銅版画制作の日々

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ロルナの祈り☆彡LE SILENCE DE LORNA

2009-05-12 | 映画:ミニシアター

 この愛だけを、私は信じる。

ベルギーから届いた、愛の奇跡。

5月9日から、RCS(京都みなみ会館)にてロードショー開始。東京では1月末から公開され、ようやくこちらにやってきました。まったく鑑賞前にチェックもせず・・・・。観た本作はかなり衝撃的な内容でした。

偽装結婚?!って・・・・。それって犯罪違うの?
ところが、そうしなければならない理由があった主人公ロルナ(アルタ・ドブロシ)。彼女は故郷アルバニアでの貧しく辛い生活から逃れてベルギーにやってきたのだった。彼女には密かな夢があった。それは故郷の恋人と、ここでお店を開くというものだった。
でもそれには国籍を得なければならなかった。そのために彼女がしたことは、MAYAKU中毒の青年クローディ(ジェレミー・レニエ)との偽りの結婚。
闇のBUROCAR、ファビオの手引きで、クローディとの結婚をしたのである。最初は疎ましいと思いながらも、自分を慕い、懸命にMAYAKUから足を洗おうとするクローディにいつしか、特別な感情を抱くロルナだったが。

クローディと結婚することで、ロルナはベルギー国籍を取得。その後クローディをこの世から抹殺する。ロルナは未亡人となり、そしてベルギー国籍を欲しがっているロシア人とさらに偽装結婚をさせるというのがBUROCARのファビオ(ファブリツィオ・ロンジョーネ)の計画。そのことでファビオはひともうけできるわけだ。もちろんロルナもこのことは了解済みってわけだ。
しかし凄いお話です。国籍取得のために手段を選ばずこの地で根づくロルナも、大変なエネルギーがいる。そこにこんな移民の弱みにつけ込み、金儲けをするBUROCARなる人物も存在するのだから、他の国で生き抜くことの困難さを改めて痛感。

左の男がBUROCARのファビオ。

ただ映画を観ているとそこまでの詳細はなかなか理解しにくい。確かに主人公ロルナとクローディが夫婦というのは確かに不自然だな?とは感じていた。その夫婦の離婚が軸となり、ロルナが浮気しているのかと思っていたら。何やらタクシー運転手をしているファビオが、ロルナに終始助言をするのである。よくよく観ていくと、次第にこの全貌が少しづつ見えてくる。

あれっ?これって何よ。

ロルナの浮気相手だと思っていたのは実は故郷の恋人ソコル(アウバン・ウカイ)だった。お店の物件を探している二人を見ているうちにどうやら、クローディは単なるダミー的な存在だと気づく。

しかしロルナの思わぬ方向へと話は進む。ロルナの偽りの夫クローディへの感情の変化だ。必死の思いでMAYAKUを断とうとするクローディへの情がいつしかわいてきたのである。当初はクローディを抹殺してというのが狙いだった。ロルナもそのことに理解していた。しかしその気持ちはいつしか殺さなくても、離婚というかたちで別れることもあると考える。

ということで、ロルナは離婚原因を作ることに。それは夫の暴力での離婚という理由である。クローディに何とか暴力をふるわせ、裁判所に離婚調停を申し立てるというものだった。

しかしそんなにうまくはいかないもんだ。クローディは女性に暴力なんてふるえないというありさま。優しいクローディには到底無理である。結局ロルナは自傷行為をして、夫から暴力を受けたことにして、離婚調停する方向へと行う。

時間がないとイライラするファビオ!警鐘を鳴らす。こんなことでは今までの計画がつぶれるのは目に見えている。でもロルナは何とかクローディを殺さず、上手く離婚できないかと考える。

ロシア人との結婚のために、ロルナにファビオは「一か月だけ待つ」と。ロシア人にも説得すると話す。そしてそのことはロシア人も納得してくれた。大喜びのロルナ。

離婚できそうだ!と自宅に戻ったロルナを待っていたのは、ロルナに構ってもらえず、見捨てられたと思うクローディの姿だった。またしても、MAYAKUの売人を部屋に迎い入れていたのだ。そんなクローディに取ったロルナの行動は・・・・・。捨て身とも思えるかもしれない。彼への本当の愛?

