ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

微熱の箱 ービックワンシアター2010-

2010-10-18 | Weblog
17日、楽日の公演を観せてもらった。
かつてラジオドラマのために私が書いた小さな作品。そのなかから9つの作品を使い、それぞれを箱に見立て、それらを新たに演出の押谷さんが書き足した物語でくるりと包んで構成されていた。
きっちりと作りこまれたリアリティのある舞台セットは、現実ではない場所を、ここだって現実なんだよ誰だっていつだって思い出に会えるんだよと言ってくれているみたいだ。
ごちゃごちゃと可愛いものたちで溢れかえった部屋は、レトロで居心地のいい喫茶店のようで、近所にあれば毎日でも通ってみたくなる。飾り付けられたどれもがお話の内容に関係ありそうで、じっとみていて飽きない。
10の小さなお話箱(最後のひとつは、押谷さんがドラマをまとめるために書き足したものだ)が、一つ一つ開かれていく。それを、満員の客席が息を呑むように見つめている。あちらこちらから起こるくすくす笑いやすすり泣く声。そんな中に身を置いて作品をみせてもらう。作者としてこんな幸せなことはない。
聴かせる為に書いた作品をお芝居にしているのだから、セリフにも無理がある。でも、それがかえっておもしろく思えてくる。
「昔、魚だったかもしれない」や「都忘れ」は、語りを多用していたゴダールやトリュフォーの映画みたいだ。
着ぐるみのダンディ君や、ボロ雑巾風のグレに笑ってしまった。
押谷さんが作り出した書けない作家のヤマモモさん(だったかな?)も秀抜だった。
進行役の二人の女の子も可愛かった。
私的には、「冬の朝に」のじゅんちゃんにキュンとなって、不覚にも涙がこぼれてしまった。
みんなが一生懸命で好感がもてた。
「よかったね」「集中して観てたからぜんぜん長くなかったね」そういいながら帰っていくお客さんたちの声を聞いて、なんだかほっこりと暖かい気持ちになって、終わったあとの舞台をずっと見ていた。

おまけに「微熱の箱」の本を30冊も売ってくださって!
押谷さん、みなさん、ありがとうございます。
素敵な舞台、楽しませてもらいました!




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