福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

仙北市の民間有料老人ホーム突然閉鎖 中央の論理は秋田では通用しない

2007年05月04日 08時14分40秒 | 秋田の話題
 東京に本社を置くある企業が仙北市に昨年7月に開設した民間有料老人ホームが一月ほど前に突然閉鎖された。定員80人、全室個室で県内では最大規模の施設だったという。しかし、入居者は30人程度で、職員への給料不払いなどで退職者が相次ぎ、運営が困難になったとの事。定員の40%くらいの利用率では人件費、施設維持費など賄えないのは当然である。こんな事態は何で生じたかが問題となるが、私は都会の論理を地方にそのまま適応しようとした事に原因があると思う。

 有料老人ホームは経営計画、資金計画などを県に届け出るだけで設立出来る。審査などはない。だから、介護保険導入以降、民間企業の参入が相次でいる。厚生労働省の資料によると、有料老人ホームは平成17年の時点で全国で1400もの施設があり、結構競争も激しくなって、かつては数100万から数1000万円もした入居費も徐々に安くなっているとのことである。

 私はこの件についての詳細は知らないが、地方の特性をよく調べないままに仙北市に進出してきた結果でなかったかと思っている。
 県内には同様の施設が13施設あるとのことで、うち県外資本は今回閉鎖された1施設だけで、他の施設は概ね経営状態は良いという。このことからも推測できる。

 恐らくこのような施設は都会では大もてで入居希望者も多いだろう。しかし、秋田では住民の生活の中における老人ホームの位置づけはまだまだ低い。入居費用も秋田のレベルから言えば決して安くはないだろう。当然、費用だけの問題ではない。家族・親戚間の感情論もあるだろうし、世代によって考えも当然異なっている。
 しっかり市場調査して成り立つとの計算の上で進出してきたのだろうか?県民感情は?経済力は?宣伝は十分だったのか?地域の人達や団体と事前に協議したのか?等々疑問である。

 日本の医療・福祉行政は米国型を手本とし、都会の論理を中心に立案され、無理矢理地方にも押しつけられている。
 この閉鎖した施設は単なる一例に過ぎないが、無知とおごりがもたらした結果のように思う。厚労省も、県もこの点を認識して欲しい。
コメント
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