ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

ヤザキさんのパフォーマンスに参加する

2013-04-09 | Weblog
晴天の京都。ヤザキタケシさんのダンスパフォーマンスを観るために、哲学の道近くにある安楽寺に行く。近くには法然院もあり、遅い桜にも間に合うかもと、友人を誘って行楽気分。

パフォーマンスは、寺の境内にある椛ーMOMIJIーというフリースペースで行われる。カフェもあり、庭に面した大きな掃出し窓や天窓から自然光の入る素敵な空間だ。

安楽寺には悲しい伝説がある。
鎌倉時代の初め、後鳥羽上皇の寵愛する松虫と鈴虫の二人の女御が、法然の弟子、安楽房と住蓮房の二僧侶の念仏に教化され、ひそかに出家。そのことに立腹した後鳥羽上皇は、二僧侶を打ち首、法然を島流しに、女御たちは自害してしまう。その安楽房と住蓮房を供養するために建てられたのが安楽寺なのだ。
悲劇の二僧の石塔(写真)などがある庭を散策し、パフォーマンス会場へ。

幕開けは笑美ちゃんの猫ダンスから。しなやかな野生の野良猫がごろにゃんしているようで、くすくす笑って観ていると、ヤザキさんが登場。
観客参加型のパフォーマンスということでみんなに民族楽器のような音の出るものを配り始める。私に手渡されたのは、楽器ではなくなんと本。志村ふくみの「語りかける花」という随筆集で、ダンスの間、それを朗読するのだ。
えー、そんなこと、聞いてないし、初見で朗読なんて無理だーと、慌てて本を見る。行楽気分はいっぺんに吹っ飛んでしまった。

志村ふくみは好きな作家だ。さっきも庭で志村ふくみの言葉を引き合いに出して友人と植物染についての話をしていたところだった。桜の色は花びらからとるのではなく、花が咲く前の樹の枝からとるのだというようなことだったのだけど、そのことの偶然にもびっくり。

とにもかくにもパフォーマンスは無事終了。読めない漢字を飛ばし、要所要所拾い読みの朗読にまで拍手をいただいてしまった。
楽器の音、朗読する声、窓からの自然の日差し、柔らかな春の風、庭の新緑などなどがヤザキさんの即興のダンスに呼応し呼応され、重なり合ってセッションをしていた。

楽しい体験をさせてもらったライブパフォーマンス。
本当に素敵だったと、友人は感激しきりだったけど、本の文字と格闘していた私は、肝心のダンスを半分も観ていないのです(泣)。