福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

柔道は受け身、負け方から教える(2) 医師の研修の項目にも必要

2007年05月18日 06時17分09秒 | 医療、医学
 柔道を始めとして道具を使わない格闘技は良い負け方を知っていればこそ、勝負に余裕を持って臨めるし、負けることは次のスタートの始まりでもある。これは人間教育の、子どもの教育の根本でもある。これが十分でないと人間関係は対立構造になりやすいし、キレ易くなる。

 先日、3日間缶詰になって臨床研修指導者講習会を受講したが、研修医とのコミュニケーションの取り方、誤りの指摘や指導の項目では研修医を腫れ物に触るが如くに、周りくどく扱う傾向があってとても気になった。
 確かに、最近の子供達は誰でもその傾向は多少あるのだろうが、特に医師になろうとする若者は家庭でも、学校でも特別扱いを受けて来たのではないか?とも思わざるを得ない事象に触れる事も少なくない。いや、決して若手医師だけでない。医師が「在日日本人」と評されたのは決して最近のことではない。医師一般の問題であろう。私もあらゆる世代の医師に同じ傾向を感じてしまう。多分、私も他の方々からはそう見られているのだろう。

 最近は医療の分野ではクレームが増えてきている。著増である。医療行為自体に殆ど問題が無いのにちょっとしたことが切掛けになって大きなクレームにまで発展する。その増大の切掛けが患者や家族の不満に対する最初の医師の対応・反応であることが多い。小さな歪みのうちに摘み取れたはずのレベルの事象がその後の応対の中でむしろ徐々に増大していく。医師は責められる事、攻められる事に不慣れであり無防備である。若手医師だけでなく、地域のベテラン医師も往々にして同じ経過をたどる。ベテラン医師は心の隅に残っているかつてのパターナリズム的発想にも起因している。

 これからの医師教育の中では、患者・医師関係におけるトラブル回避のためにも上手な受け身を、負け方を研修の一項目として取り上げなければならないと思う。それによって対立関係になることを防止できるから日常の医療にも余裕が生まれてくる。
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