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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 128 長石と灰で釉を作る2

2015-05-05 17:40:52 | 素朴な疑問
2) 福島長石に天然灰を添加した釉。

  天然の灰には、長石を熔かすカルシウム、マグネシウム等のアルカリ成分の他、鉄分やマンガン

  などの金属類、燐酸(りんさん)などの無機成分が含まれています。

  当然、樹木の種類によって差があります。その差が、色調として現れたり、乳濁、マット、結晶

  作用を引き起こし、釉肌に影響を与える事に成ります。

 ① 灰をご自分で作るか、市販品を使うか?

  ) 大量の灰をご自分で作る事は、可能ですが大変手間暇が掛かります。1kgの灰を作るには

   数百kg以の材料が無ければ成りません。材料の部材(葉や茎など)によってはその10倍の

   量が必要になります。

  )昔と違い、今では焚き火が禁止されている場所が多く、簡単に焼いて灰を作る事も出来ま

    せん。又、大量の煙が発生する為、公害問題にもなります。

  )樹木の材料を燃やしても、完全に灰にする事は難しく、焼き残の炭素分(黒色)が出るのが

   普通です。これを灼熱(しゃくねつ)減量(ロス分)といいます。市販の灰であっても30~

   40%あると言われています。計量計算する際、このロス分も計算に入れ、量を多くしな

   ければなりません。

  ) 更に自分の作った灰は、灰汁(あく)抜きを繰り返して、水に溶けるアルカリ分を除く

   必要があります。

  以上の事から、ご自分で作るより、市販品の各種の灰を使う方が便利で、手っ取り早く品質的

  にも比較的安定した物が手に入り易いです。

 ② 天然の灰には、一般に灰色と呼ばれる色をしていますが、厳密には白っぽい色や、黄色味

  掛かった色、褐色、更には黒ずんだ色など色々あります。色の違いは灰の中に含まれる微量の

  金属類に関係すると言われています。尚、見慣れた方ならば、一目見て何の灰だか判るとの事

  ですが、一般的には区別できませんので、区別して保管しておく必要が有ります。

 ③ 灰釉の実態。

  ) 天然松灰を使った釉薬。 福島長石に30~70%程度の松灰を添加する。

   a) 酸化焼成では黄色味を帯びた透明釉になります。還元焼成では緑~青味を帯びた釉になり

    ます。

   b) 松灰が増えるに従い、淡い黄色から黄色へと変化します。

     還元焼成では、緑に近い青から深い緑色へと変化します。

   c) 釉を厚掛けした場合。 釉は若干流れ易くなります。更に松灰が増えるに従い熔融温度も

     下がり一層流れ易くなります。

   d) 最適な松灰の添加量は、50%程度の時です。熔融温度も1230℃前後と理想的な温度に

     なり、程良い流れとなります。松灰が30%程度ですと、釉に大きな貫入が入ります。

     70%程度になると、アルカリ成分が釉に熔けきらず、落ち着いた艶消し釉に成ります。

  ) 福島長石と天然松灰で作った釉と、更に着色剤を添加して色釉を作る。

     (着色剤などは、外割りで添加します。合計が100%以上になります。)

   a) 飴釉とそば釉を作る。

    ・ 飴釉: 福島長石:天然松灰:弁柄= 60:40:10 

    ・ そば釉: 上記飴釉にマグネサイト5を添加。

   b) 黒釉を作る。福島長石:天然松灰:弁柄= 70:30:10 

   c) 黄瀬戸釉を作る。福島長石:天然松灰:中国黄土= 60:40:10 

   e) 瑠璃(るり)釉を作る。福島長石:天然松灰:酸化コバルト= 70:30:0.3 

   f) ビードロ釉を作る。

     ・ 緑ビードロ釉: 福島長石:天然松灰:酸化銅= 30:70:7 

     ・ 青ビードロ釉: 福島長石:天然松灰:酸化コバルト= 30:70:0.3

   g) 伊羅保(いらぼ)釉: 福島長石:天然松灰:カオリン= 10:50:40 

以下次回に続きます。
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