2) 福島長石に天然灰を添加した釉。
天然の灰には、長石を熔かすカルシウム、マグネシウム等のアルカリ成分の他、鉄分やマンガン
などの金属類、燐酸(りんさん)などの無機成分が含まれています。
当然、樹木の種類によって差があります。その差が、色調として現れたり、乳濁、マット、結晶
作用を引き起こし、釉肌に影響を与える事に成ります。
① 灰をご自分で作るか、市販品を使うか?
) 大量の灰をご自分で作る事は、可能ですが大変手間暇が掛かります。1kgの灰を作るには
数百kg以の材料が無ければ成りません。材料の部材(葉や茎など)によってはその10倍の
量が必要になります。
)昔と違い、今では焚き火が禁止されている場所が多く、簡単に焼いて灰を作る事も出来ま
せん。又、大量の煙が発生する為、公害問題にもなります。
)樹木の材料を燃やしても、完全に灰にする事は難しく、焼き残の炭素分(黒色)が出るのが
普通です。これを灼熱(しゃくねつ)減量(ロス分)といいます。市販の灰であっても30~
40%あると言われています。計量計算する際、このロス分も計算に入れ、量を多くしな
ければなりません。
) 更に自分の作った灰は、灰汁(あく)抜きを繰り返して、水に溶けるアルカリ分を除く
必要があります。
以上の事から、ご自分で作るより、市販品の各種の灰を使う方が便利で、手っ取り早く品質的
にも比較的安定した物が手に入り易いです。
② 天然の灰には、一般に灰色と呼ばれる色をしていますが、厳密には白っぽい色や、黄色味
掛かった色、褐色、更には黒ずんだ色など色々あります。色の違いは灰の中に含まれる微量の
金属類に関係すると言われています。尚、見慣れた方ならば、一目見て何の灰だか判るとの事
ですが、一般的には区別できませんので、区別して保管しておく必要が有ります。
③ 灰釉の実態。
) 天然松灰を使った釉薬。 福島長石に30~70%程度の松灰を添加する。
a) 酸化焼成では黄色味を帯びた透明釉になります。還元焼成では緑~青味を帯びた釉になり
ます。
b) 松灰が増えるに従い、淡い黄色から黄色へと変化します。
還元焼成では、緑に近い青から深い緑色へと変化します。
c) 釉を厚掛けした場合。 釉は若干流れ易くなります。更に松灰が増えるに従い熔融温度も
下がり一層流れ易くなります。
d) 最適な松灰の添加量は、50%程度の時です。熔融温度も1230℃前後と理想的な温度に
なり、程良い流れとなります。松灰が30%程度ですと、釉に大きな貫入が入ります。
70%程度になると、アルカリ成分が釉に熔けきらず、落ち着いた艶消し釉に成ります。
) 福島長石と天然松灰で作った釉と、更に着色剤を添加して色釉を作る。
(着色剤などは、外割りで添加します。合計が100%以上になります。)
a) 飴釉とそば釉を作る。
・ 飴釉: 福島長石:天然松灰:弁柄= 60:40:10
・ そば釉: 上記飴釉にマグネサイト5を添加。
b) 黒釉を作る。福島長石:天然松灰:弁柄= 70:30:10
c) 黄瀬戸釉を作る。福島長石:天然松灰:中国黄土= 60:40:10
e) 瑠璃(るり)釉を作る。福島長石:天然松灰:酸化コバルト= 70:30:0.3
f) ビードロ釉を作る。
・ 緑ビードロ釉: 福島長石:天然松灰:酸化銅= 30:70:7
・ 青ビードロ釉: 福島長石:天然松灰:酸化コバルト= 30:70:0.3
g) 伊羅保(いらぼ)釉: 福島長石:天然松灰:カオリン= 10:50:40
以下次回に続きます。
天然の灰には、長石を熔かすカルシウム、マグネシウム等のアルカリ成分の他、鉄分やマンガン
などの金属類、燐酸(りんさん)などの無機成分が含まれています。
当然、樹木の種類によって差があります。その差が、色調として現れたり、乳濁、マット、結晶
作用を引き起こし、釉肌に影響を与える事に成ります。
① 灰をご自分で作るか、市販品を使うか?
) 大量の灰をご自分で作る事は、可能ですが大変手間暇が掛かります。1kgの灰を作るには
数百kg以の材料が無ければ成りません。材料の部材(葉や茎など)によってはその10倍の
量が必要になります。
)昔と違い、今では焚き火が禁止されている場所が多く、簡単に焼いて灰を作る事も出来ま
せん。又、大量の煙が発生する為、公害問題にもなります。
)樹木の材料を燃やしても、完全に灰にする事は難しく、焼き残の炭素分(黒色)が出るのが
普通です。これを灼熱(しゃくねつ)減量(ロス分)といいます。市販の灰であっても30~
40%あると言われています。計量計算する際、このロス分も計算に入れ、量を多くしな
ければなりません。
) 更に自分の作った灰は、灰汁(あく)抜きを繰り返して、水に溶けるアルカリ分を除く
必要があります。
以上の事から、ご自分で作るより、市販品の各種の灰を使う方が便利で、手っ取り早く品質的
にも比較的安定した物が手に入り易いです。
② 天然の灰には、一般に灰色と呼ばれる色をしていますが、厳密には白っぽい色や、黄色味
掛かった色、褐色、更には黒ずんだ色など色々あります。色の違いは灰の中に含まれる微量の
金属類に関係すると言われています。尚、見慣れた方ならば、一目見て何の灰だか判るとの事
ですが、一般的には区別できませんので、区別して保管しておく必要が有ります。
③ 灰釉の実態。
) 天然松灰を使った釉薬。 福島長石に30~70%程度の松灰を添加する。
a) 酸化焼成では黄色味を帯びた透明釉になります。還元焼成では緑~青味を帯びた釉になり
ます。
b) 松灰が増えるに従い、淡い黄色から黄色へと変化します。
還元焼成では、緑に近い青から深い緑色へと変化します。
c) 釉を厚掛けした場合。 釉は若干流れ易くなります。更に松灰が増えるに従い熔融温度も
下がり一層流れ易くなります。
d) 最適な松灰の添加量は、50%程度の時です。熔融温度も1230℃前後と理想的な温度に
なり、程良い流れとなります。松灰が30%程度ですと、釉に大きな貫入が入ります。
70%程度になると、アルカリ成分が釉に熔けきらず、落ち着いた艶消し釉に成ります。
) 福島長石と天然松灰で作った釉と、更に着色剤を添加して色釉を作る。
(着色剤などは、外割りで添加します。合計が100%以上になります。)
a) 飴釉とそば釉を作る。
・ 飴釉: 福島長石:天然松灰:弁柄= 60:40:10
・ そば釉: 上記飴釉にマグネサイト5を添加。
b) 黒釉を作る。福島長石:天然松灰:弁柄= 70:30:10
c) 黄瀬戸釉を作る。福島長石:天然松灰:中国黄土= 60:40:10
e) 瑠璃(るり)釉を作る。福島長石:天然松灰:酸化コバルト= 70:30:0.3
f) ビードロ釉を作る。
・ 緑ビードロ釉: 福島長石:天然松灰:酸化銅= 30:70:7
・ 青ビードロ釉: 福島長石:天然松灰:酸化コバルト= 30:70:0.3
g) 伊羅保(いらぼ)釉: 福島長石:天然松灰:カオリン= 10:50:40
以下次回に続きます。
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