銅版画制作の日々

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トウキョウソナタ♪

2008-10-23 | 映画:ミニシアター

 

日本映画初!! カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞 受賞!

「トウキョウソナタ」、海外での評価の高い黒沢監督が初めて真っ向から挑む親と子のドラマは、現代日本の家族を映し出した意欲作。

10月17日、京都シネマで鑑賞してきました。思ったよりお客さんは少なかったです。日本の今の家族の姿を、リアルかつ幻想的に映し出されています。カメラアングルもなかなか素晴らしいです。説明的な描写ではなく、それぞれの役者さんの表情や行動で物語は進んでいくという感じです。セリフも少ないですが、言葉一つ一つに重みがあって・・・・。私は好きな映画でした。とりわけ、次男健二を演じた井之脇海君が素晴らしいなあなんて思いました。役柄と本当の自分を上手く重ねているような演技だと。とにかく上手いんですよね。

いつもこの場所で、父と健二は遭遇する。この映像がいいんですよね。

 

ストーリー

高層ビルの立ち並ぶ街、東京。

線路沿いの小さなマイホームで暮らす、

四人家族のものがたり。      

    

 

ある嵐の日、健康器具メーカーで総務部長として働くサラリーマン佐々木竜平(香川照之)は、人事部に呼び出され、リストラを宣告される妻、恵(小泉今日子)にそのことが言い出せなかった竜平は、翌朝もスーツ姿で家を後にした。

ハローワークで仕事探し。だが紹介される職種は、警備員やコンビニの店長。

小学6年生の健二(井之脇 海)は、授業中に友だちの漫画本を回していて、運悪く担任の小林先生に見つかってしまう。叱られた健二は、以前先生が電車の中でエロ漫画を読んでいたことを、皆の前でばらす帰り道ピアノ教室の前を通りかかった健二は金子先生(井川遥)と目が合う。その晩、ピアノを習いたい!と両親に話すが、父から反対される。一方大学生の長男、貴(小柳 友)は夜中にバイトし、朝帰りする生活で今日も家族の食卓にはいなかった。

リストラされた竜平は、川沿いの公園で、ボランティアの配給する食事を食べていた。偶然そこに通りかかったのは、高校時代の同級生、黒須(津田寛治)。黒須は建築会社に勤務しているフリをしていたが、どうもウソっぽい?彼もまたリストラされていた。何ともう3ヶ月も前に・・・・・。二人は図書館で時間を潰す。黒須は竜平に失業者の心得を次々と教えるのだった。

さて健二の小学校では、小林先生の権威が状態となっていた。健二がばらしたことで、友だちから革命を起したと称えられるも、特別嬉しくない。放課後、道端で壊れたキーボードを拾い、家に持ち帰る。ピアノが習いたい健二は母から渡された給食費を、ピアノの月謝に使うことに・・・・。

一方長男、貴は母にアメリカ軍へ入隊することになったと話す。すでに書類審査に合格している貴は未成年のため親の同意書のサインが必要だと言うのだ。困惑する恵

竜平はいつものように、公園へ・・・・。しかし黒須の姿はなく。心配した竜平は、黒須の家に行くと、夫婦が娘を残して、無理○中したことを知る。

 

黒須は「俺たち、ゆっくり沈んでいくみたいだ」と・・・・・。この言葉がいまだに脳裏に残っている。リストラされているのに、携帯を5分おきに鳴らして仕事バリバリしているふりをする姿が、何と言ってよいのか、悲しいけど、笑うしかないような。

家に帰った竜平を待っていたのは、貴のアメリカ軍入隊書類のサイン。話合いをするものの、いつまでも平行線状態。結局喧嘩別れで終わってしまう。貴がアメリカへ行く日、見送りは母恵だけだった。貴は恵に、“離婚しちゃえばいいのに”と勧める。その言葉に、“お母さん役も悪いときばかりじゃない”と言って微笑む。バスが到着した。乗り込んだバスの窓から敬礼する貴の姿に、恵は呆然と見つめた。

