ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

ポプコーンの降る街

2005-12-28 | Weblog
ポプコーンの降る街に行ってきた。場所は東京の、とある場所にある、とある小さなスタジオだ。私が十年以上も前に書いた「ポプコーンの降る街」が上演されていた。舞台の上に出現した街。街のなかの古ぼけたビル。路地裏。ビルの一室。かつて私が作り出した風景がそこにある。人物がそこにいる。私が限られた時間のなかでだけ出会える、なつかしい街と人だ。
演出家の指揮のもとに、セットが完成し照明や音楽が入り役者たちが登場する。そうやって出現する特別の空間で、私は自分が書いた作品の場所や人たちに再会する。それは作家だけの特権だ。舞台の上に出現する街は、現実の記憶のなかにある、かつて愛した場所や、もう会えない好きだった人々をも思い出させてくれる。いとしくて、せつない気持ちになる。

ポプコーンの降る街の住人たち。あのひとこのひと。思い出のなかの人たちと演じる役者さんたちがいっしょになって、私の心のなかに降り積もって行く。