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赤×坂の「東京物語」公開稽古を観て

2016-01-26 | Weblog
ずいぶん昔、マニュエルプイグという南米の作家が原作の「蜘蛛女のキス」という映画を観たことがある。お芝居にもなっていたようだ。
ずいぶん昔なので、オカマと革命家が刑務所の中で映画の話をしていたということ以外、ほとんど忘れていた。
ネットで検索してみてちょっと思い出した。オカマ役のウイリアムハートがアカデミー賞を取ったこととか、悲しくて切ない最後の場面とか。

「東京物語」は、脚本の竹内銃一郎氏が、その「蜘蛛女のキス」と小津安二郎の「東京物語」をモチーフとして書いた作品だ。

今回、それをエイチエムピーカンパニーの笠井友仁氏が演出し、昨年11月の星みずく公演「灯屋・うまの骨」に出てくれた坂口修一さんと、10何年も前に「パセリの木」に出てくれた赤星マサノリくんが出演する。
ぜひいかなくちゃと思っていたところに、全国ツアーに先駆けての公開稽古のことを知り、観させていただいたというわけだ。

80分ほどがあっと言う間に感じられるほど、楽しくて見応えのある作品だった。

革命家のブレーキとオカマのオリーブが獄中で語りあう。
革命家は破滅的な逃走劇を、オカマは牧歌的な映画のストーリーを。
オカマはその映画の光景の美しさを語る。
革命家はそんななまっちょろい話は嫌いなんだという。
それなのに、オカマの語り口の心地よさに聞き入ってしまうのだ。
オカマは恋ごころは、何にも負けない。環境にも思想にも死にさえも。

精悍で破壊的なのにナイーブな革命家と、むさくるしいひげ面なのに可愛いオカマ。
それぞれの演技と息のあったやりとり。
関西小劇場界を代表する俳優による極上の二人芝居。
全国ツアーはまずは2月5日、6日、岸和田市立波切ホールから。

予約・詳細は検索エンジンで「東京物語」を。

ぜひ!お勧めです!