『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

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[映画『ダイ・ハード / ラスト・デイ』を観た(寸評)]

2013-02-14 23:59:38 | 物語の感想

☆このシリーズは、私、もう、見逃せないのです。

 ただ、気になっていたことがあるのだが、これまでのシリーズ全てが2時間超の上映時間のアクション超大作なのに、今作は、100分足らずなのである。

 これ、どう撮っても、一時間半の、キレのいい良作レベル(例えば『96時間』みたいの)としての作品世界の描き込みぐらいしか出来ないんじゃないか? と、ちょいと危惧した。

 観終えて思うのが、非常に面白く、「余は満足じゃ^^」なのだが、ダイ・ハード世界としての描き込みに関しては、まだ判別がつかない。

 もう一回 観に行く!

 そもそもが、作品内時間が、それほど長くないので、これでいいのか、とも思っている。

 今回は、ロシアが舞台である。

 これはちょっと面白い。

 今までのアメリカ国内においての活動とは、言葉が通じず、捜査権もないし、勝手が全く違うのである。

 だが、その、お国柄の違いのギャップは、あまり作品に絡んでこない。

 反目していた息子・ジャック(ジェイ・コートニー)と、いつしか共同戦線に至るのだが、長くロシアで活動していた息子よりも、モスクワ初体験のジョン・マクレーンの方が、長年の刑事の勘で、捜査上の正しい道を切り開いていくのである。

 だが、ジャックとジョンの反目、そして和解へと続く絡みは良かった。

 アクションの最中や、アクションの継ぎ目に、徐々に心を通わせていく流れは、定番ではあるが、スピーディーだが丁寧によく描けている。

 ジョンやジャック、そして、もう一組の、ジョンらが保護する大立者・コマロフと、その娘・イリーナの関係と言い、顔のアップを多用し、そこでの情動の演技をうまく映し撮り、かなり「人間」と言うものをうまく描いていた。

 この作品の監督(ジョン・ムーア)が、私の熟睡映画『マックス・ペイン』を撮っていたとはどうしても思えなかった^^;

 『ダイ・ハード』シリーズは、セルフ・オマージュ(セルフ・パロディ?)が、2作目からして多用されていて、それは、アクションや台詞回しに代表されていて、今回も、これまでのアクションから変則させてたのだが、狭い筒状ダクトを艱難辛苦で通ったり、高いところから自ら身を投げ出さなくてはならなかったりとあるのだが、

 今回は、コマロフが、終盤に、一作目のとある人物のような腹芸を垣間見せてくれる。

 これは、大胆でありつつ、新しい形のセルフ・オマージュである。

 イリーナ役は、とびきりの美形とは言い難い女優(ユーリヤ・スニギル)だが、その女優としての演技と言い、作中での演技と言い、実に巧みであった。

 目の潤ませ方や、必死の汗とか、頬の紅潮とかリアルであった。

 クライマックスのアクションでの、ミル26と言う世界最大のヘリコプターの中から、ジョンと視線を交わすシーンなんて、もう最高であるし、

 前半の山場のカーチェイスのシーンでの、いまだ、反目しあっていたジョンとジャックが、視線を合わすシーンともども、人と人の感情をぶつけ合うシーンとして、見事だと思った。

 「ダイ・ハード」シリーズは、ハイテクを駆使するテロリストと、昔ながらの叩き上げの刑事との対比の妙が面白いのだが、

 今回は、異国を舞台にしたことと、父子の相克が肝でもあり、ハイテク要素は、作中で、何度か携帯が破壊されるシーンに代表されるように、全く排除されている。

 それでも、例えば、冒頭の歌好きのタクシーの運ちゃんや、金で、ジョンらを裏口からホテル内に通すボーイの存在など、不思議と「ダイ・ハード」チックだ。

 中ボスも、口調がチンピラ風の、ステップを踏むのが好きという個性付けが、「らしい」のである。

 惜しむらくは、ラストシーンである。

 激闘を終えたジョンとジャックは、帰国し、空港で、太陽の光をバックに、心配していた娘と抱き合うのである。

 それが、シリーズにはそぐわない。

 やっぱ、ボロボロになった親子二人がモスクワまで帰ってきて、空港へのタクシーを拾ったら、ドライバーが、物語冒頭の歌が好きなタクシーの運ちゃんで、「なんか知らないけど派手にやったな!^^」とか言われて、二人が乗り込んで走っていくタクシーを遠目に、シナトラの歌が掛かると言うエンディングがベストだと思うのだが。

 なお、副題の「ラスト・デイ」は、日本の配給会社が勝手に付けたものなので、皆さん、無視して結構です^^

   

                                          (2013/02/14)


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