婦

2014年03月20日 18時22分26秒 | Weblog

 旅行会社はいろんな企画を考える。最近ではミステリーツアーの広告をよく目にする。我が家はこのところ毎年、誕生日ツアーに参加している。同じ誕生日であっても年齢は様々であるが、平日に参加できるのはやはり還暦過ぎの人が圧倒的に多い。先日のような「古稀祝いツアー」となると、同じ歳の人たちばかりだが、参加者の中に古稀の人がいるという条件なので、祖母と娘と孫の3人という人たちもいた。

 友だちと一緒というケースでは、男同士はいなかったが女同士のグループは結構あった。しかし、なんと言っても夫婦での参加が圧倒的だ。往きと帰りで座席の変更があり、2日目の帰りは後5列が全て夫婦であった。この10組の夫婦を見ていて、3タイプに分類できるように思った。

 1つは妻の方が古稀で、夫はかなり年上と思われる夫婦。夫の方は足を引きずるように歩いていたから、脳梗塞を患ったのかも知れない。背が高くたくましい夫に比べ、妻の方は小柄だ。けれども何かにつけて夫の世話をしていた。余りに過剰だったので時々、「わかっとる」と大声が飛んできた。その瞬間は小さい身体をいっそう小さくしているが、すぐまた、「落とすよ」とか「これは食べた方がいい」とか「食べない方がいい」とか、世話を焼いていた。

 もう1つは、夫が古稀で妻の方が若い夫婦。妻は夫の世話をするというよりも甘えるタイプで、妻から絶えず夫に話しかけていた。話し声が聞こえない時は、夫に寄りかかって眠っていた。「チョコレート買って来た。食べるー」などと睦まじい。中でも1組はふたりでしゃべりっぱなしだった。大方は妻の方がリードしていたけれど、夫の方も答えるだけでなく話しかけていた。

 そして残るは、必要なこと以外に会話のない夫婦だ。何十年も一緒にいると話すことがなくなるのか、一方が話しかけてもなかなか長続きしない。決して仲が悪いわけではない。私たち夫婦もそんな類だけれど、話すと感覚や意見の違いが生まれてくるので、それが嫌で込み入った話はしなくなった。今更、意見の違いを統一することは出来ないし、お互いの存在と個性を尊重し合って生きていく以外にない。

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