 

竜平はついにショッピングモールの清掃員の仕事につくことにした。通路でスーツ姿から、作業服に着替え、トイレ掃除をやる。一日の終わりは、またスーツ姿に着替え、何事もなかったように家路に着く。

金子先生(井川 遥) 健二の才能を高く評価、音大の付属中学を勧める。

一方恵みは、小学校から呼び出される。健二の給食費が三ヶ月分未納ということを知る。使い道を健二に問いただすと、ピアノ教室に行っていたと話す。竜平には内緒にしておくはずだったが、金子先生からのでばれてしまう。竜平と健二は口論と」なり、健二を殴る竜平。夫のそんな態度に失望した恵は、ずっと前から失業を知っていたと告げる。

 

 

健二の担任小林先生(小嶋 一哉)どうも、健二とは相性が悪い?

健二は竜平との口論から逃げようとして階段から落ちてしまうが、幸い打撲で済む。病院の待合室で観たテレビでは、アメリカ軍が中東の軍強化のため、日本人の入隊者も派兵されると伝えていた。貴が家に帰ってくる夢を見た恵は息子の安否を知るために、外務省に電話をかけるが・・・・・。結局確認は出来ず。

ここからが、非現実の世界と現実の世界が重なりあっていきます。佐々木家に強盗が!強盗(役所広司)は恵を縛り、現金をだせと。現金はないと恵。覆面を取った強盗は恵に顔を見られ、やばいと思い、家から連れ出す・・・・。そして向かった先は何と竜平の働くショッピングモールだった!そして作業服を着た竜平と恵は鉢合わせ。恵は再び強盗とともにでドライブ

恵と出くわした竜平は、トイレ掃除の際に拾った大金を持ってショッピングモールを飛び出しひたすら疲れきって道端に倒れこむ「どうしたらやり直せる?」と心から叫ぶ竜平。その後、車にはねられ血まみれで道路に横たわる・・・・・。

その頃健二は、家出した友人と一緒に東京の街中を逃げ回る喘息の発作が出た友人を木陰に隠したが、飲み物を調達している間に、父親に連れ戻される友人。

 

その場を逃げ出した健二は、バスに無賃乗車しようとして、警察に逮捕。留置場に入れられてしまう。

夜になり、海に着いた恵と強盗は海辺の小屋で過ごす強盗は、恵に乱暴しようとしたが、自責の念にかられ・・・。恵は「自分はひとりしかいません。信じられるのはそれだけじゃないですか?」と言葉をかける。

 

 恵は窓の外に何かを見つけた。真っ暗な夜の海の波うち際に寝転んだ。

今やひとり、ひとり、バラバラの場所にいて、先の見えない4人。誰もいなくなった佐々木家に、いつ、皆が戻るのだろうか?

ネタばれです。貴以外の3人は戻ってきます。行き場はなかったのではないでしょうか?居心地がいいか悪いか、分からないけどやっぱり元の場所が、彼らにとって一番必要だったのだと思います。あくまでも私の感じることです。何気なく暮らしていたときはきっと色々なしがらみがあったのでしょうが、バラバラになって、きっと気づいたのではないかな?なんて思います。

そういう気持ちなれば、結構相手の思いに応えられるような気がします。

 健二の入学試験はピアノの実技試験。

曲は、ドビュッシーの「月の光」♪です。助監督のお薦めの20曲の一つに監督は、「これだ!」と直感的に思ったそうです。

 

 恵と竜平は、ピアノを弾く健二の姿に何をおもったのでしょうか?竜平はちょっとのような・・・・・。

ピアノを弾き終えた健二と竜平、恵は静かにその場を去っていく。拍手もないし本当に何もない。そこで終わる・・・・・。不思議なラストシーンだけど、気持ちよかった

 

不協和音はなくなった?  公式サイト

 

 追記:脚本はかって日本に住んでいた経験のあるオーストラリア出身の新進脚本作家、マックス・マニックスが執筆した日本の家族についての物語である。

 

 

 

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