☆・・・三遊亭鬼丸師匠は、先ず語る演目が
「ぞろぞろ」だったので、その話に出てくる神様の一人(一柱)から、八百万の神へとまくら話を広げた。
日本人は、異国の神様も「八百万の神様」に組み込んで敬い、その中には、トイレの神様もいるし、野球の神様 川上哲治もいるし、プロレスの神様 カール・ゴッチもいる、と小ネタを交えつつ(今度はスキー場にいるロマンスの神様も入れて下さい^^)、笑いの神様・落語の神様へと話を運んでいく。
自分はいまだ、落語の神様の恩恵に与かっていないが、これまで16回(この数はニュアンスだろう)、落語の神様を、高座にて垣間見たことはあると言い、つかず離れず、見守って頂けている時はたまにあるかなぁ、などと話す。
また、「ぞろぞろ」を語ってみようと考えた背景について語る。
小学校の教科書に、この噺が載っているから、とのこと。
小学校に本の音読のボランティアに行き、落語を聴かせたくなるが、落語を楽しめる年齢の境界線もあるようだ、云々。
・・・さて、私、ここから、ちょっと入り組んだ話をする。
落語家のほとんどは、すべからく面白い存在だと思うのだが、特に、私は、「GOGOMONZ」と言うラジオ番組を通し、この三遊亭鬼丸と言う落語家を知り、
その面白さに魅かれた。
実際、才能もある方で、ラジオ番組でのアドリブも利くし、もちろん、その落語も王道を行っている。
変わり種のように見えて、基本はけして逸らしていない(と思う。私自身、まだまだ落語に詳しいわけではない)。
その落語会(ライブ)では、いつも大笑いさせられている。
完全に、笑いの神様が降臨しているじゃん! と思える時も多い。
私が、鬼丸師匠を見てきて、これまで、「いまいち」だなと思ったのは、三遊亭圓歌師匠との親子会の時かな?
あの時は、さすがに、三遊亭圓歌師匠の横綱落語にパワーを吸収された感があった。
おっと、今回の噺の中で、鬼丸師匠は、圓歌師匠の「中沢家の人々」ネタを話していたなぁ^^
そして、今回の鬼丸師匠の独演会も、これまでとは、ちょいと違った雰囲気があった。
真打として、実力はある。
今回、「ぞろぞろ」
「付き馬」「悋気の独楽」と豪華にも鬼丸落語を三席聞け、ネタ卸しの噺もあったのだが、いずれも完成度は高い。
しかし、いつものような大爆笑に至らなかった。
私は理由を考えた。
一つのライブが、(笑いの)一体感を得るには、色んな幸運に恵まれなくちゃならないのだと思う。
盛り上がりの構成因子の一つでも欠けたら、落語の神様は降りてこない。
先ず、満員の客席が、最初は落ち着かなかった点がある。
途中から入ってきた客も多かった。
私の一列後方のじい様の客は、膝に、コンビニ袋みたいのを置いていて、それをたまに引っ張りあげたり、開けたり、握ったりするので、独演会の二時間、ずーっと雑音を立て続けていた。
私はよっぽど、「その袋、椅子の下にでも置いておいてくれ!」と言いたかったが、落語ってのは、人それぞれの見方もあろう、と我慢した。
せっかくのライブである。
先ずは、自らをレイブ感(ロンドンのジャマイカ系移民の俗語で「自分を演じさせてでも先ずはその気になって盛り上がる」を意味)に高めなくちゃならないのに、このコンビニ袋の雑音で、気持ちが削がれた。
気が散ると、話を追っている意識が飛び、集中できなくなる。
ましてや、携帯の呼び出し音が鳴り響いた時には、私、そいつに殺意をもよおしたよ^^;(地下のホールで、私のドコモは圏外だったのだが)
先ず、コンビニ袋の雑音で、後方の三分の一の客は、噺を聴いて思い描いていたイマジネーションの世界を断ち切られたと思う。
そして、携帯の呼び出し音で、会場の後ろ半分の客が、落語ストーリーから我に帰らされただろう・・・。
ただ、そんな、さりげなくも厳しい状況の中で、なんとか形を作っていくのが鬼丸師匠の「実力」だろう。
一席目の「ぞろぞろ」が終わった後に入ってきた美人のお客さんには、「どうぞどうぞ^^ まだ大した話をしていないですから」と言ったときには、「大した話、してなかったのかいっ!!^^;」と大笑いした。
この美人さん、前回、私の前に座っていたので覚えている。
毎回来ているなんて、かなりの鬼丸ファンのようですよ^^
また、定吉と旦那の会話の時、旦那のセリフをもつれさせたのだが、そこで、普通に、定吉に「旦那様、なに舌をもつれさせているんですか^^」と言わせて、自然にミスを直す箇所なんて、「うおお! 凄いな鬼丸師匠!!」と驚かされた。
この人、実力がある人なんだ。
仲入り後、<ウクレレえいじ>さんの、巧みな漫談を挟んで(楽しい^^)、
三席目を語り始めた時には、すっかり調子を回復し、「落語の神様」のローブの裾を鷲掴みにし、会場をひきつけていった。
私の前の席のヤンキー夫も、顔をずーっと笑顔にし、落語に夢中になっていた。
これである^^
もう、鬼丸師匠が面白いことを言うことが分かっているので、顔に笑顔を湛え、爆笑する体勢に表情を待機させているのである。
このヤンキー夫、おそらく、次回の独演会も来るだろう^^
でも、その、小1くらいの娘さんには、まだ落語は早かったかな^^;
かおりんや麻衣ちん、ザキシマさんらと観覧していたもう一人の女性は、どうやら、池辺愛さんのようで、「鬼丸師匠の耳だけが赤かった!」と、この独演会の感想を番組で語ったそうだ(麻衣チンと思っていた人は、池辺愛さんの相棒の久保いろはさんと言う噂もあり。うん、その女性が<ウクレレえいじ>さんの芸のとき、合いの手を入れていたのですが、麻衣ちんのハスキーボイスではなかったんだよね。・・・私、モエヤンの夜中の番組 聴いてましたよ。)。
はい、確かに、この独演会の途中、顔は白いのに鬼丸師匠の耳だけがやたらと赤かったんですよ。
おそらく、(いい意味で)かおりんには気づかない観察力であり、
私と同じことを池辺愛さんも感じていたことが、ちょいと嬉しかったかな^^
なお、私、買っていたプリンは、独演会が終わった帰りの出口で、「鬼丸師匠のお子さんにどうぞ^^」と、鬼丸奥さんに渡しました。
鬼丸奥さんは、「もうすぐ(鬼丸師匠が出口に)出てきますから^^」と言ったのですが、
私は恥ずかしがり屋なので、「いやいやいやいや^^」とそそくさと立ち去るのでした。
でも、ホールの出口への階段を上がるときに、階段の下から、現われた鬼丸師匠が挨拶してきたので、私もにこやかに頭を下げるのでした^^
(2013/02/12)