銅版画制作の日々

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アンチクライスト(2009)▲▽ANTICHRIST

2011-08-09 | 映画:ミニシアター

 ようやく京都にやって来た!

京都シネマにて鑑賞。何と1日1回のみの上映。

過激な描写があるということで、心して観ないといけないのではと臨んだのですが・・・・。意外にもそんなことははまったく感じさせず。

暴力的シーンがあるものの、映像美の美しさでそんなものは吹き飛ばされてしまいました。

夫婦のミスで、幼い命が散ってしまう。妻は自責の念に駆られ、失意へと堕ちる。やがて自傷や他傷をくり返すことに・・・・。

泣いても悔やんでも息子は生き返ることはない。失意からの脱却をしないと、自らの救いはないのだろうけど。そんな簡単なものじゃないか。

  

息子ニックの死は妻の生きる力まで失わせてしまう。傍らで何とか立ち直らせたいと必死に支える夫。実はわかっていたはずの妻のことも意外にも知らないことが結構あったようで。

見えなかった妻の本当の部分?それとも息子の死によって、彼女は狂気化したのか?その辺は謎のようである。

時に夫に哀願したり、憎しみや怒りをぶつける妻の姿。理性と狂気の狭間とも見える。とにかく精神状態は落ち着くことはなく、不安定な状況だ。

妻と夫のSexシーンは限りなく映し出される。妻が夫に求めるというかたちで何度もある。息子の死の引き金になったのも、2人が愛し合っている最中。これってそのことがトラウマだからなのかしら?

 

 リアルな表現ではあるけれど、そんなに嫌悪感を感じる描写ではないと思う。ただ妻が夫のあの部分を削ぎ落すシーンは思わずのけぞりました。ぼかしを入れ少し抑えたようですが、それって逆のようにも感じるんだけどね。

 ストーリーは6つのセクションに分かれている。その中でもプロローグの部分が特に好きでした。劇中に流れる音楽はオペラ「リナルド」第二幕アリア(アルミレ―ナ):私を泣かせてください

この音楽に合わせての映像が一番良かった!息子ニックが堕ちていく姿がスローモーションで映しだされるのもとても印象的でした。
モノクロだというのも良い。

あらすじ(goo映画より)

愛し合っている最中に、息子がマンションの窓から転落し亡くなってしまった夫婦。妻(シャルロット・ゲンズブール)は葬儀の最中に気を失ってから、一ヶ月近い入院を余儀なくされる。深い悲しみと自責の念から次第に神経を病んでいく妻。セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は自ら妻を治療しようと、病院を強引に退院させ自宅に連れて帰る。催眠療法から、妻の恐怖は彼らが「エデン」と呼ぶ森の中の山小屋からきていると判断した夫は、救いを求めて楽園であるはずのエデンにふたりで向かう。夫は心理療法によって妻の恐怖を取り除こうと努力するが、エデンの周りの自然の現象は彼らに恐怖を与え、それも影響してか妻の精神状態は更に悪化していく。現代のアダムとイブが、愛憎渦巻く葛藤の果てにたどりついた驚愕の結末とは……。

新作を出す度、物議を醸し出すラース・フォン・トリアー監督。実はこの作品の台本を書く前、監督自身、うつ病に悩まされていたそうです。仕事が出来なくなったそうです。リハビリとして書いたのが本作の台本。つまりこの台本は監督にとってセラピーみたいなものだったらしい。

 エデンの周りの自然現象、特に印象的で私もちょっと怖いなあと思ったのは屋根にあたるあの多くのドングリでした。人によって落とされているんじゃない?と思うくらいあの音が凄かった。

 

だんだん妻の狂気の沙汰は激しくなっていく。もう夫の手に負えなくなるようで、、、、。妻の暴力に耐えられなくなる姿にちょっと同情的な気持ちを持ってしまいましたね。とはいえ、妻の苦しみもわからないことはないのですが。


カラスに鹿にきつね・・・・。

おぞましい動物たちの姿も、インパクトあり。

結末がああなるとは、、、、。ラストの群像、これも最高でしたね。

出品されたカンヌ映画祭でごうごうたる非難を浴びたこの映画だそうですが、主演のシャルロット・ゲンズブールは主演女優賞を受賞。理性と狂気を非常に上手く演じたということで、受賞は納得ですよね。

メディア 映画
上映時間 104分
製作国 デンマーク/ドイツ/フランス/スウェーデン/イタリア/ポーランド
公開情報 劇場公開(キングレコード=iae)
初公開年月 2011/02/26
ジャンル ドラマ/サスペンス
映倫 R18+

解説(goo映画より)

息子を事故で失った夫婦の悲しみと苦悩を、「奇跡の海」のラース・フォン・トリアー監督が美しく、かつ残酷に描いたエロティック・サイコスリラー。出演は、本作で第62回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した「アイム・ノット・ゼア」のシャルロット・ゲンズブール、「デイブレイカー」のウィレム・デフォー。

オフィシャル・サイト
http://www.antichrist.jp/

 

 

 

 

 

Comments (8)
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