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福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

展覧会:動きだす絵 私の目にはグロテスク以外の何物でもなかった

2017年04月10日 03時39分44秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 秋田市にあるAlveにて、AR技術を利用して作品を鑑賞する美術展「動きだす美術館」が開催され、4/9(日)が最終日ということであったので4/6(金)大曲出張の帰路立ち寄った。
 会場が市や県立美術館ではなくAlve多目的ホールであったことを訝ったが、動きだす絵って何だろうか思いつつ、予備知識もなく見に行った。主催:AKT秋田テレビ。

 会場内に展示された作品をAR(各超現実)アプリのiPod touchを作品にかざし、画面越しに作品を見るものであった。作品は「モナリザ」、「青いターバンの少女」、北斎の浮世絵「富嶽三十六景:神奈川沖浪裏」などの作品から、児童小説「不思議の国のアリス」の挿絵、風景や花の写真と様々であったが、iPod touchをかざすとそれぞれ異なった変化が現れた。
 

(入場券を示す。絵に向かってiPod touchをかざすと、画面上の作品が動きだす)

 会場内には小学生くらいの子供から高齢者まで来場しており、予想外の変化に喜んでいた。通常の美術展とは異なった雰囲気であった。カメラ撮影OKであったが撮影する気にもならなかった。今となってはちょっと残念であった。

 変化する絵とは、自分で撮った写真にモザイク加工を加えるソフトがあるが、それに似た状況がゆっくり変化するのが見られる。
 「モナリザ」では絵の具がバラバラと剥がれ落ち、ダ・ヴィンチの自画像が出てきた。「青いターバンの少女」は横を向く、「富獄百景」は波間からゴジラ?が現れた。「花」の場合は蕾から開花までの変化が見られた。

 新しい試みともいえるだろう。
 残念ながら、名画に関していえば私にはグロテスクとしか映らなかった。「不思議の国のアリス」の動く挿絵、屋久島の四季折々の風景などには新しい可能性も感じたが、それらはさわり程度に見ただけで、早々に会場を後にした。
 

稀勢の里横綱昇進 「日本人横綱」か、「日本出身横綱」か

2017年02月13日 02時15分28秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 大相撲初場所で初優勝した稀勢の里が25日、第72代横綱に昇進した。相撲界に19年ぶりとなる「日本出身横綱」が誕生した。

 私が目にした新聞・雑誌は全て「日本人横綱」でなく、「日本出身横綱」との表記で足並みが揃っていた。そのための表現としてメディアでは「〇〇人力士」と表現せず「〇〇出身力士」と記載する取り決めがあったのだろう。

 私はそのことを今回まで知らなかったが、今回初めて「日本出身横綱」の表現に気づき違和感を覚えてしまった。

 若乃花が66代横綱に昇進したのは19年前の1998年、67代横綱武蔵丸はその1年後に昇進した。武蔵丸は米国のハワイ出身であるが、日本国籍を取得し、横綱昇進時は日本人だった。それ以降の、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜と続けてモンゴル出身の横綱で、4人ともモンゴル国籍のままである。

 ほとんど私の記憶から消え去りつつあるが、横綱武蔵丸の呼び出しは変わらず「ハワイ出身」、同じく日本国籍を持つ旭天鵬は「モンゴル出身」と呼ばれていたような気がする。両者とも日本人になっていたのだが、日本人になったことよりも出身地を重視した差別的扱いになっていた。

 稀勢の里は、出身を重視すると19年ぶりの「日本出身横綱」、国籍を重視すると武蔵丸以来18年ぶりの「日本人横綱」ということになる。この辺は微妙である。

 メディアはなぜ「武蔵丸以来18年ぶり日本人力士」と讃えないのか?私は若乃花以来の「日本出身横綱」との表現に、差別的扱いを感じ、やはり少しの引っかかりを覚える。

 日本人ではなく日本出身と記載するきっかけを作ったのは旭天鵬の優勝らしい。彼が優勝する前は「〇〇人力士」と「日本人力士」の別だったのが、その後は「日本出身者」、「モンゴル出身者」とかに表現が変わった、という。国籍を重視して「〇〇人力士」は差別的、との発想があったのだろう。

 私は熱心な相撲ファンではないが嫌いでもない。
 国籍は関係ないと思っている。相撲が日本の国技とされるがここまで外国出身力士が多くなり土俵を盛り上げていることは重要である。外国人力士がいなければ相撲がこれほど面白くなっていただろうか。
 角界では約630人の現役力士がいるが外国出身力士は6%ほど。人種別のバッシング等もあると聞く。中立であるべき協会が露骨にモンゴル出身力士に対し差別的発言したこともあった。侵略者のような扱い?である。そんなに嫌なら、新弟子として受け入れるのをやめればいい。多分、相撲は一気に衰退するであろう。

