銅版画制作の日々

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サラの鍵(2010)◎ELLE S'APPELAIT SARAH

2012-01-25 | 映画:ミニシアター

 ただ、伝えたい。決してあなたを忘れなはしないと。

評価:+8点=88点

ジュリアとともに、私もサラの足跡を旅した気分。ジャーナリストでもないし、サラとは無縁だけど、こうして作品と出会ったことで何かサラという少女が身近に感じられた。

10歳という年であまりにも苛酷な人生を味わった。その苦しみはどれだけ辛かっただろうか。いっそうの事、弟も連れだって収容所に行けば良かったのかも。そんなサラの後悔がヒシヒシと伝わる。

弟がどんな風になっているのかはもう手に取るように分かるとしても、あの一斉検挙の日に、「すぐ戻るから」と弟にメッセージを残した限りは約束を守らなければならないと、必死にあの収容所を抜けだす事になる。

 

あらすじ(goo映画より)

夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、45歳で待望の妊娠をはたす。が、報告した夫から返って来たのは、思いもよらぬ反対だった。そんな人生の岐路に立った彼女は、ある取材で衝撃的な事実に出会う。夫の祖父母から譲り受けて住んでいるアパートは、かつて1942年のパリのユダヤ人迫害事件でアウシュビッツに送られたユダヤ人家族が住んでいたというのだ。さらに、その一家の長女で10歳の少女サラ(メリュジーヌ・マヤンス)が収容所から逃亡したことを知る。一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに戻れると信じて……。果たして、サラは弟を助けることができたのか?2人は今も生きているのか?事件を紐解き、サラの足跡を辿る中、次々と明かされてゆく秘密。そこに隠された事実がジュリアを揺さぶり、人生さえも変えていく。すべてが明かされた時、サラの痛切な悲しみを全身で受け止めた彼女が見出した一筋の光とは……?

 ジュリア役にはクリスティン・スコット・トーマス

映像は過去のサラとジュリアの生きる現在を交互に映し出していく。


サラ役にはあの「リッキー」で印象深いメリュジーヌ・マヤンスちゃん。

子役というより女優さん。オゾン監督も絶賛!本作の監督ジル・パケ=ブランネールも彼女と一緒に仕事がしたいと思っていた。

こんな難しい役を演じきるとはやはりただものじゃあない。

1942年と現代というまったく違う2つの世界をどのように映し出したのか?

それはカメラが違うそうで。1942年のシーンはすべて手持ちカメラとショートレンズで撮影したらしい。そう言われれば映像の雰囲気が何処となくクラシックぽいかも。

 監督さんの目的は演出方法にあるらしく、観客がちょっとでも気を散らされることなく、物語についていけるように物語が何よりも優先されるようにと考えておられるそうである。上手く観客を引き込ませることが上手いんですね。なるほど凄いわ!


理解力も抜群なメリュジーヌちゃん、収容所に送られる時の表情も微妙な表現が何とも。

 


鉄条網をくぐって黄金色の麦畑を走るサラと友人。一見のどかな田園風景だが、この先にある絶望感は計り知れない。

 


間一髪助かった2人だが、、、。


この夫婦に一度はつれなくされるも、、、、。

助けてもらうことに。

  友人はジフテリアにかかり、亡くなってしまう。

サラはこの夫婦に助けてもらい、遥かパリまで弟のところへ、、、、。

 

 
さて弟はどうなったのか?ネタばれとなりますので、書きませんが。

 
60年後の同じ場所 サラにより近づいたジュリア 

 
ついにジュリアは、疑問を確かめる。取材のために訪れたホローコースト記念館で、逮捕されたユダヤ人の膨大な情報がパソコンに入力してあると聞き、館長に自分のアパートの住所を告げる。

ジュリアは決意して真実を突き止めるのだった。やはりあのアパートにはユダヤ人一家が住んでいた。両親はアウシュヴィッツで死んでいたが、娘のサラと息子のミシェルの記録はどこにもなかった。

そしてジュリアは義父からその顛末を打ち明けられるのであった。幼い頃、引っ越したばかりのアパートに突然、少女が現れたと、、、、。

 ようやく接点に到着。サラはまだ何処かで生きているのでは、、、、。

実は原作と少し違うそうです。大人になったサラが映画の中に登場しますが、原作本には出て来ません。脚本執事にあたって書き加えられたそうです。

 


大人になったサラの部分は回顧的な映し方なのはそれだからなのかな?

彼女のその後はきっとジュリアの子供を産むという決断となった一つのかたちかもしれませんね。変更があったにしろ、この結末があればこそ、ジュリアのその後を物語っているのでしょう。


サラの息子 ウィリアム 彼も母サラの生い立ちを知るはずもなかった。

ジュリアが行き着いた先には彼が、、、、。サラが隠し通した秘密をやっと探し当てたサラの息子に伝え、人が生まれてきた意味を深く伝えたのでしょう。

ようやくサラと向き合える距離まで来たジュリア。60年の時を超えてようやく2人は出会えたのかもしれません。

感動的で心揺さぶられる物語でした。でもこれはどう書けばいいのかとても困りました。

歴史的背景要素の強い物語かと初めは思っていましたが、実はそうではなく、ホローコーストの真実の中に今この作品を観て自分の生きる岐路に立った人へのメッセージとして描かれた作品として捉えるべきではないかと思いました。

悩める人たちへの応援歌みたいな、、、、。

 それにしても彼女は凄かったよね。

解説(allcinemaより)

タチアナ・ド・ロネによる世界的ベストセラーを「イングリッシュ・ペイシェント」のクリスティン・スコット・トーマス主演で映画化した衝撃と感動のヒューマン・ドラマ。ナチス占領下のフランスで起きたユダヤ人迫害事件を背景に、一人の少女が辿る過酷な運命を、事件の真相を追う現代のアメリカ人女性ジャーナリストの取材の過程を通して描き出していく。共演にメリュジーヌ・マヤンス。監督は「マルセイユ・ヴァイス」のジル・パケ=ブランネール。

メディア 映画
上映時間 111分
製作国 フランス
公開情報 劇場公開(ギャガ)
初公開年月 2011/12/17
ジャンル ドラマ
映倫 G

 

オフィシャル・サイト
http://www.sara.gaga.ne.jp/

 

 

Comments (4)
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