流紋を活かした作品で人間国宝(重要無形文化財「彩釉磁器」の保持者)になった陶芸家に
三代目徳田八十吉(とくだやそきち、1933年~2009年)氏がいます。現在は四代目で女性ですが、
同様の作品を作っています。
3) 流れ難い釉や、流れ易い釉を作るには?。
流れ易い釉も流れ難い釉も使い(取り扱い)難いのが普通ですが、あえて流れ易くしたり、
逆に流れ難い釉が欲しい場合があります。そのような時、どの様に対処したらよいのでしょうか。
尚、焼成温度が高く成り過ぎれば釉は流れ易くなり、温度を下げれば流れ難くなりますので、
ここでは、焼成温度を陶器では一般的な1230~1250℃の範囲内で行う事にします。
① 流れ易い釉
流紋や斑紋など、釉の流動性を活かし文様になる釉で、海鼠(なまこ)釉や鈞窯(きんよう)
釉や、その他に流動性を活かした結晶釉などが代表的な釉です。
) 流れ易い釉とは、ガラス質に成る成分と、融け易くする成分を多く配合した釉です。
a) 焼くとガラス質に成る成分は、珪酸(シリカ=SiO2)、硼酸(ほうさん=B2O3)、
リン酸(P2O5)などがあります。珪酸は珪石から調合する方法と、珪酸を多く含む天然の
木灰類から取る方法があります。但し、後で述べる様に、珪酸は釉の流れを阻害します。
即ち、粘度を増す働きがあります。一般には、硼酸(砂)を多くします。
多くの流れる釉には、木灰類を使う事が多い様です。
b) 釉を融け易する成分は、カリウム、ナトリウム、カルシュウム等のアルカリ類で種類も
多いです。
) 炭酸リチュムを僅かに添加する事(1%程度)で、流れる釉を作る事も出来ると言われて
います。添加する事で、光沢も増し、ピンホールも少なくする働きがあります。
炭酸リチウム(Li2CO3): 融点が700℃の熔剤です。
② 釉を二度掛けして、より流れ易くする。
単体で流れ易くする事よりも、二重掛けして流す方法が一般的です。即ち、上絵付けの要領で
熔け難い釉で一度焼成した上に、熔け易い釉を施釉し一度目より低い温度で焼成する方法です。
③ 一度掛けの焼成では、融点の低い温度の釉の上に、一般の釉を二重掛けすると、下の釉の
流れに載って、上の釉も流れる事になります。上の釉は流れ易い釉である必要はありません。
④ 流れ過ぎる釉を流れ難くする為には、粘着性を持つ原料を添加すれば良い訳です。
粘度を大きくするには、珪酸(珪石)を増やす。アルミナ成分を増す。硼酸(砂)を含んで
いる釉では、硼酸を減らす。などの方法があります。
4) 流れ過ぎる釉薬は、棚板まで流れ、作品を「だいなし」にしてしまう事です。
① 作品は棚板に固着し、作品を壊さなければ成らない場合も発生します。又棚板に釉が流れ落ち
棚板を汚します。綺麗に取り除くのも容易ではありません。棚板上には、アルミナコーチングが
塗られていますので、コーチングごと取り除く事にまります。剥がされたコーチンング部分に
新たのコ-チングを塗る作業が必要になります。
② 施釉する範囲を限定する必要があります。即ち作品の下部に施釉しない部分を残す事です。
但し、どの位流れるかは、窯の状態や釉の調合方法によって違いがでますので、予め予想を
立てて置く必要があります。空けすぎても見栄えが良くありませんし、流れ過ぎると大変です。
試行錯誤の上実施する事になります。
以上にて、流れ易い釉の功罪の話を終わります。
三代目徳田八十吉(とくだやそきち、1933年~2009年)氏がいます。現在は四代目で女性ですが、
同様の作品を作っています。
3) 流れ難い釉や、流れ易い釉を作るには?。
流れ易い釉も流れ難い釉も使い(取り扱い)難いのが普通ですが、あえて流れ易くしたり、
逆に流れ難い釉が欲しい場合があります。そのような時、どの様に対処したらよいのでしょうか。
尚、焼成温度が高く成り過ぎれば釉は流れ易くなり、温度を下げれば流れ難くなりますので、
ここでは、焼成温度を陶器では一般的な1230~1250℃の範囲内で行う事にします。
① 流れ易い釉
流紋や斑紋など、釉の流動性を活かし文様になる釉で、海鼠(なまこ)釉や鈞窯(きんよう)
釉や、その他に流動性を活かした結晶釉などが代表的な釉です。
) 流れ易い釉とは、ガラス質に成る成分と、融け易くする成分を多く配合した釉です。
a) 焼くとガラス質に成る成分は、珪酸(シリカ=SiO2)、硼酸(ほうさん=B2O3)、
リン酸(P2O5)などがあります。珪酸は珪石から調合する方法と、珪酸を多く含む天然の
木灰類から取る方法があります。但し、後で述べる様に、珪酸は釉の流れを阻害します。
即ち、粘度を増す働きがあります。一般には、硼酸(砂)を多くします。
多くの流れる釉には、木灰類を使う事が多い様です。
b) 釉を融け易する成分は、カリウム、ナトリウム、カルシュウム等のアルカリ類で種類も
多いです。
) 炭酸リチュムを僅かに添加する事(1%程度)で、流れる釉を作る事も出来ると言われて
います。添加する事で、光沢も増し、ピンホールも少なくする働きがあります。
炭酸リチウム(Li2CO3): 融点が700℃の熔剤です。
② 釉を二度掛けして、より流れ易くする。
単体で流れ易くする事よりも、二重掛けして流す方法が一般的です。即ち、上絵付けの要領で
熔け難い釉で一度焼成した上に、熔け易い釉を施釉し一度目より低い温度で焼成する方法です。
③ 一度掛けの焼成では、融点の低い温度の釉の上に、一般の釉を二重掛けすると、下の釉の
流れに載って、上の釉も流れる事になります。上の釉は流れ易い釉である必要はありません。
④ 流れ過ぎる釉を流れ難くする為には、粘着性を持つ原料を添加すれば良い訳です。
粘度を大きくするには、珪酸(珪石)を増やす。アルミナ成分を増す。硼酸(砂)を含んで
いる釉では、硼酸を減らす。などの方法があります。
4) 流れ過ぎる釉薬は、棚板まで流れ、作品を「だいなし」にしてしまう事です。
① 作品は棚板に固着し、作品を壊さなければ成らない場合も発生します。又棚板に釉が流れ落ち
棚板を汚します。綺麗に取り除くのも容易ではありません。棚板上には、アルミナコーチングが
塗られていますので、コーチングごと取り除く事にまります。剥がされたコーチンング部分に
新たのコ-チングを塗る作業が必要になります。
② 施釉する範囲を限定する必要があります。即ち作品の下部に施釉しない部分を残す事です。
但し、どの位流れるかは、窯の状態や釉の調合方法によって違いがでますので、予め予想を
立てて置く必要があります。空けすぎても見栄えが良くありませんし、流れ過ぎると大変です。
試行錯誤の上実施する事になります。
以上にて、流れ易い釉の功罪の話を終わります。
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