 こんなこととは別に、横綱としての稀勢の里の活躍を願っている。
  

ミュージカル「政吉とフジタ」 にぎわい交流館の多目的ホール

2015年12月14日 17時34分38秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 秋田県立新美術館には世界的画家の一人である藤田嗣治が1937年(昭和12年)に平野政吉の依頼で描いた大作「秋田の行事」が飾られている。縦3.65m、横20.5で当時世界一と言われた。しかも、それだけの大作を僅か15日間という驚異的な速さで書き上げた、という。

 私は旧美術館にある時に3-4回見に行った。見事な構成、構図があり、描かれている人物の表情、馬や犬は本当に生きている。藤田の鋭い観察力、卓越した表現力が感じられる。秋田の行事として多くの対象を描いていながら広い空の空間が保持され、その青さが素晴らしい。私は見る度に感心した。藤田の画は画集とかで見ると必ずしも写実的ではなくとっつきにくい部分もあるが、他の作品と併せてその凄さを実感していた。特に裸婦像、猫の絵も良い。

 フジタに関するドキュメント番組を過去に2本ほど見た。しかし、その人間像は興味はあったがとても分かり難い。平野政吉とフジタの関係もよくわからなかった。

 秋田市のにぎわい交流館の多目的ホールで、内館牧子脚本、わらび座員によるミュージカル「政吉とフジタ」が8月30日から12月13日の長期間にわたって1日2公演、約130公演が行われており、興味を感じていた。毎日出勤時に会場脇を徒歩で通るのであるが、なかなか観劇の機会は得られなかった。

 全公演スケジュールが間も無く終了するというので、12月6日の昼の部の公演を見に行った。このミュージカルを見て、当時、超裕福であった平野が藤田の才能認め、多額の経済援助をしながら真摯に応援し、秋田の子供達のために世界的画家であるフジタの作品をすべて収集するという夢を描いていた。藤田も平野に対する感謝の念を表すために、秋田に逗留しこの大作を短期間で完成させた。この平野の計画は戦中戦後の騒乱の中で頓挫したが、平野の意思はのちに「秋田の行事」が秋田県立美術館に収蔵されるという形で実現した。藤田はその後に描いた戦争画を非難され、再度渡仏し、二度と日本の地を踏むとなく81歳で没した。平野は93歳で死去した。

 ミュージカルは出演者が藤田とその妻マドレーヌ、政吉と雇い人の娘リエの4人。藤田と平野の交流の場面を中心に描かれ、上演時間1時間50分ほどであった。舞台装置も簡素で場面展開もスムーズに行われ、コンパクトにまとめられた。出演者4人の演技も卓越していた。特に、藤田がキャンバスに見立てた何もない空間に向かい絵筆を振るう場面の演技、表現は真に迫っていた。ミュージカルなので節目節目には歌で表現されたが、セリフ以上の説得力があった。

 秋田の地において約3け月のロングランが行われたのも驚きであったが、私が見た12月6日の昼の部で入場者数が2万人に達したとのことで、簡素なお祝いが舞台上で催され、2万人目の方に花束が贈呈された。会場は席数が280席程度の小ホールである。100回ほどの公演でこれだけ観客数があったということも驚きである。秋田市民にとって、県民にとって国際的画家レオナール・フジタの存在は「秋田の行事」を通じて不動の位置にある・・と感じた。

 フジタの作品をもっと味わってみたい、評論や伝記を通じて彼の人物像に触れてみたいと思いつつ満足して帰路についた。

ドーピングとエリスロポエチン(2) 効果は疑問だが、ドーピングは犯罪的行為

2015年12月04日 15時55分55秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 エリスロポエチンは造血刺激物質で、赤血球を増やす作用があり、誰の体にも微量に含まれる。貧血になると主に腎臓から分泌され造血を促す。エリスロポエチン製剤は腎性貧血の治療薬として市販されている。

 正常人の赤血球は血液中の体積として45-50%の割合に調整されている。その値が減れば、すなわち貧血になればエリスロポエチンが分泌され、造血に必要な鉄分やビタミンB12等が不足していない場合は45-50%に戻り、エリスロポエチン分泌は止まる。したがってなかなか改善しない再生不良性貧血等の慢性貧血では血中のエリスロポエチンは正常人の数10倍と高値である。

 もし、エリスロポエチン製剤を投与すれば正常人でも血液中の赤血球が増加する。赤血球は酸素を組織に運ぶ働きをしているからアスリートなどには一見良いように思われるが、そうではない。
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#1 赤血球を異常に増やすと血液粘稠度が増加する。赤血球の体積が53%以上にもなると毛細管レベルの微小循環に障害が生じる。結果として組織への酸素供給量が低下する。ちなみに微小循環にとって最も条件がいいのは赤血球の体積が40%前後とのデータがある。正常人の赤血球の体積が45-50%にされているのはそれが安全圏だからである。

