タイの学校には地雷のように生徒を待ち受ける先生が居る。

学校で昼休みに息子が自習していると、「ねえ、これを教えてくれない？」と友達がプリントを差し出した。見覚えのないプリントなので、何のプリントか尋ねると、今週実施されるある科目の単元末テストの予想問題と言うではないか。出処を尋ねると、学校の先生がやっている塾。出題者が出す予想問題ｗとは、テスト問題の漏洩と言っても良さそうな行為なのだが、実はタイだとこんなのは全然珍しくもない話だ。
息子が中学生の時もそれまで得意だったある科目が新学年になって急に悪くなった。息子の友人もそれまでトップの成績だったのに息子と同じ評価。クラスの知恵遅れの生徒の方が息子達より良い評価を貰っている。（進学校に知恵遅れの生徒も面白いでしょう。お父さんは国の出先機関のトップｗ。）これはオカシイ、何かあると調べると、その教科担任が経営する塾へ通う生徒の成績だけが良いのが判った。テスト問題の漏洩も、さり気なく塾の練習問題でやらせたり、問題の順番と数字を入れ替えてプリントを渡したりなのだが、テストの漏洩だけでなく、ノートやレポートの評価まで影響を及ぼしている。これだといくら自宅で一生懸命に勉強しても太刀打ちできない。このような利益誘導をやる先生を見つけて入塾しなければ成績は瀕死の重傷になる。全く地雷のような先生だ。
だからと言って、タイの先生の多くは副業で塾を経営しているので、全ての科目の塾へ行くのは時間的に困難。そして大部分の先生は明らかな不正は避けようとしている。中には学校で担任している生徒は塾に受け入れない先生まで居られる。学校の授業で十分教えていると言われるのだ。
それではどの先生が地雷かだが、塾へ行かないと良い評価をくれない地雷先生には特徴がある。それは授業で自分が経営する塾の宣伝をするのだ。生徒へ個別に営業するような先生は間違いないだろう。上級生から情報を集めるのも大切だ。
新学期が始まって、学費の納入もなんとか乗り越えてやれやれと思ったところで、塾が増えていく。しかし通知表で悪い評価が確定してからでは大変だ。知人の子供が、ある科目で落第評価になり、お母さんが学校へ呼ばれたのだが、先生から「どうするの？」と言われたので、掌に「２００００」と書いて見せたそうだ。これで評価は落第の「０」から最高の「４」へ。
我が家にはそんな余裕は無いが、中学２年で気を抜いた上に気難しい先生とトラブルまで起きて、低評価になった通知表が高校のクラス決定に影響し、寄付で入学して授業中に遊んでいる生徒ばかりの下位クラスへ入れられた息子の苦労を思うと、お金で成績を買うような行為も仕方ないのかなと思う。やらなければ周囲が上がって自分が落ちてしまう。時間の無駄になると思うが、地雷先生の塾へ早速申し込んで行かせた。

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