福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

ロストロポービチ氏が死去(2) 私はチェロに関して氏の隠れ弟子

2007年05月01日 06時45分29秒 | 音楽談義
 ロシアのチェリスト、指揮者のM・ロストロポービチ氏が死去された。
 私はあまりにも恐れ多くて他言はしていないが、チェロに関して氏の隠れ弟子なのだ、と思って来た。だから氏の死は一入残念に思うが、80歳でもあり悪性疾患を患っていたとのことだから納得せざるを得ないだろう。

 氏は私が音楽好きになった頃から既に世界的チェリストとしての評価を得ていたように思う。レコードの発売量も少なく、演奏家についての情報が少なかった当時、チェリストはカザルスと氏の他にはフルニエ等、せいぜい10名ほどしか知らなかったが、氏の音楽性、演奏技術は当時から別格とされ、私もレコードを好んで購入したし、FMエアチェックもした。

 私は30代後半に念願であったチェロを初めて購入したが、その際、楽器を買っては見たものの教則本だけでは何ともならず直ぐに壁に突き当たった。折しも、当時まだ一般に普及していなかったレーザーディスクで氏の弾くドヴォルザークのチェロ協奏曲が発売になった事を雑誌で知り、これで何とかなるかも、と即購入した。レーザーディスクの再生装置を手に入れたのはその後1ヶ月ほどしてからであったが、連日参考になる場所をスロー再生、リピート再生させながら穴が開くほど画面を見つめ、真似したものである。その後、オペラなど種々のディスクを購入したが、集中的に観たのは氏の版だけであった。

 実際には氏の画像から学ぶ事はあまり多くなかった。氏の演奏スタイルは氏独自のものであり、教則本とは大幅に異なっていたからである。それでもそんな風にして練習したので私は勝手に氏の隠れ弟子と称している。

 私は一度も氏の実演を聴いたことはない。聴けるハズであった唯一の機会は飛行機の運休で流れてしまった。小澤、新日本フィルとの協演で協奏曲3曲の演奏会で、チケットを購入し、午後の便で発ち、夜行で帰秋する予定にしていたが、旧秋田空港に飛んで来るべきハズのYS-11が関東地方の天候不順のために運休し実現しなかった。これもしっかり思い出となっている。

 波瀾万丈であった氏の人生を想い、心からご冥福を祈りたい。
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