#2 赤血球が更に増加すると血液量も増加する。血液を押し出すポンプである心臓の負担も増加する。この状態で心臓に激しい負荷をかけ続けると心不全になりかねない。

#3 赤血球が異常に増加しても、赤血球自体の酸素解離能は増加しない。逆に、貧血になった場合には酸素解離能が著しく増加し、貧血の程度ほどは組織への酸素供給量は低下しない。アスリートの貧血による組織の酸欠状態は運動機能にマイナスとなるから治療が必要である。

#4 アスリートの貧血は治療が必要であるが、このことが貧血が無い体に体外からエリスロポエチン製剤を投与し赤血球を増やせば組織への酸素運搬能が一層増えるという誤解が生まれ、このことがエリスロポエチン製剤への盲信に繋がった。

#5 赤血球の体積と血液量を不自然に増やした場合の、組織への酸素供給量の変化を詳細に検討したデータは存在しない。これは非人道的な試みとなる。そんなことに協力する医師やアスリートはいないだろう。
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 埼玉国際マラソンで吉田選手が2位に入ったとの記事を見て、調べ、ドーピング対象薬にエリスロポエチン製剤が含まれることを初めて知った。しかし、私はその効果については疑問に思った。その理由を上記にまとめた。
 彼女の2012年のホノルルマラソンで2時間34分01秒の記録で女子4位になった。試合後のドーピング検査でエリスロポエチンへの反応が出て、彼女の記録は抹消された。しかし、私はその記録は彼女の実力そのものであったと思う。現に今回その実力が示されたではないか。

 アスリートのドーピングは不道徳のレベルを超えて、私は犯罪行為だと思う。

ドーピングとエリスロポエチン(1)医師の関与はないか??

2015年12月03日 02時56分09秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 11月16日の岩手日報スポーツ欄に埼玉国際マラソンで吉田香織選手が2位に入ったことが報じられていた。

 普段、新聞のスポーツ欄は見出しだけでほとんど見ることはないが、副見出しとして「処分解け、市民ランナー勇躍」とあったので「何の処分が解けたのか??」と興味を惹かれた。
 内容は2012年のホノルルマラソンで試合後のドーピング検査でエリスロポエチンへの反応が出て、日本スポーツ仲裁機構は2年間の資格停止とした。それが解けて今回の出場となった、という。

 今、スポーツ界でドーピングが問題になっていることは見聞きしていた。ロシアのスポーツ界は国際的に注目されている。
 ドーピングは厳しいトレーニングの成果の上に、さらにもう一押し、力を加えてくれるものとされている。その道の頂点にある選手にとっては「魔弾の射手」の「魔弾」に相当する。頂点に届かないレベルの選手にとっては効果も乏しい。
 ここ5-6年県医師会を通じてドーピング対象薬物の改定リストが毎年送られてくるが、私の業務範囲の中では対象となるような患者はいないので読んでいない。

 吉田選手は禁止薬物のエリスロポエチンへの反応が出た。
 エリスロポエチンは造血刺激物質で、赤血球を増やす作用があり、誰の体にも微量に含まれる。薬物としてのエリスロポエチン製剤は腎性貧血の治療薬として市販されている。
 エリスロポエチン製剤を投与すれば、血液中の赤血球が増えるために持久力の向上につながるとされ、その筋では結構汎用されているらしい。例えば、数百キロの距離を走る自転車競技では、勝負を左右するほどの大きな力が得られるとみなされている。
 ただ、私はその効果に対しては疑問を持っている。

 エリスロポエチンを用いたドーピングは単独投与法、自己血輸血法と組み合わせた方法がある、と言う。どちらの場合も副作用もあり、ドーピング検査で発見されないように細やかな投与スケジュール化が必要で、医師の関与がないとできない。ましてや自己輸血との組み合わせは医療行為であり、医師の参加が必要である。医師が関与していてもいなくとも医師法違反に問われる。こんなことに関与している医師がいるとは驚きである。

 吉田選手の場合はどうだったのであろうか。薬物としての入手経路は??、投与スケジュールの決定は??投与は誰が?? その周辺のことに関しての情報は得られた上での処分だったのだろうか。

 エリスロポエチンを用いたドーピングは効果は疑問である。
 しかしながら、効果を求めてこれに手をつけることはアスリートとしては不道徳であり、反社会的行為である。だから無視はできない。
 しかし、ドーピングは検査で見つけることが年々難しくなっている。