クローディはロルナの思いも虚しく、殺されてしまった?ようだ。彼と暮らした部屋を片付けるロルナの姿がそこに映し出されていた。そこに現れたのは、何故クローディがMAYAKU過剰摂取したのか?ということについてロルナに事情聴取をしに来た捜査官。理由はどうも、ロルナからの離婚請求からのショックからだとの結論らしい。ここで彼が死亡したことが何となく分かる。

おそらく殺されたに違いない。全てはファビオの思惑通りなのだろう。もちろんロルナもロシア人との結婚報酬料も、クローディの入院手続き手当もしっかりゲットした。これで故郷の恋人との念願のお店の資金が出来たのだ。

ところが、予想外の事態が彼女を襲うことに・・・・・。恋人に電話をかけていた最中、気分が悪くなり階段でうずくまる。

妊娠という大きな展開!

特にそのような場面もなく、TYUZETUする病院にロルナはいた。おなかの子供は、クローディと関係を持ったことが原因のように思える。ところがエコー検査する直前、気が変わったと、病院を去る。

その後、ロルナの発言にファビオは困ることに。ようやく結婚までこぎつけたのにも関わらず、ロルナは「私が妊娠していても、結婚する?」とい質問したことだ。ロシア人は難色を示す。その言葉に慌てたファビオは「仮の話だ」と何とかその場を上手くごまかしたが・・・・。妊娠という事態に激怒!!「すぐに堕ろせ」と命令。

ロルナは倒れた。ファビオは仕方なく病院へ彼女を連れて行く。ところがそこで、医師から聞いた言葉は「彼女は妊娠していない」ということだった。エコー検査では子供の姿はないという。

ロルナは妊娠したと言って反撃したのか?その後、自分の身に危険が迫っていると直感したロルナは手下を殴り、森の中へと走って逃げる。妊娠していないと告げられているのに、彼女はおなかには子供が宿っていると信じてやまない。

多分亡くなったクローディへの深い愛を彼女は改めて感じたのかもしれない。初めはうざい存在だったクローディ。いつしか彼の優しさに触れ、彼女に愛の心を持たせたと思うのだ。

ドロドロとした物語ではあるが、その中に美しいものが存在していたことで、何となくホッとさせてくれる不思議な物語だった。

 

 「息子のまなざし」「ある子供」のダルデンヌ兄弟が、国籍を取得するため偽装結婚をした移民女性を主人公に描く感動のヒューマン・ラブストーリー。偽りの結婚生活の中で思いがけず情が移り始めたことで生まれる葛藤と断ち切れない闇社会との関係に追いつめられていくさまを大胆な構成でサスペンスフルに描き出していく。主演は新星アルタ・ドブロシ、共演に「ある子供」のジェレミー・レニエ。(allcinemaより)

 左がジェレミー・レニエ
夏時間の庭ではジュリエット・ビノシュと共演

※この役のため、ジェレミー・レニエは減量して役作りに挑んだそうです。

 

監督・製作・脚本 ジャン=ピエール・ダルデンヌ

           リュック・ダルデンヌ

メディア 映画
上映時間 105分
製作国 ベルギー/フランス/イタリア
公開情報 劇場公開(ビターズ・エンド)
初公開年月 2009/01/31
ジャンル ドラマ

 

オフィシャル・サイト
http://lorna.jp/

ダルデンヌ兄弟監督インタビュー はこちらをご覧ください。

主演を務めたアルタ・ドブロシさんのインタビューもご覧ください。

 

 

 

Comment (1)
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