ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

シス・カンパニー 「かもめ」

2013-10-11 | Weblog
めんどくさがり屋の私にしてはめずらしく、Eプラスの先行予約がはじまった初日にチケットを取った。シス・カンパニーの公演は、チケットを取りにくく、赤字を出さないことでも有名らしい。

チェーホフの代表作。演出はケラリーノ・サンドロヴィッチ、出演は生田斗真(トレープレフ)、蒼井優(ニーナ)、大竹しのぶ(アルカージナ)、野村萬斎(トリゴーリン)といった豪華版ならどう転んだって楽しめるにきまってる。場所はシアターBRABA!。

チェーホフはこの作品を喜劇と言っているが、新潮文庫で読むかぎりにおいては、どこが喜劇なんだろうと思っていた。
それが舞台を観ると、セリフはほぼそのままにもかかわらず、そこここに笑いが起こり、なるほど喜劇なんだとわかる。
ニーナが演じる劇中劇なんて、もう絵に描いたような前衛芝居で、笑ってしまう。

かもめは、筋立てだけみれば、通俗なメロドラマのようにみえる。
一方通行のかみ合わない恋愛の構図。すべての登場人物が自分のことしか考えていない。
どの人物にも感情移入なんてできないんだけど、大竹しのぶのアルカージナは痛快だった。

こんなみえすいた手練手管を使って、男が納得するわけないだろうと思っていたセリフも
、彼女にかかれば、こういう手があったんだと納得させられてしまう。そうか、ここはこう演じるのねと、感心してしまった。
上がったり下がったりの長台詞も、野村萬斎の長台詞のようにリズムばかりが鼻につく感じではなくて、アルカージナその感情のほとばしりそのままなんだと思えるのだ。とても才能のある人なんだなあとあらためて思う。

蒼井優は声はよかったが、何だか平凡。
生田斗真は、姿勢が悪く、全体に筋肉が付きすぎているせいか、遠目には若々しさが感じられなかった。

って、劇評みたいにえらそうなことを書いてしまいました(笑)。

一番印象に残ったのが、場面転換。
薄暗い中で、登場人物がそのまま、音楽に乗って流れるように動いて場面を転換させていたのが新鮮で素敵だった。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(なんで、こんなふざけた名前なんだろう)の、ほかの舞台も観てみたいなあと思った。