
名も知らぬ遠き島より、流れ寄るヤシの実一つ、
故郷の岸を離れて、なれははその波に幾年
BSで昔のミステリーと言うやつを女房と見ていたらこの歌をモチーフにしたドラマをやっていた、
この中で言われていた藤村の詩は友人だった柳田邦夫が旅先から藤村に送った手紙にインスパイアされた藤村が書いた詩だそうだ、
藤村はこの椰子の実に“いつの日にか帰らん“と擬人化した漂泊の悲しさを詩にした、
しかし、この椰子の実を見た柳田邦夫は「名の知らぬ遠き島」を知ろうとし、長い年月意をかけて「海上の道」を書きあげた
恐らく柳田邦夫氏の基本になった「文化人類学」の原点と言えるだろう、
散歩の途中に見た一つの椰子の実は一人の人類学者と一人の優れた作家を産んだ
その才能に我々凡人は嫉妬する、
そしてそれから100年近くたった時にはミステリーのプロットを生み出した
やはり優れた才能は日常の何でもない景色ですら大きな刺激を受け取ることが出来る
未だこれからだ、新しい事は幾らでもある、老いてはいられない